2025.02.04
「結婚の自由をすべての人に」請求控訴事件
LEX/DB25621576/福岡高等裁判所 令和 6年12月13日 判決(控訴審)/令和5年(ネ)第584号
同性の者との婚姻届を提出したが受理されなかった控訴人(原告)らが、被控訴人(被告)・国に対し、婚姻に関する民法及び戸籍法の諸規定が、異性間の婚姻のみを認め、同性同士の婚姻を認めていないことは、憲法13条、14条及び24条に違反していることが明白であるにもかかわらず、国会は正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠っており、これにより精神的苦痛を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、各慰謝料等の支払を求めたところ、原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが本件各控訴を提起した事案で、(1)〔1〕本件諸規定のうち、異性婚のみを婚姻制度の対象とし、同性のカップルを婚姻制度の対象外としている部分は、異性を婚姻の対象とすることができず、同性の者を伴侶として選択する者の幸福追求権、すなわち婚姻の成立及び維持について法制度による保護を受ける権利に対する侵害であり、憲法13条に違反するものといわざるを得ず、また同性のカップルを法的な婚姻制度の対象とすることは、およそ公共の福祉に反するものではないとし、〔2〕憲法13条に違反する差別的取扱いが不合理なものであることは自明であるから、これが憲法14条1項にも違反することは明らかであるとし、〔3〕また婚姻に関する法律は個人の尊厳に立脚して制定されるべき旨を定める憲法24条2項に違反することは明らかであるとする一方、(2)本件諸規定を巡る下級審裁判所の判決をみると、その判断内容は区々であり、最高裁判所による統一的判断は未だ示されておらず、これを踏まえると、本件立法不作為につき、国会議員に故意又は過失があると認めるのは困難であるから、本件立法不作為が国家賠償法1条1項の各要件を充足するとはいえないとして、本件各控訴をいずれも棄却した事例。