税理士による開業コラム

はじめての採用編

「ヒトに支えられ、
ヒトを育てられる
事務所に」

稲本 ちほみ

稲本ちほみ税理士事務所

税理士 稲本 ちほみ(鹿児島県鹿児島市で平成25年に開業)

平成25年の開業当時、私は顧問先ゼロ、1人でスタートしました。当時は何をどうしたらいいか、毎回迷いながら試行錯誤しながらという状態でしたが、税理士の諸先輩方、仲間がいたからこそ、開業期をなんとか乗り切ることができました。
横のつながり、ヒトは本当に大事だと改めて実感しています。

職員の採用と教育

事務所の写真(内観)

私が職員を採用することになった際、いつもお世話になっている先生に、「職員育成は、どうしたらいいでしょうか?」と相談に行きました。その先生の事務所ではTKCの職員研修制度を利用しておられ、職員に研修受講後レポートを書かせてその理解度を確認していると教えてくださり、大変参考になりました。

そこで、私の事務所でも同じように実践してみました。その職員は未経験者でしたので、毎日午前中にオンデマンド研修を受講してもらい、その内容をレポートにまとめてもらうようにしました。
レポートにまとめることで、その時の理解度を深めるということ以外に、後々の実務で「このやり方、どうだったっけ?」と研修で学んだことを振り返ることに役立ちました。
なにより、研修で学んだことが実務で出てくると、「この研修は実務に役立つんだ」と自分が成長している実感が湧くようでした。

この時に学んだことは、研修と実務を同時並行で進めることが職員のやる気につながるということでした。そのような体制が最初から作れたからこそ、今につながっていると思います。

ヒトを育てられる事務所に

関与先が増えてくるにつれ、私自身が忙しくなって事務所にいないということも多くなります。そんな中でも、職員研修制度を利用しておけば、研修講師(TKC会員)が自分の事務所のスタッフを育ててくれるような状態になり、本当にありがたい制度だと思います。研修自体が税目毎にレベルを分けて用意されているので、職員の成長度合いに合わせてカリキュラムを組むこともでき、非常に役立っています。

ただ、私も職員の研修受講結果をしっかり確認するようにしており、「この内容、この前の関与先〇〇で、出てきた内容だね。」とその理解を確認するようにしています。すぐに「はい!」と返ってくることもあれば、「ん!?」という反応をする時もあります。「ん!?」という反応の時は、研修と実務が繋がっていないため、そこで補足をするようにしています。

会計事務所では、職員の教育が仕組み化されていることは少なく、同じ事務所内の先輩に教えてもらうということがほとんどじゃないかと思います。全ての職員が同じ研修をベースにその理解度を把握できる体制が作れたことは、今では大きな強みとなっています。

メッセージ最後にお伝えしたいこと

勤務時代は、与えられた環境で仕事をするという状況ですが、開業すると自由に自分のつくりたい事務所を職員と共に作ることができます。また、職員だけでなく、税理士の先輩方、仲間とのかかわりも重要です。

開業するということは経営者になるということであり、その都度、選択と判断を迫られます。その意思決定がブレないために、私を支えてくれるヒトたちを大事にしたいと思います。

このコラムを読んでくださっている皆様は、どのような税理士になりたいですか?
どのような事務所をつくりたいですか?