注目の判例

会社法

2022.01.11
新株予約権無償割当差止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件 new
LEX/DB25591322/東京高等裁判所 令和 3年11月 9日 決定 (抗告審)/令和3年(ラ)第2391号
相手方(債務者)の株主である抗告人(債権者)らが、相手方に対し、相手方取締役会によって導入が決定されたいわゆる有事導入型買収防衛策に基づく対抗措置の本件新株予約権無償割当てについて、〔1〕株主平等の原則(会社法109条1項)に違反する法令違反がある、〔2〕著しく不公正な方法により行われるものである旨主張して、同法247条1号及び2号(類推適用)に基づき、これを仮に差し止めることを求めたところ、原審は、被保全権利についての疎明がされていないとして、抗告人らの本件申立てをいずれも却下したので、これに不服の抗告人らが本件抗告をした事案で、抗告人らの本件申立ては、被保全権利(会社法247条1号及び2号(類推適用)の差止請求権)についての疎明がされていないので、抗告人らの本件申立てはいずれも却下すべきであるから,これと同旨の原決定は相当であるとし、抗告人らの本件抗告はいずれも棄却した事例。
2021.11.09
株主総会招集許可申立事件(日邦産業株主総会招集許可申立事件)
LEX/DB25590929/名古屋地方裁判所 令和 3年 7月14日 決定 (第一審)/令和3年(ヒ)第24号
利害関係参加人の総株主の議決権の100分の3以上を6か月前から引き続き有する株主である申立人が、「2021年4月24日付で無償割当ての効力が発生した新株予約権の無償取得の件」を株主総会の目的として、利害関係参加人に対し、株主総会の招集を請求したが、利害関係参加人がこれに応じないと主張して、会社法297条4項に基づき、申立人が、上記議題を株主総会の目的とする利害関係参加人の株主総会を招集する許可を求めた事案において、本件招集請求に係る議題は、会社法297条1項の「株主総会の目的である事項」に該当しないとして、本件申立てを却下した事例。
2021.08.24
株主総会決議取消請求事件(第1事件、第2事件)(乾汽船の株主総会決議取消請求事件)
LEX/DB25590307/東京地方裁判所 令和 3年 4月 8日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第24145号 等
被告の株主である原告が、被告に対し、令和元年6月開催の定時株主総会における取締役選任議案、買収防衛策導入議案等を可決する各決議には、無効な委任状に基づく議決権行使、違法な投票用紙に基づく議決権行使、招集通知等における虚偽記載ないし重要事項の不記載、議決権行使書面の不適切集計等の瑕疵があり、招集手続又は決議方法に法令違反若しくは著しい不公正があるとして、会社法831条1項1号(平成17年法律第86号)に基づき、各決議の取消しを求めた事案(第1事件)、原告が、被告に対し、令和2年6月の定時株主総会における取締役選任議案、情報提供要請承認議案等の各議案を可決する各決議には、招集通知の発送日の期間制限違反、招集通知等における虚偽記載ないし重要事項の不記載、議決権行使書面の不適切集計の瑕疵があり、招集手続又は決議方法に法令違反若しくは著しい不公正があるとして、同法831条1項1号に基づき、各決議の取消しを求め、また、情報提供要請承認議案については特別利害関係人による議決権行使によって著しく不公正な決議がされたとして、同項3号に基づき、当該決議の取消しを求めた事案(第2事件)において、本件訴えのうち、令和元年総会の取締役選任議案の取消しを求める部分はその利益を欠くから却下し、その余の請求についてはいずれも棄却した事例。
2021.07.27
損害賠償請求事件
LEX/DB25571651/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 7月19日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1968号
株式会社である上告人が、その監査役であった被上告人に対し、被上告人がその任務を怠ったことにより、上告人の従業員による継続的な横領の発覚が遅れて損害が生じたと主張して、会社法423条1項に基づき、損害賠償を求めたところ、原審は、被上告人はその任務を怠ってはいないとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、会計限定監査役は、計算書類等の監査を行うに当たり、会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでない場合であっても、計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば、常にその任務を尽くしたといえるものではないと判示し、これと異なる見解に立って、被上告人はその任務を怠ってはいないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人が任務を怠ったと認められるか否かについては、上告人における本件口座に係る預金の重要性の程度、その管理状況等の諸事情に照らして被上告人が適切な方法により監査を行ったといえるか否かにつき更に審理を尽くして判断する必要があり、また、任務を怠ったと認められる場合にはそのことと相当因果関係のある損害の有無等についても審理をする必要があるから、本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。
2021.07.27
保全異議申立事件の決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告申立て事件
LEX/DB25569666/名古屋高等裁判所 令和 3年 5月14日 決定 (許可抗告審)/令和3年(ラ許)第33号
申立人・会社が、保全異議申立事件の決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告を申し立てた事案で、高等裁判所の決定に対しては、特別抗告のほか、最高裁判所の判例と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合であるとして、高等裁判所が許可したときに限り、最高裁判所に抗告をすることができるところ(民事訴訟法337条1項、2項)、申立人が本件抗告許可申立ての理由として主張するところを検討しても、申立人が差止めを求めていた本件新株予約権無償割当ての効力が既に発生していることは公知の事実であり、もはや当該無償割当てを差し止める余地はないから、結局、原決定についてその結論を左右するような許可抗告事由を含むものとは認められず、本件申立ては、民事訴訟法337条2項所定の抗告を許可すべき場合に該当しないとして、本件抗告を許可しなかった事例。
2021.07.20
株主総会議事録閲覧謄写請求事件
LEX/DB25571628/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 7月 5日 判決 (上告審)/令和1年(受)第2052号
上告人の株式4万4400株(本件株式)を有していた被上告人が、上告人に対し、被上告人は本件株式の価格の支払請求権を有しており上告人の債権者に当たるなどと主張して、会社法318条4項に基づき、その株主総会議事録の閲覧及び謄写を求めた事案の上告審において、会社法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は、同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても、上記株式の価格につき会社との協議が調い又はその決定に係る裁判が確定するまでは、同法318条4項にいう債権者に当たると判示し、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2021.07.20
損害賠償請求控訴事件(SMBC日興証券インサイダーを巡る執行役員に対する損害賠償請求控訴事件)
LEX/DB25590025/東京高等裁判所 令和 3年 3月25日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第1325号
控訴会社(証券会社)の執行役員で投資銀行本部副本部長であった被控訴人が、株式公開買付けが実施される予定の会社3社についてのその実施に関する情報を、その公表前に控訴会社内の会議で知ったところ、3社の株式公開買付け実施に関する情報(本件インサイダー情報)を、知人のBに漏洩し、Bが知人のF名義でそれらの会社の株式を購入したとして金融商品取引法167条3項違反の罪で逮捕され、地方裁判所で懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を受け、控訴審の高等裁判所は控訴棄却の判決をし、最高裁判所は上告棄却の決定をして、被控訴人に対する有罪判決が確定したことから、控訴会社が被控訴人に対し、不法行為(又は債務不履行)に基づき、控訴会社が被ったと主張する6億1191万1411円の損害の一部である5991万1411円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、被控訴人の犯罪行為の事実を否定し、控訴会社の請求を棄却したため、控訴会社が控訴した事案で、原判決を取消し、控訴会社の請求は、被控訴人に対し、1500万円及びこれに対する不法行為又は債務不履行の後である平成24年8月7日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で一部認容し、その余の控訴人の請求は棄却した事例。
2021.06.29
新株予約権無償割当差止仮処分決定認可決定に対する保全抗告事件(日本アジアグループ事件)
LEX/DB25569527/東京高等裁判所 令和 3年 4月23日 決定 (抗告審)/令和3年(ラ)第798号
抗告人の株主である相手方が、抗告人に対し、抗告人が取締役会決議に基づいて現に手続中の株主に対する甲種新株予約権の無償割当ては、〔1〕株主平等の原則に反し、〔2〕著しく不公正な方法によるものであると主張して、会社法247条1号及び2号に基づき、これを仮に差し止めることを求め(基本事件)、これに対し東京地方裁判所が、上記新株予約権の無償割当てを仮に差し止める旨の決定をしたところ、本件仮差止決定を不服とする抗告人が保全異議を申し立て、原審が本件仮差止決定を認可する旨の決定をしたため、原審決定を不服とする抗告人が保全抗告を申し立てた事案で、本件新株予約権無償割当ては、抗告人の経営支配権に現に争いがある場合において、抗告人株式の敵対的買収によって経営支配権を争う相手方らの株券等保有割合を低下させ、経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持・確保することを主要な目的とするものであり、新株予約権の無償割当てに類推適用される会社法247条2号の「新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合」に該当するというべきであるところ、それにより相手方が不利益を受けるおそれがあると一応認められるのであるから、相手方はその差止請求権を有するとして、抗告人の本件新株予約権無償割当てにより、債権者が著しい損害を被ることが一応認められるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.06.29
保全異議申立事件の決定に対する保全抗告事件(日邦産業事件)
LEX/DB25569526/名古屋高等裁判所 令和 3年 4月22日 決定 (抗告審)/令和3年(ラ)第138号
相手方の株主である抗告人が、相手方の取締役会決議に基づく新株予約権無償割当ては、株主平等の原則(会社法109条1項)に違反し、著しく不公正な方法によるものであるとして、相手方に対し、会社法247条(類推適用)により、当該新株予約権無償割当てを仮に差し止めることを求め、保全裁判所が、抗告人の上記仮処分の申立てを認容する決定をしたので、相手方が保全異議を申し立てたところ、原審が原々決定を取り消し、基本事件に係る抗告人の申立てを却下する旨の原決定をしたことから、これを不服とする抗告人が本件抗告をした事案で、抗告人の本件仮処分の申立てについては、被保全権利の疎明がないから、原々決定を取り消し、基本事件に係る抗告人の申立てを却下するのが相当であると判断するとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.03.09
新株発行差止等仮処分命令申立事件、独立当事者参加申出事件
LEX/DB25568614/名古屋地方裁判所一宮支部 令和 2年12月24日 決定 (第一審)/令和2年(ヨ)第12号 等
債務者・会社が、当該取締役会決議に基づいて、本件新株予約権及び本件新株予約権付社債を第三者割当ての方法により発行したことについて、債務者の株主である債権者が、被保全権利(差止事由)につき、本件新株予約権等の行使に応じてする債務者の新株発行を仮に差し止めるよう求めたのに対し、本件新株予約権等の引受人である各参加人が、それぞれ債権者の本件各申立手続の結果によりその権利が害されると主張して独立当事者参加の申出をし、参加人らの債務者に対する本件新株予約権等に基づき新株予約権を行使して、債務者の株式の発行を受ける地位にあることを被保全権利として、〔1〕債権者及び債務者との間で、本件新株予約権等の新株予約権を行使して債務者から普通株式の発行を受けることができる地位にあることを仮に定めること、〔2〕債務者は、参加人らが本件新株予約権等の新株予約権を行使した場合に、参加人らに対して、それぞれ普通株式を発行しなければならないこと、〔3〕債権者の本件各申立ての却下を求める旨の各申立てをした事案で、新株予約権発行の無効原因については、取引の安全、法的安定性の見地から限定的に解すべきであることからすれば、本件有価証券届出書において、払込金額の算定理由の記載や市場流動性の制約に関する記載がないことを理由に公示義務違反に当たるとして、新株予約権発行の無効原因があると解することはできず、また、本件新株予約権等の発行について、有利発行や不公正発行をその無効原因と解することはできないなどから、債権者の申立てはいずれも理由がないとして却下し、参加人らの本件各申立ては、いずれも保全の必要性があるとは認められないとして却下した事例。
2021.01.19
株主総会開催禁止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25567503/東京高等裁判所 令和 2年11月 2日 決定 (抗告審)/令和2年(ラ)第1851号
P社の監査役である抗告人(原審債権者)が、P社の株主である相手方(原審債務者)が裁判所の招集許可決定に基づいて総会開催日時を令和2年11月6日午前11時からとして招集した臨時株主総会の開催には違法があるなどと主張して、会社法385条類推適用による監査役の招集株主に対する違法行為差止請求権に基づき、本件臨時株主総会の開催の禁止を求める旨の訴えを本案として、本件臨時株主総会の開催を禁止する旨の仮処分命令を求めたところ、原審は、本件臨時株主総会の招集の手続や決議の方法について、法令若しくは定款に違反し、又はそのおそれがあるものとは認められず、被保全権利を認めることができないとして、抗告人の申立てを却下する旨の決定をしたため、抗告人は、これを不服として抗告した事案において、委任状による議決権行使をする株主に対する相手方のクオカードの贈与の表明を理由として、保全処分として本件臨時株主総会の開催禁止を求める旨の抗告人の申立てについては、保全の必要性を認めることはできないとし、本件申立てを却下した原決定は、その結論において正当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.01.05
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」会社法分野 令和3年3月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571218/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月22日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1961号
東京証券取引所マザーズに上場された本件会社の株式を取得した者又はその承継人である上告人らが、本件会社が上場に当たり提出した有価証券届出書に架空売上げの計上による虚偽の記載があったなどと主張して、本件会社等と元引受契約を締結していた金融商品取引業者のうち主幹事会社であったM証券株式会社を吸収合併した被上告人に対し、当該株式のうち募集又は売出しに応じて取得したものにつき金融商品取引法21条1項4号に基づく損害賠償を請求し、原審は、本件有価証券届出書には、金商法193条の2第1項に規定する「財務計算に関する書類」に係る部分(財務計算部分)に、重要な事項について本件虚偽記載が存在したところ、被上告人は本件虚偽記載の事実を知らなかったなどとして、被上告人の金商法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責を認め、募集又は売出しに応じて取得した本件会社の株式についての被上告人に対する同条1項4号に基づく損害賠償請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、被上告人は、金商法21条1項4号の損害賠償責任につき、同条2項3号による免責を受けることはできないとして、募集又は売出しに応じて取得した本件会社の株式についての被上告人に対する損害賠償請求を棄却した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、上記請求を棄却した部分は破棄を免れないとし、上告人らの損害額について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2020.12.15
損害賠償請求、共同訴訟参加控訴事件(ユニバーサルエンターテインメント元代表取締役に対する損害賠償請求事件控訴審)
LEX/DB25567119/東京高等裁判所 令和 2年 9月16日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第1081号
パチスロ機及びパチンコ機並びにその周辺機器の開発、製造、販売等を行い、東京証券取引所ジャスダック市場に上場している被控訴人会社(原告)が、海外事業統括の業務を委嘱された取締役であり、かつ、海外子会社の代表者であった控訴人(被告)に対し、これらの役職に在任していた当時、控訴人が、〔1〕控訴人及び控訴人の親族の資産管理会社であり、被控訴人会社の親会社でもある香港法人の第三者に対する貸金債権を回収する目的等で、被控訴人会社の海外子会社の代表者として、当該第三者が関与する会社に対して1億3500万香港ドルを貸し付け(本件行為〔1〕)、〔2〕自己の利益を図る目的で、被控訴人会社の海外子会社の代表者として、受取人白地の額面金額1600万香港ドルの小切手を振り出し(本件行為〔2〕)、〔3〕上記資産管理会社が金融機関から借入れを行う際に、被控訴人会社の海外孫会社の取締役に指示をして、当該会社の預金を担保に供させた上で、同資産管理会社が負担すべき利息相当額等を当該会社に支払わせたが(本件行為〔3〕)、控訴人の上記各行為は、被控訴人会社の取締役としての善管注意義務及び忠実義務に反するものであり、被控訴人会社はその調査のために調査委員会を設置してその費用を支払ったところ、控訴人の任務懈怠と被控訴人会社の上記費用の支払との間には相当因果関係が認められるとして、会社法423条1項に基づき、同費用相当額の損害金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、被控訴人会社の株主である被控訴人X2が共同訴訟参加をし、原審は、被控訴人会社の請求を認容したので、これを不服として、控訴人が控訴した事案において、控訴審も被控訴人会社の請求を認容すべきものと判断し、原判決は正当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2020.09.15
総会決議無効確認等請求事件
LEX/DB25571033/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 9月 3日 判決 (上告審)/平成31年(受)第558号
上告人(事業協同組合)が、被上告人(組合員)に対し、〔1〕平成28年5月16日に行われた被上告人の役員選挙について、中小企業等協同組合法54条において準用する会社法831条1項1号に基づき、その取消しを求めるとともに、〔2〕上記選挙中の理事の選出に関する部分を取り消す旨の判決の確定を条件に、平成30年5月28日に行われた被上告人の役員選挙の不存在確認を求め、原審は、本件各取消請求及び本件各不存在確認請求に係る訴えを却下したため、上告人が上告した事案で、事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しを求める訴えに、同選挙が取り消されるべきものであることを理由として後任理事又は監事を選出する後行の選挙の効力を争う訴えが併合されている場合には、特段の事情がない限り、先行の選挙の取消しを求める訴えの利益は消滅しないと判示し、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、本件選挙の取消事由の存否等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2020.06.30
LEX/DB25565727/大阪地方裁判所 令和 2年 4月22日 決定 (第一審)/令和2年(ヨ)第30016号
S社の発行する株式を6箇月以上引き続き保有する株主である債権者(S社の取締役でもある。)が、債務者(S社の取締役兼代表取締役)に対し、定時株主総会を招集する旨取締役会で決議し、令和2年4月6日、株主に対し招集通知等を発送した後、債務者は、令和2年4月15日、S社の代表取締役として、本件定時総会の場所をホテル大宴会場からその北隣にある本社入居ビルの35階空きフロアにした変更は、招集手続に関する法令に違反した債務者の違法行為であり、本件変更を前提に35階空きフロアで本件定時総会を開催することは債務者のS社に対する善管注意義務違反の違法行為であるとして、会社法360条3項において読み替えて適用する同条1項に基づく差止請求権を被保全権利として、本件定時総会の開催禁止を求める仮の地位に基づく仮処分命令の申立てをした事案において、本件仮処分命令申立ては、被保全権利の疎明を欠くものとし、却下した事例。
2020.06.02
損害賠償請求(株主代表訴訟)事件、共同訴訟参加事件
(みずほフィナンシャルグループ元取締役らに対する株主代表訴訟事件)
LEX/DB25565315/東京地方裁判所 令和 2年 2月27日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第7784号 等
株式会社Mフィナンシャルグループ(MFG)の株主である原告及び原告共同訴訟参加人が、MFGの取締役であった被告らに対し、MFGの完全子会社である株式会社M銀行(MBK)と株式会社O社との提携ローンにおいて、融資先に、MFGの内部の基準によれば反社会的勢力に該当する者が含まれていることを認識したにもかかわらず、MFGの取締役として、〔1〕新たに反社会的勢力との取引が発生することを防止するための体制を構築する義務及び〔2〕MBKに対し、認識した当該反社会的勢力との取引を解消するために具体的な措置を講じるよう求める義務を負っていたにもかかわらず、これを怠ったという善管注意義務違反によって、MFGが業務停止や信用毀損等の合計24億1419万3419円の損害を被ったなどと主張して、会社法423条1項、同法847条3項に基づき、被告らに対し、連帯して、MFGに同損害に相当する額の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件提携ローンにおける取引先に反社会的勢力が結果的に入っていたとしても、MFGやMBKが政策的な観点から非難され、あるいは改善を求められることは格別、そのような結果のみをもって、MFGの取締役であった被告らについて、法的義務違反として責任追及をすることができるものでもないとして、原告及び原告共同訴訟参加人の請求をいずれも棄却した事例。
2020.04.14
損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件
LEX/DB25565089/東京地方裁判所 令和 2年 2月13日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第40038号等
パチスロ機及びパチンコ機並びにその周辺機器の開発、製造、販売等を行い、東京証券取引所ジャスダック市場に上場している原告が、海外事業統括の業務を委嘱された取締役であり、かつ、海外子会社の代表者であった被告に対し、これらの役職に在任していた当時、被告が、〔1〕被告及び被告の親族の資産管理会社であり、原告の親会社でもある香港法人の第三者に対する貸金債権を回収する目的等で、原告の海外子会社の代表者として、当該第三者が関与する会社に対して1億3500万香港ドルを貸し付けた行為、〔2〕自己の個人的な利益を図る目的で、原告の海外子会社の代表者として、受取人白地の1600万香港ドルの小切手を振り出した行為、〔3〕上記資産管理会社が金融機関から借入れを行う際に、原告の海外孫会社の取締役に指示をし、当該会社の預金を担保に供させた上で、同資産管理会社が負担すべき利息相当額等を当該会社に支払わせたとして、被告の上記各行為は、原告の取締役としての善管注意義務、忠実義務に反するものであり、原告はその調査のために調査委員会を設置してその費用を支払ったところ、被告の任務懈怠と原告の同費用の支払との間には相当因果関係が認められるとして、会社法423条1項に基づき、同費用相当額の損害金の支払等を求めた事案で、被告の任務懈怠と原告が支払った調査費用との間に相当因果関係を認め、原告の請求を認容した事例。
2019.10.01
株主提案議題等記載仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
(ヨロズ株主提案議題等記載仮処分申立事件)
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LEX/DB25563564/東京高等裁判所 令和 1年 5月27日 決定 (抗告審)/令和1年(ラ)第986号
抗告人(原審債権者)が、相手方(原審債務者)に対し、令和元年6月17日に開催予定の相手方の定時株主総会に関し、会社法303条2項に基づく本件議題に係る議題提案権及び会社法305条1項に基づく本件議題に係る議案要領通知請求権を被保全権利として、本件株主総会の招集通知及び株主総会参考書類に別紙記載の本件議題並びに本件議題に係る議案の要領及び提案の理由の全文を記載することを命じる旨の満足的仮処分を申し立てたところ、原審は、本件申立てについては保全の必要性を認めることができないなどとして、これを却下する旨の決定をしたため、抗告人が、これを不服として抗告した事案で、原決定は結論において相当であるとし、本件抗告を棄却した事例。
2019.08.27
各取締役に対する損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件
LEX/DB25570365/東京高等裁判所 令和 1年 5月16日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第2968号 等
一審原告会社及び一審原告株主が、巨額の金融資産の損失の計上を避けるために、ファンド等に金融資産を買い取らせるなどして損失を分離した上、それを解消するために企業を買収するなどした結果、金利及びファンド運用手数料等の支払を余儀なくされ、虚偽の記載のある有価証券報告書等の提出により、罰金の納付を余儀なくされたなどとして、取締役らに対し損害賠償を請求するなどした事案の控訴審において、本件罰則等が科されたのは、一審被告A5らが取締役として判断、意思決定をして虚偽記載がある本件有価証券報告書等を提出した結果であって、承継前一審被告A1及び一審被告A2による本件善管注意義務違反と本件罰則等の損害との間に相当因果関係を認めることはできないとし、請求を一部認容した原判決を一部取り消し、一部変更した事例。
2018.06.26
各損害賠償請求控訴事件(みずほ証券等に対する粉飾決算損害賠償請求控訴事件)
LEX/DB25560345/東京高等裁判所 平成30年 3月23日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第1110号
半導体製造装置の製作販売会社であるF社が、大規模な架空の売上げを計上して粉飾決算を繰り返した上、虚偽記載のある有価証券届出書を提出してマザーズ市場への上場を行ったところ、その後、証券取引等監視委員会の強制調査により上記粉飾決算の事実が明らかになり上記有価証券届出書等の虚偽記載が判明したことから、上場時の募集若しくは売出しに応じ、又は上場後の取引所市場においてF社株式を取得した第1審原告らが、F社の役員、F社株式の募集又は売出しを行った元引受証券会社、販売を受託した証券会社、当該売出しに係る株式の所有者(売出所有者)、第1審被告東証及び上場審査を担当する第1審被告自主規制法人に対し、それぞれ損害賠償を求め、原審は、第1審原告らの請求のうち、F社の役員に対する請求の全部及び元引受証券会社のうち主幹事証券会社であった第1審被告M証券に対する請求の一部を認容し、その余の請求をいずれも棄却したため、第1審原告らが棄却部分の認容を求め、F社の監査役であった第1審被告P1及び第1審被告M証券が認容部分の棄却を求めてそれぞれ控訴した事案において、第1審被告M証券の本件控訴に基づき、原判決主文2項を取消し、第1審原告ら(ただし、別紙損害一覧表の「A類型損害」欄の記載が0円である者を除く。)の第1審被告M証券に対する請求をいずれも棄却し、第1審原告ら及び第1審被告P1の本件各控訴を、いずれも棄却した。なお、訴訟承継前第1審原告らは、いずれも原審の訴訟提起後に死亡し、第1審原告訴訟承継人らが、当審で訴訟手続を承継したので、民事訴訟法257条により、原判決主文1項の第1審被告P1に関する部分のうち訴訟承継前第1審原告らに関する部分を更正した事例。