注目の判例

租税法

2014.06.17
法人税更正処分取消等請求事件(第1事件、第2事件)、通知処分取消請求事件(第3事件)
LEX/DB25503893/東京地方裁判所 平成26年5月9日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第407号等
外国法人である米国WTを唯一の社員とする同族会社であった原告(内国法人)が、平成14年2月に海外の親会社である米国WTから日本IBMの発行済株式の全部の取得(本件株式購入)をし、その後、平成17年12月までに3回にわたり同株式の一部を発行した法人である日本IBMに譲渡をして、当該株式の譲渡に係る対価の額(利益の配当とみなされる金額に相当する金額を控除した金額)と当該株式の譲渡に係る原価の額との差額である有価証券(日本IBMの株式)の譲渡に係る譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額にそれぞれ算入し、このようにして本件各譲渡事業年度において生じた欠損金額に相当する金額を、平成20年1月1日に連結納税の承認があったものとみなされた連結所得の金額の計算上損金の額に算入して平成20年12月連結期の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁が、法人税132条1項の規定を適用して、本件各譲渡に係る上記の譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することを否認する旨の本件各譲渡事業年度更正処分等をそれぞれしたため、原告が、本件各譲渡事業年度更正処分は、同項の規定を適用する要件を満たさずにされた違法なものであるとして、各更正処分等の取消しを求めた事案において、本件各譲渡を容認して法人税の負担を減少させることが法人税法132条1項にいう「不当」なものと評価されるべきであると認めるには足りないというべきであるとして、原告の請求をいずれも認容した事例。
2014.05.27
法人税更正処分取消請求事件
LEX/DB25503723/東京地方裁判所 平成26年3月18日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第228号
原告会社は、S社からS社の完全子会社であったI社の発行済株式全部を譲り受けた後、平成21年3月30日、原告会社を合併法人、I社を被合併法人とする合併を行い、原告の事業年度(平成20年4月1日~平成21年3月31日)に係る法人税の確定申告に当たり、法人税法57条2項(平成22年法律第6号による改正前)の規定に基づき、I社の未処理欠損金額約542億円を原告の欠損金額とみなして、同条1項の規定に基づき損金の額に算入したことに対し、処分行政庁(麻布税務署)は、本件買収、本件合併及びこれらの実現に向けられた原告の一連の行為は、法人税法施行令112条7項5号(平成22年政令第51号による改正前)に規定する要件を形式的に満たし、租税回避をすることを目的とした異常ないし変則的なものであり、その行為又は計算を容認した場合には、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるとして、法人税法132条の2の規定に基づき、I社の未処理欠損金額を原告の欠損金額とみなすことを認めない旨の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行ったため、原告会社が本件更正処分等の一部及び本件賦課決定処分の取消しを求めた事案において、S社の取締役であったA氏がI社の取締役副社長に就任した行為及びI社の未処理欠損金額を原告会社の欠損金額とみなして損金の額に算入する計算は、法人税法132条の2の規定に基づき否認することができ、本件本件更正処分等は適法なものであるとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.03.05
固定資産税及び都市計画税減免措置取消請求控訴事件
LEX/DB25502760/大阪高等裁判所 平成25年12月13日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第15号
被告(控訴人)である大阪市が、被告補助参加人らが使用する固定資産について、地方税法367条、地方税法702条の8第7項、大阪市市税条例71条4項、大阪市市税条例141条1項、大阪市市税条例施行規則4条の3第31号に基づいて納税者らに対してした平成20年度の固定資産税及び都市計画税の減免措置につき、大阪市の住民である原告(被控訴人)が、上記固定資産はいずれも在日本朝鮮人総聯合会の関連施設であること等から、減免措置はいずれも違法であると主張して、地方自治法242条の2第1項2号に基づき、本件減免措置の取消を求めたところ、原審は本件減免措置は減免事由に当たらない違法なものであるとして取り消したため、被告が控訴した事案において、原告の本件訴えのうち、本件各変更決定により減免措置が一部変更された部分について取消しを求める部分はいずれも不適法であるとして却下し、本件各減免措置の取消しを求める部分はいずれも理由があるから認容すべきところ、これと同旨の原決定は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2014.02.24
消費税及び地方消費税の更正処分取消等請求事件
LEX/DB25502754/大阪地方裁判所 平成25年6月18日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第13号
大阪市中央卸売市場A場において、出荷者から販売の委託等を受けて牛枝肉等の卸売業を営む原告が、牛枝肉等の販売先に対する債権が貸倒れとなったことについて、同貸倒れに係る消費税額の控除等について規定した消費税法39条1項に基づき、貸倒れに係る消費税額の控除をしてその課税期間に係る消費税及び地方消費税の確定申告をしたのに対し、処分行政庁において、同貸倒れに係る消費税額の控除は認められないとして、本件更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をしたため、本件各処分の各取消しを求めた事案において、原告による確定申告においては何らの過少申告も存しないこととなるから、本件賦課決定処分も違法なものとして取消しを免れないとし、本件各処分の取消しを求める原告の請求はいずれも理由があるとして、請求を認容した事例。
2014.02.24
法人税更正処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25502691/東京高等裁判所 平成25年4月25日 判決 (控訴審)/平成24年(行コ)第84号
所轄税務署長が宗教法人である控訴人に対してした、永代使用料のうちの墓石及びカロート(墓石の基礎と一体となった骨壺等を収納するための設置物)に係る部分は、法人税法上の収益事業による所得に該当することなどを理由とする本件各事業年度における法人税についての各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分等について、控訴人が、被控訴人が課税対象とした本件各部分は、いずれも課税対象にはならないと主張して、本件各更正処分等の取消しを求めた事案の控訴審において、永代使用料のうちの墓石及びカロートの販売の対価に相当する部分は収益事業によるものであるとして、本件控訴を棄却した事例。
2014.02.24
各所得税更正処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25502690/東京高等裁判所 平成25年4月18日 判決 (控訴審)/平成24年(行コ)第400号
控訴人らが、所得税について外国為替証拠金取引により生じ受領していたスワップポイント(スワップ金利)の合計を所得の金額の計算上総収入金額に算入せずに申告していたところ、処分行政庁から控訴人らの所得税について更正処分等を受けたため、更正処分のうち減額更正処分により一旦減額更正されていた額を超える部分等の取消しを求めた事案の控訴審において、スワップポイントの額は所得税法36条1項所定の「収入すべき金額」に当たるとして、本件控訴を棄却した事例。
2013.11.05
法人税並びに消費税の更正処分等取消請求事件
LEX/DB25445936 / 広島地方裁判所 平成25年3月27日 判決 (第一審) / 平成22年(行ウ)第30号
所轄税務署長が、法人税、消費税及び地方消費税について、架空の取引に基づく架空外注費や架空売上が計上されているなどとして、更正処分及び重加算税の賦課決定処分をしたのに対し、原告が、これらの取消しを求めた事案において、原告の元常務のした架空外注行為及び架空売上行為はすべて原告の仮装行為と同視するのが相当であるとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2013.08.06
差押処分取消,国家賠償等請求事件
LEX/DB25445728 / 最高裁判所第二小法廷 平成25年 7月12日 判決 (上告審) / 平成24年(行ヒ)第156号
 選定者A及び上告人とBとの共有に係る不動産のBの持分につき、Bが滞納していた相続税を徴収するため国税徴収法47条1項に基づく差押処分がされたことから、上告人が、選定当事者として、上記処分の取消し等を求めた事案の上告審において、滞納者と他の者との共有に係る不動産の滞納者の持分について国税徴収法47条1項に基づく差押処分がなされた場合、他の共有者は、その差押処分の取消訴訟の原告適格を有するとし、本件上告を棄却した事例。
2013.08.06
固定資産評価審査決定取消等請求事件
LEX/DB25445727 / 最高裁判所第二小法廷 平成25年 7月12日 判決 (上告審) / 平成24年(行ヒ)第79号
 区分建物を共有し、その敷地権に係る固定資産税の納税義務を負う上告人が、土地課税台帳に登録された上記敷地権の目的である各土地の価格を不服として、市固定資産評価審査委員会に対し審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の決定を受けたため、その取消し等を求めた事案の上告審において、土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が、当該土地に適用される評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回るとき、あるいは、これを上回るものではないが、その評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものではなく、又はその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情が存する場合であって、同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るときは、当該登録価格の決定は違法となるとした事例(補足意見あり)。