【ユーザー事例】手続きのワンストップ化で、市民の安心、便利を実現

かんたん窓口システム > 奈良県奈良市

市民部市民課 課長 中川佳男 さん / おくやみコーナー担当 福井俊史 さん

住所
奈良県奈良市二条大路南1-1-1
電話
0742-34-1111
面積
276.94平方キロメートル
人口
355,417人(2020年8月1日現在)
奈良県奈良市

──昨年秋から取り組まれている、「ICTを活用した窓口改善(スマート窓口)の実証実験」について教えてください。

中川 奈良市では市民の利便性向上・負担軽減を図るべく、2019年からの本庁舎の耐震工事に合わせて庁内レイアウトの見直しや手続きのオンライン化・効率化に取り組んでいます。
 実証実験では、「TASKクラウドかんたん窓口システム」を使って、引っ越しや死亡に関連する手続きを対象にICT活用の効果的な仕組みや運用方法を検証しています。その取り組みの一つが、昨年11月1日に本庁舎に開設した「おくやみコーナー」です。

庁内外の死亡手続きを総合案内

福井 おくやみコーナーは、死亡に関連する各種手続きをワンストップで受け付けるとともに、スムーズな申請届出を支援する専門窓口です。亡くなった方によって必要な手続きが異なるため、遺族には〈どんな手続きをいつ・どこで行う必要があるのか〉〈何を用意すればいいのか〉が分かりづらく、手続き漏れや書類の不備などで何度も来庁される方がいます。また、制度ごとに担当窓口が異なり、それぞれで必要な手続きを確認して申請書を提出しますが、遺族の方はその都度、住所や氏名など同じことを繰り返し記入しなければなりません。さらに窓口での待ち時間もあって、これまでは手続きを終えるまでに半日かかることもありました。
 それが、いまでは〝一つの窓口〟で、40~50分ほどで国保・後期高齢者医療の葬祭費の申請や介護保険料の還付請求など、市役所の主な手続きがすべて完了できます。また、年金事務所など外部機関での手続きも含めて総合的に案内することで、遺族の負担を軽減するとともに手続き漏れなどへの不安解消にもつながっています。加えて、関係課の窓口の混雑緩和や相談対応などにかかる職員負担軽減の点でも効果を上げています。
 奈良市の1カ月当たりの死亡者数約300人に対して利用件数は120~160件あり、多くの方に利用いただいていると感じています。

──業務の流れを教えてください。

福井 死亡届が提出されると、市民課で「おくやみハンドブック」を配布し、おくやみコーナーを案内します。コーナーを利用する場合は電話で予約していただき、その際に死亡者に関する基本情報を聞き取り、ハンドブックに沿って持参してもらうものを案内します。その後、聞き取った情報をもとに福祉や税などの情報を確認します。
 当日は、来庁者の免許証やマイナンバーカードから本人確認情報を読み取り、システムに登録します。そして、タブレット端末で25の質問項目に回答してもらい、その結果から必要な手続き一覧表と、氏名や住所などが印字された申請書を一括作成します。

市民視点でサービスも進化を

──他団体から問い合わせも多いとか。

中川 そうですね。おくやみコーナーは、ぜひ全国に広がってほしいですね。ただ運営には担当職員に一定の知識とスキルが要求され、業務の標準化や継続性も課題となります。そのため、奈良市では以下の三つに取り組みました。
 第一は〈人材の確保〉です。遺族の状況に応じて幅広い視点から適切なケアが求められることから、業務経験分野が異なる職員のOB3名を任用し、支援体制を構築しました。
 第二が〈システムの活用〉です。職員の業務を適切に補助するとともに、業務継続性の面でもシステム活用は欠かせません。かんたん窓口システムを選んだ理由は、われわれが目指すことを柔軟に実現できると考えたためです。
 第三が〈関係各課との連携〉です。死亡手続きは多くの部署が関係することから、かんたん窓口システムの〈手続き案内〉の設問項目を決める際に各課の協力を得ました。項目数が多いと回答するのが大変ですし、20程度の質問で適切な手続きを案内するには何をどう質問すればいいのか、みんなで知恵を絞りました。そうした各課の連携は今でも続いています。

福井 サービス開始後、遺族の方から「楽になった」と声をかけていただくようになり、われわれ職員にとっても大きな励みとなっています。同時にワンストップ化のメリットを実感できる機会にもなったのではないでしょうか。

──今後の取り組みは。

写真左から、福井さん、中北さん、野村さん、中川課長)

写真左から、福井さん、中北さん、野村さん、中川課長

福井 新型コロナの影響で、市民も職員も意識が変わり、〈できるだけ窓口に行かない、窓口で待たない〉ことが求められています。そこで、おくやみコーナーでもオンライン化により遺族が自宅のパソコンで申請書を作成し、郵送で受け付けることを考えています。

中川 もう一つの「引っ越しワンストップサービス」では、利用者ニーズに合わせてさらなる手続きの簡素化とスピードアップを図る計画です。その一環として、転出証明書をOCRで読み込み、市民の方に書かせることなく住民異動届を作成できるようにします。まだ実証実験の段階ですが、これにより職員のデータ入力にかかる時間が短縮され、その分、市民の待ち時間を減らすことができると期待しています。
 いまは行政サービスのデジタル化を進めるチャンスです。この機に、ワンストップからノンストップへとサービスを進化させていきたいですね。可能な限り手続きはオンラインで完結させ、それが難しいものはスマートフォン等で事前申請を行い来庁時の手間を極力なくす──ここで大切なのは市民目線で考えること。最終的には職員の業務効率化にもつながるスマート窓口の実現を目指して、今後も取り組んでいきます。

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