2014.10.28
法人事業税更正処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25504721/東京高等裁判所 平成26年7月18日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第130号
控訴人(原告)が、東京都千代田区都税事務所長から、2事業年度の各法人事業税について、更正処分及び過少申告加算金の決定処分を受けたことに関し、各処分は、法人事業税の資本割の持株会社特例に係る法令の解釈、適用を誤った違法な処分であると主張して、被控訴人(被告。東京都)に対し、各処分の取消しを求め、原審が請求を棄却した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2014.10.14
法人税更正処分等取消請求事件(本田技研工業(株)VS国)
LEX/DB25504716/東京地方裁判所 平成26年8月28日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第164号
原告(自動二輪車、四輪車の製造及び販売を主たる事業とする内国法人)が、その間接子会社であり、ブラジル連邦共和国アマゾナス州に設置されたマナウス自由貿易地域で自動二輪車の製造及び販売事業を行っている外国法人H社及びその子会社との間で、自動二輪車の部品等の販売及び技術支援の役務提供取引を行い、それにより支払を受けた対価の額を収益の額に算入して、平成10年3月期、平成11年3月期、平成13年3月期、平成14年3月期及び平成15年3月期の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁から、前記の支払を受けた対価の額が租税特別措置法66条の4第2項1号ニ及び2号ロ、租税特別措置法施行令39条の12第8項に定める利益分割法により算定した独立企業間価格に満たないことを理由に、租税特別措置法66条の4第1項の国外関連者との取引に係る課税の特例の規定により、本件国外関連取引が本件独立企業間価格で行われたものとみなし、本件各事業年度の所得金額に本件独立企業間価格と本件国外関連取引の対価の額との差額を加算すべきであるとして、本件各更正等を受けたため、被告国に対し、本件各更正等の一部又は全部の取消しを求めた事案において、ブラジル側比較対象企業は、マナウス税恩典利益を享受していない点でH社等との比較可能性を有するのではないから、処分行政庁が、上記の差異につき何らの調整も行わずにブラジル側基本的利益を算定した上、本件独立企業間価格を算定したことには誤りがあるというべきであり、上記の差異は、市場の特殊性という営業利益に大きく関わる基本的な差異であるため、そもそも、適切な差異調整を行うことができるか否かは不明であり、本件の証拠関係の下では、原告が本件国外関連取引により支払を受けた対価の額が独立企業間価格に満たないものであることにつき立証があったとは認められないから、本件国外関連取引に租税特別措置法66条の4第1項を適用して移転価格税制の課税を行うことはできないとして、原告の請求を認容した事例。
2014.10.14
固定資産税等賦課取消請求事件
LEX/DB25446635/最高裁判所第一小法廷 平成26年9月25日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第35号
被上告人(原告・控訴人)が、坂戸市長から自己の所有する家屋に係る平成22年度の固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分を受けたことについて、被上告人は同年度の賦課期日である平成22年1月1日の時点において登記簿又は家屋補充課税台帳に上記家屋の所有者として登記又は登録されていなかったから、上記家屋に係る同年度の固定資産税等の納税義務者ではなく、上記賦課決定処分は違法であると主張して、上告人(被告・被控訴人)を相手に、その取消しを求めたところ、原審は、本件処分は違法であるとして、その取消しを求める被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案で、被上告人を納税義務者として本件家屋に係る平成22年度の固定資産税等を賦課した本件処分は適法であるとして、原判決を破棄し、これを棄却した第一審判決は正当であるから、被上告人の控訴を棄却した事例。
2014.10.07
所得税法違反、消費税法違反、地方税法違反被告事件(フィリピンパブ経営者脱税事件)
LEX/DB25504640/名古屋地方裁判所 平成26年5月8日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第319号
いわゆるフィリピンパブ等の店舗を個人で多数経営していた被告人が、11店舗の200名前後の従業員の給与について源泉徴収税の徴収、納付をせず、合計約2億1606万円を脱税し、9店舗について、従業員等の他人名義を用いるなどして経営実態や課税標準等を秘匿した上で、消費税及び地方消費税の申告をせず、合計3040万円を不正な行為によって脱税したという所得税法違反、消費税法違反、地方税法違反被告事件の事案において、被告人の犯行動機は身勝手で酌量の余地がなく、消費税及び地方消費税の脱税については、自己の課税を免れるために従業員らの他人名義を利用するなど、計画的犯行で悪質といえ、被告人の刑事責任は重い等として、被告人を懲役3年及び罰金6000万円に処し、執行猶予5年とした事例。
2014.09.16
法人税更正処分取消等請求控訴事件(日産自動車税務訴訟)
LEX/DB25504422/東京高等裁判所 平成26年6月12日 判決 (控訴審)/平成24年(行コ)第480号
控訴人(原告)が、控訴人と同人の本件各子会社との間で会社の分割、新株の発行、減資及び減準備金並びに会社の合併という一連のいわゆる本件事業再編をしたところ、処分行政庁から、減資及び減準備金に伴い、平成17年改正前の旧商法213条1項の規定に基づいて本件各子会社が発行した株式の一部が消却されて、それらを保有していた控訴人に一定の金額が払い戻されたことに関し、控訴人に払い戻された払戻額が、消却された本件各子会社株式の譲渡に係る適正な対価の額に比して低いから、控訴人は法人税の確定申告において有価証券の譲渡に係る譲渡損失額を過大に計上したなどとして、本件各更正処分等を受けたことから、それらの各取消を求めた事案の控訴審において、上記払戻超過額は、法人税法22条2項所定の「収益」として計上することができ、また、本件における適正な「譲渡対価の額」と払戻額との差額は、対価のない経済的利益であり、法人税法37条7項所定の「寄附金」に該当し、さらに、上記株式消却における「譲渡対価の額」を、合併比率算定書における本件各子会社株式の価額に基づき算定したことは相当であるなどとして、控訴を棄却した事例。
2014.09.16
所得税更正処分取消請求控訴事件
LEX/DB25504423/東京高等裁判所 平成26年5月19日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第391号
JASDAQ市場に上場されているA社本件株式を保有する原告(控訴人)が、本件株式を、B社に対し、本件取引単価(1株当たり550円)で市場外における相対取引により売却し、かかる本件譲渡価額全額を譲渡所得として所得税の確定申告をしたところ、処分行政庁から、上記譲渡に係る収入金額と上記譲渡がされた日の本件株式の終値を基に算出した評価額との差額がB社からの贈与に当たるとして、本件更正処分等を受けたことから、それらの各取消を求めた事案の控訴審において、本件株式の市場価格、本件譲渡の動機・目的、本件譲渡における価格決定の経緯、当該価格の合理性などに照らせば、上記譲渡における本件株式の譲渡の対価たる性格を有するのは、上記取引単価のうち市場単価の部分に限られるから、市場単価と上記取引単価との差額部分は、本件株式の譲渡の対価たる性格を有するとはいえず、B社から贈与された金員としての性格を有するものと解されるなどとして、控訴を棄却した事例。
2014.07.01
所得税法違反各被告事件
LEX/DB25504079/東京地方裁判所 平成26年5月21日 判決 (第一審)/平成22年(特わ)第550号
被告人Y1(弁護士)と被告人Y2(公認会計士)が共謀して、被告人Y1の平成16年分及び平成17年分の所得税の確定申告において、被告人Y1が個人事業として行った不動産取引を法人が行った取引と装うなどの方法で所得を秘匿し、税務署長に虚偽の内容を記載した確定申告書を提出して、所得税合計8億4482万円余りを、ほ脱したという事案において、被告人両名の関与する多数の関係会社の名義でなされた25の不動産物件の賃貸、売却による収益が、被告人Y1に帰属するとは認められないとして、被告人両名に対し、無罪を言い渡した事例。
2014.07.01
所得税法違反被告事件
LEX/DB25503853/大阪高等裁判所 平成26年5月9日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第858号
インターネットで勝馬投票券を購入しPAT口座で決済するサービスと競馬予想ソフトや競馬情報配信サービスを利用して馬券購入を多数回反復し、当たり馬券の払戻しによって多額の収入を得ていた被告人が、馬券払戻しによる収入を所得とする確定所得申告書を提出しなかったとして、所得税法違反に問われ、原判決は、外れ馬券を含めた全馬券の購入費用や競馬予想ソフト等利用料も所得計算上控除されると解釈して、公訴事実から縮小した額を認定した事案において、原判決の結論を正当であるとして、検察官の控訴を棄却した事例。
2014.06.17
法人税更正処分取消等請求事件(第1事件、第2事件)、通知処分取消請求事件(第3事件)
LEX/DB25503893/東京地方裁判所 平成26年5月9日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第407号等
外国法人である米国WTを唯一の社員とする同族会社であった原告(内国法人)が、平成14年2月に海外の親会社である米国WTから日本IBMの発行済株式の全部の取得(本件株式購入)をし、その後、平成17年12月までに3回にわたり同株式の一部を発行した法人である日本IBMに譲渡をして、当該株式の譲渡に係る対価の額(利益の配当とみなされる金額に相当する金額を控除した金額)と当該株式の譲渡に係る原価の額との差額である有価証券(日本IBMの株式)の譲渡に係る譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額にそれぞれ算入し、このようにして本件各譲渡事業年度において生じた欠損金額に相当する金額を、平成20年1月1日に連結納税の承認があったものとみなされた連結所得の金額の計算上損金の額に算入して平成20年12月連結期の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁が、法人税132条1項の規定を適用して、本件各譲渡に係る上記の譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することを否認する旨の本件各譲渡事業年度更正処分等をそれぞれしたため、原告が、本件各譲渡事業年度更正処分は、同項の規定を適用する要件を満たさずにされた違法なものであるとして、各更正処分等の取消しを求めた事案において、本件各譲渡を容認して法人税の負担を減少させることが法人税法132条1項にいう「不当」なものと評価されるべきであると認めるには足りないというべきであるとして、原告の請求をいずれも認容した事例。
2014.05.27
法人税更正処分取消請求事件
LEX/DB25503723/東京地方裁判所 平成26年3月18日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第228号
原告会社は、S社からS社の完全子会社であったI社の発行済株式全部を譲り受けた後、平成21年3月30日、原告会社を合併法人、I社を被合併法人とする合併を行い、原告の事業年度(平成20年4月1日~平成21年3月31日)に係る法人税の確定申告に当たり、法人税法57条2項(平成22年法律第6号による改正前)の規定に基づき、I社の未処理欠損金額約542億円を原告の欠損金額とみなして、同条1項の規定に基づき損金の額に算入したことに対し、処分行政庁(麻布税務署)は、本件買収、本件合併及びこれらの実現に向けられた原告の一連の行為は、法人税法施行令112条7項5号(平成22年政令第51号による改正前)に規定する要件を形式的に満たし、租税回避をすることを目的とした異常ないし変則的なものであり、その行為又は計算を容認した場合には、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるとして、法人税法132条の2の規定に基づき、I社の未処理欠損金額を原告の欠損金額とみなすことを認めない旨の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行ったため、原告会社が本件更正処分等の一部及び本件賦課決定処分の取消しを求めた事案において、S社の取締役であったA氏がI社の取締役副社長に就任した行為及びI社の未処理欠損金額を原告会社の欠損金額とみなして損金の額に算入する計算は、法人税法132条の2の規定に基づき否認することができ、本件本件更正処分等は適法なものであるとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.03.05
固定資産税及び都市計画税減免措置取消請求控訴事件
LEX/DB25502760/大阪高等裁判所 平成25年12月13日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第15号
被告(控訴人)である大阪市が、被告補助参加人らが使用する固定資産について、地方税法367条、地方税法702条の8第7項、大阪市市税条例71条4項、大阪市市税条例141条1項、大阪市市税条例施行規則4条の3第31号に基づいて納税者らに対してした平成20年度の固定資産税及び都市計画税の減免措置につき、大阪市の住民である原告(被控訴人)が、上記固定資産はいずれも在日本朝鮮人総聯合会の関連施設であること等から、減免措置はいずれも違法であると主張して、地方自治法242条の2第1項2号に基づき、本件減免措置の取消を求めたところ、原審は本件減免措置は減免事由に当たらない違法なものであるとして取り消したため、被告が控訴した事案において、原告の本件訴えのうち、本件各変更決定により減免措置が一部変更された部分について取消しを求める部分はいずれも不適法であるとして却下し、本件各減免措置の取消しを求める部分はいずれも理由があるから認容すべきところ、これと同旨の原決定は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2014.02.24
消費税及び地方消費税の更正処分取消等請求事件
LEX/DB25502754/大阪地方裁判所 平成25年6月18日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第13号
大阪市中央卸売市場A場において、出荷者から販売の委託等を受けて牛枝肉等の卸売業を営む原告が、牛枝肉等の販売先に対する債権が貸倒れとなったことについて、同貸倒れに係る消費税額の控除等について規定した消費税法39条1項に基づき、貸倒れに係る消費税額の控除をしてその課税期間に係る消費税及び地方消費税の確定申告をしたのに対し、処分行政庁において、同貸倒れに係る消費税額の控除は認められないとして、本件更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をしたため、本件各処分の各取消しを求めた事案において、原告による確定申告においては何らの過少申告も存しないこととなるから、本件賦課決定処分も違法なものとして取消しを免れないとし、本件各処分の取消しを求める原告の請求はいずれも理由があるとして、請求を認容した事例。
2014.02.24
法人税更正処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25502691/東京高等裁判所 平成25年4月25日 判決 (控訴審)/平成24年(行コ)第84号
所轄税務署長が宗教法人である控訴人に対してした、永代使用料のうちの墓石及びカロート(墓石の基礎と一体となった骨壺等を収納するための設置物)に係る部分は、法人税法上の収益事業による所得に該当することなどを理由とする本件各事業年度における法人税についての各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分等について、控訴人が、被控訴人が課税対象とした本件各部分は、いずれも課税対象にはならないと主張して、本件各更正処分等の取消しを求めた事案の控訴審において、永代使用料のうちの墓石及びカロートの販売の対価に相当する部分は収益事業によるものであるとして、本件控訴を棄却した事例。
2014.02.24
各所得税更正処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25502690/東京高等裁判所 平成25年4月18日 判決 (控訴審)/平成24年(行コ)第400号
控訴人らが、所得税について外国為替証拠金取引により生じ受領していたスワップポイント(スワップ金利)の合計を所得の金額の計算上総収入金額に算入せずに申告していたところ、処分行政庁から控訴人らの所得税について更正処分等を受けたため、更正処分のうち減額更正処分により一旦減額更正されていた額を超える部分等の取消しを求めた事案の控訴審において、スワップポイントの額は所得税法36条1項所定の「収入すべき金額」に当たるとして、本件控訴を棄却した事例。
2013.11.05
法人税並びに消費税の更正処分等取消請求事件
LEX/DB25445936 / 広島地方裁判所 平成25年3月27日 判決 (第一審) / 平成22年(行ウ)第30号
所轄税務署長が、法人税、消費税及び地方消費税について、架空の取引に基づく架空外注費や架空売上が計上されているなどとして、更正処分及び重加算税の賦課決定処分をしたのに対し、原告が、これらの取消しを求めた事案において、原告の元常務のした架空外注行為及び架空売上行為はすべて原告の仮装行為と同視するのが相当であるとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2013.08.06
差押処分取消,国家賠償等請求事件
LEX/DB25445728 / 最高裁判所第二小法廷 平成25年 7月12日 判決 (上告審) / 平成24年(行ヒ)第156号
選定者A及び上告人とBとの共有に係る不動産のBの持分につき、Bが滞納していた相続税を徴収するため国税徴収法47条1項に基づく差押処分がされたことから、上告人が、選定当事者として、上記処分の取消し等を求めた事案の上告審において、滞納者と他の者との共有に係る不動産の滞納者の持分について国税徴収法47条1項に基づく差押処分がなされた場合、他の共有者は、その差押処分の取消訴訟の原告適格を有するとし、本件上告を棄却した事例。
2013.08.06
固定資産評価審査決定取消等請求事件
LEX/DB25445727 / 最高裁判所第二小法廷 平成25年 7月12日 判決 (上告審) / 平成24年(行ヒ)第79号
区分建物を共有し、その敷地権に係る固定資産税の納税義務を負う上告人が、土地課税台帳に登録された上記敷地権の目的である各土地の価格を不服として、市固定資産評価審査委員会に対し審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の決定を受けたため、その取消し等を求めた事案の上告審において、土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が、当該土地に適用される評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回るとき、あるいは、これを上回るものではないが、その評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものではなく、又はその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情が存する場合であって、同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るときは、当該登録価格の決定は違法となるとした事例(補足意見あり)。