注目の判例

会社法

2017.06.20
損害賠償請求事件(第1事件、第2事件、第3事件、第4事件、第5事件)
(みずほ証券等に対する粉飾決算損害賠償請求事件) 
LEX/DB25545277/東京地方裁判所 平成28年12月20日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第36767号 等
半導体製造装置の制作販売会社であるF社が、架空の売上げを計上して粉飾決算を行い、虚偽記載のある有価証券届出書を提出して東京証券取引所の市場であるマザーズへの上場を行ったところ、その後上記粉飾決算の事実が明らかになったことから、上場時の募集若しくは売出しに応じ、又は上場後の取引所市場においてF社株式を取得した原告らが、F社の役員、同社株式の募集又は売出しを行った元引受証券会社及び販売を受託した証券会社、当該売出しに係る株式の所有者並びに東京証券取引所等を被告として、金融商品取引法21条1項1号、2号、4号、22条1項及び17条、会社法429条2項又は民法上の不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案において、被告役員らの金商法上の責任を認めたほか、本件上場手続に関与した被告M証券について、A類型原告らの金商法21条1項4号に基づく請求及び同法17条に基づく請求はいずれも理由があるなどとした事例。
2017.03.07
株式価格決定に対する抗告事件 
LEX/DB25544950/東京高等裁判所 平成29年 1月30日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第1890号
抗告人らが保有する対象会社の普通株式の売買価格を1株につき370円と定めた原決定は相当であるとして、本件各抗告を棄却した事例。
2016.12.06
金融商品取引法違反被告事件 
LEX/DB25448282/最高裁判所第一小法廷 平成28年11月28日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第168号
経済産業省大臣官房審議官として、経済産業大臣の命を受けて、同省商務情報政策局情報通信機器課が所掌する半導体素子、集積回路その他情報通信機器等の部品等に関する事業の発達、改善及び調整等の事務の企画及び立案に参画し、関係事務を総括整理するなどの職務に従事していた被告人が、職務上知り得た情報を利用して、被告人の妻名義で、2社の株券合計8000株を代金合計795万6900円で買い付けたとする金融商品取引法違反被告事件で、原判決が、懲役1年6月(執行猶予3年)、罰金100万円の第1審判決を是認したため、被告人が上告した事案において、会社の意思決定に関する重要事実を内容とする報道がされたとしても、情報源が公にされない限り、金融商品取引法166条1項によるインサイダー取引規制の効力が失われることはないと解すべきであるとし、本件犯罪事実を認定した第1審判決を是認した原判断は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.11.22
株式価格決定申立事件 
LEX/DB25544091/静岡地方裁判所沼津支部 平成28年10月 7日 決定 (第一審)/平成27年(ヒ)第4号 等
利害関係参加人が、対象会社の特別支配株主として、対象会社の株主(利害関係人及び対象会社を除く。)の全員に対して、会社法179条1項に基づく株式売渡請求を行ったところ、売渡株主である申立人らがその所有していた対象会社の普通株式について売買価格の決定の申立て(会社法179条の8第1項)を行った事案において、対象会社の普通株式の売買価格として決定すべき価格を公開買付けの価格と同額とするのが相当であるとし、申立人らが有する対象会社の普通株式の売買価格を1株あたり370円と定めた事例。
2016.09.06
損害賠償請求控訴事件(オリンパス粉飾決算事件 2審も賠償命令) 
LEX/DB25543406/大阪高等裁判所 平成28年 6月29日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第2577号
一審原告らは、原審で、一審被告O社の株式を取得した一審原告らが、一審被告において提出し、公衆の縦覧に供された平成13年3月期~平成24年3月期第1四半期に係る各有価証券報告書及び四半期報告書に、連結純資産額について約500億円~約1200億円を嵩上げする等の虚偽記載があったことにより損害を被ったと主張して、民法709条又は一審原告P3及び一審原告P9が平成23年5月以降に取得したO社株式については、平成26年5月30日法律第44号附則2条による改正前の金融商品取引法21条の2による損害賠償請求権に基づき、原判決別紙損害等一覧表の「請求額」記載の各金員及び同各金員に対する遅延損害金の支払を求め、原判決が、一審原告P1につき100万6720円、一審原告P2につき153万8240円、一審原告P3に対し、732万6264円、一審原告P4につき268万9764円、一審原告P5につき363万2200円、一審原告O興業につき33万0220円,一審原告E社につき33万0220円、一審原告P7につき30万6625円、一審原告P8につき16万7103円、一審原告P9につき164万1772円、一審原告P10に対し、188万1440円、及びこれに対する各遅延損害金の各支払請求の限度で認容し、その余の請求を棄却したところ、一審原告らが、原判決の一審原告ら敗訴部分を不服とし、一審被告が、原判決の一審被告敗訴部分を不服として、控訴した事案において、原判決を変更し、一審原告らは、一審被告に対し、民法709条による損害賠償請求権に基づき、一審原告らの各請求を主文第1項の(1)~(11)の限度で認容し、その余の請求をいずれも棄却した事例。
2016.07.19
株式取得価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
「新・判例解説Watch」H28.9中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448039/最高裁判所第一小法廷 平成28年 7月 1日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第4号等
平成28年(許)第4号抗告人・同第5号ないし第20号相手方(以下「抗告人」)による全部取得条項付種類株式の取得に反対した抗告人の株主である同第4号相手方ら・同第5号ないし第20号抗告人ら(以下「相手方ら」)が、会社法172条1項(平成26年法律第90号による改正前)に基づき、全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定の申立てをし、原審は、本件買付価格を本件株式の取得価格として採用することはできないとしたため、抗告人が抗告した事案において、原決定を破棄し、本件株式の取得価格は、抗告人の主張するとおり、原則として本件買付価格と同額となるものというべきであり、本件の一連の取引においてその基礎となった事情に予期しない変動が生じたとは認められないとして、原々決定を取消し、相手方らが有していた別紙保有株式数一覧表記載の抗告人の全部取得条項付種類株式の取得価格をいずれも1株につき12万3000円とすることとした事例(補足意見がある)。
2016.07.05
社債償還請求事件(大塚家具 社債償還訴訟 父側勝訴) 
LEX/DB25542981/東京地方裁判所 平成28年 4月11日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第28394号
被告(原告の長女が役員を務める不動産の管理業等を目的とした株式会社)の社債権者である原告が、被告に対し、社債の償還期限が経過したとして、社債償還請求権に基づき、社債元本及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告は、原告に対し、社債元本(15億円)と償還期限の翌日以降の遅延損害金を支払う義務があるとし、原告の請求を全部認容した事例。
2016.05.17
損害賠償、連帯債務履行請求控訴事件
LEX/DB25542340/東京高等裁判所 平成27年 8月27日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1630号
訴外会社の普通社債を取得した一審原告(ケイマン諸島の法律に基づき設立された会社)が、被告銀行を割当先とする同社の転換社債型新株予約権付社債の発行に際して作成された臨時報告書等に、同社が転換社債型新株予約権付社債発行により調達する資金を一審被告銀行との間で締結された2つのスワップ契約に基づく支払いに充てる旨公表しなかったことにより、損害を被ったとして、一審被告銀行及びその100パーセント子会社である一審被告甲社、一審被告甲社から事業を譲り受けた一審被告乙証券に対し、損害賠償を請求し、原審が被告甲社に対する請求を一部認容した事案において、一審原告及び一審被告甲社の控訴をいずれも棄却した事例。
2016.05.10
株式取得価格決定に対する抗告、同附帯抗告事件 
LEX/DB25542515/東京高等裁判所 平成28年 3月28日 決定 (抗告審)/平成27年(ラ)第991号 等
東宝による利害関係参加人を完全子会社化する取引の一環として、利害関係参加人の株式の公開買付け後にされた利害関係参加人による全部取得条項付種類株式の全部の取得について、原審申立人らが、会社法172条1項に基づき、保有していた利害関係参加人の全部取得条項付普通株式の取得価格の決定を求め、原審は、上記株式の取得価格は、1株につき835円とすると決定し、原審申立人ら及び利害関係参加人が抗告し、附帯抗告人が附帯抗告した事案において、裁判所が裁量により取得価格を決定するに際し、公正な手続を実質的に履践して定められたと認められる公開買付価格に依拠せずに、新たに価格を決定し直すべき特段の事情はないものと思料されるとして、上記株式の取得価格は1株につき735円と定めるのが相当であるところ、これと異なり1株につき835円と定めた原決定は不当であるとし、原決定を変更した事例。
2016.04.12
地位確認等請求事件(野村證券の社員解雇無効)
LEX/DB25542267/東京地方裁判所 平成28年 2月26日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第29263号
被告(有価証券の売買の媒介、取次ぎ及び代理、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い等を目的とする株式会社)との間で労働契約を締結していた原告が、被告に対し、被告による平成24年6月29日付け懲戒解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、労働契約に基づき、平成24年7月1日から同月31日までの間の月例賃金の残金、同年8月1日以降の月例賃金及び平成25年以降の賞与並びにこれらに対する遅延損害金の各支払を求め、また、上記懲戒解雇が原告に対する不法行為を構成すると主張して、民法709条に基づき、慰謝料1000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件訴えのうち本判決確定後の月例賃金及び賞与の各請求に係る部分は不適法であるとして各支払請求に係る部分を却下し、原告が、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し、原告の請求を一部認容した事例。
2016.03.15
不足額填補責任履行請求・役員責任査定異議、保険金請求控訴事件 
LEX/DB25542008/大阪高等裁判所 平成28年 2月19日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1049号
原告(破産会社管財人。被控訴人)が、破産会社が第三者割当発行を行った相手方である被告H社に対し、会社法212条1項2号に基づき、現物出資にかかる不足額の内金の支払いを請求した事案(甲事件)、及び、破産会社に対し、同現物出資に関して、山林の価額を証明した訴外弁護士との間で、弁護士賠償責任保険契約を締結していた被告保険会社に対し、原告が、同訴外弁護士に代位して、保険契約に基づく保険金の支払いを請求(乙事件)をしたところ、原審は、原告の乙事件請求のうち、保険金3億円及び遅延損害金の支払を求める限度で認容したため、被告損害保険会社が控訴した(なお、原告の被告Hに対する甲事件請求は、全部認容されたが、被告H社は控訴しなかったため、原判決が確定。)事案において、原判決は相当であるとし、被告損害保険会社の控訴を棄却した事例。
2016.02.02
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」H28.4上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447720/最高裁判所第二小法廷 平成28年 1月22日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第156号
高知県安芸郡東洋町がA漁協に対し漁業災害対策資金として1000万円を貸し付けたことにつき、同町の住民である原告(控訴人・被上告人)が、当該貸付けに係る支出負担行為及び支出命令が違法であるなどとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、同町の執行機関である上告人を相手に、当時の被告(被控訴人・上告人)町長、副町長、会計管理者に対し1000万円の損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟で、第一審は、当該支出負担行為等について、被告らが損害賠償責任を負うものではないとし、請求を棄却したため、原告が控訴し、控訴審は、原判決を取り消し、本件訴え中、副町長及び会計管理者に対し連帯して1000万円を支払うよう請求することの請求に係る部分をいずれも却下し、東洋町長に対して1000万円を支払うよう請求することを命じたため、被告東洋町長が、上告した事案において、当該支出負担行為等が町長の裁量権の範囲を逸脱してされたものであって違法であり、被告東洋町長は損害賠償責任を負うとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中被告敗訴部分を破棄し、高裁へ差し戻しを命じた事例。
2015.11.04
損害賠償請求事件(株式会社サイゼリヤ VS BNPパリバ証券株式会社)
LEX/DB25541191/東京地方裁判所 平成27年 8月28日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第16105号
被告証券会社を介して被告銀行との間で通貨スワップ取引を行った原告が、(1)その通貨スワップ取引は公序良俗に反して無効であるから、被告証券会社及び被告銀行には不当利得返還義務がある、(2)その通貨スワップ取引の勧誘は適合性原則又は説明義務に違反するから、被告証券会社及び被告銀行には債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償義務がある、(3)被告新証券会社は被告証券会社から事業譲渡を受けてその債務を重畳的に引受けたから、同様の義務があると主張して、被告らに対し、不当利得返還請求権又は債務不履行若しくは不法行為による損害賠償請求権に基づき、上記各取引に係る解約清算金相当額の168億4100万円及びこれに対する利息又は遅延損害金の連帯支払を求めた事案において、原告の請求はいずれも理由がないとし、請求を棄却した事例。
2015.08.18
損害賠償請求事件 (株主 VS オリンパス株式会社)
LEX/DB25540718/大阪地方裁判所 平成27年 7月21日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第3287号等
被告会社の株式を取得した原告らが、被告会社において提出し、公衆の縦覧に供された平成13年3月期~平成24年3月期第1四半期に係る各有価証券報告書及び四半期報告書に、連結純資産額について約500億円~約1200億円を嵩上げする等の虚偽記載があったことにより損害を被ったと主張して、民法709条又は原告Z3及び原告Z11が平成23年5月以降に取得した株式については金融商品取引法21条の2による損害賠償請求権に基づき、各金員及び各金員に対する各訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らの請求を一部認容した事例。
2015.08.11
各株主総会決議取消請求控訴事件(アムスク株主総会決議取消請求事件控訴審判決)
LEX/DB25540596/東京高等裁判所 平成27年 3月12日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第3215号
被告(控訴人兼被控訴人)の定時株主総会におけるAを取締役に選任する決議、剰余金処分の件を可決する旨の決議等について、原告ら(被控訴人兼控訴人)が、各決議の取消しを求めたところ、原告らの請求が一部認容、一部棄却されたため、双方が控訴した事案において、本件第2回種類株主総会決議に決議の取消事由たる瑕疵があることを理由に本件再株主総会の決議をもって本件第2回種類株主総会決議を追認するということは、平成26年7月4日にされた本件再株主総会の決議の効力を本件第2回種類株主総会決議の時点まで遡及させるということにほかならず、株主総会決議の効力を遡及させることによって、法令により保護されている関係者の手続上の権利利益が害されるときは、その遡及的効力を認めることはできないと解すべきであり、本件再株主総会決議によって本件全部取得議案の決議取消の訴えの利益が失われることにはならないとし、本件控訴をいずれも棄却した事例。
2015.08.04
損害賠償請求事件 ((株)ゲオホールディングス旧経営陣に賠償命令)
LEX/DB25540615/名古屋地方裁判所 平成27年 6月30日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1138号
原告の代表取締役会長であった被告Y1、同代表取締役社長であった被告Y2及び同取締役副社長であった被告Y3が、架空の業務委託契約等を複数締結し、それらの契約に基づき、原告の財産を不正に流出させた等と主張して、原告が被告らに対し、取締役の任務懈怠による損害賠償請求(会社法423条1項)又は不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)として、合計4億6539万3500円及びこれに対する各不法行為の日からいずれも支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の本件請求は、被告Y1について4億5265万5000円、被告Y3について3億3340万5000円、被告Y2について2億8415万5000円及び各支出日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で一部認容した事例。
2015.06.23
役員責任査定決定に対する異議の訴え・同反訴・損害賠償請求控訴事件
(セイクレスト監査役責任追及事件(控訴審))
LEX/DB25506307/大阪高等裁判所 平成27年 5月21日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第317号
破産会社の社外監査役であった原告(控訴人)が、本件査定決定を不服とし、原告には善管注意義務違反はないから損害賠償債務は負わないなどと主張して、管財人を被告として、本件査定決定の取消しを求めて同決定に対する異議の訴えを提起した事案の控訴審において、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2015.04.14
各損害賠償請求事件(株主VS株式会社IHI)
LEX/DB25505951/東京地方裁判所 平成26年11月27日 判決 (第一審)/平成20年(ワ)第27292号等
被告会社(東京証券取引所一部上場会社)が関東財務局長に対して(1)平成18年9月中間期半期報告書及び(2)平成19年3月期有価証券報告書中に、重要な事項について虚偽の記載があり、原告らが流通市場又は発行市場において、虚偽の記載に係る情報を信用して被告会社株式を取得したことにより損害を被ったなどと主張して、被告会社に対し、流通市場で取得した原告ら、及び、発行市場で取得した原告らに対し、それぞれ損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めた事案において、企業会計準則の裁量を逸脱するものであったということができるから、前記各報告書には、金融商品取引法18条1項、金融商品取引法21条の2第1項にいう「虚偽の記載」があったと認めるのが相当であるとして、被告会社は、株主の原告ら146人に対し、約4800万円の支払を命じた事例。
2015.04.07
株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25447178/最高裁判所第一小法廷 平成27年3月26日 決定 (許可抗告審)/平成26年(許)第39号
相手方を吸収合併存続株式会社、A社を吸収合併消滅株式会社とする吸収合併に反対したA社の株主である抗告人が、A社に対し、抗告人の有する株式を公正な価格で買い取るよう請求したが、その価格の決定につき協議が調わないため、抗告人が、会社法786条2項に基づき、価格の決定の申立てをした事案の許可抗告審において、非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウントを行うことはできないと解し、これと反対の原審の判断には裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとし、原決定を破棄し、A社において将来期待される純利益の現在価値の合計は約3億6158万3000円で、発行済株式の総数は338万7000株であるから、株式の買取価格は抗告人の主張するとおり1株につき106円となるものというべきであるとして、原々決定を取消し、抗告人が有していたA社の株式の買取価格を1株につき106円とし、鑑定人に支払った鑑定料120万円については当事者の合意に照らして鑑定結果と各当事者の主張金額とのかい離額に応じて分担させることを命じた事例。
2015.03.10
損害賠償請求、共同訴訟参加申立控訴事件
LEX/DB25505769/高松高等裁判所 平成27年 2月 6日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第351号
被告(被控訴人)補助参加人の株主である原告及び参加原告(控訴人)らが、補助参加人の取締役である被告(被控訴人)に対し、関連会社α社においては簿外借入によって債務超過を隠蔽する粉飾決算が行われていたにもかかわらず、この簿外借入による粉飾決算の事実を看過した被告の善管注意義務違反により、関連会社α社の決算が粉飾ではなく、正当な決算であることを前提とする評価額での本件株式取得がされてしまい、その結果、補助参加人には、少なくとも4億8300万円の損害が生じたとして、会社法423条1項及び会社法847条に基づき、同損害金及び遅延損害金を補助参加人に支払うよう求めた責任追及等の訴え(株主代表訴訟)をしたところ、原審は、控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断し、請求をいずれも棄却するとの判決を言い渡したところ、控訴人らがこれを不服として控訴した事案において、原告及び参加原告らの請求は、いずれも理由がないと判断した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。