2024.10.15
国家賠償請求控訴事件
LEX/DB25620890/東京高等裁判所 令和 5年12月13日 判決 (控訴審)/令和5年(ネ)第3500号
薬剤師である控訴人(原告)は、A警察署の警察官が控訴人の勤務先病院に、電話で、控訴人をストーカー行為等の規制等に関する法律違反の容疑で被疑者として捜査していると述べるなどしてその職権を濫用したなどとして、原判決別紙の告訴状を添付書面と共にB地方検察庁に送付したが、同庁特別捜査部直告班の担当検察官は、告訴事実の特定が十分でないとして本件告訴状を受理せず、本件告訴状及び添付書面を控訴人に返戻したところ、控訴人が、本件検察官が本件告訴状を受理して捜査に着手することを怠り、控訴人が職場において業務を妨害され、健康な生活の確保が危うくされている旨をB地検を管轄する法務省等に報告することを怠ったものであり、本件返戻行為、本件捜査不着手行為及び本件不対応行為は違法であるとして、被控訴人(被告)に対し、国家賠償法1条1項又は同法4条及び民法709条に基づく損害賠償請求として、慰謝料及び遅延損害金の支払を求めたところ、原審が控訴人の請求を棄却したことから、控訴人が控訴した事案で、本件返戻行為によって控訴人の法律上保護された利益が害されたということはできず、控訴人は、本件告訴状を提出したのは公益目的に出たものであると主張し、この主張は、告訴が公益目的でされた場合には、告訴人が捜査又は公訴提起によって受ける利益が捜査又は公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にとどまるとする考え方は妥当しないことをいうものと解されるが、告訴について独自の考えを述べるものに過ぎないものであって採用することはできないなどとして、本件控訴を棄却した事例。