2018.02.27
首都圏建設アスベスト損害賠償請求神奈川訴訟(第2陣)
LEX/DB25549052/横浜地方裁判所 平成29年10月24日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第1898号
原告らは、建築現場で、石綿含有建材を加工・使用して建物を建築・改修又は石綿含有建材を含む建物を解体する業務等に従事し、同建材の加工・使用又は解体の過程で、同建材から発生する石綿粉じんにばく露し、これにより石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する元建築作業従事者又はその承継人である原告らが、〔1〕被告国に対しては、同被告の公務員である労働大臣、建設大臣、内閣等が、石綿関連疾患の発症又はその増悪を防止するために旧労働基準法、安全衛生法又は建築基準法等に基づく規制権限を適時かつ適切に行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、〔2〕被告企業らに対しては、被告企業らが、その製造・販売する建材が石綿を含有すること、石綿にばく露した場合、石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な疾患にり患する危険があり、これを回避するために呼吸用保護具を着用すべきこと等の警告をすべき義務を負い、また、その製造・販売する建材に石綿を使用しない義務を負っていたにもかかわらず、これらの義務を怠ったなどと主張して、不法行為(民法709条、719条)又は製造物責任(製造物責任法3条、6条、民法719条)に基づき、連帯して、損害賠償金の支払等を求めた事案において、国は遅くとも昭和49年には危険性を認識できたと指摘し、被告企業らは昭和51年以降、建材の外装・包装などに警告を表示する義務を負っていたと認めた上で、労働者が下請け作業に従事するなど、どのメーカーの製品によって被害を受けたか強く推認できる場合に賠償を認めると判断し、被告企業43社のうち、被告Y1社には、原告8人に計約9000万円、被告Y2社には、原告2人に計約1800万円を支払うよう命じた事例。