【ユーザー事例】電子決裁から進める自治体DX

公会計システム > 埼玉県狭山市

財政課 主査 松尾 臣 氏 / 会計課 主査 中島 さやか 氏 / 情報政策課 主査 藤田 真次郎 氏

住所
埼玉県狭山市入間川1-23-5
電話
04-2953-1111
面積
48.99平方キロメートル
人口
149,046人(2023年5月1日現在)
埼玉県狭山市

──2022年度から「TASKクラウド公会計システム」の運用を開始されました。

松尾 以前の財務会計システムは、市の運用に合わせてさまざまなカスタマイズを行った結果、改元対応や法制度改正など必要機能のアップデートにも多くの改修費用がかかる状態でした。また約11年間使い続けてきたこともあり、最新のものと比べて機能面でも見劣りを感じていました。
 ちょうど、システムの更新時期を迎えたこともあり、この機にこれらの課題解決を図ろうと決断しました。

──具体的に、新システムにはどのような点を求めたのでしょうか。

松尾 大きく4点挙げられます。まずは〈ノンカスタマイズで運用できるパッケージ製品〉であることと、それに伴って〈コストの削減が図れる〉こと。また、財務書類の作成に毎年苦労していたため、〈これを改善できる機能を有している〉こと。そして、行政事務の効率化を図るため〈電子決裁機能を有していること〉です。これらを要件にプロポーザルを実施し、総合的に評価した結果、最終的にTKCのシステムを選定しました。
 中でも画期的だと感じたのは、「処理フラグ」と呼ばれる設定値を変更することで、個々の団体に応じた運用ができる点です。また、EUC機能にも助けられています。以前はちょっとしたデータを抽出するにも、SEに依頼しないとできないことが多くありましたが、今では実際にシステムを使用する職員が容易に処理できています。
 加えて、毎年システムが機能強化される点も評価しました。追加費用なしに継続的にレベルアップされるのはありがたいですね。

業務のムダや
紛失リスク軽減の効果も

松尾 当初、電子決裁は段階的に導入することも考えましたが、庁内で検討し、システムの運用開始と同時に導入することとしました。

──導入効果は。

中島 それまでは、前年度と当年度分の伝票を請求書原本も含めて全て会計課で保管しており、執務室の一角には文書保存用の段ボール箱が50個以上も積み上がっている状況でした。電子決裁の導入を機に、請求書原本のみ原課で保管してもらうよう運用変更したところ、段ボール箱の数は目に見えて減りました。年度末にどの程度まで減らせるのか、今から楽しみです。また、伝票をファイリングする際に、伝票種類ごとに番号順に並べ替える作業が不要になったことも大きな効果でした。
 さらに、会計課への伝票の持参が不要になったことも大きな効果です。特に、市内20カ所以上ある公民館などの出先機関等の職員が、書類提出のためにわざわざ本庁に出向く手間が減ったのはとても大きな効果といえます。これにより書類紛失のリスクもなくなりました。

──電子決裁の導入にあたり、準備した事項や工夫された点は。

中島 最初に取り組んだのが規則関係の見直しです。会計規則や予算事務規則、契約規則などの見直しを行いました。実際に押印や朱書きなど、紙をベースとする規定が多くあったため、影響する規則全てを調べて電子決裁に合わせた内容に変更しました。

松尾 幸い、市には「狭山市行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例」があり、電子情報処理組織により申請したものについては書面等により行われたとみなす──と定められていたことから、これに合わせて各規則に同様の規定を追加していくイメージで対応しました。

中島 また、審査業務では、これまで紙ベースで伝票と証憑書類を並べてチェックしていたものを、画面上で審査する運用に変更しました。一つの画面に伝票と証憑書類のPDFを並べて表示するのですが、ノートパソコンの小さな画面で確認するのは困難なため、審査担当者には大きなディスプレイも用意しました。今後は、タッチパネルなどを利用して、紙に鉛筆でチェックするイメージで、画面上でチェックできるようになるとさらに便利になりますね。

さらなるペーパーレス化を推進

──そのほか、今後、改善が必要と考えていることなどはありますか。

中島 細かい課題や改善すべき事項は多々ありますが、最も大きな課題は納付書など、どうしても紙が必要となるもの──いわゆる〝電子と紙が混在する〟ものの取り扱いです。例えば、出納担当者が処理する際に納付書だけではどの伝票の案件か判断できないため、現状は伝票を印刷し、添付する運用としています。
 ただ、これは簡単に解決できるものではありません。さらなるペーパーレス化を進めるために、納付書による納付を進めている収納側が、新たに口座振込や口座振替などにも対応することが重要と考えています。

──今後のご計画を教えてください。

藤田 まずは国が掲げる情報システムの標準化・共通化への対応をはじめとした「自治体DX推進計画」の重点項目を着実に進めていくことを目標としています。
 具体的な取り組みとしては、市民サービスの利便性向上を目的に、〝いつでも、どこでも必要な行政手続きが行える〟市役所の実現に向け、行政手続きのオンライン化の拡充を進めています。また、行政内部の事務についても、RPAを積極的に活用して効率化を図っており、今後は職員自身が業務ニーズに合ったソフトウエアロボットを柔軟に構築できる環境を整備したいと考えています。

写真左から藤田主査、松尾主査、中島主査

写真左から藤田主査、松尾主査、中島主査

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