税理士事務所開業前に
すべきこと

実務経験と税理士登録手続き

税理士試験に合格した後は、税理士登録が必要です。また、税理士登録には、実務経験も必要となります。
それでは、税理士登録の手続きと、税理士登録に必要な実務経験を確認してみましょう。

税理士登録

税理士登録申請書・在籍証明書・履歴書・誓約書を記入し、さらに住民票等の必要書類を揃えて、税理士事務所の所在地(予定)の税理士会に提出します。なお、必要書類の提出の際には登録免許税領収証書(6万円)と登録手数料(5万円)の納付が必要です。

その後、税理士会による面接や調査が行われます。その結果、登録が適当と認められれば、税理士名簿に登録され、官報に公告されます。また、税理士登録者には税理士証票が交付されます。

登録手続きの詳細は、日本税理士連合会のウェブサイトに「税理士登録の手引」としてまとめられています。

実務経験

税理士登録には、税理士試験の合格に加え、税理士法第3条に定められた2年間の実務経験が必要です。
合格前・合格後のいずれでも、実務経験の期間に算入されます。この実務経験を証明するのが在籍証明書です。

  • 実務経験が求められるのは?

    実務経験が求められるのは、「税理士試験に合格した者」と「税理士試験を免除された者」です。

  • 実務経験の内容は?

    実務経験と認められるのは、「租税に関する事務」又は「会計に関する事務」とされています。「会計に関する事務」は、具体的には「貸借対照表勘定及び損益勘定を設けて計理する会計に関する事務」とされており、特別の判断を要しない機械的事務は除かれます。

    この「特別の判断を要しない機械的事務」とは、簿記会計に関する知識がなくてもできる単純な事務をいいます。電子計算機(パソコン)を使用して行う単純な入出力事務もこれに含まれる点にご注意ください。

    次のような事務は「特別の判断を要しない機械的事務」には含まれず、実務経験として認められます。

    • 1 簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う事務
    • 2 仕訳帳等から各勘定への転記事務
    • 3 元帳を整理し、日計表又は月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務
    • 4 決算手続に関する事務
    • 5 財務諸表の作成に関する事務
    • 6 帳簿組織を立案し、又は原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務

    実務経験に該当するか否かは、税理士会への登録申請書・在職証明書の提出後に、税理士会との面接等での調査により判断されます。

在籍証明書の取得

税理士会に提出する在籍証明書には、実務経験を積んだ事業所の所属長の捺印が必要です。もし複数の事業所で実務経験を積んだ場合は、全ての事業所から在職証明書を取得する必要があるのでご注意ください。

また、一般事業会社の経理部門で実務経験を積んだ場合は、職務概要説明書の提出も必要になります。一般事業会社では、経理部門で会計業務に従事していても、他の業務を兼任している場合があります。このため、会計業務の実務経験の期間を判断するために、職務概要説明書の提出が求められます。

実務経験と会計事務所

2年間の実務経験は、会計事務所で積まれる方が多いと思われます。このため、すでに会計事務所に勤務している場合を除くと、税理士資格の勉強中や合格後に勤務先となる会計事務所を探すことになります。
この際は、必ず会計事務所のウェブサイト等を確認し、資格取得を奨励しているか否かを確認するようにしましょう。例えば、資格取得に対する手当や勉強時間への配慮等をウェブサイトに掲載しているケースもあります。このような会計事務所では、所長先生や職員さん等が資格取得に協力的な場合が多いと思われます。
また、開業税理士として独立を多少なりとも志望している場合は、採用面接時にその旨を予め伝えた方が、将来の独立がスムーズになるでしょう。

実務経験の例

前述のとおり、実務経験として認められる事務は税理士法第3条に規定されています。一般事業会社で他の事務も兼任していた場合は、これらの事務に従事している期間は実務経験に含まれませんのでご注意ください。

  • (例1)

    会計事務所で「会計に関する事務」に2年間従事
    → 〇:2年間の実務経験を満たします。

  • (例2)

    一般事業会社で「会計に関する事務」に2年間従事
    → 〇:2年間の実務経験を満たします。

  • (例3)

    一般事業会社で「会計に関する事務」と総務事務に2年間従事、それぞれの事務の従事割合は50%
    → ×:2年間×50%=1年間となり、2年間の実務経験を満たしません。

なお、実務経験には時間外勤務や休日勤務の時間は含められません。また、勤務時間には以下の制限があります。

  • 1日の従事時間は7時間が限度です。
  • 1月の従事時間は154時間が限度です。
  • 2年相当の従事期間は3,696時間(154時間×24月)です。
    このため、カレンダー上は丁度2年間でも、期間不足と判定される可能性もあります。実務経験の期間は余裕を持って確保しましょう。

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