2024.10.22
傷害致死被告事件
LEX/DB25620608/大阪高等裁判所 令和 6年 4月23日 判決 (控訴審)/令和5年(う)第756号
被告人が傷害致死の罪で懲役12年を求刑され、原審が、おおむね公訴事実に沿う認定をして、被告人を懲役10年に処したところ、被告人が事実誤認を主張して控訴した事案で、原判決は、e供述にはその信用性に疑問を差し挟む余地があり、被告人の前記検察官調書と明確に食い違う部分もあるのに、十分な検討をせず、同供述と整合することをもって同調書の信用性があると即断したものといえ、証拠評価の在り方において不合理であり、是認し難いところ、本件については、被害者の遺体にe供述によっては説明することができない損傷がある点を含め、関係証拠を基に改めて同供述の信用性を検討し、被告人が単独で公訴事実記載の犯行に及んだと合理的な疑いを入れる余地がない程度の立証が尽くされているかどうかにつき、被告人の原審供述を含め、関係者の供述を再検討して判断する必要があり、また、本件犯行期間中、被告人のみならず、被告人以外の者が被害者に暴行を加えた可能性が考えられる場合は、〔1〕被告人単独による暴行内容、この暴行と被害者の死亡結果の間の因果関係の有無、〔2〕刑法207条の適用の可否、〔3〕同条を適用し難い場合の被告人の罪責等を検討する必要もあるといえるとして、原判決を破棄し、本件を地方裁判所に差し戻した事例。