2025.03.11
電子計算機使用詐欺、道路交通法違反、電磁的公正証書原本不実記録・同供用被告事件
LEX/DB25621843/大阪地方裁判所 令和 7年 1月14日 判決(第一審)/令和5年(わ)第590号 他
被告人B及び被告人Cが、被告人Dの許諾を得て、被告人D名義のETCカードを、被告人Dが乗車することなく高速道路で利用したとして、被告人Bが電子計算機使用詐欺の罪で、被告人Cが電子計算機使用詐欺、道路交通法違反、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪で、また被告人Dが電子計算機使用詐欺の罪でそれぞれ起訴され、被告人Bにつき懲役1年6か月、被告人Cの電子計算機使用詐欺、道路交通法違反につき懲役1年4か月、確定判決前余罪である電磁的公正証書原本不実記録・同供用につき懲役1年2か月、被告人Dにつき懲役10か月を求刑された事案で、被告人Cにつき、〔1〕前刑の執行猶予判決の宣告後確定前に、内容虚偽の住民異動届を提出して住民基本台帳ファイルに不実の記録をさせるなどし、〔2〕同判決確定後の刑執行猶予期間中に、高速道路で最高速度を超過して普通自動車を運転して進行したとして犯罪事実を認定し、一方、被告人3名に対する電子計算機使用詐欺の罪について、名義人本人以外の者によるETCカードの利用が一般に禁止されていることを踏まえても、本件ETCカード名義人である被告人Dと同被告人から使用の許諾を得た被告人Bとが生計を一にする同居の事実婚の夫婦であり、ETCカード使用の際には本人確認のための措置がクレジットカード使用の場合とは異なり厳格にはされていない状況の下で、G社等が本件各行為のような生計を一にする同居の事実婚の夫婦間での1枚のETCカードの貸し借りによって使用することまで、不正通行に当たるとして許容していない旨の周知を十分にしていなかったなどの本件事実関係の下では、本件各行為が処罰に値するだけの虚偽の情報を与えたものということはできないと解されるとして、被告人Cを上記〔1〕の罪について懲役1年2か月、執行猶予3年間に、また〔2〕の罪について懲役4か月、執行猶予2年間に処するとともに、執行猶予期間中被告人Cを保護観察に付する一方、被告人Cの電子計算機使用詐欺の点については無罪を言い渡し、被告人B及び被告人Dについても、いずれも無罪を言い渡した事例。