2021.08.03
移送決定に対する即時抗告事件
LEX/DB25569781/千葉地方裁判所 令和 3年 6月21日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和3年(ソ)第13号
放送法により設立された法人である抗告人が、抗告人のテレビジョン放送を受信することのできる受信設備を設置した相手方に対し、放送受信契約の申込みに対して承諾する義務を負うとして、承諾の意思表示をすべきことを求めるとともに、当該承諾を命ずる判決の確定を条件として、平成26年11月分から令和3年3月分までの受信契約に基づく受信料合計の支払を求める基本事件を千葉簡易裁判所に提起したところ、同裁判所が、基本事件を民事訴訟法18条に基づき職権により千葉地方裁判所に移送するとの原決定をし、それに対して抗告人が抗告した事案で、現時点で、基本事件が複雑な争点を含む、あるいは審理に時間を要する見込みであり、社会に与える影響が大きいなどといった事情も認められず、加えて、原審は、職権で原決定をするに際し、当事者の意見聴取(民事訴訟規則8条2項)をしていないため、相手方が、地方裁判所における審理及び裁判を希望していることをうかがわせる事情もないから、基本事件について地方裁判所における審理及び裁判が相当であるといえる事情が認められない現時点において、基本事件を千葉地方裁判所に移送した原決定は、民事訴訟法18条に基づく移送をすべきかどうかの判断が簡易裁判所の合理的裁量に委ねられていることを前提としても、同判断の際に考慮すべき事情を考慮したものであるとはいえず、裁量の範囲を逸脱したものというべきであるとして、原決定を取り消した事例。