注目の判例

刑事訴訟法

2016.12.13
国家賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H28.12月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544237/福岡高等裁判所 平成28年11月11日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第335号
死刑確定者として拘置所に拘置されている1審原告P1及び、同人による再審請求に係る弁護人として同人あてに冊子を郵送した弁護士である1審原告P2が、拘置所の職員において上記冊子の内容を検査した上、最終的に同拘置所長が1審原告P1に対し同冊子の閲覧を不許とする処分をしたことにより、1審原告ら相互間における秘密交通権等を侵害された旨主張して、1審被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償としてそれぞれ330万円(慰謝料300万円と弁護士費用30万円の合計)及びこれに対する延損害金の支払を求め、原判決は、それぞれ2万2000円(慰謝料2万円と弁護士費用2000円の合計)及びこれに係る遅延損害金の支払を求める限度において1審原告らの請求を認容し、その余の請求を棄却したところ、1審原告らと1審被告の双方が、上記各敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決は相当であるとして、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2016.11.29
LEX/DB25544206/大阪地方裁判所 平成27年 1月14日 決定 /平成26年(た)第22号
強制わいせつ、強姦被告事件につき、地方裁判所の有罪確定判決に対し、再審の開始を始めた請求人の弁護人が、検察官に対して、本件捜査の開始から再審請求後の補充捜査に至るまでに収集された証拠の全てを開示する旨の証拠開示命令を発せられたいとの申立てをした事案において、本件は、当時中学生であったA及び高校生であったBが、養父である請求人を強姦等の犯人とする供述をし、その後一転してこれが虚偽の供述であったと述べたという特異な事件であり、このような中で弁護人が開示を求める証拠を具体的に特定することは、相当な困難が伴い、ひいては,本件再審請求事件の迅速な判断が阻害されるおそれがあるとし、本件の審理を円滑に進行させるため、訴訟指揮権に基づき、検察官に対し、弁護人に、捜査機関の保管する一切の証拠の一覧表を交付することを命じた事例。
2016.11.08
保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件 
LEX/DB25448235/最高裁判所第一小法廷 平成28年10月25日 決定 (特別抗告審)/平成28年(し)第607号
公訴提起後の第1回公判期日前に弁護人が申請した保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告審において、原々審の裁判官が、検察官の意見書について弁護人に謄写を許可しなかった点は是認できないとした事例。
2016.08.16
管轄移転の請求事件(沖縄の女性殺害 東京地裁への移管認めず) 
LEX/DB25448102/最高裁判所第二小法廷 平成28年 8月 1日 決定 /平成28年(す)第398号
米軍属である申立人が那覇地方裁判所に起訴されている強姦致死、殺人、死体遺棄被告事件について、沖縄県内で、米軍基地やいわゆる日米地位協定の問題と絡めて、大々的に報道され、また、広範な抗議活動が行われたことから、沖縄県民にあっては、被告人の自白内容、自白を補強する物証等の存在を知り、被告人が有罪との心証を有しているだけでなく、被告人を厳罰に処すべきとの予断を持つに至っているところ、そのような県民の中から裁判員を選任しなくてはならないことなどからすると、那覇地方裁判所において公平な裁判を行うことは不可能であるなどとして、東京地方裁判所への管轄の移転を請求した事案において、刑事訴訟法17条1項2号にいう「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」に当たらないとし、本件請求を棄却した事例(補足意見がある)。
2016.08.16
(東住吉事件執行停止異議申立決定) 
LEX/DB25543253/大阪高等裁判所 平成27年10月26日 決定 (異議審)/平成27年(け)第35号
再審請求人両名からの各再審請求について大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対する各即時抗告申立事件に関して、平成27年10月23日大阪高等裁判所がした各刑の執行停止決定に対し、検察官からそれぞれ異議の申立てがあった事案で、原決定の判断手法は、再審の裁判において無罪判決が言い渡される蓋然性に加え、特別抗告審での抗告理由の制限や、身柄保全の必要性、早期釈放の必要性等をも総合考慮した相当なものであり、各事情の評価にも誤りはなく、本件について各刑の執行を停止しないことが正義に反するとの判断も、即時抗告審を自ら担当した原裁判所による合理的な裁量の範囲内として、首肯することができ、さらに、原決定が、各刑の執行を停止するに当たり、各請求人について、指定された住居に居住し、住居変更時には裁判所の許可を受け、海外渡航はせず、逃亡や証拠隠滅はしないことを指定条件としたことも相当であるとして、検察官の各異議の申立てをいずれも棄却した事例。
2016.08.16
(東住吉事件刑の停止決定) 
LEX/DB25543252/大阪高等裁判所 平成27年10月23日 決定 (抗告審)/平成24年(く)第144号
受刑中両名からの各再審請求について、平成24年3月7日大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対する各即時抗告申立事件につき、請求人B主任弁護人及び請求人C主任弁護人から、請求人両名についてそれぞれ刑の執行停止を求める申出があった事案において、刑事訴訟法435条6号該当事由があるとした地方裁判所の再審開始決定を高等裁判所が更に事実取調べをした上で維持しており、請求人両名に対して無罪を言い渡すべき蓋然性がより高くなっているといえること、高等裁判所の即時抗告棄却決定に対する不服申立の方法は特別抗告であって、抗告理由が限られていること、請求人らの逮捕以来の身柄拘束期間が約20年と非常に長期に及んでいることに照らすと、請求人両名に対する確定判決に基づく刑の執行を今後も継続することが正義に反する場合に当たるとして、請求人両名に刑の執行停止を決定した事例。
2016.08.16
(東住吉事件再審開始決定に対する即時抗告審) 
LEX/DB25543255/大阪高等裁判所 平成27年10月23日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成24年(く)第144号
各現住建造物放火、殺人、詐欺未遂被告事件につき大阪地方裁判所が請求人Z1に対し平成11年3月30日、請求人Z2に対し同年5月18日、それぞれ言い渡した有罪の確定判決に対する請求人両名からの各再審請求について、平成24年3月7日大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対し、検察官が各即時抗告を申し立てた事案において、新証拠が確定審に提出されていれば、各確定判決においてなされたような事実認定には到達しなかったと考えられ、各確定判決の有罪認定には合理的な疑いが生じているというべきであり、原決定の検討判断に不十分な点はあるものの、請求人両名に対し、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき(刑事訴訟法435条6号)に該当するとして、請求人両名について、それぞれ再審を開始した原決定の判断は、当審の事実取調べの結果により、正当として是認できることが明らかになったといえるとし、本件各即時抗告をいずれも棄却した事例。
2016.08.09
覚せい剤取締法違反被告事件 
LEX/DB25448089/最高裁判所第一小法廷 平成28年 7月27日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第456号
本件覚せい剤取締法違反の被告人の弁護人が、原判決の事実誤認、量刑不当を主張し上告した事案において、刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)による刑の一部の執行猶予に関する各規定(刑法27条の2ないし刑法27条の7)の新設は、被告人の再犯防止と改善更生を図るため、宣告刑の一部についてその執行を猶予するという新たな選択肢を裁判所に与える趣旨と解され、特定の犯罪に対して科される刑の種類又は量を変更するものではなく、刑の一部の執行猶予に関する前記各規定の新設は、刑事訴訟法411条5号にいう「刑の変更」に当たらないとして、上告を棄却した事例。
2016.08.09
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反被告事件(松橋事件再審開始決定) 
「新・判例解説Watch」H28.9下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543182/熊本地方裁判所 平成28年 6月30日 決定 (再審請求審)/平成24年(た)第3号 等
昭和61年12月22日熊本地方裁判所が言い渡した殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反被告事件の有罪確定判決について、被告人の法定代理人成年後見人である弁護士P1(請求人)及び被告人の長男であるP2(請求人)が、上記有罪の言渡しを受けた事件のうち殺人被告事件について無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したと主張して、それぞれ再審請求をした事案において、確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じたものと認められるから、本件再審請求は、刑事訴訟法435条6号所定の有罪の言渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したときに該当するとし、本件再審請求は理由があることになるが、確定判決は、P3に対し、本件事件と別事件とを併合罪として、1個の刑を言い渡しているから、その全部について再審開始の決定をすべきであると解するので、刑事訴訟法448条1項により本件について再審を開始することとした事例。
2016.08.09
(恵庭OL殺人事件特別抗告審) 
LEX/DB25543233/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月13日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第422号
殺人、死体損壊被告事件(申立人が、北海道千歳市、恵庭市又はそれらの周辺で、被害女性(当時24歳)に対し、殺意をもって、その頸部を何らかの方法で圧迫し、同女を窒息死させて殺害し、路上で、同女の死体に灯油をかけた上、それに火を放って焼損し、死体を損壊したという)について、札幌高高等裁判所がした即時抗告棄却決定に対し、特別抗告の申立てがあった事案(特別抗告審)において、申立人の抗告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法433条の抗告理由に当たらないとし、抗告を棄却した事例。
2016.07.12
損害賠償請求事件(接見妨害訴訟 国に11万円 賠償命令) 
LEX/DB25542966/佐賀地方裁判所 平成28年 5月13日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第365号
(1)弁護士の原告P1が少年刑務所で被疑者との接見中に被疑者の写真撮影を行っていたところ、刑務所の職員によって写真撮影を制止され接見を一時停止させられた等と主張するとともに、刑務所の面会室には面会内容が常時外部に漏出しているという瑕疵が存在する旨主張し、国家賠償法1条1項又は国家賠償法2条に基づき、慰謝料等を求めた事案、及び、(2)弁護士の原告P2が少年刑務所で被疑者との接見を申し出たところ、刑務所の職員により原告らが面会の際に写真撮影を行おうとしていることを理由に接見を拒絶された旨主張し、慰謝料等を求めた事案において、原告P1に生じた損害額11万円とするのが相当であるとし、原告P1の請求を一部認容し、その余の原告P1の請求及び原告P2の請求を棄却した事例。
2016.06.21
損害賠償請求控訴事件(拘置所での手紙押収 二審も違法) 
LEX/DB25542789/大阪高等裁判所 平成28年 4月22日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1333号
原告a(控訴人。窃盗、強盗、覚せい剤取締法違反及び大麻取締法違反被告事件の被告人で、捜索差押え当時、大阪拘置所に勾留されていた者)が、捜索差押許可状の請求、捜索差押え及びe検事が本件押収品を精査し、かつ還付しなかった行為、並びに裁判官らの捜索差押許可状の各発付は、いずれも故意又は過失により被告人の秘密交通権、秘匿権、防御権を侵害して違法であるとして、また原告b(控訴人。aの前記刑事事件の第一審の国選弁護人であった者)は前記各行為が故意又は過失により弁護人の弁護権を侵害して適法であるとして、それぞれ被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき各1650万円の損害賠償及び遅延損害金を求め、原審は、捜索差押許可状の請求は違法で、違法な捜索差押許可状に基づく捜索差押えは違法であり、e検事が本件押収物を精査し、かつ刑事事件が終結するまで還付しなかった行為は違法であるとし、原告a、原告bに各々50万円と弁護士費用5万円の限度で認容したが、裁判官らの捜索差押許可状の各発付は、違法であると認めることはできないとして、原告らの請求を棄却したため、原告らが控訴した事案において、原判決は相当であるとし、原告らの控訴を棄却した事例。
2016.05.17
処分取消請求訴訟事件(氷見冤罪情報公開訴訟判決) 
LEX/DB25542307/富山地方裁判所 平成28年 3月 9日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第2号
原告が、被告(富山県)に対し、原告が、富山県情報公開条例に基づき、富山県氷見市で発生した2件の強姦及び同未遂事件に関する捜査指揮簿等の開示を請求したところ、富山県警察本部長が原告の開示請求に係る公文書の一部を同条例7条2号又は4号の非公開情報に該当するなどの理由で非開示とし、その余を開示する旨の部分開示決定をしたことについて、行政事件訴訟法に基づく処分取消しの訴え及びいわゆる申請型義務付けの訴えとして、非開示とされた部分の取消し及び同取消しに係る部分について開示決定の義務付けを求めた事案において、取消請求を一部認容し、義務付け請求を却下した事例。
2016.05.17
(砂川事件再審認めず) 
LEX/DB25542451/東京地方裁判所 平成28年 3月 8日 決定 (再審請求審)/平成26年(た)第12号
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基づく行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法及び土地収用法により、内閣総理大臣の使用認定を得て、東京調達局においてアメリカ合衆国空軍の使用する東京都北多摩郡所在の立川飛行場内民有地の測量を行った際、これに反対する砂川基地拡張反対同盟員及びこれを支援する各種労働組合員、学生団体員等1000余名の集団が前記飛行場北端付近の境界柵外に集合して反対の気勢を上げていたところ、同集団に参加していた請求人Z1、同Z4及びZ5が、他の参加者約300名と意思を通じて、正当な理由がないのに前記境界柵の破壊された箇所からアメリカ合衆国軍隊が使用する区域であって入ることを禁じられた場所である前記立川飛行場内に、深さ約4、5メートルにわたって立ち入り、また、労働組合の一員として前記集団に参加していた請求人Z3が、正当な理由がないのに、前記境界柵の破壊された箇所から前記立川飛行場内に深さ2、3メートルにわたって立ち入ったという、元被告人ら(Z1、Z3、Z4及びZ5)に対する日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反被告事件(確定判決は、元被告人らをいずれも無罪とした東京地方裁判所判決に対し、検察官が跳躍上告したことに対する最高裁判所大法廷判決が、上記無罪判決を破棄し、事件を東京地方裁判所に差し戻す旨判示したことを受けて言い渡された、元被告人らを各罰金2000円に処する旨の有罪判決である)の再審請求審において、弁護人提出に係る新証拠をもってしても、Z6裁判官(最高裁判所大法廷判決における裁判長裁判官)に不公平な裁判をする虞があると認めるに足る事情を合理的に疑わせることはできず、その余の点につき判断するまでもなく、これらの証拠は請求人ら(Z1、Z2、Z3及びZ4)に対して免訴を言い渡すべき明らかな証拠とは認められないとして、再審請求を棄却した事例。
2016.05.17
銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(「違法おとり捜査」再審へ)
LEX/DB25542306/札幌地方裁判所 平成28年 3月 3日 決定 (再審請求審)/平成25年(た)第2号
請求人は、けん銃加重所持罪により懲役2年に処せられ、同判決が確定したところ、確定判決が有罪認定に用いた各種証拠の証拠能力は覆ったとして、再審の請求をした事案において、本件おとり捜査は、およそ犯罪捜査の名に価するものではなく、重大な違法があるのは明らかであるとして、再審開始を決定した事例。
2016.05.10
損害賠償請求事件(勾留中「鼻から栄養剤」で負傷、男性逆転敗訴) 
LEX/DB25447917/最高裁判所第一小法廷 平成28年 4月21日 判決 (上告審)/平成26年(受)第755号
被告(被控訴人・上告人。国)が、原告(控訴人・被上告人)に対し、原告の当時の身体状態に照らして不必要であった鼻腔経管栄養補給処置を実施したことが、拘置所に収容された被勾留者に対する診療行為における安全配慮義務に違反し、債務不履行を構成するなどと主張して、損害賠償を求め、第1審は、原告の請求を棄却したため、原告が控訴し、控訴審は、第1審判決を変更し、原告の請求を一部認容したため、被告が上告した事案において、国は、拘置所に収容された被勾留者に対して、その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負わないというべきであるとし、これと異なる原審の判断は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分を破棄し、これを棄却した第1審判決は是認することができるから、上記部分に関する原告の控訴を棄却した事例。
2016.04.19
損害賠償請求事件 
LEX/DB25447903/最高裁判所第三小法廷 平成28年 4月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第754号
死刑確定者として拘置所に収容されている原告(控訴人・被上告人)が、信書の発信を拘置所長が許さずこれを返戻した行為が違法であると主張して、被告(被控訴人・上告人。国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、原審は、本件各信書がA弁護士に対する信書であり、刑事収容施設法139条1項所定の信書には該当しないとした上で、原告の請求を一部認容すべきものとしたため、被告が上告した事案において、大阪拘置所長が、刑事収容施設法139条2項の規定により発信を許すことができないものとし、原告に対し本件各信書を返戻した行為は、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとし、原審の判断には法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分を破棄し、原告の請求を棄却した第1審判決は正当であり、原告の控訴を棄却した事例。
2016.04.12
詐欺,証拠隠滅被告事件 
LEX/DB25447891/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月31日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1857号
被告人が、Aと共に警察署を訪れ、同署刑事課組織犯罪対策係所属のB警部補及びC巡査部長から,暴力団員である知人のDを被疑者とする覚せい剤取締法違反被疑事件について参考人として取り調べられた際、A、B警部補及びC巡査部長と共謀の上、C巡査部長において、「Aが、Dが覚せい剤を持っているのを見た。Dの見せてきたカバンの中身をAがのぞき込むと、中には、ティッシュにくるまれた白色の結晶粉末が入った透明のチャック付きポリ袋1袋とオレンジ色のキャップが付いた注射器1本があった」などの虚偽の内容が記載されたAを供述者とする供述調書1通を作成し、他人の刑事事件に関する証拠を偽造したという事案において、前記行為は、単に参考人として捜査官に対して虚偽の供述をし、それが供述調書に録取されたという事案とは異なり、作成名義人であるC巡査部長を含む被告人ら4名が共同して虚偽の内容が記載された証拠を新たに作り出したものといえ、刑法104条の証拠を偽造した罪に当たるとし、被告人について、A、B警部補及びC巡査部長との共同正犯が成立するとした原審の判断は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.04.05
強姦被告事件 
「新・判例解説Watch」H28.6中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25541932/福岡高等裁判所宮崎支部 平成28年 1月12日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第9号
被告人が、路上で被害女性を強姦したとして強姦罪により起訴され、原判決が、被害者供述の信用性を認め、被告人に懲役4年の有罪判決を言い渡し、被告人が控訴をした事案において、被告人は、合意の下、性的関係を持とうとして被害者と路上で一定の性的接触をしたが、何らかの被害者の感情を害するトラブルが生じたにすぎないという可能性が否定できないとして、原判決を破棄し、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2016.03.15
 
LEX/DB25541879/京都地方裁判所 平成28年 1月23日 決定 (準抗告審)/平成28年(む)第40001号
詐欺事件に係る勾留請求却下の裁判に対し、検察官から準抗告の申立てた事案において、被疑者については罪証隠滅のおそれがあるとはいえ、勾留の必要性はないとして、被疑者に関係者に接触しないことや任意の呼び出しに応じる旨の誓約書を提出させた上で、勾留請求を却下した原裁判の判断が不合理であるとはいえないとし、準抗告を却下した事例。