2020.06.09
終局決定変更申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25570886/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 4月16日 決定 (許可抗告審)/令和1年(許)第14号
抗告人、相手方及び両名の子は、ロシアで同居していたが、本件子(当時9歳)が平成28年5月に、抗告人が同年8月に、日本に入国した。相手方は、平成28年11月、本件子について、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(ハーグ条約実施法)26条の規定による子の返還の申立てをし、同申立てに係る事件は家事調停に付され、平成29年1月、抗告人と相手方との間で、抗告人が同年2月12日限り本件子をロシアに返還する旨の合意及び養育費、面会交流等についての合意が成立し、これらが調書に記載された。本件子は、平成29年2月12日の経過後も、日本にとどまっている。本件は、抗告人が、本件調停の成立後に、事情の変更により本件返還条項を維持することが不当となったと主張して、ハーグ条約実施法117条1項の規定に基づき、本件返還条項を変更することを求め、原審は、抗告人の本件申立てを却下したため、抗告人が許可抗告した事案で、子の返還申立事件に係る家事調停において、子を返還する旨の調停が成立した後に、事情の変更により子の返還条項を維持することを不当と認めるに至った場合は、ハーグ条約実施法117条1項の規定を類推適用して、当事者の申立てにより、子の返還条項を変更することができると解するのが相当であり、抗告人の本件申立てを却下すべきものとした原審の判断には法令の違反があるとして原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。