2014.09.09
傷害被告事件
LEX/DB25504506/大津地方裁判所 平成26年7月24日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第449号
英会話学校講師の被告人が、英会話学校内及び同校西側路上において、被害者(当時52歳)に対し、その頭部、顔面、頚部等を所携のカッターナイフ(刃体の長さ約2センチメートル)で多数回切り付ける暴行を加えて、被害者に20日間を要する後頭部、顔面、頚部等多発切創の傷害を負わせた事案において、被告人の行為は、被害者が教室に入っていきなり被告人の顔面を多数回殴り始めた点や、授業中に被害者の侵害を待ち受けていたわけではなかったこと、それ以前に、被害者からの攻撃がある可能性について警察に助けを何度も求めていたことを照らせば、護身用も兼ねてカッターナイフをポケット内に入れていたということを考慮しても、被害者を校内でカッターを切りつけた際には、被害者による急迫不正の侵害があったと認めることができ、被告人の被害者に対する反撃行為については正当防衛が成立し、また、校外に逃げた違法行為をした被害者を、被告人が現行犯人として逮捕して警察に引き渡そうとしたためと評価することができ、正当行為として違法性が阻却されるとし、被告人は傷害罪(ないし暴行罪)の責任を負わないとするのが相当であるとして、無罪を言い渡した事例。