2018.01.09
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による医療の終了の申立て及び退院の許可の申立て各棄却決定に対する各抗告棄却決定に対する再抗告事件
LEX/DB25449158/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (再抗告審)/平成29年(医へ)第20号 等
検察官は、対象者が夫と共に居住していた自宅を焼損したが、その際心神耗弱の状態にあったと認めて公訴を提起しない処分をし、地方裁判所に対し、前記行為を対象行為として対象者について医療観察法33条1項の申立てをし、今後服薬を継続するとともに心理社会的な治療を受けることによりその改善の見込みがあり、対象者に対しては手厚い医療が必要であるなどとし、通院による医療の確保は困難であるとして、対象者に対し、入院による医療を受けさせる旨決定し、その後、原々審に対し、対象者から医療観察法による医療の終了の申立てがされ、翌日には指定入院医療機関の管理者から退院の許可の申立てがあり、各申立てを棄却したが(各原々決定)したため、対象者及び指定入院医療機関の管理者がそれぞれ抗告を申し立てたが、原審は、各原々決定と同旨の判断を示して各抗告を棄却した(各原決定)ため、対象者及び指定入院医療機関の管理者がそれぞれ再抗告を申し立てた事案において、各原々決定には、医療観察法51条1項の解釈適用を誤り、本件意見の合理性・妥当性の審査を尽くすことなくこれを排斥した点で、審理不尽の違法があり、これを維持した各原決定にも同様の違法があるというべきであり、この違法は各原決定に影響を及ぼし、各原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められるとして、医療観察法71条2項により、各原決定及び各原々決定を取消し、現在の対象者の状態や治療可能性等に関する審理を尽くした上で同法による医療の終了等の可否を判断させるため、各事件を原々審である地方裁判所に差し戻した事例。