注目の判例

租税法

2022.09.20
固定資産評価審査決定取消等請求事件
LEX/DB25572312/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 9月 8日 判決 (上告審)/令和3年(行ヒ)第283号
ゴルフ場の用に供されている兵庫県丹波市所在の一団の本件各土地に係る固定資産税の納税義務者である上告人が、土地課税台帳に登録された本件各土地の平成30年度の価格を不服として丹波市固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の審査の決定を受けたことから、上記価格の適否に関する本件決定の判断に誤りがあるなどと主張して、被上告人を相手に、本件決定のうち上告人が適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、弁護士費用相当額等の損害賠償を求め、原審は、本件各土地の造成に当たり土工事をほとんど要しないにもかかわらず丘陵コースの平均的造成費(840円/平方メートル)を用いることは、評価基準の定める評価方法に従ったものとはいえず、本件登録価格は評価基準によって決定される価格を上回るとして、上告人の本件決定の取消請求を一部認容すべきものとしたが、上告人の損害賠償請求を棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件委員会の委員に職務上の注意義務違反が認められないとした原審の判断には、国家賠償法1条1項の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中、損害賠償請求に関する部分は破棄し、更に審理を尽くさせるため、同部分につき、本件を原審に差し戻すこととし、上告人のその余の上告については、上告人が上告受理申立ての理由を記載した書面を提出しないので却下した事例。
2022.08.30
更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件
LEX/DB25593010/大阪高等裁判所 令和 3年 9月29日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第10号
控訴人会社が、利用契約を締結した会員に対し、商品購入代金等を決済するサービスや、商品購入代金等の決済手段の利用、金額に応じて企業ポイントを付与するサービスを提供するほか、本件会員が控訴人と提携する法人の企業ポイントプログラム会員でもある場合(双方会員)に、提携法人が付与する企業ポイントと本件ポイントとを交換するなどのサービスを提供し、本件会員が、累積したポイント数に応じて決済代金から割引を受けるなどの利益を享受することができるところ、控訴人が、本件各課税期間の消費税及び地方消費税について、提携ポイントを本件ポイントに交換した後に当該提携ポイントを付与した提携法人が控訴人に対して支払った金員を消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入したうえで確定申告をしたが、後にこれを改め、本件金員が消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないなどとして、本件各課税期間の消費税等について、国税通則法23条1項1号に基づき、更正の請求をしたのに対し、更正をすべき理由がない旨の各通知処分を受けたため、本件金員が消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないと主張して、前記各通知処分のうち、その各一部の取消しを求め、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案で、本件金員は消費税法2条1項8号にいう「対価」に該当せず、これを消費税の課税標準とすることはできないから、本件金員を本件各課税期間の消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入することはできず、本件金員が課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないこと等を理由としてした本件各更正の請求につき更正をすべき理由がない旨の各通知処分(本件各通知処分)のうち、本件金員が課税資産の譲渡等の対価の額に算入されることを理由とする部分は、違法というべきであり、取消しを免れないとして、原判決を取り消し、控訴人の請求を認容した事例。
2022.08.16
固定資産税賦課決定処分取消等請求事件
LEX/DB25592492/大津地方裁判所 令和 4年 4月19日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第20号
一棟の区分所有に係る建物のうち、機械式立体駐車場に係る区分所有権(本件専有部分)を有する原告が、被告・大津市長がした本件専有部分に対する平成30年度の固定資産税及び都市計画税の各賦課決定には地方税法352条1項に反する違法があるとして、本件各処分のうち相当額を超える部分の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、被告に対し、損害賠償金等の支払を求めた事案で、被告市長が、本件各処分をするにつき、本件専有部分の床面積を地方税法352条1項の定める方法によることなく認定し、固定資産税等の賦課をしたことは違法というべきであるが、本件各処分がされるまでの間、原告や本件建物の他の区分所有者が、本件専有部分に係る固定資産税等の賦課額について異を唱えたような事実があったと認めるには足りず、被告市長や担当職員に、国家賠償法上の違法性を基礎付けるような注意義務の懈怠があったと認めるに足りる証拠もないところ、本件各処分のうち、地方税法352条1項に定める方法で算定した固定資産税額の相当額及び都市計画税の相当額を超える部分については違法であるとして、原告の処分取消し請求をその限度で認容し、原告の被告に対する損害賠償請求を棄却した事例。
2022.06.28
法人税更正処分等取消請求控訴、同附帯控訴事件
「新・判例解説Watch」租税法分野 令和4年8月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25592516/東京高等裁判所 令和 4年 3月10日 判決 (控訴審)/令和3年(行コ)第25号
被控訴人(兼附帯控訴人・原審原告)が、平成19年3月期から平成22年3月期までの各事業年度の確定申告に当たり、ポーランドにある間接子会社(本件国外関連者)との間で締結したライセンス契約の対価であるロイヤルティの額(本件対価額)を収益の額に算入して確定申告したところ、昭和税務署長(処分行政庁)が、本件対価額は租税特別措置法66条の4第2項2号ロ及び同法施行令39条の12第8項1号に定める方法により算定した独立企業間価格に満たないことを理由に、租税特別措置法66条の4第1項に定める国外関連者との取引に係る課税の特例の規定により、本件国外関連取引が独立企業間価格で行われたものとみなされるとし、被控訴人の本件各事業年度の所得金額に独立企業間価格と本件対価額との差額を加算すべきであるとして、法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をしたことから、被控訴人が、控訴人(兼附帯被控訴人・原審被告。国)に対し、これらの処分の全部又は一部の取消しを求めたところ、原審は、本件国外関連取引に係る独立企業間価格の算定において残余利益分割法を適用するに当たり、〔1〕控訴人の主張する基本的利益の算定は相当であるが、〔2〕残余利益の分割については、重要な無形資産の開発に係る被控訴人及び本件国外関連者の各支出額のほかに、本件国外関連取引に係る超過減価償却費を分割要因に加えて配分するのが相当であり、〔3〕これを基に本件国外関連取引に係る独立企業間価格等を計算すると、本件各事業年度のうち平成22年3月期についてのみ国外移転所得が生じることとなるなどとして、平成21年3月期に係る更正処分及び賦課決定処分については被控訴人の主張に理由があるとしてそれらの処分の全部を取り消し、平成19年3月期、平成20年3月期及び平成22年3月期に係る各更正処分及び各賦課決定処分については被控訴人の主張に一部理由があるとしてそれらの処分の各一部を取消したため、控訴人及び被控訴人は、それぞれ自己の敗訴部分を不服として控訴及び附帯控訴をした事案で、被控訴人の本件各事業年度における納付すべき法人税額及び過少申告加算税額は、本件各処分のうちこれらを超える各部分は違法であるから、被控訴人に対する本件各処分はこの限度で取り消すべきところ、これと同旨の原判決は相当であるとして、本件控訴及び本件附帯控訴らを棄却した事例。
2022.05.10
法人税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25572104/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 4月21日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第303号
被上告人(原告・被控訴人)は、平成20年12月期(平成20年10月7日から同年12月31日までの事業年度)及び平成21年12月期(平成21年1月1日から同年12月31日までの事業年度から平成24年12月期までの各事業年度に係る法人税の確定申告において、被上告人と同じ企業グループに属するUMIFからの金銭の借入れに係る支払利息の額を損金の額に算入したところ、麻布税務署長は、同族会社等の行為又は計算の否認に関する規定である法人税法132条1項を適用し、上記の損金算入の原因となる行為を否認して被上告人の所得の金額につき本件支払利息の額に相当する金額を加算し、本件各事業年度に係る法人税の各更正処分及び平成20年12月期を除く本件各事業年度に係る過少申告加算税の各賦課決定処分に対し、被上告人が、上告人(被告・控訴人。国)を相手に、本件各処分(上記各更正処分については申告額を超える部分)の取消しを求め、第1審判決は、本件各処分を取り消したことで、上告人が控訴し、原判決も控訴を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件借入れは、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものとはいえず、本件借入れは、法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には当たらないとし、原審の判断は正当として是認することできるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.05.06
相続税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25572099/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 4月19日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第283号
共同相続人である上告人らが、相続財産である不動産の一部について、財産評価基本通達の定める方法により価額を評価して相続税の申告をしたところ、札幌南税務署長から、当該不動産の価額は評価通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められるから別途実施した鑑定による評価額をもって評価すべきであるとして、それぞれ更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたため、被上告人(国)を相手に、これらの取消しを求め、第1審判決、原判決とも、請求を棄却したため、上告人らが上告した事案で、本件各不動産の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反するということはできないとし、本件各更正処分において、札幌南税務署長が本件相続に係る相続税の課税価格に算入される本件各不動産の価額を本件各鑑定評価額に基づき評価したことは適法であり、原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.04.05
不動産取得税賦課処分取消請求事件
LEX/DB25572039/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 3月22日 判決 (上告審)/令和3年(行ヒ)第62号
上告人が、被上告人を相手に、都税事務所長がした本件不動産取得税の賦課処分の取消しを求めた事案の上告審において、上告人は、共有物の分割により、従前は持分10分の1を有していた本件各土地について、それぞれ、他の共有者から、その余の持分10分の9を取得したというのであるから、本件各取得の全部が持分超過部分の取得に当たるとし、いわゆる一括分割により不動産を取得した場合における本件各取得に対しては地方税法73条の7第2号の3の括弧書きの「分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の有無等は、分割の対象とされた個々の不動産ごとに判断すべきであるとし、原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.03.15
固定資産評価決定取消請求事件
LEX/DB25571984/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 3月 3日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第323号
ゴルフ場の用に供されている山口県下松市所在の一団の本件各土地に係る固定資産税の納税義務者である被上告人が、土地課税台帳に登録された本件各土地の平成27年度の価格を不服として下松市固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の決定を受けたため、上告人を相手に、本件決定のうち被上告人が適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求め、原判決は、本件決定の全部を取り消すべきものとしたため、上告人が上告した事案で、本件登録価格について、塩田跡地としての取得価額を評定していないことを理由として評価基準の定める評価方法に従って算定されたものということができないとした原審の判断には、固定資産の評価に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄し、本件登録価格が評価基準の定める評価方法に従って算定されたものといえるか否か等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2022.01.04
納付告知処分取消請求控訴事件
LEX/DB25591274/東京高等裁判所 令和 3年12月 9日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第241号
控訴人(原告会社)が、当時、その代表取締役及び取締役から、代表取締役らの控訴人に対する各求償債権につき債務の免除を受けたとして、関東信越国税局長が、国税徴収法39条に基づき、控訴人に対し、滞納者である代表取締役らの各国税につき、第二次納税義務に係る納付告知書による各告知処分をしたことについて、本件各告知処分は違法であるとして、被控訴人(被告。国)に対し、それらの取消しを求めたところ、原審が控訴人の請求を棄却したため、控訴人がこれを不服として控訴した事案で、本件各債務免除の時における本件各求償債権の価額が0円を超えるとは認められず、本件各債務免除により控訴人の受けた利益は現に存しないというほかないから、本件各債務免除は国税徴収法39条の要件を満たすものではなく、本件各告知処分は違法であって取消しを免れないとして、控訴人の請求を認容すべきところ、これを棄却した原判決は失当であり、原判決を取消した上、控訴人の請求を認容した事例。
2021.07.13
相続税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25571598/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 6月24日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第103号
被上告人が、上告人(国)を相手に、被上告人の本件申告に係る課税価格及び相続税額が本件調停により遺産分割が行われたことを基礎として計算した場合における課税価格及び相続税額と異なることとなるとして、課税価格を49億0410万9000円、納付すべき税額を23億2567万1800円とする増額更正処分のうち、それぞれ納付すべき税額が4億4689万9300円を超える部分の取消しを求め、原審は、本件通知処分に係る請求及び本件更正処分のうち本件申告に係る納付すべき税額を超える部分の取消請求を認容したため、上告人が上告した事案で、本件更正処分がされた時点で国税通則法所定の更正の除斥期間が経過していた本件においては、税務署長は、本件更正処分をするに際し、前件判決に示された本件各株式の価額や評価方法を用いて税額等の計算をすべきものとはいえず、本件申告における本件各株式の価額を基礎として課税価格及び相続税額を計算することとなるから、本件更正処分は適法であると判示し、これと異なる原審の判断には法令違反があるとし、また、相続税法55条に基づく申告の後に遺産分割が行われた場合における特定の相続人による同法32条1号の規定による更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分と当該相続人に対する同法35条3項1号の規定による増額更正は、いずれも当該遺産分割による各相続人の取得財産の変動という相続税特有の後発的事由を基礎としてされた同一相続人に対する処分であり、上記増額更正は、一旦確定していた税額を当該遺産分割が行われたことを理由に増額させて確定する処分であるから、当該遺産分割に伴い税額を減額すべき理由はないという上記通知処分の内容を実質的に包摂するものということができ、加えて、上記更正の請求がされているため、当該相続人は、上記増額更正の取消訴訟において、上記更正の請求に係る税額を超える部分の取消しを求めることが可能であると解され、本件通知処分については、その取消しを求める利益はなく、本件訴えのうち本件通知処分の取消しを求める部分は不適法であるとして、却下すべきであるとした事例。
2021.07.06
過誤納付金還付等請求事件
LEX/DB25571587/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 6月22日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第337号
市長は、上告人(原告・控訴人)の市民税及び道民税のうち平成21年度分から同23年度分までのもの(本件市道民税)並びにその延滞金等につき、順次、納付を受け又は滞納処分により徴収したが、その後、本件市道民税の税額を減少させる各賦課決定をするとともに、これにより過納金が生じたとして、上告人に対し、過納金の還付及び還付加算金の支払をした。本件は、上告人が、市長による上記過納金の額の計算に誤りがあるとして、被上告人(市。被告・被控訴人)に対し、不足分の過納金の還付及び還付加算金の支払を求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め、原審は、上告人の請求をいずれも棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案で、市長は、複数年度分の市道民税を差押えに係る地方税とする本件各滞納処分において、当該差押えに係る地方税に配当された金銭であって、本件各減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の市道民税に充当されていたものにつき、当該差押えに係る地方税のうちその配当時に存在していた他の年度分の市道民税に充当されたものとせず、それぞれ直ちにその金額に相当する過納金が生じたものとして、本件各減額賦課決定により生じた過納金の額を計算したものであるから、市長の当該計算には誤りがあると判示し、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人が上告人に還付すべき過納金の額等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2021.03.23
法人税更正処分取消請求事件
LEX/DB25571360/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 3月11日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第333号
内国法人である被上告人(原告・被控訴人)は、平成24年4月1日から同25年3月31日までの連結事業年度において、外国子会社から資本剰余金及び利益剰余金を原資とする剰余金の配当(本件配当)を受け、このうち、資本剰余金を原資とする部分(本件資本配当)は法人税法24条1項3号所定の資本の払戻しに、利益剰余金を原資とする部分(本件利益配当)は同法23条1項1号所定の剰余金の配当にそれぞれ該当するとして、本件連結事業年度の法人税の連結確定申告(本件申告)をした。これに対し、所轄税務署長は、本件配当の全額が上記の資本の払戻しに該当するとして、本件連結事業年度の法人税の更正処分をしたことにより、被上告人が、上告人(被告・控訴人。国)を相手に、本件更正処分のうち本件申告に係る申告額を超える部分の取消しを求めた事案で、1審判決は、被上告人の請求を認容したため、上告人が控訴し、控訴審判決も被上告人の請求を認容すべきものとして控訴を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件資本配当の額を超える直前払戻等対応資本金額等に基づいて、本件配当におけるみなし配当金額及び有価証券の譲渡に係る対価の額を計算することは誤りであるといわざるを得ず、被上告人の本件連結事業年度における連結所得金額が本件申告の額を超え、翌期へ繰り越す連結欠損金額が本件申告の額を下回るものと認めることはできないから、本件更正処分のうち本件申告に係る申告額を超える部分は違法であるとし、被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2021.01.12
相続税更正処分等取消請求控訴事件
LEX/DB25567300/札幌高等裁判所 令和 2年12月11日 判決 (控訴審)/平成31年(行コ)第9号
被相続人の相続人である控訴人らが、被相続人に係る相続により取得した土地及び建物(被相続人所有不動産)並びにH社の株式につき、被相続人所有不動産の課税価格を不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて算定するとともに、H社の所有する所有不動産についての不動産鑑定士の鑑定評価を前提に本件株式の課税価格を算定して相続税の申告を行い、その後、別の不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて又はこれを前提として被相続人所有不動産及び本件株式の課税価格を算定して、控訴人Aは更正請求を控訴人B及び控訴人Cは修正申告をそれぞれ行ったのに対し、札幌北税務署長が、土地及び建物の評価は特別の事情がない限り財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56、直審(資)17国税庁長官通達)によるべきであって、不動産鑑定士による不動産鑑定評価に基づいて評価を行うのは相当ではないとして、控訴人らに対し、それぞれ更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたことから、控訴人らが、本件各更正処分等には本件各不動産の価額について時価を超える評価をした違法があるほか、本件各更正処分等は行政手続法の要請する理由の提示を欠き違法であると主張して、被控訴人・国に対し、本件各更正処分のうち修正申告ないし更正の請求に係る課税価格及び納付すべき税額を超える部分についての取消し及び本件各賦課決定処分の取消しを求め、原審が、本件各更正処分等は適法であるとして控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、本件各更正処分等はいずれも適法と認められるとして、本件控訴を棄却した事例。
2020.07.14
通知処分取消等請求事件
LEX/DB25570928/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 7月 2日 判決 (上告審)/平成31年(行ヒ)第61号
破産者K社の破産管財人である被上告人(控訴人・原告)が、平成7年度から同17年度まで(同11年度を除く。)の各事業年度(4月1日から翌年3月31日までの各1年間。本件各事業年度)において支払を受けた制限超過利息等についての不当利得返還請求権に係る破産債権が、その後の破産手続において確定したことにより、これに対応する本件各事業年度の益金の額を減額して計算すると納付すべき法人税の額が過大となったとして、本件各事業年度の法人税につき国税通則法23条2項1号及び同条1項1号に基づく更正の請求をしたところ、更正をすべき理由がない旨の各通知処分を受けたため、上告人(被控訴人・被告。国)に対し、主位的には本件各通知処分の一部の取消しを、予備的には上記制限超過利息等に対応する法人税相当額の一部についての不当利得返還等をそれぞれ求める事案の上告審において、本件各事業年度に制限超過利息等を受領したK社が、これを本件各事業年度の益金の額に算入して行った本件各申告はもとより正当であったといえるところ、その後の事業年度に本件債権1が破産手続において確定したことにより、本件各事業年度に遡って益金の額を減額する計算をすることは、本件債権1の一部につき現に配当がされたか否かにかかわらず、公正処理基準に従ったものということはできないとし、上記の減額計算を前提とする本件各更正の請求が国税通則法23条1項1号所定の要件を満たすものでないことは明らかであるとして、原判決を破棄し、本件各通知処分が最後配当及び追加配当がされる前にされたことをもって違法であるということもできないから、本件各通知処分は適法であり、また、上告人が本件債権1及び2の発生原因となった制限超過利息等に対応する法人税相当額を保持することについて法律上の原因がないということもできないとし、被上告人の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却した第1審判決は正当であるから、被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.07.07
不指定取消請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和2年9月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570926/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 6月30日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第68号
平成31年法律第2号(本件改正法)による地方税法の一部改正により、いわゆるふるさと納税として個人の道府県民税及び市町村民税に係る特例控除の対象となる寄附金について、所定の基準に適合する都道府県、市町村又は特別区として総務大臣が指定するものに対するものに限られるという制度(本件指定制度)が導入され、被上告人(国)が上記の指定の申出をした泉佐野市に対して当該指定をしない旨の決定(本件不指定)をしたことについて、上告人(泉佐野市長)が、本件不指定は違法な国の関与に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件不指定の取消しを求め、原審は、泉佐野市は平成31年総務省告示第179号(本件告示)2条3号に定める基準を満たさず指定の要件を欠くとし、本件不指定は適法であるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件告示2条3号の規定のうち、本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は、地方税法37条の2第2項及び314条の7第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であるとし、原判決を破棄し、上告人の請求を認容した事例(補足意見あり)。
2020.06.09
法人税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25570858/東京地方裁判所 令和 2年 3月11日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第395号
内国法人である原告が、原告と米国法人との間で、医薬品用化合物の共同開発等を行う本件JVを形成する契約を締結し、同契約に基づき、英国領ケイマン諸島において、特例有限責任パートナーシップであるCILPを設立し、そのパートナーシップ持分を保有していたが、その後本件JVの枠組みの変更に際し、上記持分全部を原告の英国完全子会社に対し、現物出資により移転したことについて、本件現物出資は、平成28年改正前法人税法施行令4条の3第9項に規定する「国内にある事業所に属する資産」を外国法人に移転するものではなく、適格現物出資に該当すると主張して、法人税等にかかる本件各更正処分等の各取消しを求めた事案において、本件現物出資の対象財産であった本件CILP持分は、「国内にある事業所に属する資産」には該当しないから、本件現物出資は、適格現物出資に該当するとして、原告の請求を一部認容した事例。
2020.04.07
損害賠償請求事件
LEX/DB25570799/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 判決 (上告審)/平成30年(受)第388号
本件家屋を所有し、その固定資産税及び都市計画税を納付してきた上告人が、本件家屋の建築当初である昭和58年に行われた本件家屋の評価等に誤りがあったことから、その後の各年度において過大な固定資産税等が課されたなどと主張して、被上告人に対し、固定資産税等の過納金及び弁護士費用相当額等の損害賠償を求め、原審が、除斥期間の起算点である「不法行為の時」は、昭和58年の建築当初の評価行為及び価格決定時であり、遅くとも同年6月30日の価格決定時としたため、上告人が上告した事案で、家屋の評価の誤りに基づき、ある年度の固定資産税等の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権の除斥期間は、当該年度の固定資産税等に係る賦課決定がされ所有者に納税通知書が交付された時から進行するものであるとし、本件家屋の新築部分の評価の誤りに基づき本件各年度の固定資産税等の税額が過大に決定されたことを理由とする上告人の被上告人に対する損害賠償請求権については、年度ごとに、当該年度の納税通知書が上告人に交付された時から除斥期間が進行することとなるところ、本件各年度における納税通知書の交付の具体的な時点はいずれも明らかでないが、本件訴訟が提起された平成25年1月27日の時点で20年を経過していなかったものがあると考えられる。よって、これと異なる見解の下に、本件各年度の固定資産税等の過納金及び弁護士費用相当額に係る上告人の損害賠償請求をいずれも棄却すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中これに関する部分を破棄し、損害賠償請求権に関し、それぞれ除斥期間が経過したか否か、除斥期間が経過していない場合における当該年度の上告人の損害額等について更に審理を尽くさせるため、平成4年度から同20年度までの各年度の部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2020.03.31
所得税更正処分取消等請求事件
LEX/DB25570798/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第422号
法人に対する株式の譲渡につき、被上告人(控訴人・原告)らが、当該譲渡に係る譲渡所得の収入金額を譲渡代金額と同額として所得税の申告をしたところ、当該代金額が所得税法59条1項2号に定める著しく低い価額の対価に当たるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、上告人(被控訴人・被告。国)に対し、これらの各処分(更正処分については修正申告又は先行する更正処分の金額を超える部分)の取消しを求め、当該株式の当該譲渡の時における価額が争点となり、原審は、所得税基本通達59-6が定める条件の下に適用される評価通達に定められた評価方法が、取引相場のない株式の譲渡時における客観的交換価値を算定する方法として一般的な合理性を有するものであれば、これによって算定された価額は、原則として所得税法59条1項にいう「その時における価額」として適正なものと認められ、評価通達において定められた評価方法自体は一般的な合理性を有するとした上で、被上告人らの請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、原審は、本件株式の譲受人であるCが評価通達188の(3)の少数株主に該当することを理由として、本件株式につき配当還元方式により算定した額が本件株式譲渡の時における価額であるとしたものであり、この原審の判断には、所得税法59条1項の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件株式譲渡の時における本件株式の価額等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。
2020.03.31
不動産取得税賦課決定処分取消請求事件
LEX/DB25570791/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月19日 判決 (上告審)/平成31年(行ヒ)第99号
堺市所在の土地を共有していたAが、同土地の共有物分割により他の共有者の持分を取得したところ、大阪府泉北府税事務所長から不動産取得税賦課決定処分を受けたことについて、被上告人(控訴人・原告。Aは原審係属中に死亡し、同人の弟である被上告人が相続により本件訴訟を承継。)が、上記の取得に対しては地方税法73条の7第2号の3の規定により不動産取得税を課することができず、本件処分は違法であると主張して、上告人(被控訴人・被告。大阪府)を相手に、その取消しを求め、原審は、共有物の分割による不動産の取得に係る持分超過部分の有無及び額は、当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格によって判断すべきところ、本件処分において評価基準により本件土地1の価格を算定するに当たり、本件各土地を一画地と認定して画地計算法を適用したこと自体は評価基準に適合するとした上で、本件処分の取消請求を認容したため、上告人が上告した事案で、本件処分において、本件各土地を一画地として画地計算法を適用して算出した価格に本件土地1と本件各土地との地積比を乗ずることにより、本件土地1の価格を算定したことは、評価基準の定める評価方法に従ったものということができ、本件処分は、本件取得につき、地方税法73条の21第2項に基づき、評価基準によって本件土地1に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を算定し、これに基づいて持分超過部分に係る課税標準及び税額を算定してされたものであるところ、本件土地1の価格について、評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回る違法があるとはいえず、その客観的な交換価値としての適正な時価を上回る違法があるというべき事情もうかがわれないとし、以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、本件処分の取消請求を棄却した第1審判決は正当であるとし、被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.01.28
相続税返還請求控訴事件
LEX/DB25564618/大阪高等裁判所 令和 1年10月10日 判決 (控訴審)/平成31年(行コ)第25号
平成18年11月8日に死亡したCを相続し、その相続税に係る納税申告(平成20年12月19日)において相続財産である株式の価額を同申告当時の財産評価基本通達に従って評価して納税した控訴人(原告)らが、被控訴人(被告。国)に対し、同申告に係る納税額(控訴人Aにつき3億1872万7000円、控訴人Bにつき848万4200円)と同申告後に改正された同通達の関係部分に従って株式の価額を評価して算出した納税額との差額を被控訴人が保持することには法律上の原因がない旨主張して、不当利得返還請求権に基づき、控訴人Aにおいては6692万0300円及び法定利息の支払を、控訴人Bにおいては106万2800円及び法定利息の支払をそれぞれ求め、これと選択的に、国税庁長官には、上記相続に係る相続税の申告納付期限である平成19年9月10日までに上記通達を改正すべき職務上の注意義務があり、伊丹税務署長には、平成24年3月2日(後述する判決により改正前の通達の合理性を否定する地方裁判所の判断がされた日)までに上記相続税につき減額更正処分をすべき職務上の注意義務があったにもかかわらず、これらの注意義務に違反したことにより控訴人らは前同額の損害を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、前同額の金員及び遅延損害金の支払をそれぞれ求めたところ、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したことから、これを不服とする控訴人らが控訴した事案で、控訴人らの本件各請求はいずれも理由がないとし、本件控訴を棄却した事例。