注目の判例

知的財産法

2014.03.18
相応の対価請求事件
LEX/DB25446230/東京地方裁判所 平成26年2月14日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第34450号
原告が、原告の構築した物流システムに関する理論を被告がコンピュータ上で物流支援システムとして具現化することにつき原告が承認すること、及び被告の外部防御のため上記理論を原告が特許出願することに対し、被告が相応の対価を支払うことを合意したにもかかわらず、被告が上記相応の対価を支払わないと主張して、主位的に、上記合意に基づき、予備的に、債務不履行に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として、金員の支払を求めた事案において、原告の構築した理論をコンピュータ上で具現化するための物流支援システムである本件システムを用いたシミュレーションにより、被告が5年間において得た利益(コスト削減効果)に、原告が提供した知的財産の使用料率である1パーセントを乗じた額が、原告の提供した知的財産の使用許諾料の額(「相応の対価」の額)として相当であると認められるとして、原告の請求を一部認容した事例。
2014.03.18
損害賠償請求事件
LEX/DB25446228/東京地方裁判所 平成26年1月31日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第24872号
「Pierarejeunne」と「ピエラレジェンヌ」を上下二段に横書きしてなる本件商標に係る商標権を有する原告が、被告に対し、本件商標に類似する被告標章を使用したなどと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、本件では、本件商標の顧客吸引力を否定する事情等は認められないし、その他原告の損害の発生を否定する事情も認められないから、被告の本件商標権侵害により、原告には少なくとも使用許諾料相当額の損害が生じたというべきであるなどとして、原告の請求を一部認容した事例。
2014.03.05
発信者情報開示請求事件
LEX/DB25446208/東京地方裁判所 平成26年1月27日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第18124号
原告が、インターネット上に開設されたウェブログ(ブログ)中に投稿された本件記事の投稿者に対する損害賠償請求権の行使のためには、上記投稿者に係る発信者情報の開示を受ける正当な理由があると主張して、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、いわゆる経由プロバイダである被告に対し、発信者情報の開示を求めた事案において、本件記事を本件ブログ上に投稿する行為は、原告記事を転載した部分に係る原告の著作権(複製権、公衆送信権)を侵害するものと認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2014.03.05
発信者情報開示請求事件
LEX/DB25446210/東京地方裁判所 平成26年1月17日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第20542号
原告が、本件漫画を原告に無断でアップロードしたファイルに対するリンクを本件ブログに投稿した発信者を特定するために、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、いわゆる経由プロバイダである被告に対し、発信者情報の開示を求めた事案において、同人サークルにおいて原告が原案担当者として創作性ある著作物であるシナリオを作成し、作画担当者が、シナリオの二次的著作物として本件漫画1を完成させたものであり、原告は本件漫画1につき二次的著作物の原作者としての権利を有していること、作画担当者は本件漫画1を原告に納品するに当たり、本件漫画1の著作権を原告に譲渡していることが認められるから、原告は本件漫画1の著作権者であると認められるなどとして、原告の請求を認容した事例。
2014.02.24
審決取消請求事件(発明等名称:帯電微粒子水による不活性化方法及び不活性化装置)
LEX/DB25446195/知的財産高等裁判所 平成26年1月30日 判決 (第一審)/平成25年(行ケ)第10163号
発明の名称を「帯電微粒子水による不活性化方法及び不活性化装置」とする本件特許権者である原告に対し、被告が、特許庁に、本件特許の請求項全部について無効にすることを求めて審判の請求をしたところ、特許庁が無効審決をしたため、原告は、審決取消訴訟を提起した。その後、原告が、特許庁に対し訂正審判請求をしたことから、知的財産高等裁判所は、平成23年法律第68号による改正前の特許法181条2項に基づき、上記審決を取り消す旨の決定をし、原告は、本件特許の請求項1及び4を削除し、請求項2を請求項1と、請求項3を請求項2と、請求項5を請求項3と、請求項6を請求項4とした上で各請求項につき特許請求の範囲の訂正を請求した。特許庁は、「訂正を認める。特許第4877410号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。」との本件審決をしたため、原告がその取消しを求めた事案において、原告の主張する各取消事由はいずれも理由があるとし、本件審決には取り消すべき違法があるとした事例。
2014.02.24
審決取消請求事件(発明等名称:車椅子)
LEX/DB25446188/知的財産高等裁判所 平成26年1月27日 判決 (第一審)/平成25年(行ケ)第10155号
名称を「車椅子」とする発明についての本件特許(特許第3993996号)の特許権者の原告が、被告に対し、特許無効審判請求不成立審決の取消訴訟の事案において、本件発明が容易想到ではないとした審決の判断には誤りがあるとして、原告が主張する取消事由1~3はいずれも理由があるとし、本件審決を取消した事例。
2014.02.24
債務不存在確認請求事件
LEX/DB25446190/東京地方裁判所 平成25年12月25日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第14825号
発明の名称を「架電接続装置、架電接続方法、架電接続プログラム、及び架電受付サーバ」と称する本件特許権を有する被告から特許権侵害を主張された原告らが、被告に対し、特許権に基づく差止請求権、損害賠償請求権及び不当利得返還請求権の不存在確認を求めた事案において、イ号製品及びイ号方法は、それぞれ本件発明1、6の技術的範囲に属するものであるが、本件発明1、6はいずれも甲12から新規性がなく特許無効審判により無効にされるべきものであるから、特許法104条の3により、被告は特許権を行使することができないとして、原告らの請求を認容した事例。
2014.02.24
著作権侵害差止等請求事件
LEX/DB25446176/東京地方裁判所 平成25年11月22日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第13598号
漫画家である原告が、映画プロデューサー、映画監督等として活動している被告に対し、被告の製作・監督に係る短編映画について、原告の許諾なく、原告の短編漫画である「彼女の告白」を映画化し、映画祭において上映したなどと主張して、〔1〕著作権(二次的著作物に係る上映権)侵害のおそれを理由とする著作権法112条に基づく差止・廃棄請求として、本件映画の上映禁止、本件映画が記録された映画フィルム及び電磁的記録媒体の廃棄、〔2〕著作権(翻案権)及び著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求の支払、〔3〕著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)侵害を理由とする著作権法115条に基づく名誉回復等の措置請求として、被告の運営するウェブページ等において、謝罪文目録記載の文章の掲載を求めた事案において、本件映画の上映禁止や本件映画が記録された映画フィルム及び電磁的記録媒体の廃棄について、その必要性を否定する事情は見当たらないから、原告の著作権法112条1項に基づく差止・廃棄請求はいずれも理由があるとして、原告の請求を一部認容した事例。
2014.02.24
著作権確認等請求事件
LEX/DB25446177/東京地方裁判所 平成25年11月20日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第8691号
原告が、被告に対し、〔1〕原告の歌唱を録音したCDについてのレコード製作者の権利を有することの確認、〔2〕レコード製作者の権利又は所有権に基づき、マスターCDの引渡し、〔3〕原告が立て替えた伴奏代金20万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年7月14日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の請求はすべて認容した事例。
2014.02.18
損害賠償等請求事件
LEX/DB25502645/東京地方裁判所 平成25年12月20日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第268号
フランス法人である原告協会が、その会員(著作権者又はその承継者)から美術作品(会員作品)の著作権の移転を受け、著作権者として著作権を管理し、原告が亡パブロ・ピカソの作品(ピカソ作品)の著作権について、フランス民法に基づく不分割共有財産の管理者であって、訴訟当事者として裁判上において、同財産を代表する権限を有すると主張した上で、原告らが、被告に対し、被告主催のオークションのために被告が作成したカタログに、原告らの利用許諾を得ることなく、会員作品及びピカソ作品の写真を掲載しているから、原告らの著作権を侵害しているとして、不法行為に基づく損害賠償を請求した事案において、原告らの請求を一部認容した事例。
2014.01.28
審決取消請求事件(発明等名称:経路広告枠設定装置,経路広告枠設定方法及び経路広告枠設定プログラム)
LEX/DB25446130/知的財産高等裁判所 平成25年12月25日 判決 (第一審)/平成25年(行ケ)第10109号
名称を「経路広告枠設定装置、経路広告枠設定方法及び経路広告枠設定プログラム」とする発明につき特許出願をした原告が、拒絶査定に対する不服審判請求をするとともに特許請求の範囲を変更する旨の本件補正をしたところ、審判請求不成立の本件審決があったため、その取消を求めた事案において、引用例1発明に引用例2の記載事項を組み合わせても本願発明における構成には至らず、そうである以上、経路を線描写によって設定することが周知事項であったとしても、引用例1発明に引用例2の記載事項及び周知事項を組み合わせることにより本願発明の上記構成に至ることはないなど、本件審決の引用例2の記載事項の認定及び容易想到性の判断には誤りがあるとして、請求を認容した事例。
2014.01.28
審決取消請求事件(発明等名称:車両用指針装置)
LEX/DB25446133/知的財産高等裁判所 平成25年12月24日 判決 (第一審)/平成25年(行ケ)第10154号
原告が、被告を特許権者とする「車両用指針装置」の発明につき、特許無効審判請求をしたところ、審判請求不成立の本件審決がされたため、その取消を求めた事案において、フェードアウトによる何らかの良好な心理的効果を得ようとすることは、照明技術における一般的な課題であり、また、フェードアウトが種々の照明に適用されていることを踏まえると、観者に対する違和感の払拭という心理的効果を目指した引用発明において、目盛り板照明装置の制御手段として良好な心理的効果を目指した周知技術1を適用して、照射光の輝度を徐々に低下させるように制御することは、当業者にとって容易に着想し得ることであるなど、引用発明に、本件発明1と技術的意義を同じくする周知技術1を適用して、相違点1に係る構成をとることは、当業者が容易に発明できたことであるとして、請求を認容した事例。
2014.01.21
商号使用差止等請求事件(発明等名称:三菱)
LEX/DB25446127/知的財産高等裁判所 平成25年12月19日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第18129号
原告らが、被告は、自己の営業表示として原告らの著名な営業表示「三菱」と同一又は類似のものを使用して、原告らの営業上の利益を侵害していると主張して、被告に対し、営業表示の仕様の差止め並びに営業表示物件からの「三菱」の文字の抹消等を求めた事案において、被告は、原告らや三菱グループとは何ら経済的、組織的関連がないのであり、被告が自己の営業表示として著名な原告ら営業表示に類似するものを使用すると、少なくとも原告らの信用等が化体した原告ら営業表示の希釈化が生じるおそれがあるものといわざるを得ず、被告が被告営業表示等を使用する行為によって原告らの営業上の利益が侵害されるおそれがあると認められるとし、請求を認容した事例。
2014.01.21
審決取消請求事件(発明等名称:RaffineStyle)
LEX/DB25446122/知的財産高等裁判所 平成25年12月18日 判決 (第一審)/平成25年(行ケ)第10043号
「Raffine Style」の緑色の文字で一段に表記し、「Raffine」の文字の左横に四つ葉マークを配した本件商標につき、原告が、登録の取消しを求める審判の請求をしたが、本件審判の請求は成り立たないとの審決がされたため、その取消しを求めた事案において、A社は本件商標の通常使用権者であり、本件商標と本件バナー広告とは類似しており、本件バナー広告は、本件商標の指定商品に含まれる商品と同一の商品に使用されているものの、A社の本件バナー広告の使用は、いわゆる不正使用には該当せず、原告の業務に係る商品と「混同を生ずるものをした」ということはできないから、本件商標の登録は商標法53条1項の規定により取り消すべきでないとし、請求を棄却した事例。
2014.01.14
著作権侵害差止等請求事件
LEX/DB25446009/東京地方裁判所 平成25年10月30日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第33533号
本件各作品を創作した小説家、漫画家及び漫画原作者である原告らが、第三者から注文を受けて書籍をスキャナーで読み取り、電子ファイル化する事業を行っている被告会社らに対し、著作権法21条、著作権法112条1項に基づき、複製侵害の差止めを求めるとともに、被告会社ら及びそれぞれの代表者である被告らに対し、損害賠償を求めた事案において、本件事業は、書籍をスキャナーで読み取って電子化されたファイルを作成するという複製の実現に当たり枢要な行為を行っているのは被告会社らであるから、複製行為の主体は被告会社らであり、利用者ではないなどとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2014.01.06
審決取消請求事件(発明等名称:内燃機関のテストベンチ)
LEX/DB25446091/知的財産高等裁判所 平成25年12月5日 判決 (第一審)/平成24年(行ケ)第10358号等
被告出願の特許登録「内燃機関のテストベンチ」につき、原告が、特許無効審判を請求したところ、請求項の一部に係る発明についての特許を無効とするとの審決がされたため、原告が、本件審判の請求は成り立たないとした部分の取消しを求め、被告が、特許を無効とした部分の取消しを求めた事案において、甲1には、排気ガス装置の配置の態様について示唆する記載はないのみならず、4本の支持脚の間に形成された動力計の下方の空間に、複数の手動排出弁、排出ホース及び排出弁から流れる液体の一部をサンプへ排出する構成を有する甲1発明が開示されているから、このような空間に排気ガス装置を配設することは困難であり、甲4発明及び甲1発明に基づいて、相違点1-4-(1)及び相違点1-4-(2)の構成に想到し得ることはできないものと解されるとし、原告の請求を棄却し、被告の請求を認容した事例。
2014.01.06
審決取消請求事件(発明等名称:コークス炉炭化室の診断方法)
LEX/DB25446078/知的財産高等裁判所 平成25年11月28日 判決 (第一審)/平成25年(行ケ)第10063号
原告が、発明の名称を「コークス炉炭化室の診断方法」とする特許出願をしたところ、拒絶査定を受けたので、これを不服として審判請求をしたが、特許庁から請求不成立の審決を受けたことから、その取消しを求めた事案において、本願発明1の「カーボン付着や欠損による炉壁表面の変位を均す」との記載の技術内容自体は明確であり、本願発明1の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるとして、上記審決を取り消した事例。
2013.12.16
審決取消請求事件(発明等名称:階段化されたオブジェクト関連の信用決定)
LEX/DB25446041/知的財産高等裁判所 平成25年11月14日 判決 (第一審)/平成25年(行ケ)第10086号
原告が、発明の名称を「階段化されたオブジェクト関連の信用決定」とする特許出願をしたところ、拒絶査定を受けたので、これを不服として審判請求をしたが、特許庁から請求不成立の審決を受けたことから、その取消しを求めた事案において、審決は刊行物1発明の認定を誤っており、上記誤認により、直ちに、相違点1から相違点4までに係る本願発明と刊行物1発明との対比並びに一致点の認定及び相違点の認定に誤りが生じることが明らかであるとして、上記審決を取り消した事例。
2013.12.03
求償債権等請求事件
LEX/DB25446030 / 最高裁判所第一小法廷 平成25年11月21日 判決 (上告審)/ 平成24年(受)第105号
再生会社に対して債権を有する上告人(原告・控訴人)が、当該債権は共益債権に当たると主張して、承継前被上告人(被告・被控訴人)に対し、再生手続によらないで、その支払を求めた訴訟の上告審において、民事再生法上の共益債権に当たる債権を有する者は、当該債権につき再生債権として届出がされただけで、本来共益債権であるものを予備的に再生債権であるとして届出をする旨の付記もされず、この届出を前提として作成された再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合には、当該債権が共益債権であることを主張して再生手続によらずにこれを行使することは許されないとして、上告を棄却した事例。
2013.12.03
審決取消請求事件(発明等名称:高透明性非金属カソード)
LEX/DB25445997 / 知的財産高等裁判所 平成25年10月31日 判決 (第一審)/ 平成24年(行ケ)第10314号
発明の名称を「高透明性非金属カソード」とする本件特許の特許権者である原告が、本件特許を無効とした本件審決の取消しを求めた事案において、本件審決には、引用発明と本件発明1との相違点を看過し、当該相違点についての判断を遺脱した違法があるとして、本件審決を取り消した事例。