「LEX/DBインターネット」の「新着判例」コーナー
から、実務・研究上重要と思われる「注目の判例」を
ピックアップしてご紹介します。

その他の最新収録判例は、「LEX/DBインターネット」
ログイン後のデータベース選択画面にあります
「新着判例」コーナーでご確認いただけます。

「LEX/DBインターネット」の詳細は、こちらからご確認いただけます。

2020.07.14
過失運転致傷被告事件
LEX/DB25565713/福岡地方裁判所 令和 2年 5月 7日 判決 (第一審)/平成30年(わ)第585号
被告人が過失運転致傷の罪で禁錮1年を求刑された事案で、主位的訴因について、被害者車両が本件防犯カメラ映像の見切り地点からほぼ直進して衝突地点で停止したとは合理的な疑いなく証明されているとはいえず、本件事故の原因は被告人が前方をよく見ていなかったからであるとの被告人の捜査段階の供述もそのまま信用することはできないから、そのような事実関係を前提とする主位的訴因の被告人の過失は、その余の点について検討するまでもなく認められず、また、予備的訴因について、仮に被告人が本件道路を進行するにあたり、前方左右を注視し、進路の安全を確認しながら進行していても、被害者車両が本件道路の第一車両通行帯の歩道寄りにいったん停止し、その後急加速して第二車両通行帯に車線変更してくることを予見し、同車両と被告人車両とが衝突地点で衝突することを回避することは困難であり、主位的訴因との関係でも、被告人に、本件事故に関し、予見可能性、結果回避可能性があったというには合理的な疑いが残ることから、主位的訴因、予備的訴因のいずれについても、本件の証拠関係を前提にする限り、各訴因の特定に欠けることはないが、本件では、被告人車両が進行していた車線の左側の車線を進行していた被害者車両が、被告人車両が進行していた車線上にある衝突地点に向けて、急加速して車線変更してきた可能性があり、本件事故に関して被告人に過失があると認めるには合理的な疑いが残り、本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるとして、刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをした事例。
2020.07.07
不指定取消請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和2年9月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570926/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 6月30日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第68号
平成31年法律第2号(本件改正法)による地方税法の一部改正により、いわゆるふるさと納税として個人の道府県民税及び市町村民税に係る特例控除の対象となる寄附金について、所定の基準に適合する都道府県、市町村又は特別区として総務大臣が指定するものに対するものに限られるという制度(本件指定制度)が導入され、被上告人(国)が上記の指定の申出をした泉佐野市に対して当該指定をしない旨の決定(本件不指定)をしたことについて、上告人(泉佐野市長)が、本件不指定は違法な国の関与に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件不指定の取消しを求め、原審は、泉佐野市は平成31年総務省告示第179号(本件告示)2条3号に定める基準を満たさず指定の要件を欠くとし、本件不指定は適法であるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件告示2条3号の規定のうち、本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は、地方税法37条の2第2項及び314条の7第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であるとし、原判決を破棄し、上告人の請求を認容した事例(補足意見あり)。
2020.07.07
国民健康保険税処分取消請求事件
LEX/DB25570920/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 6月26日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第252号
加須市長が、国民健康保険税及びその延滞金の滞納処分として、上告人の預金払戻請求権を差し押さえ(本件差押処分)、取り立てた金銭を上記国民健康保険税等に係る債権に配当する旨の処分(本件配当処分)をしたことについて、上告人が、上記債権は時効消滅していたなどと主張して、被上告人を相手に、本件配当処分の一部(上告人が延滞金として納付義務を認めている額を超える部分)等の取消しを求めるとともに、当該部分に相当する額の金員の支払を求めた上告審において、被相続人に対して既に納付又は納入の告知がされた地方団体の徴収金につき、納期限等を定めてその納付等を求める旨の相続人に対する通知は、これに係る地方税の徴収権について、地方税法18条の2第1項1号に基づく消滅時効の中断の効力を有しないとし、上告人による配当処分の取消請求を棄却し、金員の支払請求に係る訴えを却下した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、配当処分の取消請求及び金員の支払請求に関する部分を破棄し、被上告人の控訴を棄却し、上記部分の上告人の各請求については認容し、上告人のその余の請求に関する上告を棄却した事例。
2020.07.07
憲法53条違憲国家賠償請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和2年9月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25565871/那覇地方裁判所 令和 2年 6月10日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第803号
国会議員である原告らが、その他の国会議員とともに、平成29年6月22日、内閣に対し、憲法53条後段に基づき、衆議院及び参議院の臨時会の召集を要求(本件召集要求)したところ、それから98日が経過した同年9月28日までの約3か月間、臨時会が召集されなかったことにつき、内閣は合理的な期間内に臨時会を召集するべき義務があるのにこれを怠ったものであり、その結果、原告らは臨時会において国会議員としての権能を行使する機会を奪われたなどと主張して、被告(国)に対し、原告らそれぞれにつき損害金である100万円の一部請求として1万円の支払等を求めた事案において、原告らの本件召集要求に対し、内閣が行った臨時会の召集は、これが冒頭解散により実質的には召集されていないか、あるいは憲法上認められる合理的期間を徒過したものであるとして、違憲かどうかを判断するまでもなく、原告らの国賠法1条1項に基づく損害賠償請求は理由がないとして、棄却した事例。
2020.06.30
不当利得返還請求事件
LEX/DB25565726/神戸地方裁判所 令和 2年 5月28日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第1955号
原告(信用保証協会)が、被告(地方公共団体)に対し、本件土地に係る担保不動産競売事件において、根抵当権の被担保債権者である原告に配当されるべき544万2154円が、原告との関係で優先権を有しない被告に配当されたとして、不当利得返還請求権に基づき、配当金の支払を求めた事案で、原告債権が被告債権に優先する場合、原告は、被告に対し、不当利得返還請求権を行使することができるとして、原告の請求を認容した事例。
2020.06.30
道路交通法違反被告事件
LEX/DB25565700/大津簡易裁判所 令和 2年 5月27日 判決 (第一審)/令和2年(ろ)第1号
被告人は、公安委員会の運転免許を受けないで、大津市内の道路で、原動機付自転車を運転したとした事案において、被告人を罰金20万円に処し、少年法54条により労役場留置の言渡しをしないとした。なお、本件公訴事実中、信号機の表示する赤色の灯火信号を看過し、これに従わないで原動機付自転車を運転して通行したものであるとした公訴事実においては、法定刑が道路交通法119条2項で罰金刑のみが定められているので、当時少年であった被告人に対し、少年法20条により、検察官への送致をすることができない事案であったのに、大津家庭裁判所は、刑事処分相当として大津地方検察庁検察官に送致し、同検察官は公訴を提起して略式命令請求をしたことが認められ、上記の事実については刑事処分として公訴を提起することが許されないものであり、公訴を棄却した事例。
2020.06.30
LEX/DB25565727/大阪地方裁判所 令和 2年 4月22日 決定 (第一審)/令和2年(ヨ)第30016号
S社の発行する株式を6箇月以上引き続き保有する株主である債権者(S社の取締役でもある。)が、債務者(S社の取締役兼代表取締役)に対し、定時株主総会を招集する旨取締役会で決議し、令和2年4月6日、株主に対し招集通知等を発送した後、債務者は、令和2年4月15日、S社の代表取締役として、本件定時総会の場所をホテル大宴会場からその北隣にある本社入居ビルの35階空きフロアにした変更は、招集手続に関する法令に違反した債務者の違法行為であり、本件変更を前提に35階空きフロアで本件定時総会を開催することは債務者のS社に対する善管注意義務違反の違法行為であるとして、会社法360条3項において読み替えて適用する同条1項に基づく差止請求権を被保全権利として、本件定時総会の開催禁止を求める仮の地位に基づく仮処分命令の申立てをした事案において、本件仮処分命令申立ては、被保全権利の疎明を欠くものとし、却下した事例。
2020.06.23
殺人未遂被告事件
LEX/DB25565685/横浜地方裁判所 令和 2年 3月12日 判決 (第一審)/令和1年(わ)第632号
被告人は、寿司店に勤務していたが、同僚のVと折り合いが悪く、同店厨房内において、V(当時21歳)から苦情を言われて顔面を殴打されたことに立腹し、Vに対し、その左上腕部を柳刃包丁(刃体の長さ約27cm)で1回突き刺して貫通させるなどし、Vに全治不明の左上腕橈骨神経損傷を伴う左上腕背側部貫通創、全治約1か月間を要する左側胸腹部刺創等の傷害を負わせ、懲役9年の求刑がされた事案で、被告人に殺意を認めるには合理的な疑いが残るといわざるを得ず、傷害罪が成立する限度で認定したうえで、傷害罪1件の事案の中で、態様は悪く、結果は重大であって、被害者に後遺症が残っていることを踏まえると、犯行に至る経緯、動機に酌むべき事情があることを考慮しても、なお重いというべきであり、被告人について刑の執行を猶予するのが相当な事案であるとは認められないとして、懲役3年に処した事例(裁判員裁判)。
2020.06.23
各損害賠償請求事件
LEX/DB25565690/札幌地方裁判所 令和 2年 3月10日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第1187号 等
原告らが、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う津波の影響で、被告東電が設置し運営していた福島第一原子力発電所1~4号機において放射性物質が放出される事故が発生したことにより、本件事故当時の居住地(本件事故後出生した者については、その親の居住地)から避難することを余儀なくされ、財産的損害及び精神的損害を被ったなどと主張して、被告東電に対しては民法709条又は原賠法3条1項に基づき、被告国に対しては国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償を求めた事案において、被告国は、国家賠償法1条1項により、本件事故によって原告らに生じた損害を賠償する責任を負うとし、また、被告東電は、本件事故による原子力損害について、原賠法上の責任を負うとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2020.06.16
父の確定請求事件
LEX/DB25565645/千葉家庭裁判所松戸支部 令和 2年 5月14日 判決 (第一審)/令和1年(家ホ)第73号
原告(ナイジェリア国籍の男性で、日本国籍の女性gの配偶者)が、被告(ナイジェリア国籍の男性)に対し、e(出生届未了、女性gが被告と離婚してから245日後に日本で産んだ子)が自らの子であることの確定を求め(民法773条)訴えをした事案で、前婚と後婚の各夫婦の一方の本国法を適用した結果、嫡出の推定が重複しているところ、原告と被告のいずれを父と確定すべきかについては、条理に従って判断するほかなく、いかなる手続によりこの判断を行うかが問題となるが、渉外的な親子関係の成立の場面において、嫡出推定が重複しているときは、再婚禁止期間に違反して嫡出推定が重複しているときと利益状況が共通していることから、民法773条を類推適用して、父を定めることを目的とする訴えの方法によることが許されると解するのが相当であるとし、本件訴えは適法であるとしたうえで、平成30年5月に実施された父子DNA鑑定の結果によれば、原告がeの生物学的父親である可能性は高く、その父性確率は、99.99999998パーセントであったことに加え、平成29年4月ごろに原告とgが接触し、その後両名が同居していたとうかがわれることなどに照らせば、eの父を原告と定めた事例。
2020.06.16
過失運転致傷被告事件
LEX/DB25565650/東京高等裁判所 令和 2年 5月 8日 判決 (控訴審)/令和1年(う)第1029号
被告人は、夜間、普通乗用自動車(被告人車両)を運転し、越谷市内の信号機により交通整理の行われている交差点をさいたま市方面からα方面に向かい直進するに当たり、同交差点の対面信号機の信号表示に留意し、これに従って進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、同信号表示に留意せず、同信号機が赤色の灯火信号を表示しているのを看過したまま漫然時速約40キロメートルで進行した過失により、折から左方道路から信号に従い進行してきたV運転の中型貨物自動車(V車両)に気付かず、同車前部に自車左前部を衝突させ、同人に加療約15日間を要する頚椎・腰椎捻挫の傷害を負わせたとして、原判決は、赤色信号看過の過失があったと認定し、有罪判決をしたため、被告人が控訴した事案において、目撃者であるW及びVの各原審証言に依拠して本件信号機の信号表示を認定するだけの信用性を認めることはできず、原審証拠によって、被告人の赤色信号看過の過失を認定するには、合理的な疑いが残るというべきであり、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるとして、原判決を破棄し、本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるから、被告人に対し、無罪を言渡した事例。
2020.06.09
終局決定変更申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25570886/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 4月16日 決定 (許可抗告審)/令和1年(許)第14号
抗告人、相手方及び両名の子は、ロシアで同居していたが、本件子(当時9歳)が平成28年5月に、抗告人が同年8月に、日本に入国した。相手方は、平成28年11月、本件子について、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(ハーグ条約実施法)26条の規定による子の返還の申立てをし、同申立てに係る事件は家事調停に付され、平成29年1月、抗告人と相手方との間で、抗告人が同年2月12日限り本件子をロシアに返還する旨の合意及び養育費、面会交流等についての合意が成立し、これらが調書に記載された。本件子は、平成29年2月12日の経過後も、日本にとどまっている。本件は、抗告人が、本件調停の成立後に、事情の変更により本件返還条項を維持することが不当となったと主張して、ハーグ条約実施法117条1項の規定に基づき、本件返還条項を変更することを求め、原審は、抗告人の本件申立てを却下したため、抗告人が許可抗告した事案で、子の返還申立事件に係る家事調停において、子を返還する旨の調停が成立した後に、事情の変更により子の返還条項を維持することを不当と認めるに至った場合は、ハーグ条約実施法117条1項の規定を類推適用して、当事者の申立てにより、子の返還条項を変更することができると解するのが相当であり、抗告人の本件申立てを却下すべきものとした原審の判断には法令の違反があるとして原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2020.06.09
懲戒免職処分等取消請求事件
LEX/DB25565396/新潟地方裁判所 令和 2年 4月15日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第5号
地方公共団体である被告新潟市の職員として勤務していた原告が、所属する課の課長の印鑑を無断で押捺して時間外勤務命令票を偽造し時間外勤務手当を詐取し又は詐取しようとしたことを理由として、新潟市長から懲戒免職処分、退職手当支給制限処分をそれぞれ受けたことに関し、本件各処分には事実誤認の違法があり、また、仮に事実誤認がなかったとしても処分権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があると主張して、本件各処分の取消しを求めた事案で、本件非違行為に対し、違法支払等の例に該当するものとして特に軽微な処分をもって臨むのではなく、詐取の例に該当するものとして本件懲戒免職処分をしたことについて、処分行政庁に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったとは認められないから、本件懲戒免職処分は適法であるとする一方、本件非違行為が原告の退職手当の受給権すべてを否定するに足りる程度の重大性を有するということは困難であり、退職金の全部の支給を制限する旨の本件支給制限処分については、本件非違行為の内容及び程度と不利益処分との間の均衡を欠き、原告に対して過度に重大な処分を課すものとみるのが相当であるから、本件支給制限処分は、社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法な処分であると認められるとして、退職手当支給制限処分を取り消し、原告のその余の請求を棄却した事例。
2020.06.09
法人税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25570858/東京地方裁判所 令和 2年 3月11日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第395号
内国法人である原告が、原告と米国法人との間で、医薬品用化合物の共同開発等を行う本件JVを形成する契約を締結し、同契約に基づき、英国領ケイマン諸島において、特例有限責任パートナーシップであるCILPを設立し、そのパートナーシップ持分を保有していたが、その後本件JVの枠組みの変更に際し、上記持分全部を原告の英国完全子会社に対し、現物出資により移転したことについて、本件現物出資は、平成28年改正前法人税法施行令4条の3第9項に規定する「国内にある事業所に属する資産」を外国法人に移転するものではなく、適格現物出資に該当すると主張して、法人税等にかかる本件各更正処分等の各取消しを求めた事案において、本件現物出資の対象財産であった本件CILP持分は、「国内にある事業所に属する資産」には該当しないから、本件現物出資は、適格現物出資に該当するとして、原告の請求を一部認容した事例。
2020.06.02
損害賠償請求(株主代表訴訟)事件、共同訴訟参加事件
(みずほフィナンシャルグループ元取締役らに対する株主代表訴訟事件)
LEX/DB25565315/東京地方裁判所 令和 2年 2月27日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第7784号 等
株式会社Mフィナンシャルグループ(MFG)の株主である原告及び原告共同訴訟参加人が、MFGの取締役であった被告らに対し、MFGの完全子会社である株式会社M銀行(MBK)と株式会社O社との提携ローンにおいて、融資先に、MFGの内部の基準によれば反社会的勢力に該当する者が含まれていることを認識したにもかかわらず、MFGの取締役として、〔1〕新たに反社会的勢力との取引が発生することを防止するための体制を構築する義務及び〔2〕MBKに対し、認識した当該反社会的勢力との取引を解消するために具体的な措置を講じるよう求める義務を負っていたにもかかわらず、これを怠ったという善管注意義務違反によって、MFGが業務停止や信用毀損等の合計24億1419万3419円の損害を被ったなどと主張して、会社法423条1項、同法847条3項に基づき、被告らに対し、連帯して、MFGに同損害に相当する額の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件提携ローンにおける取引先に反社会的勢力が結果的に入っていたとしても、MFGやMBKが政策的な観点から非難され、あるいは改善を求められることは格別、そのような結果のみをもって、MFGの取締役であった被告らについて、法的義務違反として責任追及をすることができるものでもないとして、原告及び原告共同訴訟参加人の請求をいずれも棄却した事例。
2020.05.26
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25565331/佐賀地方裁判所 令和 2年 4月14日 判決 (第一審)/令和1年(わ)第211号
被告人が、法定の除外事由がないのに、令和元年11月2日から同月10日までの間、佐賀県内、福岡県内、山口県内、広島県内、岡山県内、香川県内又はその周辺において、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン又はその塩類若干量を自己の身体に摂取し、覚せい剤を使用したとする覚せい剤取締法違反の罪で、懲役4年6月を求刑された事案で、被告人が自らの意思で覚せい剤を使用したことを疑わせる特段の事情がないとはいえず、合理的な疑いが残るというべきであるとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2020.05.26
遺族補償給付等不支給処分取消請求控訴事件
LEX/DB25565296/高松高等裁判所 令和 2年 4月 9日 判決 (控訴審)/令和1年(行コ)第20号
香川県高松市所在の本件会社の支社で勤務していた亡q7の父である亡q5において、q7がくも膜下出血を発症して死亡したのは業務上の事由に起因するものであると主張して、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求したところ、高松労働基準監督署長がいずれも不支給とする旨の各決定(本件不支給決定)をしたことから、上記請求後に死亡したq5の権利義務を相続により承継した控訴人が、本件不支給決定の取消しを求め、原審は、q7のくも膜下出血の業務起因性を否定して、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が、原判決の取消しと自己の請求認容を求めて控訴した事案で、q7の業務と本件疾病との間には業務起因性が認められるから、本件不支給決定は違法であり、その取消しを求める控訴人の請求を認容すべきところ、これを棄却した原判決は失当であるとし、原判決を取消し、本件不支給決定を取り消した事例。
2020.05.19
損害賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25565316/仙台高等裁判所 令和 2年 3月12日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第164号
福島県南相馬市、双葉郡浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、川内村等に居住していた1審原告らが、福島第一原発を設置・運営していた1審被告(東京電力ホールディングス)に対し、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により福島第1原発の事故によって、居住用不動産及び家財に係る財産的損害を被るとともに、避難生活を余儀なくされ、また、地域社会が喪失・変容したことによって精神的損害を被ったと主張し、主位的に民法709条に基づき、予備的に原子力損害の賠償に関する法律3条1項に基づき、各1審原告に係る別紙6「原告基本情報等」「第3表」の「総計」・「原告主張額」欄記載の各金員及びこれらに対する遅延損害金の支払を求め、原告らの原賠法3条1項に基づく予備的請求について、一部認容したため、これに不服の双方が控訴した事案で、1審判決は古里喪失と避難を総合評価して慰謝料を算定したが、控訴審判決は古里喪失の慰謝料を明確に認めた上、避難の発生、継続に関する慰謝料と合わせて計算し、原判決の認容額を増加した内容で一部変更した事例。
2020.05.19
監護者性交等被告事件
(令和1年7月18日福岡地方裁判所判決(平成30年(わ)第716号)の控訴審)
LEX/DB25565259/福岡高等裁判所 令和 2年 3月11日 判決 (控訴審)/令和1年(う)第282号
被告人は、養女である被害者A(当時14歳)と同居してその寝食の世話をし、その指導・監督をするなどして、同人を現に監護する者であるが、同人が18歳未満の者であることを知りながら、平成30年1月中旬頃から同年2月12日までの間に、被告人方(当時)で、被害者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて同人と性交をしたとして、懲役9年を求刑されたが、原判決は、被告人を無罪としたため、検察官が控訴した事案で、原審は、被害者の原審供述の補充立証として、被害者が母親に被害を告白してから児童相談所へ行って被害の具体的内容を詳細に申告した経緯等について、検察官に立証を促し、必要に応じて職権で証拠調べをし、場合によっては、さらに、性的虐待を受けた児童の供述特性等に関する専門家証人について、検察官に立証を促し、必要に応じて職権で証拠調べをするなど審理を尽くした上で、関係証拠を総合して被害者の原審供述の信用性を吟味すべきであったとして、原判決を破棄し、更に原審において審理を尽くさせ、改めて本件公訴事実の有無を判断させるため、本件を地方裁判所に差し戻した事例。
2020.05.19
監護者性交等被告事件
(令和2年3月11日福岡高等裁判所判決(令和1年(う)第282号)の原審)
LEX/DB25565178/福岡地方裁判所 令和 1年 7月18日 判決 (第一審)/平成30年(わ)第716号
被告人は、養女であるA(当時14歳)と同居してその寝食の世話をし、その指導・監督をするなどして、同人を現に監護する者であるが、同人が18歳未満の者であることを知りながら、被告人方において、Aを現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて同人と性交をしたとして、監護者性交等の罪で懲役9年を求刑された事案で、A証言は、本件公訴事実に係るものを除く性交被害に関し、にわかに信用し難い内容を含むうえ、本件性交被害自体についても、その信用性に疑いを抱かせる内容が含まれ、被告人に不利益な虚偽供述の動機も否定し難いことから、これを根拠として本件公訴事実を認定できるだけの信用性を備えるものとまで評価することはできず、また、その他の証拠を検討しても、被告人が本件公訴事実の期間内にAと性交をしたことを認めるに足りる証拠は見当たらないから、本件公訴事実については、合理的な疑いを超えた証明がされたとはいえないとして、被告人に無罪を言い渡した事例。