注目の判例

刑法

2014.09.22
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25504573/福岡地方裁判所小倉支部 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第838号
被告人が、法定の除外事由がないのに、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン又はその塩類若干量を自己の身体に摂取し、覚せい剤を使用した事案において、被告人はその意思に基づかずに覚せい剤を注射されたのではないかと具体的にうかがわせる事情があることなどから、被告人が自らの意思に基づき覚せい剤を使用したという点に合理的疑いが残るというべきであるとして、無罪を言い渡した事例。
2014.09.16
オウム真理教 教団元幹部裁判
LEX/DB25504571/東京地方裁判所 平成26年6月30日 判決 (第一審)/平成24年(合わ)第163号
オウム真理教による平成7年の東京都庁郵便物爆発事件に関与したとして、教団元幹部の被告人が、殺人未遂と爆発物取締罰則違反の幇助罪に問われた事案において、遅くとも3回目の薬品の運搬をした平成7年4月23日以降、被告人が、(1)BらがAの逮捕を阻止し、教団を守るため、運搬に係る薬品を用いて何らかの化合物を合成し、(2)それを用いて事件を起こすものであり、(3)その際には人の殺傷を伴うことがあり得ることをいずれも認識したと認めることができるが、被告人が、Bらが運搬に係る薬品を用いて爆発物を製造し、事件を起こす際にこれを使用する意図であることを認識したと認めるには疑いが残るとし、被告人については、爆発物製造及び爆発物使用の罪については幇助の意思が認められないから、その幇助罪は成立せず、殺人未遂罪については、幇助の意思が認められ、同罪の幇助罪が成立するとして、被告人を懲役5年に処した事例。
2014.09.16
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件(三鷹市路線バス痴漢冤罪事件)
LEX/DB25504420/東京高等裁判所 平成26年7月15日 判決 (第一審)/平成25年(う)第1069号
被告人が、バス内において、当時17歳のAに対して痴漢行為に及んだという公訴事実につき、原判決が被告人を有罪としたことから、車載カメラの映像からすれば、両手が塞がっている被告人がAの供述するような痴漢行為に及ぶことは物理的に不可能であり、原判決の認定判断は論理則及び経験則に違反しているとして、控訴した事案において、被害者とされるAの供述の信用性を全面的に肯定して被告人を有罪とした原判決の認定判断は、論理則、経験則等に照らして不合理であって、是認できないとして、原判決を破棄し、被告人を無罪とした事例。
2014.09.16
強盗殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、窃盗未遂被告事件(吉祥寺通り魔控訴事件)
LEX/DB25504424/東京高等裁判所 平成26年7月10日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第543号
当時18歳6か月であった被告人が、Aと共謀の上、強盗殺人に及んだという公訴事実につき、原判決が被告人を無期懲役に処したため、被告人が控訴した事案において、被告人とAとの一連の言動とそれを踏まえた刺突行為の態様に照らせば、少なくとも、Aが「俺が先に刺すからお前も刺せよ」と言って被害者に近づいていった時点には、被告人とAとの間において、ペティナイフで被害者の身体を刺突することによって被害者に致命傷を与える可能性があることを認識するとともに、そうなってもかまわないという意思を共有して、その旨の共謀が成立したと認められ、他方、本件について、少年院送致などの保護処分を選択することは考え難く、無期懲役刑を減じて有期懲役刑を科するのが相当といえるほどの事情もないとして、控訴を棄却した事例。
2014.09.16
業務上横領、有印私文書偽造、同行使被告事件
LEX/DB25504425/名古屋高等裁判所 平成26年7月23日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第50号
A社の参与として、同社の預金の管理及び小切手の振出等の業務を統括していた被告人が、原審分離前の相被告人B(A社の常務取締役)と共謀の上、A社の当座預金を業務上預かり保管中、A社においてC社に対する金融支援を行わない旨の方針が確認され、重要な財産の処分に当たる場合には取締役会の決議を経る必要があったにもかかわらず、C社に対する従前の不正な手形保証の事実を隠蔽するために、上記方針に反し、かつ、重要な財産処分に当たる融資に関する正規の手順、方式を履践しないまま、被告人において、A社の取締役社長名義で振り出した手形を銀行に呈示し、その額面金額をC社の口座に入金させて融資したほか、かかる不正融資を隠蔽するため、有印私文書を偽造し、これを行使したという公訴事実につき、原判決が被告人を有罪としたことから、控訴した事案において、原判決の認定については、上記融資が権限なくされたと認めた点を含め、論理則、経験則等に照らして不合理で、是認し難い誤りがあるとは認められないとして、控訴を棄却した事例。
2014.09.16
強盗致傷被告事件
LEX/DB25504428/津地方裁判所 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第26号
さい銭箱から現金を盗もうとした原告が、見回り中の被害者α(当時66歳)から声をかけられて逃走する際、逮捕を免れるため、αに暴行を加えて全治約3か月間を要する傷害を負わせた事案において、金品窃取に至らずに逮捕を免れるために傷害を負わせた事案全体の中で悪質な部類に属するとし、被害者の処罰感情が激しいのも当然であるなどとして、被告人を懲役5年の実刑に処した事例(裁判員裁判)。
2014.09.09
傷害被告事件
LEX/DB25504506/大津地方裁判所 平成26年7月24日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第449号
英会話学校講師の被告人が、英会話学校内及び同校西側路上において、被害者(当時52歳)に対し、その頭部、顔面、頚部等を所携のカッターナイフ(刃体の長さ約2センチメートル)で多数回切り付ける暴行を加えて、被害者に20日間を要する後頭部、顔面、頚部等多発切創の傷害を負わせた事案において、被告人の行為は、被害者が教室に入っていきなり被告人の顔面を多数回殴り始めた点や、授業中に被害者の侵害を待ち受けていたわけではなかったこと、それ以前に、被害者からの攻撃がある可能性について警察に助けを何度も求めていたことを照らせば、護身用も兼ねてカッターナイフをポケット内に入れていたということを考慮しても、被害者を校内でカッターを切りつけた際には、被害者による急迫不正の侵害があったと認めることができ、被告人の被害者に対する反撃行為については正当防衛が成立し、また、校外に逃げた違法行為をした被害者を、被告人が現行犯人として逮捕して警察に引き渡そうとしたためと評価することができ、正当行為として違法性が阻却されるとし、被告人は傷害罪(ないし暴行罪)の責任を負わないとするのが相当であるとして、無罪を言い渡した事例。
2014.09.09
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25504482/大阪地方裁判所堺支部 平成26年7月18日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第798号
被告人が、A社で働いていたところ、仕事のミスなどを指摘されるなどし、A社専務である被害者との間で激しい口論となり、A社を解雇されるに至ったため、被害者に対する恨みを強めていき、A社事務所において、銃弾4発の入った回転弾倉式拳銃の銃口を被害者の右側頭部に接着させた状態で弾丸1発を発射し、頭蓋内損傷により死亡させて殺害した事案において、本件はけん銃を使用した中でもとりわけ凶悪かつ冷酷な犯行である上、被害者に落ち度がないことなどから、量刑分布の中でも重い部類に属するとし、検察官の求刑には十分な根拠があると認め、懲役30年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.09.09
窃盗、強盗殺人、器物損壊被告事件
LEX/DB25504433/京都地方裁判所 平成26年7月14日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1569号等
強盗殺人罪の成否について、被告人(少年)には、遅くとも被害者殺害に着手する前、被害者宅に財布及び持出携帯等があることを認識した時点では、これらを持ち出す意思、すなわち財物奪取の意思があったと認められるとした上で、被告人は、被害者に対する強い殺害意思を抱いて被害者宅に赴いたと考えられるが、その段階で財布等を持ち出す意思を有していたとまでは認められないし、借用携帯の返還を免れるためだけに長年世話になった被害者を殺害することを決意したというのも疑問といわざるを得ないから、主な殺害動機として何らかの怨恨等が別にあった可能性が高いが、怨恨による殺意と財物奪取等の意思とは併存し得るものであり、仮に殺害の主たる動機が怨恨であったとしても、殺害時までに財物奪取等の意思が生じたのであれば、強盗殺人罪の成立は妨げられないとして、被告人を無期懲役に処した事例(裁判員裁判)。
2014.09.09
覚せい剤取締法違反(変更後の訴因 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反、覚せい剤取締法違反)被告事件
LEX/DB25504485/佐賀地方裁判所 平成26年7月11日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第253号等
被告人が、営利目的で約3.558グラムを所持していた上、覚せい剤等約0.8グラムを合計5人に譲渡し、1万5000円の利益を得て、自らにおいても覚せい剤を使用していた事案において、量刑判断の中核となる刑の重い麻薬特例法違反の罪において、被告人は、経済的な利益を得るため、危険な覚せい剤を社会に拡散し、また、拡散の危険性を生じさせたとし、被告人の責任を軽視することはできないが、被告人が積極的に販路を拡大したものではないこと等を踏まえ、また、被告人が覚せい剤の自己使用の罪に及んだことを併せて考慮し、懲役5年6月を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.09.09
証拠隠滅被告事件
LEX/DB25504486/大阪地方裁判所 平成26年7月9日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第6033号
堺警察署の留置管理課留置管理第二係長として勤務していた被告人が、同課勤務の警察官が、留置中の者を保護室に収容しようとして同人から殴られるなどの公務執行妨害、傷害事件が発生した際、同事件の捜査を担当した警察官が別の警察官を取り調べるにあたり、被告人は取調官らと共謀の上、取調官が供述調書を作成していたパソコンを被告人自ら操作して作成中の供述調書の内容を改ざんして内容虚偽の供述調書2通を作成し、事件の証拠として検察庁に送致させて証拠隠滅した事案において、供述調書の内容を改ざんすることは、その虚偽内容如何にかかわらず、供述の信用性判断を誤らせ、刑事司法作用を阻害するおそれが高く、強く非難されるべき犯行で、被告人の責任は軽いものではないが、既に退職して一定の社会的制裁を受けていることなども考慮し、懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した事例。
2014.09.02
殺人被告事件(無理心中装い息子殺害)
LEX/DB25504383/福岡地方裁判所 平成26年6月20日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1534号
犯行に至る経緯中の一時、被告人が自殺を考えた可能性は残るが、遅くとも実行に着手する段階では、被告人に自殺するつもりはなかったのであるから、本件は、被告人が被害者(元妻との間の長男・当時2歳)と無理心中をしようとして同人を殺害したというものではなく、被害者の死によって元妻や異父姉を苦しませ、元妻らを後悔させて恨み等を晴らそうと考え、被害者を殺害した(恨みを晴らすために恨んでいる人物とは別の人物、それも自分の子の命を心中を装って奪ったという他に類例をみない類型に属する)事案と認められるとして、被告人を懲役15年に処した事例(裁判員裁判)。
2014.09.02
死体遺棄、保護責任者遺棄致死被告事件(鹿児島市女児遺棄致死事件)
LEX/DB25504390/鹿児島地方裁判所 平成26年6月20日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第61号等
被告人は、被告人の父親方2階トイレ内で女児を出産したものであるが、直ちに同児を抱きかかえて同トイレ隣の自室に戻った後、同児の母親としてこれを保護すべき責任があるにもかかわらず、同児を出産した事実が家族に知られることを恐れたため、その出産の事実をあえて同居の家族に秘匿し、これを同居の家族に告げてその助力を求めたり、自ら又は同居の家族を通じて119番通報の上、同児に適切な医療を受けさせたりするなどの必要な措置を講じることをしないまま、同児を前記自室内に放置し、もって同児の生存に必要な保護をせず、よって、同児を栄養不良による衰弱により死亡させ、同児の死体をバスタオルや新聞紙で包み、バッグに入れた上、同室のクローゼット内に隠し、もって死体を遺棄したとして、被告人を懲役3年(執行猶予4年)に処した事例(裁判員裁判)。
2014.09.02
虚偽有印公文書作成、同行使、証拠隠滅、有印公文書偽造、同行使被告事件(調書改ざん事件)
LEX/DB25504385/大阪地方裁判所 平成26年6月17日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第5747号
警察官であった被告人が、その在職中に、担当していたひき逃げ事件について、犯人性に関する証拠を補強するため、被害者の供述調書の内容を一部を改ざん(変造)して上司に提出し、退職後、警察署に呼び出されて同事件の捜査書類の不備を指摘され、つじつま合わせのため、実況見分の実施日や同調書の作成日を改ざん(偽造)して捜査担当者に提出したという事案において、高度の正確性や真実性が要求される捜査書類について、上記のとおりの改ざんが行われたことは、捜査書類の信用性を損ない、ひいては捜査機関の職務や刑事司法作用に対する国民の信頼を傷つけるものであるとして、被告人を懲役1年6月(執行猶予4年)に処した事例。
2014.08.26
建造物等以外放火、殺人、窃盗被告事件
LEX/DB25504395/広島地方裁判所 平成26年7月16日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第226号等
被告人は、介護福祉士として勤務していた施設において、ベッドに寝ていた被害者(当時85歳)に対し、殺意をもって、同人の身体に掛けられていた布団にライターで火を放ち、同人を火傷死させたとして建造物等以外放火、殺人、及び、同僚の財布から現金を窃取したとして窃盗により起訴された事案において、建造物等以外放火と殺人については、自白の信用性の立証がなされたとは言えないとして無罪を言い渡し、窃盗について、被告人に対し、懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.08.26
殺人未遂被告事件
LEX/DB25504378/福島地方裁判所 平成26年6月27日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第25号
被告人が、脳梗塞の後遺症で左半身が不自由となった長男である被害者(当時47歳)を介護し続けていくことなどのへの不安が高じ、自殺の道連れに被害者を殺害しようと考え、睡眠薬により仮睡状態に負わせた被害者を乗せた自動車を海中に向かって発進させて、海中に転落させたが、通行人らが被害者を救出したため、被害者に加療1週間を要する傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった事案において、本件の犯情は、決して芳しいものではないが、被告人を直ちに実刑に処するまでのものではないとして、懲役3年、執行猶予4年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.08.26
傷害、強盗致傷被告事件
LEX/DB25504379/甲府地方裁判所 平成26年6月20日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第16号等
被告人が、被害者A(当時16歳)に対し、その左腕付近を右足で蹴るなど暴行を加え、同人に加療約14日間を要する傷害を負わせ、また、被害者B(当時17歳)から現金を強取しようと考え、共犯者らと共謀の上、被害者に対し、その顔面を多数回殴打し、その顔面や腹部を数回足で蹴るなどの暴行を加えて犯行を抑圧した上、現金9000円を強取し、加療約1か月間を要する外傷性歯冠破折及び加療約2週間を要する腹部打撲傷等の傷害を負わせた事案において、本件は、刑の下限を6年として量刑するのは相当ではないとし、酌量減軽して刑を定めるべきであるが、被告人の暴行が強度であることなどにより、刑の執行を猶予すべき事案とまでは認められず、懲役3年を言い渡した事例。
2014.08.26
殺人被告事件
LEX/DB25504377/福島地方裁判所郡山支部 平成26年6月18日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第141号
被告人が、筋ジストロフィーやエイズに罹患し、家族にもエイズを感染させているなどと思い悩むようになり、自殺しようと考えたが、妻を一人残すと辛い思いをさせるであろうなどと考え、妻と無理心中することを決意し、助手席に妻である被害者(当時64歳)を乗せた普通貨物自動車を加速させて電柱に正面から激突させ、更に、停車中の車内において、カッターナイフで、被害者の右顔面、頚部等を複数回切り付け、被害者の左胸部を突き刺すなどして失血により死亡させて殺害した事案において、本件犯行当時、被告人の弁識能力又は行動制御能力は著しく減退はしておらず、被告人は完全責任能力を備えていたと認め、懲役7年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.08.19
業務上横領、収賄被告事件(長野県建設業厚生年金基金24億円着服事件)
LEX/DB25504327/長野地方裁判所 平成26年6月25日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第238号等
厚生年金基金の事務長兼出納員であった被告人が、同基金の預金から約5年間の間に44回にわたり合計23億8334万2770円を引きだして着服し横領した業務上横領44件と、同基金の年金給付等積立金の運用に関し、運用委託先の役員らから3回にわたり合計430万円の賄賂を収受した収賄3件の事案において、空前の巨額横領事件であること、経緯及び動機に、刑を減ずべき格別の事情があるとはいい難いこと、横領額のほとんどを浪費により消費しており事実上回復不可能であること、同基金の加入者等が受けた損害は甚大であること、外国に逃亡し、3年余りにわたって逃亡生活を続けており犯行後の情状も良くないことなどから、被告人に対し、処断刑期の上限である懲役15年を言い渡した事例。
2014.08.19
各詐欺被告事件(朝鮮総連ビル売却問題事件)
LEX/DB25504300/最高裁判所第二小法廷 平成26年5月19日 決定 (上告審)/平成24年(あ)第785号
朝鮮総連が、本件土地建物の売却先を探していたことに乗じて、被告人両名が、共謀の上、被告人B又はその支配する投資家が運用しているファンドの資金を引き上げて本件土地建物の売買代金に充てるのに違約金等の支払が必要になるなどと嘘を言ってその旨誤信させ、現金を詐取するなどした事実につき、原判決が、被告人Aに懲役2年10月、被告人Bに懲役3年、被告人両名に執行猶予5年を言い渡した第一審判決を維持し、各控訴を棄却したため、各被告人が上告した事案において、上告趣意のうち、被告人A及び同Bの各自白調書の任意性につき憲法違反をいう点は、記録を調査しても、その任意性を疑うべき証跡は認められないから、前提を欠き、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は事実誤認、単なる法令違反の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、本件各上告を棄却した事例。