注目の判例

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2021.02.24
損害賠償請求控訴事件 new
LEX/DB25568621/東京高等裁判所 令和 3年 1月21日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第2298号
故Gは、被控訴人会社の従業員であり、平成23年当時、被控訴人会社のH支社に勤務していたところ、同年8月6日に脳幹部出血である本件脳出血を発症して同月7日に死亡した。控訴人Aは故Gの妻、控訴人B及び同Cはその間の子であり、被控訴人E、同D及び同Fは、故Gの死亡当時、いずれも被控訴人会社の取締役であった。本件は、控訴人らが、故Gが本件脳出血を発症して死亡したのは被控訴人会社から長時間にわたる時間外労働を強いられたことによるものであって、被控訴人会社には債務不履行(安全配慮義務違反)が、被控訴人E、同D及び同Fの悪意又は重過失による任務懈怠がそれぞれあったと主張して、被控訴人会社に対しては債務不履行を理由とする損害賠償請求権に基づき、被控訴人E、同D及び同Fに対しては会社法429条1項に基づき、総損害額合計7695万7326円から控訴人らの自認する損益相殺をした後の残額(控訴人Aにつき2634万9030円、控訴人B及び同Cにつき各1923万9331円)及びこれらに対する遅延損害金の連帯支払を求め、原審は、故Gの死亡は被控訴人会社での長時間の時間外労働によるものであったと認定して被控訴人会社の債務不履行責任を肯定する一方、その余の被控訴人らについては、H支社の工場長であり、故Gの直属の上司でもあった被控訴人Fにつき軽過失があったにとどまり、いずれも悪意又は重過失があったとは認められないと判断して会社法429条1項所定の取締役の責任を否定した上、弁護士費用以外の総損害額について、故Gの身体的素因等を理由とする過失相殺の類推適用により7割を減じた額を控訴人らが法定相続分割合により相続し、損益相殺(遺族基礎年金及び遺族厚生年金の合計1120万7066円)をした後の残額に弁護士費用を加算した額(控訴人Aにつき495万円、控訴人B及び同Cにつき各509万9201円)及びこれらに対する遅延損害金の支払を求める限度で控訴人らの被控訴人会社に対する請求を一部認容し、控訴人らのその余の請求をいずれも棄却したところ、これを不服とする控訴人らが本件控訴をした事案で、原判決中、被控訴人会社及び同Fに関する部分は不当であるとし、原判決の認容額を増額した内容で変更し、原判決中、控訴人らの被控訴人E及び同Dに対する請求をいずれも棄却した部分は正当であり、控訴人らのその余の控訴を棄却した事例。
2021.02.24
損害賠償等請求控訴事件 new
LEX/DB25568129/名古屋高等裁判所金沢支部 令和 2年12月16日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第39号
被控訴人法人が運営する病院で医療保護入院中に身体的拘束を受けた亡Dが死亡したことについて、亡Dの相続人である控訴人らが、被控訴人に対し、被控訴人病院に勤務する医師らが、違法に身体的拘束をしたうえ、それによる肺動脈血栓塞栓症の発症を回避するための注意義務に違反した過失により亡Dが死亡したとして、使用者責任に基づき、損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審が控訴人らの請求を棄却したところ、控訴人らが控訴した事案で、精神科病院の入院患者に対する行動制限にあたっては、精神保健指定医の裁量に委ねられているとしても、身体的拘束は当該患者の生命の保護などに重点を置いたものであるから、この選択にあたっては特に慎重な配慮を要するが、本件担当医師の判断においては早きに失し、精神保健指定医に認められた裁量を逸脱し、違法であるというべきであり、亡Dは、本件身体的拘束により急性肺血栓塞栓症を発症して死亡したものと認められるから、被控訴人は控訴人らに対して使用者責任に基づく損害賠償義務を負うものというべきであるところ、これと異なる原判決は失当であるとして、原判決を変更した事例。
2021.02.16
わいせつ電磁的記録記録媒体陳列、公然わいせつ被告事件
LEX/DB25571273/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 2月 1日 決定 (上告審)/平成30年(あ)第1381号
インターネットのサイトに投稿されたわいせつ画像データを、サーバに記憶、蔵置させて視聴者が閲覧可能な状態を設定し、又は、映像配信システムを利用して視聴者に配信して閲覧させたとして、同サイトの管理者らに投稿者との共謀によるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪や公然わいせつ罪が成立するか否かが争われた事案の上告審において、電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し、同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に、国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことは許されると解すべきであるとした上で、被告人両名について、サイト会社代表者及び本件各投稿者らとの共謀を認め、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとした原判断は正当であるとし、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2021.02.16
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25568416/名古屋高等裁判所 令和 3年 1月13日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第664号
控訴人が、被控訴人(国)に対し、入国管理局の職員が、難民不認定処分に対する取消訴訟等の意向を示していた控訴人を集団送還の対象者に選定した上、本件異議棄却決定の後、上記訴訟等の提起を妨害するために、上記決定の告知をその40日後まであえて遅らせ、同告知後に弁護士との連絡ができないようにしたほか、帰国後に訴訟ができるとの虚偽の説明をするなどして、本件送還をしたことにより、控訴人の裁判を受ける権利を侵害したなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金の支払を求め、原審は、入管法上、在留資格未取得外国人について難民不認定処分に対する異議申立てについての決定があるまで送還を停止する旨の規定以外に送還を停止すべき旨の規定がなく、被退去強制者については裁判所による執行停止決定がない限り送還が法令上停止されるものでなく、これらに当たる場合でなければ入管職員に送還を停止すべき義務が生ずるものではないから、本件異議棄却決定がされ執行停止決定を得ていない控訴人を送還対象者に選定し、強制送還を中止しなかったことにつき、国賠法1条1項の適用上違法があるとはいえないとしつつ、本件異議棄却決定の告知に際して、控訴人が送還された後も難民不認定処分に対する取消訴訟が可能であるかのような誤った教示をしたことは、同項の適用上違法であるとして、控訴人の請求につき合計8万8000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却したところ、控訴人がその敗訴部分を不服として控訴した事案で、控訴人の請求は、44万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却すべきところ、これと異なる原判決は一部不当であるとし、原判決を変更した事例。
2021.02.16
損害賠償請求事件
LEX/DB25568415/札幌地方裁判所 令和 2年11月27日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第1913号
北海道内の漁業者である原告らが、被告国及び被告北海道は漁業者への法的措置を講じず、漫然と漁業者の自主管理に委ねた結果、第3管理期間において上限を大幅に超過する漁獲を招き、もって第4管理期間以降のくろまぐろ漁が事実上できなくなったなどと主張して、被告国及び被告北海道に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告国及び被告北海道の公権力の行使につき、国家賠償法1条1項の適用上違法があるとの原告らの主張は、いずれも理由がないとして、請求をいずれも棄却した事例。
2021.02.09
不当利得返還請求事件
LEX/DB25571257/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 1月26日 判決 (上告審)/令和1年(受)第984号
破産者C社(投資に関するシステム開発会社)の破産管財人である上告人が、C社がその発行した社債について社債権者である被上告人に利息制限法1条所定の制限を超えて利息として支払った金額を元本に充当すると過払金が発生しているなどと主張して、被上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、過払金の返還等を求め、原審は、社債には利息制限法1条の規定は適用されないから、本件社債にも同条の規定は適用されないと判断して、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、社債の発行の目的、募集事項の内容、その決定の経緯等に照らし、当該社債の発行が利息制限法の規制を潜脱することを企図して行われたものと認められるなどの特段の事情がある場合を除き、社債には利息制限法1条の規定は適用されないとし、上告人の請求を棄却すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2021.02.09
殺人,殺人未遂,傷害被告事件
LEX/DB25571265/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 1月29日 判決 (上告審)/令和2年(あ)第96号
被告人は、傷害罪のほか、Aに対する殺人罪、B、C、D及びEに対する各殺人未遂罪で起訴され、被告人は、上記5名に対する殺意を争い、第1審判決は,各殺意を認定し、上記各罪により被告人を懲役24年に処したため、これに不服の被告人が控訴し、控訴審判決は、事故の相手方であるB及びEに対する殺意を認めた第1審判決には事実誤認があるとして第1審判決を破棄し、本件を地裁に差戻しを命じたことにより、検察官側、被告人側の双方が上告した事案で、被告人が、A及びDに対し、ひそかに睡眠導入剤を摂取させて自動車を運転するよう仕向けたことにより、同人らが走行中に仮睡状態等に陥って自車を対向車線に進出させて対向車に衝突させ、対向車の運転者であるB及びEに傷害を負わせたという殺人未遂被告事件について、B及びEに対する殺意を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決は、第1審判決について、論理則、経験則等に照らして不合理な点があることを十分に示したものとは評価することができず、第1審判決に事実誤認があるとした原判断には刑事訴訟法382条の解釈適用を誤った違法があり、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められ、検察官の上告趣意第5は、第1審判決に事実誤認があるとした原判断を前提とするものであるから、この点について判断するまでもなく、刑事訴訟法411条1号により原判決を破棄することとし、Aに対する殺人罪並びにB、C、D及びEに対する各殺人未遂罪の成立を認めた第1審判決の判断は是認することができ、また、訴訟記録に基づいて検討すると、本件各犯行時における被告人の完全責任能力を肯定し、懲役24年に処した判断を含め、第1審判決を維持するのが相当であり、被告人の控訴を棄却した事例。
2021.02.02
裁決取消等請求事件
LEX/DB25571251/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 1月22日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第393号
被上告人が、上告人を相手に、いずれも知事を上告人の代表者として、(1)本件裁決は権限のない者がした違法なものであるとして、本件裁決の取消しを求め(請求1)、(2)本件知事不作為は違法であるなどとして、その違法の確認を求め(請求2)及び知事が本件審査請求を認容する裁決をすることの義務付けを求め(請求3)、(3)本件管理者不作為を理由として、国家賠償法1条1項に基づく慰謝料の支払を求め(請求4)、原審は、第1審判決を取消して本件を第1審に差し戻したため、上告人が上告した事案で、本件訴えのうち請求1及び請求4に係る部分は、被告の代表者を誤って提起された訴えが不適法であり、その不備はもはや補正することができないとし、また、本件訴えのうち請求2及び請求3に係る部分は、誤った行政庁に宛てて審査請求書を提出することによりされた審査請求に係る不作為の違法確認の訴え及び義務付けの訴えが不適法であり、その不備を補正することができないとし、これと異なる原審の判断には、明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、本件訴えを不適法として却下した第1審判決は是認できるとして、被上告人の控訴を棄却した事例。
2021.02.02
取立債権請求事件
LEX/DB25571252/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 1月22日 判決 (上告審)/令和1年(受)第861号
土地の売買契約の代金債権を差し押さえた上告人が、第三債務者である被上告人らに対し、売買代金として各1250万円余り及びこれに対する各訴状送達の日の翌日である平成28年9月29日からの遅延損害金の支払を求める取立訴訟で、被上告人らは、売買契約の売主に対する債務不履行等に基づく損害賠償債権を有するとし、同債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張するなどして、上告人の請求を争い、原審は、弁護士報酬について、被上告人らは本件会社に対して債務不履行に基づく損害賠償債権を有すると判断し、上記弁護士報酬の額は972万8600円を下らず、これにその他被上告人らが負担した費用である7727万1400円を加えた額は、本件売買契約の残代金額である8700万円以上であるから、債務不履行に基づく損害賠償債権による相殺により本件売買契約の残代金債権は消滅したとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件各事務に係る弁護士報酬972万8600円につき、被上告人らが本件会社に対して債務不履行に基づく損害賠償債権を有するとして同債権による本件売買契約の残代金債権との相殺を認めた原審の前記判断には、明らかな法令の違反があり、原判決を主文第1項のとおり、被上告人らに対してそれぞれ上記の額の2分の1である486万4300円及びこれに対する平成28年9月29日からの遅延損害金の支払を求める限度で認容することに変更し、上告人のその余の請求を棄却した事例。
2021.01.26
遺言無効確認請求本訴、死因贈与契約存在確認等請求反訴事件
LEX/DB25571246/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 1月18日 判決 (上告審)/平成31年(受)第427号 等
本件の本訴請求は、亡Aが作成した平成27年4月13日付け自筆証書(本件遺言書)による遺言について、被上告人ら(亡Aの妻であるX1及び同人とAとの間の子ら)が、本件遺言書に本件遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているなどと主張して、上告人ら(亡Aの内縁の妻であるY2及び同人とAとの間の子ら)に対し、本件遺言が無効であることの確認等を求めたところ、原審は、被上告人らの本訴請求を認容し無効としたため、上告人らが上告した事案で、Aが、入院中の平成27年4月13日に本件遺言の全文、同日の日付及び氏名を自書し、退院して9日後の同年5月10日に押印したなどの本件の事実関係の下では、本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに本件遺言が無効となるものではないというべきであり、原判決中本訴請求に関する部分を破棄し、本件遺言のその余の無効事由について更に審理を尽くさせるために、原審に差し戻した。そして、本件の反訴請求は、上告人Y2らが、被上告人らに対し、本訴請求において本件遺言が無効であると判断された場合に、予備的に、死因贈与契約の成立の確認等を求めるものであるところ、本訴請求について原判決が破棄差戻しを免れない以上、反訴請求についても当然に原判決は破棄差戻した事例。
2021.01.26
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25567304/大阪高等裁判所 令和 2年 9月18日 判決 (控訴審)/令和1年(う)第1206号
覚せい剤取締法違反の事案において、原判決が、本件捜索で押収された覚せい剤在中のチャック付きポリ袋3袋は、麻薬取調官が持ち込んだものであり、その持ち込みを直接の契機とする現行犯逮捕には重大な違法があり、現行犯逮捕後に採取された尿の鑑定書もこれと密接に関連する証拠であるから、これらの証拠能力は認められるべきでないとする弁護人の主張を容れて本件鑑定書等の取調請求を却下した本件証拠決定について、麻薬取締官が捜索開始直後に洗面所付近で写真撮影をしており、その際に本件パケ(上記3袋のうちの2袋。)があった洗面台の前を往来していたことは間違いなく、本件パケが洗面台の上に容易に発見できるような状態で置かれていたことや麻薬取締官が9人で本件捜索に従事していたことも併せ考えれば、捜索開始から約1時間半もの間本件パケが発見されなかったという経緯にはやはり不審な点が残るなどとして、被告人を無罪としたため、検察官が控訴した事案で、本件捜索に当たって麻薬取締官が本件覚せい剤を発見現場に置いた疑いが払拭できないとした原裁判所の判断に不合理なところはなく、その捜査の違法性が重大であることは当然であり、本件鑑定書等はこれと密接に関連するものであって証拠として許容することは将来における違法捜査抑止の見地から相当でないから、その証拠能力を否定して検察官の証拠調べ請求を却下した原審の訴訟手続に法令違反はないとし、また、検察官の挙げる各証拠をもって、被告人の自白の真実性を保障する補強証拠になるとはいえないとして、本件控訴を棄却した事例。
2021.01.19
損害賠償等請求事件
LEX/DB25571240/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 1月12日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1166号
上告人が、被上告人に対し、上告人が本件差押転付命令により取得した本件各損害賠償請求権に基づき、4822万3907円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、上告人が被上告人に対して本件示談において合意された損害賠償金の額である4063万2940円(本件示談金額)を超える額の請求をすることができるか否かが争われ、原審が、上告人の請求を、本件示談金額から本件相続人らが支払を受けた3000万1100円を差し引いた1063万1840円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却した判決したことに対し、上告人が上告した事案において、上告人が被上告人に対して本件示談金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件各損害賠償請求権の金額等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき原審に差し戻した事例。
2021.01.19
株主総会開催禁止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25567503/東京高等裁判所 令和 2年11月 2日 決定 (抗告審)/令和2年(ラ)第1851号
P社の監査役である抗告人(原審債権者)が、P社の株主である相手方(原審債務者)が裁判所の招集許可決定に基づいて総会開催日時を令和2年11月6日午前11時からとして招集した臨時株主総会の開催には違法があるなどと主張して、会社法385条類推適用による監査役の招集株主に対する違法行為差止請求権に基づき、本件臨時株主総会の開催の禁止を求める旨の訴えを本案として、本件臨時株主総会の開催を禁止する旨の仮処分命令を求めたところ、原審は、本件臨時株主総会の招集の手続や決議の方法について、法令若しくは定款に違反し、又はそのおそれがあるものとは認められず、被保全権利を認めることができないとして、抗告人の申立てを却下する旨の決定をしたため、抗告人は、これを不服として抗告した事案において、委任状による議決権行使をする株主に対する相手方のクオカードの贈与の表明を理由として、保全処分として本件臨時株主総会の開催禁止を求める旨の抗告人の申立てについては、保全の必要性を認めることはできないとし、本件申立てを却下した原決定は、その結論において正当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.01.12
相続税更正処分等取消請求控訴事件
LEX/DB25567300/札幌高等裁判所 令和 2年12月11日 判決 (控訴審)/平成31年(行コ)第9号
被相続人の相続人である控訴人らが、被相続人に係る相続により取得した土地及び建物(被相続人所有不動産)並びにH社の株式につき、被相続人所有不動産の課税価格を不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて算定するとともに、H社の所有する所有不動産についての不動産鑑定士の鑑定評価を前提に本件株式の課税価格を算定して相続税の申告を行い、その後、別の不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて又はこれを前提として被相続人所有不動産及び本件株式の課税価格を算定して、控訴人Aは更正請求を控訴人B及び控訴人Cは修正申告をそれぞれ行ったのに対し、札幌北税務署長が、土地及び建物の評価は特別の事情がない限り財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56、直審(資)17国税庁長官通達)によるべきであって、不動産鑑定士による不動産鑑定評価に基づいて評価を行うのは相当ではないとして、控訴人らに対し、それぞれ更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたことから、控訴人らが、本件各更正処分等には本件各不動産の価額について時価を超える評価をした違法があるほか、本件各更正処分等は行政手続法の要請する理由の提示を欠き違法であると主張して、被控訴人・国に対し、本件各更正処分のうち修正申告ないし更正の請求に係る課税価格及び納付すべき税額を超える部分についての取消し及び本件各賦課決定処分の取消しを求め、原審が、本件各更正処分等は適法であるとして控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、本件各更正処分等はいずれも適法と認められるとして、本件控訴を棄却した事例。
2021.01.12
発信者情報開示請求控訴事件
LEX/DB25567236/東京高等裁判所 令和 2年11月26日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第1555号
控訴人が、いずれも氏名不詳者である発信者がした、インターネット上の短文投稿サイトであるツイッターへの本件各投稿によって名誉感情を侵害され、また、同1の固定ツイートを削除しなかったという不作為によってプライバシーを侵害されたので、発信者に対する損害賠償請求権行使のために、本件発信者情報の開示を受ける正当な理由がある旨を主張して、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、経由プロバイダである被控訴人ら各自に対し、それぞれ保有する本件発信者情報の開示を求めたところ、原審が、本件各投稿のいずれについても、社会通念上許される限度を超える侮辱行為であることが明らかとは認められず、また、固定ツイートを削除しなかったという不作為が不法行為責任を構成するものとは認め難いとして、控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案で、本件発信者情報2は、侵害情報である本件投稿2との関係で、「当該権利の侵害に係る発信者情報」に当たるものと認められ、また、本件投稿2は、被控訴人N社を経由プロバイダとして発信されたことも推認されるから、被控訴人N社は、同項の「開示関係役務提供者」に当たるものと認められるとして、原判決中被控訴人N社に関する部分を取り消し、被控訴人N社は、控訴人に対し、情報を開示せよと命じた事例。
2021.01.05
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」会社法分野 令和3年3月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571218/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月22日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1961号
東京証券取引所マザーズに上場された本件会社の株式を取得した者又はその承継人である上告人らが、本件会社が上場に当たり提出した有価証券届出書に架空売上げの計上による虚偽の記載があったなどと主張して、本件会社等と元引受契約を締結していた金融商品取引業者のうち主幹事会社であったM証券株式会社を吸収合併した被上告人に対し、当該株式のうち募集又は売出しに応じて取得したものにつき金融商品取引法21条1項4号に基づく損害賠償を請求し、原審は、本件有価証券届出書には、金商法193条の2第1項に規定する「財務計算に関する書類」に係る部分(財務計算部分)に、重要な事項について本件虚偽記載が存在したところ、被上告人は本件虚偽記載の事実を知らなかったなどとして、被上告人の金商法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責を認め、募集又は売出しに応じて取得した本件会社の株式についての被上告人に対する同条1項4号に基づく損害賠償請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、被上告人は、金商法21条1項4号の損害賠償責任につき、同条2項3号による免責を受けることはできないとして、募集又は売出しに応じて取得した本件会社の株式についての被上告人に対する損害賠償請求を棄却した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、上記請求を棄却した部分は破棄を免れないとし、上告人らの損害額について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2021.01.05
再審開始決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件(袴田事件第2次再審請求(特別抗告審))
LEX/DB25571224/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月22日 決定 (特別抗告審)/平成30年(し)第332号
確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨は、Aは、昭和41年6月30日午前1時過ぎ頃,静岡県清水市(当時)所在のみそ製造販売会社専務であった男性の居宅に侵入して金員を物色中、同人に発見されるや金員強取の決意を固め、殺意をもって、所携のくり小刀で同人の胸部等を突き刺し、物音に気付いて起きてきた同人の妻、長男、次女の頸部等をそれぞれくり小刀で突き刺し、店の売上金等を強取した上、さらに、上記4名を住居もろとも焼いてしまおうと考え、混合油を4名の身体に振りかけてマッチで点火して放火し、4名を殺害して金員等を強取するとともに住宅1棟を焼損したというもので、原決定は、確定判決においてAの犯人性を推認させる最も中心的な証拠は、5点の衣類に関する証拠である一方、それ以外の証拠は犯人性を推認する上では補助的なものにすぎないとし、5点の衣類は犯人が犯行時に着ていた衣類であること、5点の衣類はAのものであることの2点について、確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるような新証拠であれば、刑訴法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」といい得るとし、B鑑定及びみそ漬け実験報告書は、いずれもそのような新証拠には当たらないとして、再審開始を認めた原々決定を取り消したため、抗告人が特別抗告した事案で、確定判決において5点の衣類が犯人性の認定における核となる証拠とされたという本件の証拠関係、5点の衣類に付着した血痕のDNA型及び色調をめぐり、原々審及び原審において長期間にわたり審理が重ねられ、原々決定においては再審開始決定がされ、これが原審において取り消されて本件再審請求が棄却されたという審理経過、さらに、原審に至ってH意見書において血液中のたんぱく質とみそ中の糖との間で生じ得るとされているメイラード反応がみそ漬けされた血液の色調に影響を及ぼす要因として初めて主張され、5点の衣類がみそ漬けされた状況を客観的に再現する工夫がされたF実験も、この点に関する専門的知見に基づく検討の必要性を認識させるものであったことなどの原審における審理状況をも併せ考えると、上記の違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するというべきであり、原決定を取消し、メイラード反応その他のみそ漬けされた血液の色調の変化に影響を及ぼす要因についての専門的知見等を調査するなどした上で、その結果を踏まえて、5点の衣類に付着した血痕の色調が、5点の衣類が昭和41年7月20日以前に1号タンクに入れられて1年以上みそ漬けされていたとの事実に合理的な疑いを差し挟むか否かについて判断させるため、本件を原審である東京高等裁判所に差し戻すこととした事例(反対意見、補足意見がある)。
2020.12.29
貸金返還請求事件
LEX/DB25571198/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月15日 判決 (上告審)/令和2年(受)第887号
亡Aは、平成16年10月17日、長男である被上告人に対し、253万5000円を貸し付け(本件貸付け〔1〕)、Aは、平成17年9月2日、被上告人に対し、400万円を貸し付け(本件貸付け〔2〕)、Aは、平成18年5月27日、被上告人に対し、300万円を貸し付け(本件貸付け〔3〕)、被上告人は、平成20年9月3日、Aに対し、弁済を充当すべき債務を指定することなく、貸金債務の弁済として、78万7029円を支払った(本件弁済)、Aは、平成25年1月4日に死亡し、三女である上告人は、本件各貸付けに係る各債権を全て相続した。上告人は、平成30年8月27日、被上告人に対し、本件各貸付けに係る各貸金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、本件弁済は法定充当(民法489条)により本件貸付け〔1〕に係る債務に充当されたとした上で、上告人の本件貸付け〔2〕及び〔3〕に係る各請求を棄却すべきものとし、上告人の請求を本件貸付け〔1〕に係る残元金174万7971円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容した第1審判決に対する上告人の控訴を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件弁済がされた当時、Aと被上告人との間には本件各貸付けに係る各債務が存在し、借主である被上告人は弁済を充当すべき債務を指定することなく本件弁済をしているのであり、本件弁済が本件債務〔2〕及び〔3〕の承認としての効力を有しないと解すべき特段の事情はうかがわれず、本件弁済は、本件債務〔2〕及び〔3〕の承認として消滅時効を中断する効力を有するとして、上告人が本件訴訟を提起した平成30年8月27日の時点では、本件債務〔2〕及び〔3〕の消滅時効はまだ完成していなかったことになり、本件債務〔2〕及び〔3〕の時効消滅を認めた原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、上告人の本件貸付け〔2〕及び〔3〕に係る各請求は、本件貸付け〔2〕及び〔3〕に係る各貸金及びこれに対する平成30年9月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとし、上告人のその余の請求を棄却した事例。
2020.12.29
損害賠償請求事件
LEX/DB25567285/長崎地方裁判所 令和 2年12月 1日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第3号
原告において、本件労働審判事件の労働審判委員会が、原告に口外禁止条項を付した内容での調停を試みたところ、原告からこれを拒否されたにもかかわらず、労働審判法20条1項及び2項に違反して、口外禁止条項を含む労働審判を行ったことにより、原告の表現の自由(憲法21条)、思想良心の自由(同19条)及び幸福追求権(同13条)を侵害し、原告に精神的損害を生じさせたと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として、被告に対し、慰謝料140万円及び弁護士費用10万円の合計150万円及び遅延損害金の支払を求めた事案で、本件口外禁止条項は、労働審判法20条1項及び2項に違反すると認められるが、本件口外禁止条項を付した本件審判が、国家賠償法1条1項にいう違法な行為といえないとして、請求を棄却した事例。
2020.12.22
殺人,窃盗,住居侵入,会社法違反被告事件
LEX/DB25571193/最高裁判所第一小法廷 令和 2年12月 7日 決定 (上告審)/令和1年(あ)第1843号
被告人は、自宅で、被害者をその嘱託を受けることなく殺害した後、この事実が捜査機関に発覚する前に、嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の事実を記載したメモを遺体のそばに置いた状態で、自宅の外から警察署に電話をかけ、自宅に遺体があり、そのそばにあるメモを見れば経緯が分かる旨伝えるとともに、自宅の住所を告げ、その後、警察署で、司法警察員に対し、嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の供述をしたことが認められ、被告人は、嘱託を受けた事実がないのに、嘱託を受けて被害者を殺害したと事実を偽って申告しており、自己の犯罪事実を申告したものということはできず、刑法42条1項の自首は成立しないと判示し、これと同旨の第1審判決を是認した原判決は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。