2018.01.16
傷害、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25548218/仙台高等裁判所 平成29年10月31日 判決 (控訴審)/平成29年(う)第130号
被告人が、〔1〕駅のプラットホームにおいて、見知らぬ女性の背後から千枚通し様の先端が鋭利な凶器でその背中を1回突き刺して傷害を負わせたといういわゆる通り魔的な傷害の事案、及び〔2〕折りたたみ式ナイフ2本をトートバッグ内に入れて携帯したという銃砲刀剣類所持等取締法違反の事案の控訴審において、被告人は、本件犯行当時、広汎性発達障害の影響を受けてはいたもののその影響は大きいものではなく、善悪を判断する能力や自己の行動を制御する能力が著しく低下していたとはいえないから、完全責任能力を有していたと認められ、原判決に事実の誤認はなく、また、広汎性発達障害に罹患しており、行動の前の緩衝材ともいえる想像力や共感性の欠如が傷害の犯行に影響を与えていた可能性があることなどの原判決が説示するところの酌むべき事情や、その他所論が主張するところを十分考慮しても、本件は刑の執行を猶予するのが相当な事案であるとはいえず、被告人を懲役3年6月に処した原判決の量刑は刑期の点も含めて相当であって、これが重過ぎて不当であるとはいえないとして、被告人の控訴を棄却した事例。