2026.05.19
勾留の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件 

LEX/DB25574905/最高裁判所第二小法廷 令和 8年 4月 1日 決定(特別抗告審)/令和8年(し)第235号
申立人は、「令和6年2月23日頃から同年3月8日頃までの間に、Aに対し、自己名義の普通預金口座に係るキャッシュカード1枚を譲り渡した」旨の被疑事実により、令和8年2月6日から同月25日まで、勾留されていたが、検察官は、同月25日、申立人を「令和6年3月下旬頃、Aに対し、前記キャッシュカード1枚を交付した」旨の公訴事実により福岡地方裁判所に起訴するとともに、裁判官に対し、本件公訴事実につき勾留状発付の職権発動を求め、先行勾留に係る勾留状の欄外に「令和8年2月25日釈放」と記載して押印し、裁判官に差し出したところ、裁判官は、同日、理由を示すことなく、職権を発動しないとの判断をし、検察官には、勾留状が発せられなかった旨が通知されたが、しかし、検察官は、勾留状が発せられなかった理由を確認することなく、先行勾留に係る被疑事実と本件公訴事実との同一性が認められたと理解し、申立人の身柄拘束を続け、同月26日、職権を発動しないとの前記判断は、先行勾留に係る被疑事実と本件公訴事実との同一性を認めず、本件公訴事実に係る勾留もしないという趣旨であると聞き、釈放指揮を行い、申立人は、同日午後8時6分頃に釈放され、検察官が、同日、改めて勾留状発付の職権発動を求めたところ、前記裁判官とは別の裁判官は、本件公訴事実について本件勾留状を発付し、同日午後10時30分に執行されたことから、申立人が勾留の裁判に対する準抗告をしたが棄却決定を受けたため、これに対し特別抗告をした事案で、検察官が、本件公訴事実に係る勾留状が発せられなかった旨の通知を受けた後、その理由を確認することなく、身柄拘束を継続したことは違法というべきであるが、もっとも、職権発動をしなかった裁判官からその理由が示されていないため、先行勾留に係る被疑事実と本件公訴事実には同一性が認められたと検察官が理解したことが直ちに誤りとはいい難く、検察官において勾留に関する諸規定を潜脱しようとしたものとは認められないから、前記の違法は、裁判官がした本件勾留の効力に影響を及ぼすものとはいえないとして、本件抗告を棄却した事例。




















