注目の判例

民法(財産法)

2015.11.24
損害賠償請求事件(爆発事故・遺影の無断放送で遺族の訴え棄却)
LEX/DB25541333/津地方裁判所四日市支部 平成27年10月28日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第178号
原告が、被告(テレビ放送会社)が原告の子であるcの遺影を撮影し、テレビ報道に使用したのは、情報プライバシー権としての原告の遺影を公表されない自由や、幸福追求権としての静穏に故人を悼む利益、敬愛追慕の情を侵害するもので違法であると主張し、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、100万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告が、遺族の同意を得ず、隣地敷地から塀越しに撮影したこと等を考慮しても、撮影及び報道により、社会生活上受忍すべき限度を超えて原告の静穏に故人を悼む利益や、敬愛追慕の情を侵害したということはできないとして、請求を棄却した事例。
2015.11.24
仮処分命令申立事件(著作権判例百選 出版差止仮処分)
LEX/DB25541332/東京地方裁判所 平成27年10月26日 決定 (第一審)/平成27年(ヨ)第22071号
債権者が、自らが編集著作物たる判例解説雑誌[第4版]の共同著作者の一人であることを前提に、債務者(出版社)が発行しようとしている判例解説雑誌雑誌[第5版]は、[第4版]を翻案したものであるなどと主張して、[第4版]の〔1〕翻案権並びに二次的著作物の利用に関する原著作物の著作者の権利(著作権法28条)を介して有する複製権、譲渡権及び貸与権又は〔2〕著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)に基づく差止請求権を被保全権利として、債務者による雑誌[第5版]の複製、頒布、頒布する目的をもってする所持又は頒布する旨の申出を差止める旨の仮処分命令を求めた事案において、債権者の申立ては理由があるとし、債務者は、[第5版]の複製、頒布、頒布する目的をもってする所持又は頒布する旨の申出をしてはならないとした事例。
2015.10.13
不当利得返還請求事件
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LEX/DB25447457/最高裁判所第二小法廷 平成27年 9月18日 判決 (上告審)/平成25年(受)第843号
マンションの区分所有者の1人である上告人が、同じく当該マンションの区分所有者である被上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、被上告人が当該マンションの共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち共用部分に係る上告人の持分割合相当額の金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案の上告審において、当該マンションの管理規約には、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の定めがあり、この定めは、区分所有者の団体のみが不当利得返還請求権を行使することができる旨を含むものと解すべきであるから、上告人は、不当利得返還請求権を行使することができないとし、上告人の請求を棄却すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2015.09.29
国家賠償請求控訴事件(拘置所接見 撮影認めず 東京高裁)
LEX/DB25540787 平成27年 7月 9日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第6249号
原告(控訴人兼被控訴人)が、弁護人として東京拘置所に勾留中の被告人との接見中、被告人をデジタルカメラで写真撮影したところ、東京拘置所職員から、写真撮影・録画を禁止され、被告人との接見を終了させられたことについて、接見交通権や弁護活動の自由を侵害するもので違法であり、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容法)に違反し違法であると主張して、被告(控訴人兼被控訴人)国に対し、国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、東京拘置所職員が原告と被告人との接見を終了させた措置について、刑事収容法117条が準用する刑事収容法113条1項及び2項の各要件をいずれも欠き、違法であるとして、原告の請求を一部認容、一部棄却したため、原告及び被告の双方が控訴した事案において、被告の本件控訴に基づき、原判決のうち、被告敗訴部分を取消し、同取消部分に係る原告の請求を棄却し、原告の控訴を棄却した事例。
2015.09.02
(上関原発入会権訴訟 反対派住民 敗訴確定)
LEX/DB25540653/最高裁判所第二小法廷 平成27年 6月12日 決定 (差戻上告審)/平成26年(オ)第530号等
被告会社(被控訴人・被上告人兼相手方。電力会社)は、山口県熊毛郡A町に原子力発電所を建設することを計画しており、山林(本件土地)は、同発電所の建設予定地であるところ、同町のB地区の住民であるとする原告(控訴人・上告人兼申立人)が、本件土地は、B地区の住民が入会権を有する土地であるとして、(1)被告会社及び被告住民らに対し、原告及び被告住民らが本件土地に入会権(主位的請求として共有の性質を有する入会権、予備的請求として共有の性質を有さない入会権)を有することの確認を求めるとともに、(2)被告会社に対し、入会団体の構成員が有する使用収益権に基づく本件土地の現状変更行為の差止め及び入会権に基づく原告の本件土地の使用収益行為に対する妨害禁止を求めたところ、第一審では、建設予定地について入会権の成立は認められないとして、請求をいずれも棄却したため、原告が控訴し、控訴審では、原判決は相当であるとして控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。
2015.09.02
仮処分執行停止申立事件(高浜原発の仮処分 再稼働差止め認めず)
LEX/DB25540656/福井地方裁判所 平成27年 5月18日 決定 (第一審)/平成27年(モ)第39号
被申立人は、申立人(関西電力)に対し、申立人が設置している高浜発電所3号機及び4号機並びに大飯発電所3号機及び4号機の運転差止を求めて、福井地方裁判所に仮処分命令の申立てをし、同裁判所は、平成27年4月14日、このうち高浜発電所3号機及び4号機の運転差止を認める決定をしたため、申立人が、同決定に対し、保全異議の申立てをし、かつ、同決定に基づく仮処分の執行停止を申し立てた事案において、保全命令の取消しの原因となることが明らかな事情について疎明があったとはいえないとして、申立人の仮処分執行停止の申立てを却下した事例。
2015.08.25
損害賠償等請求控訴事件 (性別変更でゴルフ場入会拒否 控訴審)
LEX/DB25540642/東京高等裁判所 平成27年 7月 1日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第5258号
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項に基づき男から女への性別の取扱いの変更の審判を受けた原告(被控訴人)及び同人が代表取締役を務める原告会社が、株主会員制のゴルフ場を経営する被告(控訴人)会社及び同ゴルフ場の運営団体である被告(控訴人)クラブに対し、原告の性別変更を理由とする被告らによる原告会社に対する被告クラブへの入会拒否及び被告会社株式の譲渡承認拒否は、憲法14条1項の趣旨等を包含する公序良俗に反し違法であると主張して、共同不法行為(民法719条1項)に基づき、原告及び原告会社が、被告らに対して損害賠償金の連帯支払を求めたところ、原判決は、原告の請求を一部認容し、その余の請求及び原告会社の請求をいずれも棄却したため、被告らが、原告の請求を一部認容したことを不服として控訴をした事案において、原判決は相当であるとして、控訴をいずれも棄却した事例。
2015.08.18
損害賠償等請求控訴事件 (逮捕記事の検索結果表示差し止め 二審も棄却)
LEX/DB25540592/大阪高等裁判所 平成27年 6月 5日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第2838号
控訴人が、インターネット上の検索サイトである本件サイトにおいて、原告の氏名を検索語入力欄に入力して検索すると、控訴人の氏名を含む記事が記載されたインターネット上のサイトのアドレスが複数表示されるとともに当該サイトの一部がそれぞれ数行ずつ表示されるが、その約半数に控訴人の氏名と控訴人が京都府迷惑行為防止条例違反で逮捕された旨の記載が含まれており、上記の検索結果は、控訴人の社会的評価を低下させるものであると主張して、本件サイトを管理・運営する被告に対し、名誉毀損による損害賠償等を求めた事案の控訴審において、被控訴人に、本件サイトでの検索結果監督義務及び本件検索結果の表示阻止義務を生じさせる法律上の根拠を認めることはできないとした原判決を相当とし、本件控訴を棄却した事例。
2015.08.11
ホームページ情報削除等請求控訴事件 (食べログ 口コミ削除要求 控訴棄却)
LEX/DB25540704/札幌高等裁判所 平成27年 6月23日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第365号
飲食店である本件店舗を経営している原告(控訴人)が、インターネット上に公開されている「食べログ」サイトを運営管理している被告(被控訴人)に対し、本件ページに本件店舗に係る情報を掲載していることについて、不正競争防止法2条1項2号所定の不正競争に該当し、又は原告の人格権に由来する名称権を侵害するものであると主張して、不正競争防止法3条1項に基づく差止請求又は名称権に基づく妨害排除請求として本件ページの削除を求めるとともに、不正競争防止法4条又は民法709条に基づく損害賠償金220万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたところ、第一審が、原告の請求をいずれも棄却したため、本件ページの削除請求を棄却した部分を不服として、原告が控訴をした事案のほか、原告が名称権に基づく妨害排除請求について、本件ページ中本件店舗の情報(名称、店舗所在地、電話番号)を削除することを求める旨の予備的請求を控訴審で、追加した事案において、原告の請求を棄却した原判決は相当であるとして控訴を棄却し、また、原告が当審で追加した予備的請求も棄却した事例。
2015.07.28
損害賠償請求事件(第1事件)、損害賠償請求事件(第2事件)
(武富士 利息過払い 創業者次男に返還命令 )
LEX/DB25540384/大阪地方裁判所 平成27年 5月 8日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第15422号等
貸金業者の株式会社A社と継続的な金銭消費貸借取引を行ってきた原告らが、A社の代表取締役であった亡B、取締役であった被告C及び代表取締役であった被告Dが、利息制限法1条1項所定の制限利率を超えて利息として支払われた部分を適法に収受できるための法令遵守体制を構築すべき職務上の義務等を怠って、原告らに対し制限超過部分の支払を続けさせ、また、被告らがその他多数の任務懈怠によりA社を倒産に至らせ、原告らに過払金元利金相当額の損害を負わせたと主張して、被告らに対し、会社法429条1項に基づき、亡Bの会社法429条1項に基づく損害賠償債務を被告らが相続したと主張して、被告らに対して損害賠償金の支払を求めた事案において、代表取締役であった被告Dに対して残高相違可能性を告知する体制を整備する義務について任務懈怠責任を認めて請求を一部認容した事例。
2015.07.28
損害賠償請求控訴事件(株式会社日本リート VS 日本ERI株式会社 控訴審判決)
LEX/DB25540383/大阪高等裁判所 平成26年 4月22日 判決 (控訴審)/平成24年(ネ)第1614号
分譲マンションの建築主及び事業主である原告(控訴人)が、被告Y1が設計・工事監理者となり、被告Y2が設計を担当し、被告Y3が構造設計の下請けをした同マンションの設計において、被告Y3が構造計算に用いたプログラムに数値の入力間違いをして不整合のみられる計算をし、これを前提に、被告Y2が建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を実施したこと及び建築基準法上の指定確認検査機関として同マンションの確認検査を実施した被告(被控訴人)Y4がそれを看過して確認済証を交付したことにより、建築基準法上必要な耐震強度を確保していないマンションが建築され、それにより是正工事費用や区分所有者に対する補償などの損害を被ったと主張して、被告Y1に対しては、第1次的に不法行為責任に基づき、第2次的に債務不履行責任に基づき、被告Y2、被告Y3及び被告Y3に対しては不法行為責任に基づいて損害損害金の連帯支払を求めた事案において、被告Y1、被告Y2及び被告Y3に対する請求を一部認容し、被告Y4に対する請求を棄却したため、原告がこれを不服として控訴して、被告Y4に対し、不法行為に基づく請求を交換的に変更し、主位的に債務不履行に基づき、予備的に国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金の支払を求めた事案において、請求を一部認容した事例。
2015.07.21
立替金等請求事件((株)安藤・間 VS 新潟大学)
LEX/DB25540421/東京地方裁判所 平成27年 4月28日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第21186号
《1》主位的請求として、A建設の権利義務を包括承継した原告会社が、A建設が米国法人O社との間で、米国R大学の保有する特許技術に係る陽子線がん治療機器等の売買等に係る契約を締結することを前提に、A建設と被告新潟大学との間で、前記契約上のA建設の買主の地位を被告に譲渡すること、当該譲渡実行日までに上記契約に基づきA建設が支払い又は負担した売買代金、費用等相当額を被告大学がA建設に支払うこと等を内容とする本件合意をしたこと等を理由に、被告大学に対し、本件合意の約定に基づく補償請求権に基づき、(1)A建設が上記契約に基づきO社に支払った代金(頭金)、立替金利及び送金等手数料の合計16億7932万6987円並びに遅延損害金、(2)A建設が負担した費用である7493万5635円及び遅延損害金、及び(3)本件訴訟に係る弁護士費用と訴訟提起手数料の合計額1億5442万3795円及び遅延損害金の支払を求めた事案、《2》予備的請求として、A建設の権利義務を包括承継した原告会社が、被告大学の副学長兼学長室長が被告大学の事業の執行として被告大学の学長作成名義の本件合意に係る本件合意書を偽造してこれをA建設に交付するという不法行為をし、そのためA建設が上記契約を締結して上記陽子線がん治療機器等の代金(頭金)の支払等をした結果損害を受けたことを理由に、被告大学に対し、使用者責任に基づく損害賠償請求権に基づき、(1)A建設が上記契約に基づきO社に支払った代金(頭金)、立替金利及び送金等手数料の合計額相当損害金16億7932万6987円並びに遅延損害金、(2)A建設が上記契約に関して負担した費用相当損害金7493万5635円及び遅延損害金、及び(3)本件訴訟に係る弁護士費用と訴訟提起手数料の合計額相当損害金1億5442万3795円及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の請求はいずれも理由がないとし、請求を棄却した事例。
2015.07.21
損害賠償請求事件(NHK敗訴 小説ドラマ化を巡る訴訟)
LEX/DB25540488/東京地方裁判所 平成27年 4月28日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第17815号
原告(日本放送協会)が、q3が執筆し被告出版社が出版する小説を原作とした映像作品(テレビドラマ)を制作する過程において、〔1〕原作者から本件小説の著作権の管理委託を受けていた被告との間で、被告が原告による本件小説の映像化を許諾すること等を内容とする契約が成立したにもかかわらず、被告が一方的に上記契約を解除(白紙撤回)したと主張して、被告に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求として、6059万3844円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、〔2〕被告が原告に対し、本件小説の映像化について原作者であるq3から許諾を確実に得ることができると信頼させたため、原告は映像化の準備行為をしたところ、被告が原告の映像化活動の遂行を不可能にしたと主張して、契約締結上の過失を理由とする不法行為に基づく損害賠償として、6059万3844円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告が原告の期待を不当に損なったとまではいえないから、原告と被告との間で本件映像化許諾契約が成立したものと認めることはできず、被告は、原告に対し、本件映像化許諾契約に基づく債務を負うものではないから,原告の被告に対する債務不履行に基づく損害賠償請求は理由がないとし、また、原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求は理由がないとし、請求を棄却した事例。
2015.06.30
損害賠償請求控訴事件(東日本大震災 七十七銀行責任否定 控訴審)
LEX/DB25506305/仙台高等裁判所 平成27年 4月22日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第92号
被控訴人(被告)銀行の女川支店の行員等の相続人である控訴人らが、東北地方太平洋沖地震による津波により勤務中に同支店の屋上に避難していた行員等が流されて死亡し、又は行方不明となったことにつき、被控訴人に対し、被控訴人において行員らに対する安全配慮義務違反があったとして、控訴人(原告)らが、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案の控訴審において、想定された津波の高さ、建物の構造及び避難場所追加の趣旨等に照らし、被控訴人が屋上を津波からの避難場所として追加したことは不合理ではなく、安全配慮義務に違反するものではないなどとして、控訴人らの請求を棄却した原判決を維持した事例。
2015.06.30
災害弔慰金不支給決定処分取消請求控訴事件(東日本大震災 災害弔慰金訴訟 控訴棄却)
LEX/DB25506304/仙台高等裁判所 平成27年 4月10日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第17号
原告(控訴人)が、夫Aが平成23年に胃がんにより死亡したのは、東北地方太平洋沖地震によりAが余震に怯えるなどして不安を抱え不眠症になった上、アルコールを多飲するようになって食欲が低下したことによって死期が早まったものであるから、Aは震災により死亡したものであるとして、災害弔慰金の支給を請求したところ、不支給処分がなされたため、被告(被控訴人。仙台市)に対しその取消を求めた事案の控訴審において、Aの胃がんが震災に起因して発症したと認めることはできず、また、震災によるストレスがAの胃がんを通常の進行速度を超えて進行させた(震災が既往症を増悪させた)と認めることもできないから、震災とAの胃がんによる死亡との間に相当因果関係があるということはできないとして、控訴を棄却した事例。
2015.06.30
損害賠償請求事件(東日本大震災 船座礁事件 東電に賠償命令)
LEX/DB25506302/福島地方裁判所いわき支部 平成27年 3月18日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第53号
原告が、東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う津波等によりその所有する本件投石船が係留場所から流出したところ、同地震後に発生した本件発電所の事故のためその回収等ができなかったことによる座礁によって同船が全損したとして、本件発電所を設置管理する被告(電力会社)に対し、原子力損害の賠償に関する法律3条1項本文に基づき、損害賠償を求めた事案において、本件投石船の座礁による滅失と本件事故との間には因果関係があるというべきであるところ、本件においては、本件投石船が座礁して経済的全損の状態になったことが確認された日当時における本件投石船の交換価格すなわち時価額をもって損害額とすることとなるなどとして、請求の一部を認容した事例。
2015.06.23
責任追及(株主代表訴訟)の訴え事件(第1事件)、責任追及の訴え事件(第2事件)、責任追及の訴え事件(第3事件) (JR東日本 不正取水問題)
LEX/DB25525575/東京地方裁判所 平成27年 4月23日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第38999号等
補助参加人の株主である原告ら及び原告共同訴訟参加人らが、主位的には、補助参加人が運営する水力発電所である信濃川発電所で、発電に供する水を信濃川から取水するために受けていた河川法に基づく許可に付された条件に違反する取水を行い、当該許可を取り消されたことについて、当時の取締役又は監査役である被告らに任務懈怠があり、その結果、補助参加人は、当該許可を再取得するために信濃川発電所が所在する各自治体に合計57億円の寄附をすることとなって損害を被ったと主張して、予備的には、当該許可の取消処分に対して抗告訴訟を提起しなかったことにより当該処分を確定させたことについて、被告らのうち当時補助参加人の取締役又は監査役であった者に忠実義務違反があり、その結果、補助参加人は、上記57億円の寄附をすることとなって損害を被ったと主張して、補助参加人のため、被告らに対し、旧商法266条1項5号、旧商法277条又は会社法423条1項及び会社法847条3項に基づき、連帯して、補助参加人に57億円及びこれに対する遅延損害金の支払うことを求めた株主代表訴訟の事案において、原告らの請求はいずれも理由がないので全部棄却した事例。
2015.06.23
(日本ERI株式会社 VS 株式会社日本リート)
LEX/DB25506313/最高裁判所第一小法廷 平成27年 4月16日 決定 (上告審)/平成26年(オ)第1114号等
建築主のX社が、分譲マンションの耐震強度不足を見逃し建築確認済証を交付したとして、指定確認検査機関Y社に損害賠償を求めたところ、第一審では設計事務所側の賠償(約4億7700万円。確定)を認めた一方で、Y社の責任を否定したため、X社が控訴し、控訴審では専門家としての通常の注意をもっていれば、設計事務所が行った構造計算プログラムのデータの誤入力は発見できたとし、Y社に賠償(約1億4700万円)を命じたため、Y社が不服として上告した事案において、上告については、民事訴訟法312条1項又は2項に規定する事由に該当しないとして棄却し、上告受理申立てについては、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないと決定した事例。
2015.06.09
不当利得返還請求事件
LEX/DB25447284/最高裁判所第二小法廷 平成27年 6月 1日 判決 (上告審)/平成26年(受)第1817号
上告人が、当該取引には旧貸金業法43条1項の適用がなく、上告人は当該事由をもって被上告人に対抗することができるとした上、当該取引及び被上告人との間で継続的な金銭消費貸借取引における各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生しているとして、被上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、過払金の返還等を求めた事案の上告審において、債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において、譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても、このことについて譲受人に過失があるときには、債務者は、当該事由をもって譲受人に対抗することができると解するのが相当であるとし、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分は破棄し、原審に差し戻しを命じた事例。
2015.06.09
不当利得返還請求事件
LEX/DB25447285/最高裁判所第二小法廷 平成27年 6月 1日 判決 (上告審)/平成26年(受)第2344号
債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において、譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても、このことについて譲受人に過失があるときには、債務者は、当該事由をもって譲受人に対抗することができると解するのが相当であるとし、原審の判断を是認することができるとして、上告を棄却した事例。