注目の判例

刑法

2015.01.27
出資金返還請求控訴事件(MRIインターナショナル事件(控訴審))
LEX/DB25505266/東京高等裁判所 平成26年11月17日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第623号
被告(被控訴人)と金融商品取引契約書により金融商品を購入する旨の契約を締結して、被告に出資した原告(控訴人)らが、被告に対し、約定の満期が到来したとして、その出資金の返還を求めたところ、原判決が、アメリカ合衆国ネヴァダ州裁判所を専属的合意管轄とする管轄合意の存在を認め、日本の裁判所には本訴えの管轄権はないとして、原告らの訴えを却下したため、原告らが控訴した事案において、被告の本案前の抗弁は理由がなく、これを認めて原告らの訴えを却下した原判決は相当でないとし、原判決を取消し、原審に差し戻した事例。
2015.01.27
各強盗致傷、傷害、殺人(認定罪名傷害致死)及び暴行、建造物侵入被告事件(ホームレス暴行殺害事件(控訴審))
LEX/DB25505255/大阪高等裁判所 平成26年10月22日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第585号
被告人A及び被告人Dに対する各強盗致傷、傷害、殺人及び暴行、被告人Bに対する強盗致傷、傷害、殺人、暴行及び建造物侵入、被告人Cに対する殺人、傷害、暴行及び建造物侵入被告事件の事案の控訴審において、原判示の全ての事件に関与し、G死亡事件では頭部付近に飛び乗って踏み付けるという危険で強度の暴行を加えたBと、少年院の仮退院から4か月も経たないうちに建造物侵入を除く全ての事件に関与し、G死亡事件では頭部付近を複数回踏み付けるという強い暴行を加え、強盗致傷でも暴行脅迫を加えるなど主導的役割を果たしたAをいずれも懲役5年以上8年以下に、Dを懲役5年以上7年以下に、Cを懲役3年6月以上5年以下とした原判決の量刑は、いずれの被告人についても、重すぎて不当であるとはいえない等として、本件各控訴を棄却した事例。
2015.01.27
各傷害致死、監禁、傷害、逮捕監禁、死体遺棄被告事件(尼崎事件(控訴審))
LEX/DB25505292/大阪高等裁判所 平成26年10月3日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1432号
鉄道会社に勤務していた被告人Aが、電車のドアにベビーカーが挟まれたと執拗に苦情を申し立てたGに対応したことに端を発し、Aの元妻である被告人C及びCの姉である被告人BとともにGの指示に盲従して共同生活を営むようになり、被告人らが、Gらと共謀の上、被告人B及び被告人Cの実母である被害者(当時66歳)を居室に監禁し、虐待を継続的に加えて死亡させ、同人の死体をドラム缶に詰めて遺棄するなどし起訴され、原判決は、被告人らいずれについても、本件各犯行当時、責任能力を有していたと認められるとして、被告人Aを懲役3年6月、被告人Bを懲役3年、執行猶予4年、被告人Cを懲役2年、執行猶予3年を言い渡したところ、被告人らがこれを不服として控訴した事案において、原判決には量刑事情の取捨選択や評価に不当な点があるといわざるを得ず、被告人Aに対する実刑判決は、被告人B及び被告人Cに対して執行猶予判決を言い渡していることと甚だ均衡を欠いているとして、原判決中被告人Aに関する原判決を破棄し、懲役3年、執行猶予5年を言い渡し、被告人B及び被告人Cの各控訴を棄却した事例。
2015.01.13
住居侵入、強姦致傷、窃盗、強姦被告事件(HIV感染知りながら女性に乱暴した事件 懲役23年)
LEX/DB25505260/横浜地方裁判所 平成26年11月14日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第2238号等
被告人は、強いて女性を姦淫する目的で、平成24年7月8日午前2時頃、横浜市内の当時の被害者女性方居室内に無施錠の玄関から侵入し、その頃から同日午前2時45分頃までの間、同所において、同女(当時21歳)に対し、その口を塞ぎ、「静かにしろ、騒ぐと殺すぞ。」と言うなどの暴行、脅迫を加え、その反抗を抑圧した上、強いて同女を姦淫し、その際、同女に全治約1週間を要する膣壁裂傷の傷害を負わせた(被告人は、HIVに感染していながら、強姦致傷及び強姦の犯行を4か月の間に5人もの被害者に対して繰り返し、その際に4件の窃盗も犯している)として、被告人を懲役23年に処した事例(裁判員裁判)。
2015.01.13
わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管被告事件
LEX/DB25446840/最高裁判所第三小法廷 平成26年11月25日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第574号
日本在住の被告人は、日本及びアメリカ合衆国在住の共犯者らとともに、日本国内で作成したわいせつな動画等のデータファイルをアメリカ合衆国在住の共犯者らの下に送り、同人らにおいて同国内に設置されたサーバコンピュータに同データファイルを記録、保存し、日本人を中心とした不特定かつ多数の顧客にインターネットを介した操作をさせて同データファイルをダウンロードさせる方法によって有料配信する日本語のウェブサイトを運営していたところ、平成23年7月及び同年12月、日本国内の顧客が同配信サイトを利用してわいせつな動画等のデータファイルをダウンロードして同国内に設置されたパーソナルコンピュータに記録、保存し、平成24年5月、被告人らは、前記有料配信に備えてのバックアップ等のために、東京都内の事務所において、DVDやハードディスクにわいせつな動画等のデータファイルを保管した事実につき、刑法175条1項後段にいう「頒布」とは、不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいうと解され、被告人らが運営する前記配信サイトには、インターネットを介したダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能が備付けられていたのであって、顧客による操作は被告人らが意図していた送信の契機となるものにすぎず、被告人らは、これに応じてサーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきであり、不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても、その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によってわいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録、保存させることは、刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たるとし、また、被告人らが、同項後段の罪を日本国内において犯した者に当たることも、同条2項所定の目的を有していたことも明らかであるとして、被告人に対しわいせつ電磁的記録等送信頒布罪及びわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪の成立を認めた原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2015.01.13
関税法違反被告事件
LEX/DB25446834/最高裁判所第二小法廷 平成26年11月7日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第1334号
被告人は、D、B、E、A、C及び氏名不詳者と共謀の上、税関長の許可を受けないで、うなぎの稚魚を中華人民共和国に不正に輸出しようと考え、成田国際空港第2旅客ターミナルにおいて、航空機の搭乗手続を行うに当たり、税関長に何ら申告しないまま、うなぎの稚魚合計約59.22kg在中のスーツケース6個を機内持込手荷物である旨偽って同所に設置されたエックス線装置による検査を受けずに国際線チェックインカウンターエリア内に持ち込み、あらかじめ入手した保安検査済シールを各スーツケースに貼付するなどした上、同カウンター係員に本件スーツケース6個を機内預託手荷物として運送委託することにより、税関長の許可を受けないでうなぎの稚魚を輸出しようとしたが、税関職員の検査により本件スーツケース内のうなぎの稚魚を発見された無許可輸出の未遂罪の事実につき、第一審判決は、被告人らが運送委託を企図したということを示したものと理解するのが相当であるとして、被告人を罰金88万円に処したところ、被告人は、第一審判決に対して量刑不当を理由に控訴し、原判決は、無許可輸出罪の実行の着手時期に関し、「検査済みシールを本件スーツケース6個に貼付するなどした」までの事実をもって、無許可輸出の未遂罪が成立するとはいえず、単に無許可輸出の予備罪が成立するにとどまるというべきであり、第一審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるとして、第一審判決を破棄し、被告人を罰金50万円に処したところ、双方が上告した事案において、本件スーツケース6個を、機内預託手荷物として搭乗予約済みの航空機に積載させる意図の下、機内持込手荷物と偽って保安検査を回避して同エリア内に持ち込み、不正に入手した検査済みシールを貼付した時点では、既に航空機に積載するに至る客観的な危険性が明らかに認められるから、関税法111条3項、1項1号の無許可輸出罪の実行の着手があったものと解するのが相当であるとし、無許可輸出の予備罪にとどまるとして第一審判決を破棄した原判決には法令の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄し、第一審判決は、被告人に対し罰金88万円に処した量刑判断を含め、これを維持するのが相当であるとした事例(補足意見がある)。
2014.12.22
各私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反被告事件(北陸新幹線 談合事件)
LEX/DB25505129/東京地方裁判所 平成26年10月6日 判決 (第一審)/平成26年(特わ)第247号
被告人Y1を含む被告会社等11社の従業者らが、独立行政法人鉄道建設・運輸整備支援機構が条件付一般競争入札の方法により発注する北陸新幹線融雪基地機械設備工事及び消雪基地機械設備工事について、入札談合を行って、一連の工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制限したという独占禁止法違反の事案において、入札談合の規模及び影響は大きいとして、被告人Y2社を罰金1億2000万円に、Y1を懲役1年2月、執行猶予3年に処した事例。
2014.12.22
「陸山会」 政治資金規正法違反事件
「新・判例解説Watch」H27.2月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25504933/最高裁判所第三小法廷 平成26年9月30日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第712号
被告人Aは、衆議院議員Dの資金管理団体であるE会の会計責任者であり、被告人B及び被告人CはE会の会計責任者の職務を補佐をしていたものであるが、F建設会社が、E会に政治活動に関する寄附をすることができないので、寄附の事実を発覚しないようにするために、他の団体の名義を使って政治活動に関する寄附を行ったのに、E会の収支報告書に他の団体から寄附があった旨の虚偽の記載を記入した上、E会がDから借りた4億円をE会の収支報告書に記載せず、かつ、かかる4億円を原資として支払った土地代金等をE会の収支報告書に記載しないよう画策したことを端緒として行われたE会の収支報告書における虚偽記入や必要事項を記載しなかったとして、政治資金規正法違反に問われた事案において、原々判決は、被告人Aに対し禁錮3年、執行猶予5年、被告人Bに対し禁錮2年、執行猶予3年、被告人Cに対し、禁固1年、執行猶予3年を言い渡し、被告人らがこれを不服として控訴したが、原判決が控訴を棄却したため、被告人Bが上告した事案において、上告趣意は上告理由に当たらないとして上告を棄却した事例。
2014.12.22
詐欺被告事件(無罪)
LEX/DB25504929/東京地方裁判所 平成26年9月4日 判決 (第一審)/平成25年(刑わ)第1717号
被告人らが、共謀の上、ゴルフ場が暴力団員の利用を禁止しているにもかかわらず、被告人らが暴力団員であることを秘して当該ゴルフ場の施設利用を申し込み、従業員をして被告人らがいずれも暴力団員ではないと誤信させ、2回にわたり当該ゴルフ場の施設を利用する利便の提供を受けて、財産上不法の利益を得た事案において、本件公訴事実については、詐欺罪にいう「人を欺く行為」には当たらないという点で、犯罪の証明がないから、刑事訴訟法336条により、被告人3名に対し、いずれも無罪を言い渡した事例。
2014.12.16
わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管被告事件
LEX/DB25446785/最高裁判所第三小法廷 平成26年11月25日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第510号
被告人らが運営する配信サイトには、インターネットを介したダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能が備付けられていたのであって、顧客による操作は被告人らが意図していた送信の契機となるものにすぎず、被告人らは、これに応じてサーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきであり、不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても、その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によって、わいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録、保存させることは、刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たり、被告人に対しわいせつ電磁的記録等送信頒布罪及びわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪の成立を認めた原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2014.12.16
各特定商品等の預託等取引契約に関する法律違反被告事件(安愚楽牧場事件)
LEX/DB25505061/東京高等裁判所 平成26年10月16日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第223号
特定商品等の預託等取引契約に関する法律に定める特定商品に該当する黒毛和種牛の繁殖牛に関する預託等取引業を行う本件会社の代表取締役として同社の業務全般を統括していた被告人A及び同被告人を保佐していた被告人Bが、黒毛和種牛売買・飼養委託契約の締結について顧客を勧誘するに当たり、約定通り顧客に割り当てる繁殖牛が存在しないにもかかわらず、オーナー契約申込みを希望する顧客に対し、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要な特定商品の保有の状況につき不実のことを告げたという事案の控訴審において、原判決後、被告人両名がそれぞれ反省の弁を述べ、被告人両名が被害者192名中162名に対し、不実の告知を受けて締結した契約に基づき本件会社に払い込んだ額を連帯して返還する旨を約し、現実に一部を支払って示談が成立していること等の事情から、原判決を破棄し、被告人Aを懲役2年6月に、被告人Bを懲役2年に処するとした事例。
2014.12.16
自動車運転過失傷害(変更後の訴因危険運転致傷)被告事件
LEX/DB25505063/京都地方裁判所 平成26年10月14日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1335号
被告人が、左折先の歩道上に小学生らがいるのを見ていながら、公道上で無謀にもドリフト運転を試み、これに失敗して自車左後部をガードレールに衝突させた上、折から歩道上を登校のため歩行中の小学生Aほか4名に衝突させるなどし、よって、同人らに本件各傷害を負わせた等の本件事故を起こしたとされた自動車運転過失傷害(変更後の訴因危険運転致傷)被告事件の事案において、被告人車両が高速度、すなわち、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって自車を進路から逸脱させて自己を発生させることになると認められるような速度で走行したが故に、本件事故が生じたと認めるには、なお合理的疑いが残るといわざるを得ないとして、被告人の行為は、危険運転致傷罪の構成要件には該当しないと示し、犯行当時、少年であった被告人を懲役1年6月以上2年6月以下に処した事例。
2014.12.16
恐喝被告事件(無罪言い渡し)
LEX/DB25505068/京都地方裁判所 平成26年10月1日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第352号
被告人が、自己が指定暴力団六代目山口組二代目弘道会D一家の若頭の地位にあることを利用し、かねてから同D一家を脱退することを希望していたAから、脱退を承認する見返りとして、会費の名目で現金を脅し取ろうと企てた等とされた恐喝被告事件の事案において、関係証拠を総合すると、AがD一家を脱退する見返りに被告人から本件要求を受けて現金を脅し取られていたというよりも、むしろ、D一家の企業舎弟として株式会社Eの経営等を行う対価として任意に会費を支払っていたと仮定するほうが、関係証拠により認められる事実関係を合理的に説明することができる等とし、被告人が本件要求行為を行ったと認めるにはなお合理的疑いが残るというべきであるとして、本件公訴事実については犯罪の証明がないことに帰するとして、刑事訴訟法336条により被告人に無罪を言い渡した事例。
2014.12.09
殺人,死体遺棄被告事件(宮崎家族3人殺害事件)
LEX/DB25446772/最高裁判所第一小法廷 平成26年10月16日 判決 (上告審)/平成24年(あ)第736号
被告人が、自宅において、同居していた長男、妻及び義母の3名を殺害した上、勤務先の建築会社の資材置場の土中に長男の死体を遺棄した事案の上告審において、被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても、その刑事責任は誠に重大であり、被告人を死刑に処した第一審判決を維持した原判断は、当裁判所もこれを是認せざるを得ないとした事例。
2014.12.09
詐欺被告事件(宝石店元専務 架空投資詐欺事件)
LEX/DB25504981/名古屋高等裁判所 平成26年10月15日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第179号
被告人が、その経営するA社が信用金庫から融資を受けるに当たり、県保証協会と市保証協会の各担当者を欺いて、各3500万円の信用保証をさせ、B社への投資名目で、前後3回にわたりCから現金をだまし取った事実につき、懲役3年が言い渡されたため、被告人が控訴した事案において、本件保証詐欺の事案は、両保証協会の担当者らに対し、A社の財務状況について著しい虚偽を告げて、高額の信用保証をさせるに至ったというものであり、多額の損害が現実化しており、本件各信用保証を受けることについては、A社の運転資金等を確保するため、あえて不正な手段で信用保証を得たという経緯、動機に、特に酌むほどのものがあるともいい難く、原判決の量刑が重過ぎて不当であるとは認められないとし、控訴を棄却した事例。
2014.12.09
わいせつ図画販売幇助、わいせつ図画販売・頒布幇助、わいせつ図画販売各被告事件
(日本ビデオ倫理協会裁判)
LEX/DB25446771/最高裁判所第三小法廷 平成26年10月7日 判決 (上告審)/平成24年(あ)第1080号
アダルトビデオの自主審査機関(日本ビデオ倫理協会)の元審査員であった被告人らが、アダルトDVDの適切な審査を怠ったとして、わいせつ図画販売幇助罪等で起訴された事案の上告審において、本件各上告趣意のうち、わいせつ図画の販売を禁じた刑法175条の規定が、憲法21条に違反するとの被告人側の主張を斥け、本件各上告を棄却した事例。
2014.12.09
 
LEX/DB25504988/最高裁判所第三小法廷 平成26年9月24日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第963号
被告人が、Eを殺害する目的で、E方離れに無施錠の玄関から侵入し、Eに対し、殺意をもって、あらかじめ用意していたナイフで左胸部を数回突き刺すなどし、よって、Eを左肺刺創による失血により死亡させて殺害し、業務その他正当な理由による場合でないのに、前記ナイフを携帯した事実につき、原判決が、懲役16年を言い渡した第一審判決を維持し、被告人の控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、弁護人の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとし、上告を棄却した事例。
2014.12.09
 
LEX/DB25504987/最高裁判所第二小法廷 平成26年9月17日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第401号
被告人が、A社代表取締役Bが看守する会社事務所に侵入し、同人管理の現金を窃取し、現金を窃取する目的でC方居宅に侵入し、台所にあった包丁を目にするや、本件包丁を用いて、同居宅にいる人を脅して現金を強取しようと決意し、Cに対し脅迫を加え現金を強取しようとした際、同人から抵抗を受けるなどしたため、殺意をもって、同人の頸部等を包丁で突き刺すなどし、同人を失血により死亡させて殺害するなどした事実につき、原審が、無期懲役を言い渡した第一審判決を維持し、被告人の控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、弁護人の上告趣意は、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとし、上告を棄却した事例。
2014.12.09
建造物侵入、現住建造物等放火、殺人未遂、公務執行妨害被告事件(宝塚市役所放火事件)
LEX/DB25504985/大阪高等裁判所 平成26年7月1日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第313号
被告人が、固定資産税等を滞納したことにより、預金債権の差押えを受けたことに不満を持ち、職員に対し危害を加える旨告知して脅迫し、同人らの職務の執行を妨害し、市役所庁舎でポリタンクの中に入ったガソリンをまき散らすなどして火を放ち、室内の床等を焼損するとともに、ガソリンの入ったワインボトルが当たったGらに傷害を負わせたが、殺害するに至らなかった事実につき、懲役18年が言い渡されたため、被告人が控訴した事案において、被告人は、当時、本件庁舎内で火を放てば、Gらを含む多数の職員らが死ぬかもしれないことを認識しながら、それでも構わないと考えて、あえて、火を放ったものであって、Gらに対する包括的な未必の殺意を認めることができるから、死亡する具体的な危険の生じたGらに対する各殺人未遂罪を認めた原判決の判断は正当であるとし、控訴を棄却した事例。
2014.12.09
保護責任者遺棄致死被告事件(1歳男児放置死事件)
LEX/DB25504984/大阪高等裁判所 平成26年6月3日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1483号
被告人が、子(当時1歳7か月)が高熱を出し、その後も容体が回復しないのを認めていたが、同児に適切な医療措置を受けさせず、気管支肺炎により死亡させた事実につき、懲役5年が言い渡されたため、控訴した事案において、被告人の刑事責任は、幼児等を疎んじて、長期間にわたって食事等を与えなかった結果、幼児等を死亡させるように至ったような事案よりは軽いものの、平素は普通に養育していた者が、一時的に保護責任を尽くさなかったような事案よりは重いのであって、法定刑の下限よりは、ある程度重い刑を科すのが相当であるとした原判決の認定及び評価が誤っているとはいえず、その結果としての量刑判断もやむを得ないものであって、これが重すぎて不当であるとはいえないとし、控訴を棄却した事例。