目次
北おおさか信用金庫では、主に大阪府の北部に拠点を置く中小事業者の経営支援に力を注いでいます。
そして、辻澤氏は「月次決算の重要性」を次のように語ります。
「月次決算を徹底し、自社の状況を経営者自身が数字を交えながら解説することで、われわれも顧客に対する理解を深めることができる」
月次決算は、事業者との円滑なコミュニケーションを生み、支援の起点となる取り組みとして、同金庫の現場で確かな成果を生んでいます。
1.業況を「実態として」把握できる
北おおさか信用金庫では、地域企業への支援として、独自の取引先見本市である「きたしんビジネスマッチングフェアwithうまいもん市」などを通じた販路・取引先拡大支援や、プロフェッショナル人材のマッチングなど多様な支援策を展開しています。
足元では、原材料費や人件費の高騰に苦慮している企業が多く、特に建設業のお客さまではその影響が広範囲に及んでいます。
これらの支援全体の「基盤」となっているのが月次決算です。
同金庫では、TKCの会計システムを利用している事業者については「TKCモニタリング情報サービス(MIS)」を通じて、TKC会員税理士のお墨付きを得た信ぴょう性の高い財務資料を提供いただいています。
中でも、TKC会員による月次巡回監査の終了後に提供される「月次決算報告シート」に含まれる、
- 比較損益計算書
- 比較貸借対照表
- 資金実績表
- 取引先別売上高推移表
- 部門別売上高推移表
といった数字と補足説明を確認しながら、事業者の業況をスピーディに把握し、課題をより的確に抽出し、解決に向けた支援を素早く展開することができるようになりました。
2.必要な支援を「タイムリーに」提示
新型コロナウイルス禍での実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化する中、同金庫では信用保証協会と連携し、融資の組み替えによる返済負担軽減策などを進めています。
こうした提案のタイミングを逃さずに済む背景には、月次で経理処理が行われている事業者と対話することで「今、何が起きているか」を把握しやすくなったことがあります。
その結果、必要な支援を必要な時期に提示できるという大きな成果が生まれています。
3.経営改善・再生支援が「踏み込んで」行える
北おおさか信用金庫の融資部には、中小企業診断士の有資格者などで構成される「経営サポーター」が在籍し、特に経営改善・再生支援を必要とする事業者に対して、より踏み込んだ支援を行っています。
その際、大きく役立っているのがMISです。TKC会員税理士による巡回監査と月次決算が実施されている先では、MISを通じて信頼性の高い財務情報を入手できるため、
- 業況の迅速な把握
- 経営課題への早期の支援
- 経営者との具体的な対話
が可能になっています。
4.「事業性融資推進法」への対応が進む
令和8年5月には、事業性融資推進法が施行され、企業価値担保権を活用した融資ができるようになりました。
同金庫では、その実行に向け、
- 対象となる事業者の選定基準
- 具体的な支援の流れの整理
など、準備を進めました。
辻澤氏は次のように強調します。
そしてこの「事業理解」を支える根幹が、まさに月次決算による実態把握と経営者との対話です。
5.月次決算の定着が「経営体力の強化」につながる
経営者保証を解除するには、経営者保証に関するガイドラインが定める3要件
- 法人個人の一体性解消
- 財務基盤の強化
- 財務状況の適時適切な情報開示
を満たす必要があります。
3要件にもあるとおり、経営者保証の解除には適時・正確な情報開示が不可欠で、そのためにも経理処理をタイムリーに実施すること、つまり月次決算が欠かせません。
辻澤氏は、次のように述べています。
つまり、月次決算が定着している企業では、事業者と金融機関が綿密にコミュニケーションを交わし、経営改善や成長に向けた目線を合わせることができるようになります。
まとめ
北おおさか信用金庫の実践が示す通り、月次決算は、事業者支援の「はじめの一歩」です。
- 業況を実態として把握できる
- 事業者支援をタイムリーに実施できる
- 経営改善・再生支援が深まる
- 事業性評価が高まり、制度対応が進む
- 経営体力が強まり、経営者保証解除の前提が整う
これらの成果はすべて、
「月次決算を通じて、事業者と金融機関が同じ数字を見て対話すること」
から生まれているのです。だからこそ、月次決算は必要なのです。

















