2018.01.09
現住建造物等放火被告事件
LEX/DB25449139/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第190号
被告人は,2名が現に住居に使用し、かつ、同人らが現にいる居宅(木造トタン葺平屋建、床面積約115.03平方メートル)に延焼し得ることを認識しながら、上記居宅に隣接した作業場建物の軒下に積み上げられていた段ボールに、ライターで着火して火を放ち、その火を上記居宅に燃え移らせて全焼させ、現住建造物等放火罪で起訴された事案において、第1審判決は、量刑事情として、上記居宅に居住していた2名が逃げ切れず一酸化炭素中毒により死亡したことをも考慮し、被告人を懲役13年に処し、原判決は、第1審判決が、刑の量定に当たり,放火行為から人の死亡結果が生じたことを被告人に不利益に考慮したことは、それ自体不当なところはなく、余罪処罰に当たるようなものでもないなどとして是認したため、被告人が上告した事案において、放火により焼損した居宅内にいた2名が一酸化炭素中毒により死亡しており、これを本件の量刑事情として考慮した第1審判決を是認した原判決に違法はないとして、上告を棄却した事例。
2018.01.09
執行停止決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449147/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成29年(行フ)第3号
留寿都村議会が、地方自治法127条1項に基づき、同議会の議員である相手方が地方自治法92条の2の規定に該当する旨の決定をしたため、相手方が、その取消しを求める訴えを提起した上、これを本案として、行政事件訴訟法25条2項に基づき、本件決定の効力の停止を求めた事案において、相手方は、原々決定により、本件補欠選挙の投票及び開票がされる前に留寿都村議会の議員の地位を暫定的に回復していたのであり、同選挙について公職選挙法所定の異議の申出の期間が経過しても、相手方が上記地位を喪失することはず、そして、同議会の議員としての職務の遂行が制限されることによって相手方が受ける不利益は、その性質上、金銭賠償によって容易に回復し得ないものであるから、そのような重大な損害を避けるため本件決定の効力を停止する緊急の必要があるとし、原審は、原々決定に対する抗告人の抗告を棄却したため、抗告した事案において、現時点で、相手方はもはや上記議員の地位を回復することができない以上、本件決定の効力の停止を求める利益はないものといわざるを得ないとし、これと異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、本件決定の効力を停止するとした原々決定を取消し、相手方の本件申立てを却下した事例(補足意見、反対意見がある)。
2018.01.09
再生計画認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449148/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第19号
抗告人(税理士)を再生債務者とする小規模個人再生における住宅資金特別条項を定めた再生計画について、民事再生法202条2項4号の不認可事由の有無が争われ、原々審は、本件再生計画案が可決された再生計画につき認可の決定をしたため、相手方が即時抗告し、原審は、抗告人が実際には存在しない本件貸付債権を意図的に債権者一覧表に記載するなどの信義則に反する行為により本件再生計画案を可決させた疑いが存するので、本件貸付債権の存否を含め信義則に反する行為の有無につき調査を尽くす必要があるとして、原々決定を取り消し、本件を原々審に差し戻したため、抗告人が抗告した事案において、本件再生計画を認可した原々審の判断は不当であるとして、原々決定を取消し、更に審理を尽くさせるため本件を原々審に差し戻した原審の判断は是認することができるとして、抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2018.01.09
債権仮差押命令を取り消す決定に対する保全抗告審の債権仮差押命令一部認可決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449149/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第10号
相手方(学校用品、教材の販売等を目的とする会社)が、本件違約金条項に基づく違約金債権のうち1億8550万円を被保全債権として、抗告人(土木建築請負業等を主たる事業とする会社)の第三債務者に対する請負代金債権につき、仮差押命令の申立てをし、抗告人は、吸収分割がされたことを理由に、違約金債権に係る債務を負わないと主張した事案の許可抗告審において、抗告人が相手方に対し、本件吸収分割がされたことを理由に本件違約金債権に係る債務を負わないと主張することは、信義則に反して許されず、相手方は、本件吸収分割の後も、抗告人に対して同債務の履行を請求することができるというべきであるとし、原審の判断は、是認することができるとして、抗告を棄却した事例。
2018.01.09
総会決議無効確認等請求本訴,組合理事地位確認請求反訴事件
LEX/DB25449123/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月18日 判決 (上告審)/平成29年(受)第84号
被上告人(マンションの区分所有者)が、上告人(マンションの管理組合)に対し、理事会決議、総会決議及びその余の決議の無効確認等を求め、被上告人は、理事会決議の無効事由として、決議の内容及び手続の規約違反を主張し、原審は、本件理事会決議、本件総会決議及びその余の決議の無効確認請求を認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件理事会決議は、理事を組合員のうちから総会で選任し、理事の互選により理事長に選任された被上告人につき、本件マンションの管理規約により出席した理事10名の一致により理事長の職を解き、理事としたものであるから、このような決議の内容が本件管理規約に違反するとはいえないとし、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中被上告人の本訴請求に関する部分を破棄し、本件理事会決議の手続の瑕疵の有無等について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2018.01.09
被爆者健康手帳交付等請求事件
LEX/DB25449124/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月18日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第404号の1
長崎市に投下された原子爆弾に被爆したとする本件申請者らが、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)に基づき被爆者健康手帳の交付及び健康管理手当の認定の各申請をしたところ、長崎市長又は長崎県知事からこれらを却下する旨の処分を受けたため、本件申請者らは被爆者援護法1条3号所定の被爆者の要件を満たすなどと主張して、本件各処分の取消し、被爆者健康手帳の交付の義務付け等を求め、本件申請者らのうち本件訴訟の原審口頭弁論終結前に死亡した者については、それぞれ相続人が相続により本件訴訟における当該者の地位を承継したと主張して、訴訟承継の申立てをし、原審は、本件被相続人らに係る本件各処分の取消し及び被爆者健康手帳交付義務付けの訴えについて、本件各処分の取消しによって回復すべき法律上の利益及び被爆者健康手帳の交付の義務付けを求める法律上の利益は、本件申請者らが被爆者援護法上の被爆者として同法による援護(健康管理手当の支給を含む。)を受ける地位であるところ、同法による援護を受ける地位は被爆者に固有のものであり、一身専属的なものであると解されるから、本件相続人らが本件被相続人らの相続人としてこれを承継することはできず、本件被相続人らが本件各処分の取消しを求める訴訟及び被爆者健康手帳の交付の義務付けを求める訴訟は、本件被相続人らの死亡により当然に終了する。
2018.01.09
被爆者健康手帳交付等請求事件
LEX/DB25449125/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月18日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第404号の2
長崎市に原子爆弾が投下された日の原子爆弾の爆心地付近に在ったなどとするAが、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)に基づき被爆者健康手帳の交付及び健康管理手当の認定の各申請をしたところ、長崎市長からこれらを却下する旨の処分を受けたため、Aは被爆者援護法1条2号又は3号所定の被爆者の要件を満たすなどと主張して、本件各処分の取消し等を求め、Aが本件訴訟の第1審口頭弁論終結前に死亡したことから、第1審で、上告人らが相続により本件訴訟におけるAの地位を承継したと主張して、訴訟承継の申立てをし、原審は、本件各処分の取消しによって回復すべき法律上の利益は、Aが被爆者援護法上の被爆者として同法による援護(健康管理手当の支給を含む。)を受ける地位であるところ、同法による援護を受ける地位は被爆者に固有のものであり、一身専属的なものであると解されるから、上告人らがAの相続人としてこれを承継することはできず、本件各処分の取消しを求める訴えは同人の死亡により当然に終了すると判断し、当該訴えにつき訴訟終了宣言をした第1審判決に対する上告人らの控訴を棄却したため、上告人らが上告した事案において、Aは、生前に被爆者健康手帳の交付及び健康管理手当の認定の各申請をしたものであるところ、これらを却下する旨の本件各処分の取消しを求める訴訟の係属中に死亡したのであるから、その相続人である上告人らにおいて、当該訴訟を承継することができるとし、本件各処分の取消しを求める訴えにつき訴訟終了宣言をした第1審判決及びこれを維持した原判決には、いずれも判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるから、原判決中、当該訴えに関する部分を破棄し、同部分に関する第1審判決を取り消し、地方裁判所に差し戻した事例。
2018.01.09
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件
LEX/DB25449140/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月18日 決定 (再抗告審)/平成29年(医へ)第16号
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対し、抗告したが棄却決定となったため、再抗告した事案において、医療観察法の目的の正当性、同法の規定する処遇及びその要件の必要性、合理性、相当性、手続保障の内容等に鑑みれば、医療観察法による処遇制度は、憲法14条、22条1項に違反するものではなく、憲法31条の法意に反するものということもできないとして、抗告を棄却した事例。