注目の判例

租税法

2016.04.12
法人税更正処分取消等請求事件(株式会社デンソーVS国(平成28年2月10日名古屋高裁(平成26年(行コ)第91号)の原審))
LEX/DB25542131/名古屋地方裁判所 平成26年 9月 4日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第116号
内国法人である原告が、平成20年3月期及び平成21年3月期各事業年度の法人税の各確定申告をしたところ、処分行政庁から、租税特別措置法66条の6第1項(タックスヘイブン対策税制)により、シンガポール共和国において設立された原告の子会社の課税対象留保金額に相当する金額が原告の上記各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして、平成22年6月28日付けで上記各事業年度の法人税の更正処分及び平成20年3月期の法人税に係る過少申告加算税賦課決定処分を受けた上、平成24年6月22日付け及び平成25年2月28日付けで平成21年3月期の法人税の各再更正処分を受けたため、被告(国)に対し、上記各更正ないし再更正処分のうち原告主張金額を超える部分及び上記賦課決定処分の取消しを求めた事案において、本件訴えのうち、〔1〕平成21年3月期第1次更正処分について取消しを求める部分、〔2〕第2次更正処分について取消しを求める部分、〔3〕第4次更正処分のうち所得金額マイナス688億6903万1633円を超えない部分及び翌期へ繰り越す欠損金688億6903万1633円を超える部分の取消しを求める部分はいずれも不適法であるからこれを却下し、原告のその余の請求はいずれも理由があるとして、認容した事例。
2016.03.15
法人税更正処分取消請求事件 
LEX/DB25447796/最高裁判所第一小法廷 平成28年 2月29日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第75号
平成21年2月24日にa社からb社の発行済株式全部を譲り受け、同年3月30日にb社を被合併会社とする吸収合併をした原告(控訴人・上告人)が、同20年4月1日から同21年3月31日までの事業年度に係る法人税の確定申告に当たり、法人税法2条12号の8の適格合併に適用される法人税法57条2項によりb社の未処理欠損金額を原告の欠損金額とみなして、これを損金の額に算入したところ、麻布税務署長が、組織再編成に係る行為又は計算の否認規定である法人税法132条の2を適用し、上記未処理欠損金額を原告の欠損金額とみなすことを認めず、上記事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたため、原告が、被告(被控訴人・被上告人)国を相手に、上記更正処分等の取消しを求め、原審は、原告の控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、本件副社長就任は、組織再編税制に係る上記各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものとして、法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとし、原審の判断は是認することができるとし、また、本件副社長就任は、上記更正処分等を受けた原告の行為とは評価し得ないとしても、本件合併の被合併法人(同条1号)であるb社の行為である以上、同条による否認の対象となるものと解され、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.03.15
法人税更正処分等取消請求事件 
LEX/DB25447797/最高裁判所第二小法廷 平成28年 2月29日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第177号
平成21年2月2日にb社から新設分割により設立された原告(控訴人・上告人)が、当該分割は法人税法2条12号の11の適格分割に該当しない分割(非適格分割)であり、法人税法62条の8第1項の資産調整勘定の金額が生じたとして、同日から平成21年3月31日まで、同年4月1日から同22年3月31日まで、同年4月1日から同23年3月31日まで及び同年4月1日から同24年3月31日までの各事業年度に係る各法人税の確定申告に当たり、上記の資産調整勘定の金額からそれぞれ所定の金額を減額し損金の額に算入したところ、四谷税務署長が、組織再編成に係る行為又は計算の否認規定である法人税法132条の2を適用し、上記の資産調整勘定の金額は生じなかったものとして所得金額を計算した上で、上記各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をしたため、原告が、被告(被控訴人・被上告人)国を相手に、上記各更正処分等の取消しを求め、原審は、原告の控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、新設分割により設立された分割承継法人の発行済株式全部を分割法人が譲渡する計画を前提としてされた当該分割が、法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとし、原審の判断は是認することができるとし、また、本件計画を前提とする当該分割が、各更正処分等を受けた原告の行為ではなく、当該分割の分割会社(同条1号)であるb社の行為であるからといって、同条による否認の対象とならないとはいえないとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.03.01
入湯税更正処分等取消請求事件(尼崎入湯税訴訟 神戸地裁)
LEX/DB25541735/神戸地方裁判所 平成27年10月29日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第38号
尼崎市内で地方税法5条4項所定の鉱泉浴場を備えた複合型娯楽施設を運営し、地方税法1条1項10号所定の特別徴収義務者として、被告に入湯税を申告納入していたところ、処分行政庁から、入湯客数及び入湯税を過少申告していたとして、本件各更正処分等を受けた原告が、原告の申告納入は被告の担当職員との協議に従った実態に即したものであり、過少申告等ではない等と申告して、本件各更正処分等の取消しを求めた事案において、本件推計に違法はなく、また、本件期間における原告の過少申告に、原告の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算金の趣旨に照らしてもなお原告に過少申告加算金を賦課することが不当又は酷になるような事情があるとはいえず、処分行政庁が本件期間における原告の過少申告に「正当な理由」はないと認めたことに違法があるとはいえない等として、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2015.11.17
第二次納税義務告知処分取消等請求事件
LEX/DB25447565/最高裁判所第二小法廷 平成27年11月 6日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第71号
A社が、東京都知事からB社を滞納者とする都税に係る徴収金について地方税法11条の8の規定に基づく第二次納税義務の納付告知を受けたため、A社を吸収合併した被上告人が、上告人を相手に、その納付告知の取消しを求めたところ、原審は、その納付告知の取消請求を認容したため、上告人が上告した事案において、その納付告知の時点で、B社の財産で交付要求等を含む滞納処分により徴収することのできるものの価額がその徴収金の総額に満たないと客観的に認められるとはいえず、その納付告知は、地方税法11条の8にいう「滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」においてされたものとはいえないというべきであり、原判決にはその説示において必ずしも適切でないところがあるが、その納付告知が違法であり、取り消すべきものとした原審の判断は是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2015.11.04
所得税更正処分等取消請求事件(外れ馬券は経費と認めず 東京地裁)
LEX/DB25540993/東京地方裁判所 平成27年 5月14日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第849号
競馬の勝馬投票券の的中による払戻金に係る所得を得ていた原告が、当該年度分の所得税に係る申告期限内の確定申告を行い、その際、原告が得た馬券の的中による払戻金に係る所得は雑所得に該当するとして総所得金額及び納付すべき税額を計算していたところ、所轄税務署長であった稚内税務署長から、当該競馬所得は一時所得に該当し、上記各年の一時所得の金額の計算において外れ馬券の購入代金を総収入金額から控除することはできないとして、当該各更正処分等を受けたため、〔1〕当該競馬所得は雑所得に該当し、上記各年の雑所得の金額の計算において外れ馬券の購入代金も必要経費として総収入金額から控除されるべきである、〔2〕仮に当該競馬所得が一時所得に該当するとしても、その総収入金額から外れ馬券を含む全馬券の購入代金が控除されるべきであるから、当該各処分は違法であるとして、当該各更正処分のうち確定申告額を超える部分及び当該各賦課決定処分の取消しを求めた事案において、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2015.10.20
納税告知処分等取消請求事件
LEX/DB25447491/最高裁判所第一小法廷 平成27年10月 8日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第167号
原告組合(被控訴人・被上告人)が、その理事長であったAに対し、同人の原告組合に対する借入金債務の免除をしたところ、所轄税務署長から、上記債務免除に係る経済的な利益がAに対する賞与に該当するとして、給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を受けたため、被告(控訴人・上告人)国を相手に上記各処分(ただし、上記納税告知処分については審査請求に対する裁決による一部取消し後のもの)の取消しを求めたところ、第一審は原告組合の請求を認容したため、被告が控訴し、控訴審は、原判決は相当であるとして控訴を棄却したため、被告が上告した事案において、本件債務免除益は、所得税法28条1項にいう賞与又は賞与の性質を有する給与に該当するものというべきであるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、本件債務免除当時にAが資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であったなど本件債務免除益を同人の給与所得における収入金額に算入しないものとすべき事情が認められるなど、本件各処分が取り消されるべきものであるか否かにつき更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻しを命じた事例。
2015.08.18
納付通知処分取消請求事件(ビジネス・ワンホールディングス株式会社 VS 国)
LEX/DB25540694/福岡地方裁判所 平成27年 6月16日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第60号
H社(本件滞納者)が、原告に対し、本件マンションの各区分建物の一部を譲渡したところ、処分行政庁である福岡国税局長が、原告に対し、本件譲渡は国税徴収法39条に定める「著しく低い額の対価による譲渡」に当たるとして,本件滞納者の滞納に係る国税につき第二次納税義務に基づく納付告知処分をしたため、原告が、被告国に対して、本件処分の取消しを求めた事案において、本件譲渡は、被告の依拠する基本通達にいう「おおむね2分の1」の要件をも満たさないし、国税徴収法39条にいう「著しく低い額の対価による譲渡」に当たるとはいえないとし、第二次納税義務の納付告知処分を取り消し、原告の請求を認容した事例。
2015.08.11
所得税決定処分取消等請求控訴事件(外れ馬券訴訟 大阪高裁 訴え却下)
LEX/DB25540594/大阪高等裁判所 平成27年 5月29日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第177号
所轄税務署長が、被控訴人の所得税について、競馬法に基づき勝馬投票の的中者として被控訴人が受けた払戻金は一時所得に該当するとした上、その総収入金額から的中した勝馬投票券の購入金額のみを控除することにより各決定処分及び各無申告加算税賦課決定処分を行ったのに対し、原告が、上記各処分の取消しを求めた等の事案の控訴審において、所轄税務署長が、被控訴人による本件訴え提起時からの主張及び原判決の判断、すなわち、被控訴人が得た馬券の払戻金は雑所得に該当し、外れ馬券を含む馬券の購入総額が必要経費となるとの解釈を結果として採用して、当審係属後に本件各減額更正等処分をしたことにより、その取り消した部分の取消しを求める訴えは不適法として却下すべきであるとして、原判決中、控訴人敗訴部分を取消した上、上記取消請求に係る訴えをいずれも却下した事例。
2015.07.28
固定資産税等賦課徴収懈怠違法確認等請求事件
LEX/DB25447356/最高裁判所第二小法廷 平成27年 7月17日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第190号
堺市の住民である被上告人が、登記簿の表題部の所有者欄に「大字西」などと記載されている同市内の土地につき、平成18年度から同20年度までについて当時の堺市長がその固定資産税及び都市計画税の賦課徴収を違法に怠ったため、地方税法18条1項の徴収権に係る消滅時効の完成により堺市に損害が生じたと主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、同市の執行機関である上告人を相手に、本件固定資産税等の徴収権に係る消滅時効が完成するまでの期間において堺市長の職にあった者及びその賦課徴収に係る専決権限を有する各市税事務所長の職にあった者に対して本件固定資産税等相当額の損害賠償請求をすること等を求めたところ、控訴審では、本件固定資産税等の納税義務者は本件各土地の所在する地区の住民により組織されている自治会又は町会であり、本件各専決権者の一部及び本件各市長は上記納税義務者を特定することができたなどとして、被上告人の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、地方税法343条2項後段の類推適用により関係自治会等が本件固定資産税等の納税義務者に当たるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件各土地につき原審において判断されていない地方税法343条4項の適用の有無等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき原審に差し戻した事例。
2015.07.28
所得税更正処分取消等,所得税通知処分取消請求事件
LEX/DB25447357/最高裁判所第二小法廷 平成27年 7月17日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第166号
米国デラウェア州の法律に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップ(LPS)が行う米国所在の中古集合住宅の賃貸事業に係る投資事業に出資した亡A、亡B及び被上告人X1ら(原告・被控訴人)が、当該賃貸事業により生じた所得が同人らの不動産所得(所得税法26条1項)に該当するとして、その所得の金額の計算上生じた損失の金額を同人らの他の所得の金額から控除して所得税の申告又は更正の請求をしたところ、所轄税務署長から、当該賃貸事業により生じた所得は同人らの不動産所得に該当せず、上記のような損益通算(所得税法69条1項)をすることはできないとして,それぞれ所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分又は更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、被上告人らが上告人(被告・控訴人。国)を相手に上記各処分の取消しを求めたところ、控訴審は、本件各LPSが我が国の租税法上の法人には該当せず、我が国の租税法上の人格のない社団等にも該当しないとした上で、本件各LPSが行う本件各不動産賃貸事業により生じた所得は当該賃貸事業に係る投資事業に出資したAら及び被上告人X1の不動産所得に該当するものであるから、本件各建物の減価償却費等を必要経費として不動産所得の金額を計算し、その不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは損益通算をした上で総所得金額及び納付すべき税額を算定すべきところ、損益通算をすることはできないとしてされた本件各処分は違法であるとして、これらを取り消すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件出資者らは、本件各不動産賃貸事業による所得の金額の計算上生じた損失の金額を各自の所得の金額から控除することはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があり、原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、被上告人らの請求のうち、本件各更正処分及び本件各通知処分の取消請求は理由がないから、第1審判決のうちこれらの請求を認容した部分をいずれも取消し、これらの請求をいずれも棄却すべきであるとし、また、被上告人らの請求のうち、本件各賦課決定処分の取消請求については、本件が例外的に過少申告加算税の課されない場合として国税通則法65条4項に定める「正当な理由があると認められる」場合に当たるか否かが問題となるところ、この関係の諸事情につき更に審理を尽くさせるため、上記破棄部分のうち上記請求に係る部分につき、本件を原審に差し戻した事例。
2015.06.23
所得税更正処分取消等請求事件
LEX/DB25447308/最高裁判所第二小法廷 平成27年 6月12日 判決 (上告審)/平成24年(行ヒ)第408号
匿名組合契約に基づき営業者の営む航空機のリース事業に出資をした匿名組合員である亡Aが、当該事業につき生じた損失のうち当該契約に基づく同人への損失の分配として計上された金額を所得税法26条1項に定める不動産所得に係る損失に該当するものとして平成15年分から同17年分までの所得税の各確定申告をしたところ、所轄税務署長から、上記の金額は不動産所得に係る損失に該当せず所得税法69条に定める損益通算の対象とならないとして、上記各年分の所得税につき更正及び過少申告加算税の賦課決定を受けたため、Aの訴訟承継人である上告人らが、被上告人を相手に、上記の各更正の一部、平成15年分及び同16年分に係る各賦課決定の一部並びに同17年分に係る賦課決定の全部の取消しを求めたところ、原審は、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分はいずれも適法であるとしてこれらの処分に係る取消請求を棄却すべきものとしたため、上告人らが上告した事案において、本件各申告のうち、平成15年分及び同16年分の各申告については、国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるものといえるから、本件各賦課決定処分のうち上記各年分に係る別紙処分目録記載の各処分は違法であるとし、取消請求を棄却した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決のうち上記の取消請求に関する部分は破棄し、同部分につき第1審判決を取消し、上記の取消請求をいずれも認容した事例。他方、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分のうち別紙処分目録記載の各処分を除く部分に係る取消請求を棄却すべきものとした原審の判断は、是認することができるとし、上告人らの上告を棄却した事例。
2015.06.09
市県民税変更決定処分取消請求事件
LEX/DB25447269/最高裁判所第三小法廷 平成27年 5月26日 判決 (上告審)/平成24年(行ヒ)第368号
福岡県飯塚市内に住所を有する上告人が、平成16年度分から同18年度分までの各市民税及び各県民税につき、飯塚市長から平成22年8月23日付けで所得割を増加させる賦課決定を受けたため、本件各処分が法定の期間制限に違反してされたものであるとして、被上告人を相手に、その取消しを求めた事案の上告審において、個人の道府県民税及び市町村民税の所得割に係る賦課決定の期間制限につき、住民税に係る賦課決定の期間制限の特例を定める地方税法17条の6第3項3号にいう所得税に係る不服申立て又は訴えについての決定、裁決又は判決があった場合とは、当該不服申立て又は訴えについて、その対象となる所得税の課税標準に異動を生じさせ、その異動した結果に従って個人の道府県民税及び市町村民税の所得割を増減させる賦課決定をすべき必要を生じさせる決定、裁決又は判決があった場合をいうものと解するのが相当であるとし、上告人の請求をいずれも棄却すべきものとした原審の判断は、法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第一審判決を取り消し、上告人の請求を認容した事例。
2015.05.07
各法人税更正処分取消等、通知処分取消請求控訴事件(日本IBM VS 国)
LEX/DB25506159/東京高等裁判所 平成27年3月25日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第208号
米国IBMの100%子会社であり外国法人である米国WTにより全持分を取得された原告(被控訴人。内国法人である同族会社)が、平成14年4月米国WTから日本IBMの発行済株式全部(本件株式購入)を購入し、その後、平成14年12月、平成15年12月及び平成17年12月の3回にわたり同株式の一部を日本IBMに譲渡をして、当該株式の譲渡に係る対価の額(利益の配当とみなされる金額に相当する金額を控除した金額)と当該株式の譲渡に係る原価の額との差額である有価証券(日本IBMの株式)の譲渡に係る譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額にそれぞれ算入し、このようにして本件各譲渡事業年度において生じた欠損金額に相当する金額を、平成20年1月1日に連結納税の承認があったものとみなされた連結所得の金額の計算上損金の額に算入して平成20年12月連結期の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁が、法人税132条1項の規定を適用して、本件各譲渡に係る上記の譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することを否認する旨の本件各譲渡事業年度更正処分等をそれぞれしたため、原告が、本件各譲渡事業年度更正処分は、同項の規定を適用する要件を満たさずにされた違法なものであるとして、各更正処分等の取消しを求めたところ、第一審で原告の請求をいずれも認容したため、被告(控訴人。国)が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2015.03.17
所得税法違反被告事件
LEX/DB25447123/最高裁判所第三小法廷 平成27年 3月10日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第948号
馬券を自動的に購入できるソフトを使用してインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を上げていた被告人が、その所得につき正当な理由なく確定申告書を期限までに提出しなかったという所得税法違反の事案の上告審において、被告人が馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの本件事実関係の下では、払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たるとし、また、外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金という費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するなどの本件事実関係の下では、外れ馬券の購入代金について当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができるとした原判断は正当であるとして、上告を棄却した事例(意見がある)。
2015.02.24
更正処分等取消請求控訴事件((有)三貴工業ほかVS国)
LEX/DB25505497/名古屋高等裁判所 平成26年12月11日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第49号
原告(被控訴人)らが総勘定元帳に計上した外注費を法人税の所得金額の計算上、損金の額に計上し、消費税及び地方消費税の計算上、課税仕入れに係る支払対価の額に含めてそれぞれ確定申告したところ、処分行政庁(大垣税務署長)が上記外注費が架空の原価であり、損金の額に算入できず、課税仕入れに係る支払対価の額に含まれるものではないとして、更正処分等をしたことから、原告らが、被告(控訴人。国)に対し、これら処分の取消しを求めたところ、原告の請求を認容したため、被告が控訴した事案において、法人税法の損金算入や消費税法上の仕入税額控除の可否に関する立証責任の所在に関し、控訴人が主張する理解を前提にしても、本件については、更正処分時に存在した資料等に基づいて本件外注費を損金に算入し、仕入税額控除の対象とすることができないことが事実上推認できる場合とはいえない等として、本件外注費が架空のものであることを前提とする本件各処分を取り消すべきものとした原判決を支持して、本件控訴を棄却した事例。
2015.01.27
所得税決定処分取消等請求事件(競馬の外れ馬券は経費か争われた事案)
LEX/DB25505247/大阪地方裁判所 平成26年10月2日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第20号
生野税務署長が、競馬法に基づき勝馬投票の的中者として原告が受けた払戻金は一時所得に該当するとした上、その総収入金額から的中した勝馬投票券の購入金額のみを控除して、原告の所得税につき、本件各年度については各決定処分及び各無申告加算税賦課決定処分を行ったのに対し、原告が、主位的に、上記払戻金は雑所得に該当するとした上、その総収入金額から控除される必要経費には、的中した馬券の購入金額だけではなく、外れ馬券を含む馬券の購入金額が含まれる等と主張して、本件各処分の取消しを求めた等の事案において、本件競馬所得が、利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当しないことは明らかであること、本件競馬所得は事業所得にも該当しないと認められること等からすれば、本件競馬所得は、所得税法上、雑所得に分類されるとして、原告の請求を一部認容した事例。
2015.01.27
納税告知処分等取消請求控訴事件
LEX/DB25505116/広島高等裁判所岡山支部 平成26年1月30日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第9号
原告(被控訴人。組合)が、その理事長の借入金債務の免除をしたところ、倉敷税務署長から、同債務免除に係る経済的利益が理事長に対する賞与に該当するとして、給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を受けたので、同債務免除益には所得税基本通達36-17本文の適用があり、源泉徴収義務はないなどして、被告(控訴人。国)に対し、各処分の取消しを求めたところ、原審が原告の請求を認容したため、被告が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.01.06
延滞税納付債務不存在確認等請求事件
LEX/DB25446819/最高裁判所第二小法廷 平成26年12月12日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第449号
亡Aの相続人である上告人らが、Aの相続について、それぞれ、法定申告期限内に相続税の申告及び納付をした後、その申告に係る相続税額が過大であるとして更正の請求をしたところ、所轄税務署長において、相続財産の評価の誤りを理由に減額更正をするとともに還付加算金を加算して過納金を還付した後、再び相続財産の評価の誤りを理由に増額更正をし、これにより新たに納付すべきこととなった本税額につき、国税通則法60条1項2号、2項及び国税通則法61条1項1号に基づき、法定納期限の翌日から完納の日までの期間(ただし、法定申告期限から1年を経過する日の翌日から上記の増額更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間を除く。)に係る延滞税の納付の催告をしたことから、上告人らが、被上告人を相手に、上記の延滞税は発生していないとして、その納付義務がないことの確認を求めた事案の上告審において、本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分は、本件各相続税の法定納期限の翌日から本件各増額更正に係る増差本税額の納期限までの期間については、国税通則法60条1項2号において延滞税の発生が予定されている延滞と評価すべき納付の不履行による未納付の国税に当たるものではないというべきであるから、本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分について本件期間に係る延滞税が発生しないと解するのが相当であるとし、異なる見解の原審の判断には、明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、上告人らの請求をいずれも認容すべきであるとした事例(補足意見及び意見がある)。
2014.12.16
固定資産税賦課決定処分取消請求控訴事件
LEX/DB25505092/広島高等裁判所松江支部 平成26年9月29日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第9号
行政処分庁である益田市長が、土地の登記簿上の所有者である原告(控訴人)に対し、固定資産税賦課決定処分をしたところ、原告が、前記土地につき、固定資産税賦課手続において、対象土地が存在しない場合と同様に評価すべき事情があること、前記土地につき、地方税法343条4項の適用又は類推適用により、前記土地の使用者に対して固定資産税を課すべきであること、被告益田市(被控訴人)は、前記土地の登記簿上の所有者と真の所有者とが異なることを認識していること、を理由として、前記課税処分は違法であるとして、同処分の取消しを求めたところ、原審は請求を棄却したため、原告が控訴した事案において、原判決を取り消し、請求を全部認容した事例。