2017.12.12
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件
LEX/DB25449066/最高裁判所大法廷 平成29年11月29日 判決 (上告審)/平成28年(あ)第1731号
被告人が、被害者が13歳未満の女子であることを知りながら、被害者に対し、被告人の陰茎を触らせ、口にくわえさせ、被害者の陰部を触るなどのわいせつな行為をしたとして起訴され、第1審判決は懲役3年6月を言い渡し、原判決は、被告人に性的意図があったと認定するには合理的な疑いが残るとした第1審判決の事実認定を是認した上で、客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ、行為者がその旨認識していれば、強制わいせつ罪が成立し、行為者の性的意図の有無は同罪の成立に影響を及ぼすものではないとして、昭和45年判例(最高裁昭和43年(あ)第95号同45年1月29日第一小法廷判決)を現時点において維持するのは相当でないとし、第1審判決を是認したため、被告人が上告した事案において、刑法176条にいう、わいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには、行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになり、そのような個別具体的な事情の一つとして、行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難いとし、そのような場合があるとしても、故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく、昭和45年判例の解釈は変更されるべきであるとの見解を示し、刑事訴訟法410条2項により、昭和45年判例を当裁判所の上記見解に反する限度で変更し、原判決を維持するのを相当と認め、同判例違反をいう所論は、原判決破棄の理由にならないとして、上告を棄却した事例。