注目の判例

知的財産法

2013.12.03
発信者情報開示請求事件
LEX/DB25445989 / 東京地方裁判所 平成25年10月25日 判決 (第一審)/ 平成25年(ワ)第15969号
原告が、氏名不詳者により被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイトに掲載された動画が原告の著作権を侵害していると主張して、被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、被告が保有する発信者情報の開示を求めた事案において、本件各投稿動画をインターネット上のウェブサイトである本件サイトに掲載する行為は、原告が有する本件各ビデオ映像の送信可能化権を侵害するとして、原告の請求を認容した事例。
2013.12.03
審決取消請求事件(発明等名称:無臭ガス燃料のための臭気化混合物)
LEX/DB25445987 / 知的財産高等裁判所 平成25年10月24日 判決 (第一審)/ 平成25年(行ケ)第10003号
原告が、発明の名称を「無臭ガス燃料のための臭気化混合物」とする特許出願をしたところ、拒絶査定を受けたので、これを不服として審判請求をしたが、特許庁から請求不成立の審決を受けたことから、その取消しを求めた事案において、本願発明は、刊行物1発明及び刊行物2発明並びに技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたもので、進歩性を欠くとした審決の判断に誤りはないなどとして、原告の請求を棄却した事例。
2013.11.26
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25445999 / 知的財産高等裁判所 平成25年10月30日 判決 (控訴審) / 平成25年(ネ)第10046号
原告(控訴人)が、被告ら(被控訴人)が韓国のテレビドラマの展覧会を開催して小道具等を展示し、関連グッズを販売して、原告の上記小道具等の著作権(展示権及び複製権)を侵害したと主張して、被告らに対し、損害賠償を請求したところ、請求が棄却されたため、控訴した事案において、被告らが、原告に本件小道具等の著作権があることを知りながら、Aと共謀してこれを否定したと評価すべき事情は見出し難いし、被告らが原告の著作権の移転登録を妨げたといった事情も何ら窺えないのであって、被告らについて、原告の著作権の移転登録の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情があるということはできず、よって、被告らが背信的悪意者に当たるとの原告の主張は採用することができないとし、控訴を棄却した事例。
2013.11.26
審決取消請求事件(発明等名称:デマンドカレンダー)
LEX/DB25446001 / 知的財産高等裁判所 平成25年10月30日 判決 (第一審) / 平成25年(行ケ)第10036号
原告が、名称を「デマンドカレンダー」とする発明について特許出願をしたが、拒絶査定を受けたので、これに対する不服の審判請求をしたところ、本件審判の請求は成り立たないとの審決がされたため、その取消しを求めた事案において、審決には、取消事由1に係る引用発明認定の誤りがあり、本願発明と引用発明とは、少なくとも、本願発明が、「デマンド値を用い、デマンド値軸を備えるデマンドカレンダーである」のに対して、引用発明は、「エネルギ消費量の実績値を用い、エネルギ消費量の実績値の軸を備える省エネ支援カレンダである」点において相違するものであって、審決はこの相違点についての判断を逸脱しているとし、請求を認容した事例。
2013.11.19
審決取消請求事件
(発明等名称:ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有する耐老化性コポリマー)
LEX/DB25445957 / 知的財産高等裁判所 平成25年10月16日 判決 (第一審) / 平成25年(行ケ)第10064号
原告が、発明の名称を「ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有する耐老化性コポリマー」とする特許出願をしたところ、拒絶査定を受けたので、これを不服として審判請求をしたが、特許庁から請求不成立の審決を受けたことから、その取消しを求めた事案において、原告が、本件補正案の記載された本件回答書を提出したからといって、審判合議体において、本件回答書の内容を審理の対象として手続を進めなければならないものではなく、また、審決の理由中で、本件回答書の内容の当否を個別具体的に判断しなければならないものではないなどとして、原告の請求を棄却した事例。
2013.11.19
不正競争行為差止等請求控訴事件
LEX/DB25445979 / 大阪高等裁判所 平成25年9月26日 判決 (控訴審) / 平成24年(ネ)第2928号
医薬品を販売する控訴人が、同業者である被控訴人に対し、不正競争防止法3条に基づき、被控訴人各表示の使用差止め並びに被控訴人表示1の表示を付した包装及び被控訴人表示2の包装の廃棄を求めるとともに、不正競争防止4条本文に基づき、損害賠償を求めた事案の控訴審において、被控訴人が被控訴人表示1を使用しているとは認められないし、被控訴人表示2が控訴人各表示と同一又は類似の商品表示であるとは認めることはできないとして、控訴人の本件控訴並びに当審における請求をいずれも棄却した事例。
2013.11.19
債務不存在確認請求本訴,損害賠償請求反訴事件
(発明等名称:接触操作型入力装置およびその電子部品)
LEX/DB25445961 / 東京地方裁判所 平成25年9月26日 判決 (第一審) / 平成19年(ワ)第2525号等
本訴として原告が、入力装置等に関する特許権を有する被告に対し、原告の小型携帯装置の輸入販売が被告の特許権を侵害しないと主張して、被告が上記特許権の侵害を理由とする損害賠償請求権を有しないことの確認を求め、反訴として被告が、原告に対し、原告の上記輸入販売が被告の特許権を侵害すると主張して、不法行為による損害賠償を求めた事案において、本件特許は、特許無効審判により無効にされるべきものと認めることはできないとして、原告(本訴)の訴えを却下し、被告(反訴)の請求を一部認容した事例。
2013.10.29
審決取消請求事件(発明等名称:半導体装置および液晶モジュール)
LEX/DB25445921 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月30日 判決 (第一審) / 平成24年(行ケ)第10373号
 発明の名称を「半導体装置および液晶モジュール」とする本件特許の特許権者である原告が、本件特許を無効とした審決の取消しを求めた事案において、甲2文献に接した当業者は、原出願日当時の技術水準に基づき、引用発明において本件発明1に係る構成を採用することにより、バリア層の溶出によるマイグレーションの発生を抑制する効果を奏することは、予測し得なかったというべきであるから、本件発明1が容易想到であるとした審決の判断には誤りがあるとして、上記審決を取り消した事例。
2013.10.29
著作権侵害差止等請求控訴事件
LEX/DB25445929 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月30日 判決 (控訴審) / 平成25年(ネ)第10027号
 被控訴人(原告)が、控訴人(被告)Xが著述し、控訴人(被告)会社が発行する書籍は被控訴人の著作物の複製又は翻案に当たると主張して、控訴人に対し、著作権法112条に基づき、被告書籍の複製、頒布の差止め及び廃棄を求めるとともに、著作権侵害による損害賠償を求めた事案の控訴審において、控訴人Xは、被控訴人各記述を複製又は翻案したものと認められる控訴人各記述を不可分的に有する控訴人書籍の第3章を著述することによって、被控訴人の被控訴人書籍の著作権(複製権又は翻案権)を侵害し、控訴人会社は、控訴人書籍を頒布することによって、被控訴人の被控訴人書籍の著作権(譲渡権又は著作権法28条に基づく譲渡権)を侵害したと認められるとして、損害額につき原判決を変更した事例。
2013.10.29
信用毀損行為差止等請求控訴事件
LEX/DB25445924 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月25日 判決 (控訴審) / 平成25年(ネ)第10004号
 弁護士である被控訴人(原告)が、行政書士である控訴人(被告)に対し、虚偽の記事を自己のブログに掲載して被控訴人の営業上の利益を侵害しているとして、不正競争防止法2条1項14号、不正競争防止法3条に基づき、上記記事の掲載の禁止と削除を求めるとともに、不正競争防止法4条に基づき、損害賠償を求めた事案の控訴審において、控訴人が本件ブログに掲載した本件各記事は、いずれも、不正競争防止法2条1項14号における「虚偽の事実」の流布とまでは認めることはできないとして、原判決中控訴人敗訴部分を取り消した事例。
2013.10.29
審決取消請求事件(発明等名称:グラム GRAM)
LEX/DB25445925 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月25日 判決 (第一審) / 平成25年(行ケ)第10032号
 本件商標の商標権者である原告が、一部指定商品につき商標法50条1項に基づく不使用により商標登録を取り消した審決の取消しを求めた事案において、本件商標は、「グラム」の片仮名と「GRAM」の欧文字とを二段表記してなるものであり、他方、通常使用権者が商品に付した本件使用商標は「Gram」の欧文字を表してなるものであり、本件商標の一部を英語表記に変更し、又は英語の小文字の表記に変更したものにすぎず、しかも、本件商標及び本件使用商用のいずれからも、「グラム」の称呼が生じ、「質量の単位であるグラム」の観念が生じるから、本件商標と本件使用商標は社会通念上同一の商標であるものと認められるとして、上記審決を取り消した事例。
2013.10.22
著作権侵害差止等請求事件
LEX/DB25445900 / 東京地方裁判所 平成25年 9月30日 判決 (第一審) / 平成24年(ワ)第33525号
 小説家・漫画家・漫画原作者である原告らが、法人被告らは、権利者の許諾を受けることなくスキャナーで書籍を読み取って電子ファイルを作成し、依頼者に納品しているから、注文を受けた書籍には、原告作品が多数含まれている蓋然性が高いなどとして、第三者から委託を受けて原告作品が印刷された書籍を電子的方法により複製することの禁止等を求めた事案において、本件における複製は、書籍を電子ファイル化するという点に特色があり、電子ファイル化の作業が複製における枢要な行為というべきであるところ、その枢要な行為をしているのは、法人被告らであって利用者でなく、法人被告らを複製の主体と認めるのが相当であるとし、請求を一部認容した事例。
2013.10.22
審決取消請求事件(発明等名称:グラム)
LEX/DB25445919 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月25日 判決 (第一審) / 平成25年(行ケ)第10031号
 本件商標の商標権者である原告が、商標法50条1項に基づき商標登録を取り消した審決の取消しを求めた事案において、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一の商標である本件使用商標を表示した本件下げ札を付した本件商品を日本国内所在の製造委託者に譲渡し、さらに製造委託者が本件商品を小売業者に販売したもので、本件商標の指定商品中「被服」に本件商標を使用したものと認められるとして、上記審決を取り消した事例。
2013.10.15
各損害賠償等請求事件(発明等名称:洗濯機)
LEX/DB25445891 / 東京地方裁判所 平成25年 9月12日 判決 (第一審) / 平成23年(ワ)第8085号等
 洗濯機等に関する6の特許権を共有する原告らが、被告らによる洗濯機の製造、譲渡又は譲渡等の申出がその特許権を侵害するとして、不法行為による損害賠償請求権又は不当利得による利得金返還請求権に基づき、(1)被告三菱電機株式会社、同株式会社三菱電機ライフネットワーク及び同日本建鐵株式会社に対し、損害金及び利得金並びに遅延損害金の連帯支払、を求めた事案において、被告三菱電機は、被告製品4及び5に係る被告日本建鐵、同ライフネットワーク及び同住環境システムズのそれぞれの譲渡を幇助したものということができ、被告三菱電機は、被告日本建鐵と共に、被告製品4及び5を開発したのであるから、先行技術を調査するなどして上記各譲渡を幇助すべきでなかったのに、漫然と幇助した過失も認められるとし、被告らは、民法719条の共同不法行為として、連帯して損害賠償責任を負うものとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2013.10.15
出版差止等請求控訴事件
LEX/DB25445889 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月10日 判決 (控訴審) / 平成25年(ネ)第10039号
 「A Man of Light」(「光の人」)は、控訴人の修士課程卒業制作作品(映画)であり、「いのちを語る」と題する原判決書籍目録記載の被告書籍は、被控訴人がその著者の一人で、控訴人は、本件映画中の20分から21:05(21分5秒)までの原判決記載の本件インタビュー部分に関する被告書籍の原判決の被告記述部分が、控訴人の著作権(翻案権)又は著作者人格権(同一性保持権)を侵害すると主張して、被控訴人に対し、〔1〕著作権法112条1項に基づく被告書籍の印刷などの差止めを求めるとともに、〔2〕著作権侵害、著作者人格権侵害に基づき、損害賠償110万円及び遅延損害金の支払を求め、合わせて〔3〕著作権法115条に基づく名誉回復等の措置としての謝罪広告を求め、原判決は、控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人は、侵害された著作権として、翻案権に加え複製権を主張し、さらに、著作者人格権に関し、著作権法113条6項によるみなし侵害の主張を追加するとともに、予備的に、創作活動の内容を第三者によって無断で改変されないことに関する人格的利益侵害の不法行為に基づく損害賠償請求を追加した事案において、本件控訴及び当審における予備的請求のいずれにも理由がないとして、控訴を棄却した事例。
2013.10.15
工作物設置続行禁止仮処分申立事件
LEX/DB25445892 / 大阪地方裁判所 平成25年 9月 6日 決定 (第一審) / 平成25年(ヨ)第200003号
 債権者が、大阪市北区に所在する複合施設である「新梅田シティ」内の庭園を設計した著作者であると主張して、著作者人格権(同一性保持権)に基づき、同庭園内に「希望の壁」と称する工作物を設置しようとする債務者に対し、その設置工事の続行の禁止を求める仮の地位を定める仮処分を申し立てた事案において、被保全権利について、債務者の抗弁の疎明があったことになるとし、その余の争点について判断するまでもなく、債権者の本件申立てを却下した事例。
2013.10.08
審決取消請求事件(発明等名称:太陽電池用平角導体及びその製造方法並びに太陽電池用リード線)
LEX/DB25445881 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月19日 判決 (第一審) / 平成24年(行ケ)第10433号
 A社が、発明の名称を「太陽電池用平角導体及びその製造方法並びに太陽電池用リード線」とする特許出願をし、拒絶査定を受けたため、これに対する不服の審判を請求したが、本件審判の請求は成り立たないとの審決がされたことから、その取消しを求めた事案において、本願発明及び先願基礎発明は、はんだ接続後の熱収縮を、平角導体を塑性変形させることで低減させる点で共通しているものの、本願発明は、セルの反りを減少させることに着目して耐力に係る数値範囲を決定しており、他方、先願基礎発明は、半導体基板に発生するクラックを防止することに着目して耐力に係る数値範囲を決定しているのであって、両発明の課題が同一であるということはできないとし、A社を吸収合併した原告の請求を認容した事例。
2013.10.08
商標権移転登録手続等請求事件
LEX/DB25445876 / 大阪地方裁判所 平成25年 9月12日 判決 (第一審) / 平成24年(ワ)第12967号
 原告が、被告会社との間で金銭消費貸借を締結し、被告会社が保有する知的財産権の一切を原告に譲渡担保として差し入れ、当該譲渡担保については、金銭消費貸借契約に基づく被告会社の債務履行が完了した時点で解放し、債務不履行となった場合、原告が当該譲渡担保権を実行する旨の覚書2を締結したことにつき、被告会社に対し、譲渡担保契約に基づき、本件各商標権の移転登録等を請求した事案において、原告と被告会社間では、本件覚書2により、本件消費貸借契約に基づく貸金返還、利息及び遅延損害金の各債権を被担保債権として、本件各商標権を含め、被告会社が有する知的財産権の一切について原告のため譲渡担保権を設定する旨の本件譲渡担保契約が成立したものと解されるとし、請求を認容した事例。
2013.10.08
審決取消請求事件(発明等名称:船舶)
LEX/DB25445859 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月10日 判決 (第一審) / 平成24年(行ケ)第10425号
 発明の名称を「船舶」とする本件特許の特許権者である原告らが、本件特許を無効とした審決の取消しを求めた事案において、本件補正において、バラスト水処理装置の配設場所を「非防爆エリア」としたとしても、新たな技術事項を導入するものではなく、出願当初明細書に記載された技術範囲を逸脱するものではないから、本件発明6が特許法17条の2第3項の規定により特許を受けることができないとした審決の判断は誤りであるとして、上記審決を取り消した事例。
2013.10.08
審決取消請求事件(発明等名称:船舶)
LEX/DB25445860 / 知的財産高等裁判所 平成25年 9月10日 判決 (第一審) / 平成24年(行ケ)第10424号
 発明の名称を「船舶」とする本件特許の特許権者である原告らが、本件特許を無効とした審決の取消しを求めた事案において、本件明細書には、「非防爆エリア」についての説明は存在しないが、本件特許の出願時における技術水準に照らせば、その意味は、その具体的な場所も含めて明確であるから、訂正後の請求項6は特許法36条6項2号の規定に違背するとした審決の判断は誤りであるなどとして、上記審決を取り消した事例。