注目の判例

刑法

2016.10.11
「新・判例解説Watch」H28.12月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543348/最高裁判所第三小法廷 平成28年 6月 7日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第235号
被告人は、設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせるクラブを経営するものであるが、共犯者と共謀の上、大阪府公安委員会から風俗営業の許可を受けないで、不特定の来店客にダンスをさせ、かつ、酒類等を提供して飲食させ、許可を受けないで風俗営業を営んだとして、風営法違反により起訴されたが、第1審判決は、無罪を言い渡したため、検察官が控訴し、控訴審判決も第1審判決を結論において正当であるとしたため、検察官が上告した事案において、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、検察官の上告を棄却した事例。
2016.10.03
覚せい剤取締法違反被告事件 
LEX/DB25543388/東京地方裁判所 平成28年 5月31日 判決 (第一審)/平成28年(特わ)第247号 等
被告人が、知人から覚せい剤を有償で譲り受け、覚せい剤を吸引して使用し、残りの覚せい剤を所持した事案において、被告人は、前科前歴がないのはもとより、甲子園球場を沸かせ、その後もプロ野球を代表する打者として活躍するなど、野球界において社会的貢献をしてきたが、本件が大きく報道されるなどして厳しい社会的制裁を受けていることなども、被告人のために酌むべき事情と考えられるとして、被告人を懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡した事例。
2016.10.03
非現住建造物等放火被告事件 
LEX/DB25543550/大阪高等裁判所 平成28年 3月15日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第1103号
本件建物とその南側駐車場を挟んで南西に位置する自宅で弟夫婦と同居していた被告人が、本件建物に放火して全焼させたとして起訴され、原判決は有罪(懲役3年)としたため、被告人が本件建物に放火したことはなく無罪であるとして控訴した事案において、原審検察官らの行動が、証人の事前面接の域を相当に逸脱した不当なものといわざるを得ないとし、弟には、原審公判供述当時、自らが罪に問われるのを免れるため、検察官に迎合し、虚偽の供述をする動機があったというべきであるとし、原判決が、弟夫婦の証言との整合性を被告人の自白の信用性を肯定する理由の1つとしたことは是認できないが、被告人の自白の信用性を肯定し被告人が本件の犯人と認定したこと自体は、結論として、正当として是認できるとし、控訴を棄却した事例。
2016.08.16
強制わいせつ物陳列、わいせつ電磁的記録等送信頒布、わいせつ電磁的記録媒体頒布被告事件
(ろくでなし子被告に罰金) 
「新・判例解説Watch」H28.9上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543071/東京地方裁判所 平成28年 5月 9日 判決 (第一審)/平成26年(刑わ)第3268号
漫画家兼芸術家である被告人が、アダルトショップにおいて、被告人ほか2名の女性器を象った石膏ようのもの3点を展示したほか、自己の女性器の三次元形状データファイルが保存されたURL情報等を送信し、同データファイルが記録されたCD-Rを発送したとして、わいせつ物陳列やわいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪に問われた事案において、「本件各造形物が、女性器であるとの印象を殊更強く与えるものでなく、それぞれの性的刺激も限定的であることに加えて、本件各造形物に表象された一定の芸術性や思想性による性的刺激の緩和も認められることからすれば、本件各造形物は、主として表現の受領者の好色的興味に訴えるものとは認められないから、刑法175条にいうわいせつ物には該当しない」として、わいせつ物陳列罪については無罪とする一方、「本件各データは、いずれも、女性器の形状を立体的かつ忠実に再現したものであり、それらの形状やその表象方法、データ全体に占める性的部位の割合に照らせば、それぞれの性的刺激の程度が強い上、表現された思想とその表象との関連性を一見して読み取ることは困難であって、芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度もさほど大きく評価できないことからすれば、本件各データは、主として受け手の好色的興味に訴えるものになっているといわざるを得ないから、刑法175条にいうわいせつな電磁的記録に該当する」として、わいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪については有罪とし、罰金40万円を言い渡した事例。
2016.08.02
犯人隠避被告事件(犯人隠避罪 逆転無罪) 
LEX/DB25542948/仙台高等裁判所 平成28年 5月10日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第21号
被告人が、Bが犯した道路交通法違反(酒気帯び運転、事故不申告)事件につき、これが罰金以上の刑に当たる罪であることを知りながら、同人にその刑責を免れさせる目的で、同日午前2時5分ころ、宮城県加美警察署司法警察員巡査Cに対し、同事件の犯人は自己である旨虚偽の申立てをし、前記Bを隠避させたとして起訴された事案の控訴審において、Bが本件運転者であること、したがって、被告人が自己が犯人である旨虚偽の申立てをしたことについては、合理的な疑いが残るといわざるを得ないとして、原判決を破棄し、被告人に対して無罪を言い渡した事例。
2016.07.26
業務上過失致死傷被告事件(明石歩道橋事故 元副署長の免訴確定へ)
LEX/DB25448062/最高裁判所第三小法廷 平成28年 7月12日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第747号
被告人(当時兵庫県明石警察署副署長)は、明石市に所在する歩道橋上で平成13年7月21日に発生して死者11名及び負傷者183名を出した事故に係る業務上過失致死傷被疑事件について、不起訴処分を受けたが、検察審査会において起訴相当の議決を受け、公訴提起をされ、第1審判決は、公訴時効が完成しているから、被告人に対し、免訴を言い渡したため、指定弁護士が控訴し、控訴審判決も、第1審判決は正当であるとし控訴を棄却したため、検察官の職務を行う指定弁護人が、上告した事案において、本件事故は、当時明石警察署地域官であったB地域官が平成14年12月26日に業務上過失致死傷罪で起訴され、平成22年6月18日に同人に対する有罪判決が確定しているため、被告人とB地域官は刑事訴訟法254条2項にいう「共犯」に該当し、被告人に対する関係でも公訴時効が停止していると指定弁護人が主張したが、最高裁は、被告人につき、B地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立する余地はないとし、原判決が被告人を免訴とした第1審判決を維持したことは正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.07.26
住居侵入,逮捕監禁,殺人,現住建造物等放火,有印私文書偽造・同行使,ストーカー行為等の規制等に関する法律違反被告事件(山形東京連続放火殺人事件)
LEX/DB25448054/最高裁判所第二小法廷 平成28年 6月13日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第1655号
被告人と同性愛の関係にあった男性Aが、山形市のAの実家に帰り、身体に不具合のある両親の世話と家業を手伝っていたところ、被告人が、Aをその実家から連れ戻す目的で、Aの実家の建物への放火を計画し、同建物内にAの両親がいるかもしれず、同建物に放火すればAの両親が死亡するかもしれないことを認識しながら、同建物付近に灯油をまいた上放火し、同建物を全焼させるとともに、Aの両親を焼死させた事案(山形事件)、また、被告人が、その後同性愛の関係にあった別の男性Bの居所を知るため、同人に対する執ようなストーカー行為等を繰り返したが知るに至らず、居所を教えようとしないBの母親Cに対する逆恨みから同人を殺害し、その犯行を隠蔽するため同人方(集合住宅の一室)に放火することを計画し、被告人の妻と共謀の上、C方に侵入し、帰宅したCの両手足を結束バンドで緊縛するなどして約4時間半にわたって逮捕監禁した後、同人の身体に大型のたらいを覆い被せ、燃焼した炭をその中に入れ、同人を一酸化炭素中毒により死亡させ、その後Bが現に住居に使用していた同居宅の床面に灯油をまいた上で放火し、同居宅を全焼させた事案(東京事件)の上告審において、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、これを是認せざるを得ないとし、上告を棄却した事例。
2016.07.19
各詐欺、金融商品取引法違反被告事件(AIJ元社長ら実刑確定) 
LEX/DB25542870/最高裁判所第一小法廷 平成28年 4月12日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第537号
内外の有価証券等に係る投資顧問業務等を目的とするA社の代表取締役であった被告人a、同社の取締役であった被告人b及び同社が実質的に支配するB社の代表取締役であった被告人cが共謀の上、27回にわたり、17の年金基金の担当者らに対し、ファンドの虚偽の運用実績を示すなどして合計約248億円をだまし取るなどした詐欺、金融商品取引法違反の事件で、原判決は、1審判決には事実誤認や法令適用の誤りがなく、量刑も追徴の点も相当であるとして控訴を棄却したため、被告人らが上告した事案において、いずれも刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、各上告を棄却した事例。
2016.07.05
児童福祉法違反被告事件 
LEX/DB25448016/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月21日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1546号
原判決が是認した第1審判決が認定した性交は、被害児童(当時16歳)を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交であり、同児童が通う高等学校の常勤講師である被告人は、校内の場所を利用するなどして同児童との性的接触を開始し、ほどなく同児童と共にホテルに入室して性交に及んでおり、被告人は、単に同児童の淫行の相手方となったにとどまらず、同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたと認められるとして、被告人の行為は、児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たり、同号違反の罪の成立を認めた原判断は、正当であるとして、被告人の上告を棄却した事例。
2016.07.05
傷害、殺人、殺人未遂、未成年者略取、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
(石巻事件上告審判決) 
LEX/DB25542988/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月16日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第452号
被告人(当時18歳の少年)が、元交際相手(被害者)の態度に腹を立て2日間にわたって暴行を加えて傷害を負わせたという傷害事件(第1事実)、被告人から被害者を引き離して守ろうとした同人の姉(被害者姉)やその友人(被害男性)、被害者の友人(被害者友人)を、それぞれ殺意をもって、牛刀で突き刺し、被害者姉や被害者友人を殺害し、被害男性には重傷を負わせたが、殺害目的を遂げなかったという殺人、殺人未遂事件(第2事実)、その後、被害者を無理矢理連れ帰ろうとして、被害者の足を牛刀で切り付けて、連れ出したという未成年者略取、傷害事件(第3事実)、第2事実及び第3事実の際、正当な理由なく刃の長さ約18cmの牛刀1丁を携帯したという銃砲刀剣類所持等取締法違反事件(第4事実)で、第1審判決及び控訴審判決も死刑を言い渡したため、被告人が上告した事案において、被告人の刑事責任は極めて重大で、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑を是認せざるを得ないとして、上告を棄却した事例。
2016.06.21
電磁的公正証書原本不実記録、同供用被告事件(SFCG元会長 全面無罪) 
LEX/DB25542790/東京高等裁判所 平成28年 3月28日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第1192号
商業手形の割引業務、資金の貸付業務等を目的とするP2社の代表取締役社長兼会長であった被告人が、東京地方裁判所がP2社につき民事再生開始の決定をなし、同決定が確定し、P2社からP3社に対して譲渡されたP2社が保有している簿価418億4583万1026円の不動産担保貸付債権について、民事再生手続当における否認権行使を免れるため、東京法務局の登記官に対し、前記債権を譲渡した事実もないのに、P2社従業員をして内容虚偽の債権譲渡登記を申請させ、登記官をして、債権譲渡登記簿の原本として用いられる電磁的記録にその旨不実の記録をさせ、前記不実の記録を公正証書の原本としての用に供させたとし、原判決は、本件登記の申請が被告人の指示に基づくものであることが認められるとして、電磁的公正証書原本不実記録及び同供用罪については懲役1年6月(執行猶予3年)を言い渡したため、被告人が控訴した事案(なお、民事再生法違反及び会社法違反については無罪。第一審で確定)において、事実誤認の論旨は理由があるとし、原判決中の有罪部分を破棄し、電磁的公正証書原本不実記録及び同供用罪について、無罪を言い渡した事例。
2016.06.21
損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件 (フタバ産業 前社長らに賠償命令) 
LEX/DB25542759/名古屋地方裁判所岡崎支部 平成28年 3月25日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第1177号 等
原告の経理部の役員ないし従業員が適正な手続を経ずに取引先に対する不正な金融支援を行ったのは,原告の代表取締役であった被告Z6及び取締役であった被告Z7の監視義務違反等によるものであるとして、原告及び原告の株主として会社法849条1項による訴訟参加をした参加人が、被告Z6及び被告Z7に対し、会社法423条1項に基づき,回収不能になった融資金相当額等の賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告及び参加人の被告らに対する請求は、14億7336万0651円並びに187万4999.40米ドル及びうち14億4749万3001円に対する平成22年11月5日から支払済みまで、うち187万4999.40米ドルに対する平成21年11月5日から支払済みまで各年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり一部認容し、原告及び原告共同訴訟参加人のその余の請求を棄却した事例。
2016.06.14
強盗殺人、死体遺棄被告事件(長野一家3人強盗殺人事件) 
LEX/DB25447983/最高裁判所第三小法廷 平成28年 4月26日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第477号
高利貸しを本体とする事業グループの従業員で犯行を主導したとする被告人が、同僚のA及びB並びに知人のCと順次共謀の上、同グループの会長及びその息子である専務を殺害して現金等を強奪しようと企て、長野市内の会長宅において、睡眠導入剤を用いて専務(当時30歳)を昏睡状態に陥らせたところ、その妻(当時26歳)に不審を抱かれ、強盗殺人を成功させるために同女の殺害も決意して同女をロープで絞殺し、その後、専務及び就寝中の会長(当時62歳)を順次、同様に絞殺して現金合計約416万円を強取し、同人らの死体を愛知県内の資材置場まで運んで土中に埋めて遺棄するなどした強盗殺人、死体遺棄の罪で起訴され、第1審は死刑を言い渡し、控訴審でも死刑を維持しため、被告人が上告した事案において、被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざるを得ず、被告人が警察から事情聴取を受けた末とはいえ自首し、反省の態度を示していることなど、被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、やむを得ないものとして、上告を棄却した事例。
2016.06.07
業務上過失致死傷被告事件(渋谷温泉施設爆発 設計担当者有罪確定) 
LEX/DB25447979/最高裁判所第一小法廷 平成28年 5月25日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1105号
市街地の温泉施設から漏出したメタンガスが爆発して温泉施設の従業員3名が死亡し、2名が負傷し、温泉施設付近路上の通行人1名が負傷した事故で、同施設の設計・施工を行った建設会社の設計担当者である被告人が業務上過失致死傷罪で起訴され、第1審は、被告人がメタンガス処理の安全管理上必要な情報を運営会社に伝達する注意義務に違反し、その結果、爆発が発生したとし、被告人に対し、禁固3年(執行猶予5年)を言い渡したため、被告人が控訴し、控訴審も第1審判決を相当として控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、被告人に上記爆発事故について過失があるとして、業務上過失致死傷罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判決は正当であるとし、上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2016.05.31
詐欺被告事件 
LEX/DB25447960/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月23日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1870号
第1審判決が認定し、原判決が是認した詐欺事件の事実関係の下において、第1審判決が判示第1(平成19年1月12日から平成22年1月26日までの145回にわたる振込入金にかかる各所為)と判示第2(平成22年2月22日から平成25年9月27日までの70回にわたる振込入金にかかる各所為)を併合罪として処断したのは、罪数に関する法令の適用を誤ったものというべきであるが、本件事案に照らせば、いまだ刑事訴訟法411条を適用すべきものとは認められないとして、上告を棄却した事例。
2016.05.31
傷害致死被告事件  
「新・判例解説Watch」H28.7下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542490/横浜地方裁判所 平成28年 3月14日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第638号
被告人(犯行当時17歳1か月)が、Aからカッターナイフを受け取り、当時13歳の被害者に対して殺意を有していたA及び傷害の限度でAと共謀していたCとの間で、傷害の限度で共謀の上、被告人が被害者の頸部を前記カッターナイフで3回切り付ける等の暴行を加え、被害者に頸部切創、頸部刺切創及び前額部挫創の傷害を負わせ、前記頸部刺切創に基づく出血性ショックにより死亡させたとされた傷害致死の事案において、被告人ら3名による本件犯行は誠に悪質なものであり、本件に顕れた諸事情を考慮しても、被告人が自ら本件犯行の契機を作出した危険が大きい上に、被告人が被害者に加えた暴行も危険性、悪質性の高いものであることに照らせば、被告人について、その凶悪性、悪質性を大きく減じて保護処分を許容し得るまでの「特段の事情」があるということはできないとして、被告人を懲役4年以上6年6月以下に処した事例(裁判員裁判)。
2016.05.24
住居侵入,強盗殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(福島夫婦強盗殺人事件)
LEX/DB25447955/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月 8日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第959号
職に就くことなく、家賃滞納のため借家を明け渡さざるを得なくなり、妻と車上生活を送っていた被告人が、就職して勤務先から住宅購入資金が借りられることになったなどと妻に嘘を重ねた結果、多額の金員を手に入れる必要に迫られた挙げ句、民家に押し入って金品を強奪しようと計画するとともに、家人に騒がれたときには殺害もやむを得ないなどと考え、あらかじめペティナイフ等を準備した上、早朝、福島県内の民家に侵入し、財布を窃取した後、起床してきた夫婦(夫Aは当時55歳,妻Bは当時56歳)の頸部、頭部等を同ナイフで多数回突き刺すなどして殺害し、金品を強奪したという被殺者2名の強盗殺人に起訴され、第1審及び第2審は、被告人に対し死刑としたため、被告人が上告した事案において、被告人の刑事責任は、極めて重大であるといわざるを得ず、被告人が遺族らに謝罪し、反省の態度を示していること、前科がないことなど、被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても、その刑事責任は極めて重大であり、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑を是認せざるを得ないとし、上告を棄却した事例。
2016.04.26
自動車運転過失傷害被告事件(無罪) 
LEX/DB25542447/大津地方裁判所彦根支部 平成28年 3月 8日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第45号
被告人は、早朝、普通乗用自動車を運転し、滋賀県近江八幡市路上で、信号機により交通整理の行われている交差点を直進するに当たり、同交差点の対面信号機の信号表示に留意し、これに従って進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、考え事に気を取られ、同信号表示に留意せず、同信号機が赤色の灯火信号を表示していたのを看過したまま漫然時速約60キロメートルで進行した過失により、折から右方道路から青色信号に従って同交差点に進入してきたW運転の普通乗用自動車に気付かないまま同車左側面部に自車前部を衝突させ、自車同乗者V(当時74歳)に加療約63日間を要する右股関節脱臼骨折の傷害を負わせた事案において、被告人の捜査段階における、上記事故当時の対面信号が赤色であった旨の供述には疑問を入れる余地があり、また、自己の対面信号が青色であった旨のWの供述についても、それと相反する被告人の公判における、自己の対面信号が青色であった旨の供述に信用性が認められること、それ以外にWの供述を裏付ける証拠が存在しないことからすれば、そのまま信用するには疑問が残るとし、上記各交差点の信号サイクルからすれば、被告人は対面信号が青色の状態で上記交差点に進入した可能性は大きく、本件公訴事実については、いまだ合理的な疑いを越えない程度の証明がないとして、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2016.04.26
詐欺被告事件(オレオレ詐欺の被告 逆転有罪)
LEX/DB25542022/大阪高等裁判所 平成28年 1月29日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第639号
被告人は、共犯者らと共謀の上、被害者(当時70歳)に電話をかけてうそを言うなどして現金1000万円を交付させたとして、詐欺により起訴され、原審では故意及び共謀が認められないとして無罪を言い渡され、検察官が控訴をした事案において、被告人には詐欺の故意及び共謀が認められるとして、一審判決を破棄し、被告人に対し、懲役2年4月を言い渡した事例。
2016.04.26
各不正競争防止法違反被告事件(転職先に企業秘密漏洩で4人有罪判決) 
LEX/DB25542109/横浜地方裁判所 平成28年 1月29日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第628号 等
被告会社の従業員である被告人らが、被告会社の業務に関し、eが被害者会社から領得していた被害者会社の営業秘密である設計図面のファイルデータの開示を受け、そのファイルデータを複写して新たな図面に貼り付けるなどして、被告会社が受注した包装機械の設計図面を作成し、被害会社の営業秘密を使用したという被告人両名及び被告会社の各営業秘密侵害罪の事案において、本件各犯行において使用された各設計図は、被害者会社の技術面での優位性や高いオリジナリティーのある営業秘密であるとまでいうことはできないが、効率的な設計・製造を可能にするという点で有用性の認められるものであると示し、被告人らのみならず被告会社の刑事責任も相応に重いとして、被告人aを懲役1年6月及び罰金80万円に、被告人bを懲役1年2月及び罰金60万円に、被告会社を罰金1400万円に処した事例(a、bとも執行猶予3年)。