2023.02.28
仮の地位を定める仮処分申立事件(面会交流)
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LEX/DB25594097/福岡家庭裁判所 令和 4年 6月28日 審判 (第一審)/令和3年(家ロ)第1045号
別居中の夫婦間において、父である申立人が、母であり、未成年者らを現に監護している相手方に対し、未成年者らとの面会交流を求め、その時期、方法等を定めるよう申し立てた事件を本案として、仮に面会交流を認めることを求めた事案(なお、相手方は、未成年者の長男が申立人の行為に起因してPTSD再燃との診断を受けていること、申立人から生活の監視や精神的いじめ等のDVを受け、別居後も非開示を希望していた住所を探索されるなどし、当事者間に面会交流を実施するための協力関係を築くことが困難であること等を理由に、申立人と未成年者らの面会交流を認めるべきでない旨の意向を有している。)において、実施された申立人と未成年者らとの面会交流の状況を踏まえると、その後の未成年者らに関する診療経過等をもって、面会交流の実施が未成年者の利益に反するものということはできないから、申立人と未成年者らの面会交流を実施するのが相当であるとして、相手方は、申立人に対し、申立人が未成年者らと面会交流することを仮に許さなければならないと命じた事例。
2023.01.10
離婚等請求本訴、同反訴事件
LEX/DB25572509/最高裁判所第二小法廷 令和 4年12月26日 判決 (上告審)/令和3年(受)第1115号
上告人が、本訴として、被上告人に対し、離婚を請求するとともに、これに附帯して財産分与の申立てをするなどし、被上告人が、反訴として、上告人に対し、離婚を請求するとともに、これに附帯して財産分与の申立てをするなどしたところ、第1審は、本訴及び反訴の各離婚請求をいずれも認容するなどしたほか、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の全部につき、財産分与についての裁判をし、上記分与を求める財産には、上告人及び被上告人が婚姻後に出資して設立した医療法人の持分(本件出資持分)が含まれていたとし、これに対し、被上告人は財産分与等に関する第1審の判断に不服があるとして控訴をし、上告人は附帯控訴をし、控訴審は、本件出資持分については、現時点で、上告人の上記医療法人に対する貢献度を直ちに推し量り、財産分与の割合を定め、その額を定めることを相当としない特段の事情があるから、財産分与についての裁判をすることは相当ではないと判断したため、上告人が上告をした事案で、離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において、裁判所が離婚請求を認容する判決をするに当たり、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の一部につき、財産分与についての裁判をしないことは許されないと判示し、これと異なる見解に立って、本件出資持分につき、財産分与についての裁判をしなかった原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中、財産分与に関する部分は破棄し、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2023.01.10
独立当事者参加事件(本訴)、相続人たる地位にあること等の確認請求反訴事件
LEX/DB25593737/東京地方裁判所 令和 4年11月15日 判決 (第一審)/令和3年(ワ)第28328号 等
被相続人は、その子である参加人に殺害され、死亡したところ、本件被相続人の実母である原告と参加人が、いずれも自身が本件被相続人の単独相続人であると主張して、原告と参加人との間において、〔1〕本件被相続人の相続人たる地位を有するのは原告のみ又は参加人のみであることの確認を求めるとともに、〔2〕本件被相続人の遺産に係る各供託金につき、原告及び参加人がそれぞれその還付金請求権を有することの確認を求めた事案で、参加人は、本件被相続人が父親であることを認識したうえで、殺意をもって本件被相続人を死亡させて殺害しており、民法891条1号所定の「故意に被相続人(中略)を死亡するに至らせ」たものと認めることができ、参加人につき、家庭裁判所は、上記の本件被相続人を殺害した行為を非行事実として認定したうえで、少年院送致の保護処分に付しており、その処遇意見等に鑑みると、参加人については、殺人罪の違法性、責任及び処罰に関する阻却事由があるものと認めるに足りず、「刑に処せられた」場合に相当するものと認めるのが相当であるから、参加人は、民法891条1号の類推適用により、本件被相続人の相続において相続人となることができないものと認められるとして、参加人の本訴請求をいずれも棄却し、原告の反訴請求を認容した事例。
2023.01.04
国家賠償請求事件
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LEX/DB25593967/東京地方裁判所 令和 4年11月30日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第3465号
同性の者との婚姻を希望する原告らが、婚姻を異性間のものに限り同性間の婚姻を認めていない民法第4編第2章及び戸籍法の諸規定(本件諸規定)が憲法14条1項、24条1項及び2項に違反しているから、国会は民法及び戸籍法の諸規定が定める婚姻を同性間でも可能とする立法措置を講ずべき義務があるにもかかわらず、これを講じていないことが国家賠償法1条1項の適用上違法であると主張して、慰謝料の支払等を求めた事案で、婚姻を異性間のものに限り同性間の婚姻を認めていない本件諸規定が憲法に違反するとはいえないとし、また、国会が同性間の婚姻を可能とする立法措置を講じないことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるとはいえないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2022.12.13
間接強制決定に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572452/最高裁判所第三小法廷 令和 4年11月30日 決定 (許可抗告審)/令和3年(許)第17号
抗告人が、その夫である相手方に対して両名の長男を抗告人に引き渡すよう命ずる審判を債務名義として、間接強制の方法による子の引渡しの強制執行の申立てをしたところ、原決定は、原々決定を取消し、本件申立てを却下したため、抗告人が許可抗告をした事案において、本件申立てが権利の濫用に当たるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原決定を破棄し、本件申立てが間接強制決定をするための要件を満たさない旨の相手方の主張に理由がないことも明らかであり、本件申立てに基づき間接強制決定をすべきものとした原々審の判断は正当であるから、原々決定に対する相手方の抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2022.11.15
各認知請求控訴事件
LEX/DB25572339/東京高等裁判所 令和 4年 8月19日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第1585号
いずれも提供精子を用いた生殖補助医療により生まれた控訴人A(長女)及び控訴人B(二女)が、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき女性への性別の取扱いの変更の審判を受けた被控訴人に対し、認知を求めた事案の控訴審において、同審判前に出生した控訴人Aの認知請求を認容し、同審判後に出生した控訴人Bの認知請求は棄却した事例。
2022.11.01
損害賠償請求事件
LEX/DB25593434/東京地方裁判所 令和 4年 5月16日 判決 (第一審)/令和3年(ワ)第10253号
原告らが、〔1〕共同親権を有する父母の親権行使に関する意見対立が生じ、子が憲法上保障されている幸福追求権、生存権及び教育を受ける権利を実質的に行使することができなくなっている場合において、子の利益のために必要な決定を司法機関等が代わって行うための制度が存在しないこと、〔2〕父母が別居し、その子が一方親と同居している場合において、他方親が、その子に対する親権の行使における意思決定から事実上排除された場合であっても、これについて救済を求める制度が用意されていないこと等が、憲法24条2項に違反すると主張して、上記制度に係る立法措置を20年以上とらなかった立法不作為の違法を理由に、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告らそれぞれに対し慰謝料の支払等を求めた事案で、原告Aと婚姻関係にあるが別居中のCが「親権を行うことができないとき」(民法818条3項ただし書)に該当せず、原告AとCの子である原告Bの訴えは、適法な代理権を欠くため不適法であるとして却下し、原告Aの請求は、本件立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上、違法ではないとして棄却した事例。
2022.07.12
親子関係不存在確認請求事件
LEX/DB25572213/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 6月24日 判決 (上告審)/令和3年(受)第1463号
上告人(亡C及び亡Dの孫で、亡Eの戸籍上の甥であり、亡Bの法定相続人)が、検察官に対し、亡Eと亡C及び亡Dとの間の各親子関係の不存在の確認を求め、原判決は、上告人が、本件各親子関係が不存在であることにより自己の身分法上の地位に直接影響を受けることはないから、本件訴えにつき法律上の利益を有しないと判断して却下したため、上告人が上告した事案において、上告人は、本件訴えにつき法律上の利益を有するとし、これと異なる見解の下に、本件訴えを却下すべきものとした原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、更に審理を尽くさせるため、本件を第1審に差し戻した事例。
2022.04.12
損害賠償請求事件
LEX/DB25572056/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 3月22日 決定 (上告審)/令和2年(オ)第1413号
上告人(控訴人・原告)の夫となるべき者であるAとともに、上告人は上告人の氏を、AはAの氏をそれぞれ称するものとして婚姻届を提出したが、同婚姻届は、民法750条の規定及び戸籍法74条1号の規定に違反することを理由に受理されなかったことについて、控訴人が、本件各規定は憲法14条1項、24条1項及び2項、我が国が批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約2条1項及び3項(b)、3条、17条1項、23条各項並びに女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約2条、16条1項(b)及び(g)に違反するものであるから、これを改廃して夫婦同氏制に加えて夫婦別氏制という選択肢を新たに設けない立法不作為は国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けると主張して、被上告人(被控訴人・被告。国)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として慰謝料の支払を求め、1審判決は上告人の請求を棄却し、控訴審判決も、結果として1審判決は相当であるとして控訴を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件上告の理由は、違憲及び理由の不備・食違いをいうが、その実質は単なる法令違反を主張するもの又はその前提を欠くものであり、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとして本件上告を棄却した事例(意見がある)。
2022.04.12
認知請求事件(甲事件、乙事件)
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LEX/DB25591787/東京家庭裁判所 令和 4年 2月28日 判決 (第一審)/令和3年(家ホ)第500号 等
いずれも提供精子を用いた生殖補助医療により生まれた原告A及び原告Bが、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき女性への性別の取扱いの変更の審判を受けた被告に対し、認知を求めた事案で、原告らと被告との間に法律上の親子関係を認めることは現行法制度と整合しないから、本件各認知を認めることはできないというべきであるなどとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2022.02.08
離婚等請求本訴,同反訴事件
LEX/DB25571927/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 1月28日 判決 (上告審)/令和2年(受)第1765号
平成16年11月に婚姻の届出をし、婚姻後同居し、2子をもうけたが、平成29年3月に別居するに至った夫婦の上告人と被上告人の間で、上告人が、本訴として、被上告人に対し、離婚を請求するなどし、被上告人が、反訴として、上告人に対し、離婚を請求するなどするとともに、不法行為に基づき、離婚に伴う慰謝料及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、原審が、被上告人の離婚請求を認容し、被上告人の慰謝料請求を120万円の限度で認容すべきものとした上で、上記120万円に対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払請求を認容したため、上告人が上告した事案で、離婚に伴う慰謝料として上告人が負担すべき損害賠償債務は、離婚の成立時である本判決確定の時に遅滞に陥るとして、改正法の施行日前に上告人が遅滞の責任を負ったということはできず、上記債務の遅延損害金の利率は、改正法による改正後の民法404条2項所定の年3パーセントであるとし、原判決中、上記部分を認容した部分を主文第1項のとおり変更し、子の監護費用の分担に関する上告については却下し、その余の上告については棄却した事例。
2021.12.28
夫婦間の協力扶助に関する処分申立事件
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LEX/DB25591233/東京家庭裁判所立川支部 令和 3年11月30日 審判 (第一審)/令和2年(家)第2510号
別居中の夫婦間において、夫である申立人が、妻であり、未成年者らを実際に監護養育している相手方に対し、民法752条に基づき(主位的申立て)又は民法766条を類推適用して(予備的申立て)、養育計画に従って申立人と相手方が協力して、未成年者らの利益のために親権を共同行使せよとの審判を求めた事案で、申立人の主位的申立てについては却下し、予備的申立てについて、相手方は、申立人に対し、本審判確定の日の属する月の翌月から、毎月2回、実施日と実施時間等の要領を取り決めたうえで、申立人が未成年者らと面会交流することを認めた事例。
2021.12.14
性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
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LEX/DB25571834/最高裁判所第三小法廷 令和 3年11月30日 決定 (特別抗告審)/令和2年(ク)第638号
性同一性障害者が、戸籍上の性別の取扱い変更の申立てをした審判で却下され、抗告審でも却下されたため、特別抗告をした事案において、性同一性障害者につき性別の取扱いの変更の審判が認められるための要件として「現に未成年の子がいないこと」を求める性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号の規定が憲法13条、14条1項に違反しないとし、本件抗告を棄却した事例(反対意見がある)。
2021.11.16
財産分与申立て却下審判に対する抗告一部却下等決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25571781/最高裁判所第一小法廷 令和 3年10月28日 決定 (許可抗告審)/令和2年(許)第44号
離婚をした相手方と抗告人が,それぞれ,財産の分与の審判を申立てをしたところ、原々審は、第1事件(相手方の申立てに係る事件)及び第2事件(抗告人の申立てに係る事件)の各申立てをいずれも却下する審判をし、原審は、本件即時抗告のうち第1事件に係る部分を却下したため、抗告人が許可抗告をした事案において、財産分与の審判の申立てを却下する審判に対し、夫又は妻であった者である当該申立ての相手方は、即時抗告をすることができるものと判示し、本件即時抗告のうち第1事件に係る部分を却下した原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定中、主文第1項を破棄し、更に審理を尽くさせるため,同部分につき本件を原審に差し戻し、その余の抗告を棄却した事例。
2021.06.29
遺言確認申立却下審判に対する抗告事件
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LEX/DB25569562/東京高等裁判所 令和 2年 6月26日 決定 (抗告審)/令和2年(ラ)第560号
遺言者がした危急時遺言について、その証人となった抗告人A(原審申立人)が、民法976条4項に基づき遺言の確認を求め、原審が原審申立人の申立てを却下したところ、原審申立人及び利害関係人(遺言者の長男)である抗告人Bが即時抗告した事案で、本件遺言の際における原審申立人と遺言者とのやりとりの内容については、原審申立人を含む3人の証人が一致しているところ、これらの証人がいずれも弁護士からの依頼に基づいて証人となった行政書士であることからすると、各供述の信用性は高いというべきであり、また、本件遺言の内容は遺言者の状況からみて合理性を有する内容といえることからしても、本件遺言は遺言者の真意に適うものであると考えられるところ、原審申立人の申立てを却下した原審判は失当であるとして、原審判を取り消したうえで、遺言者が本件遺言をしたことを確認した事例。
2021.06.01
長男の居所及び通園先開示等仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25569498/東京高等裁判所 令和 3年 5月 6日 決定 (抗告審)/令和2年(ラ)第2137号
相手方の夫である抗告人が、抗告人と相手方との間の長男と共に別居している相手方に対し、監護権を含む親権及び人格権に基づき、〔1〕親権を共同で行う者として長男の利益のために抗告人と協力すること、〔2〕長男の通園先の施設及び居所をいずれも開示すること、〔3〕抗告人の承諾なく長男の居所を移転させないこと及び〔4〕抗告人が長男の保護者として長男を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負うことの確認を求めた仮処分命令の申立てをしたところ、原審は本件申立てをいずれも却下したので、抗告人が即時抗告をした事案において、相手方も親権に基づいて長男を監護しているものであるし、相手方が長男を連れて抗告人と別居するに至った経緯を見ても、相手方による長男の監護が不当であると認めることはできず、他に相手方による親権の行使が不当であることあるいは不当な親権行使がされるおそれがあることを認めるに足りる証拠はなく、抗告人は相手方に対し、長男の居所等の開示や抗告人の承諾なく長男の居所を移転させないことを求めることはできないなどとして、本件申立てを却下した原決定は相当であり、本件抗告を棄却した事例。
2021.05.11
LEX/DB25569269/東京地方裁判所 令和 3年 4月21日 判決 (第一審)
アメリカ合衆国のニューヨーク州において婚姻を挙行したとする原告らが、千代田区長に対し、「婚姻後の夫婦の氏」につき「夫の氏」と「妻の氏」のいずれにもレ点を付した婚姻の届書を提出して婚姻の届出をしたところ、民法750条及び戸籍法74条1号に違反していることを理由として不受理とする処分を受けたことから、被告(国)に対し、(1)主位的に、戸籍法13条等に基づき、戸籍への記載によって原告らが互いに相原告と婚姻関係にあるとの公証を受けることができる地位にあることの確認を求め、(2)予備的に、〔1〕憲法24条等に基づき、被告が作成する証明書(戸籍への記載以外の方法によるものと解される。)の交付によって原告らが互いに相原告と婚姻関係にあるとの公証を受けることができる地位にあることの確認を求めるとともに、〔2〕外国の方式に従って「夫婦が称する氏」を定めないまま婚姻した日本人夫婦について,婚姻関係を公証する規定を戸籍法に設けていない立法不作為は憲法24条に違反するなどと主張して、国家賠償法1条1項の規定に基づき,慰謝料各10万円の支払を求めた事案において、本件訴えのうち地位の確認に係る部分はいずれも不適法であるとして却下し、原告らのその余の請求を棄却した事例。
2021.04.27
遺言有効確認請求事件
LEX/DB25571463/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 4月16日 判決 (上告審)/令和2年(受)第645号
上告人が、被上告人に対し、両名の母であるAを遺言者とする平成20年4月17日付け自筆証書(本件遺言書)による本件遺言が有効であることの確認を求め、原審が、本件訴えを却下したため、上告人が上告した事案で、前訴において、上告人は、被上告人に対し、被上告人がAの立替金債務を法定相続分の割合により相続したと主張し、その支払を求めて前件反訴を提起したが、上告人による立替払の事実が認められないとして請求を棄却する判決がされ、前件反訴によって利益を得ていないのであるから、本件訴えにおいて本件遺言が有効であることの確認がされたとしても、上告人が前件反訴の結果と矛盾する利益を得ることになるとはいえず、本件訴えの提起が信義則に反するとはいえないとし、これと異なる見解の下に、本件訴えを却下すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、更に審理を尽くさせるため、本件を第1審に差し戻しを命じた事例。
2021.04.20
損害賠償請求事件
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LEX/DB25568979/札幌地方裁判所 令和 3年 3月17日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第267号
原告らが、同性の者同士の婚姻を認めていない民法739条1項及び戸籍法74条1号の本件規定は、憲法13条、14条1項及び24条に反するにもかかわらず、国が必要な立法措置を講じていないことが、国家賠償法1条1項の適用上違法であると主張し、慰謝料各100万円及びこれらに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件規定が、異性愛者に対しては婚姻という制度を利用する機会を提供しているにもかかわらず、同性愛者に対しては、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは、立法府が広範な立法裁量を有することを前提としても、その裁量権の範囲を超えたものであるといわざるを得ず、本件区別取扱いは、その限度で合理的根拠を欠く差別取扱いに当たると解さざるを得ないとし、本件規定は憲法14条1項に違反すると認めたものの、国家賠償法1条1項の適用の観点からみた場合には、憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反することが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたって改廃等の立法措置を怠っていたと評価することはできないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2021.04.13
子の監護に関する処分(監護者指定)審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
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LEX/DB25571436/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 3月29日 決定 (許可抗告審)/令和2年(許)第14号
A(本件子)の祖母である相手方が、本件子の実母である抗告人Y1及び養親である抗告人Y2を相手方として、家事事件手続法別表第2の3の項所定の子の監護に関する処分として本件子の監護をすべき者を定める審判を申し立てたところ、原審は、本件子の監護をすべき者を相手方と指定すべきものとしたため、抗告人らが許可抗告した事案において、相手方は、事実上本件子を監護してきた者であるが、本件子の父母ではないから、家庭裁判所に対し、子の監護に関する処分として本件子の監護をすべき者を定める審判を申し立てることはできないとし、相手方の本件申立ては、不適法であるとし、これと異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原決定を破棄し、原々審判を取消し、相手方の本件申立てを却下した事例。