2020.03.31
所得税更正処分取消等請求事件
LEX/DB25570798/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第422号
法人に対する株式の譲渡につき、被上告人(控訴人・原告)らが、当該譲渡に係る譲渡所得の収入金額を譲渡代金額と同額として所得税の申告をしたところ、当該代金額が所得税法59条1項2号に定める著しく低い価額の対価に当たるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、上告人(被控訴人・被告。国)に対し、これらの各処分(更正処分については修正申告又は先行する更正処分の金額を超える部分)の取消しを求め、当該株式の当該譲渡の時における価額が争点となり、原審は、所得税基本通達59-6が定める条件の下に適用される評価通達に定められた評価方法が、取引相場のない株式の譲渡時における客観的交換価値を算定する方法として一般的な合理性を有するものであれば、これによって算定された価額は、原則として所得税法59条1項にいう「その時における価額」として適正なものと認められ、評価通達において定められた評価方法自体は一般的な合理性を有するとした上で、被上告人らの請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、原審は、本件株式の譲受人であるCが評価通達188の(3)の少数株主に該当することを理由として、本件株式につき配当還元方式により算定した額が本件株式譲渡の時における価額であるとしたものであり、この原審の判断には、所得税法59条1項の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件株式譲渡の時における本件株式の価額等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。