【ユーザー事例】 求めたのは“財務書類の信頼性”と“経営の視点”

庁内情報系ソリューション「かんたん財務システム」 > 京都府綾部市

京都府綾部市 総務部財政課長 岩本正信氏

住所
京都府綾部市若竹町8番地の1
電話
0773-42-3280
面積
347.11平方キロメートル
人口
36,296人(平成24年11月30日現在)
URL
http://www.city.ayabe.lg.jp
岩本正信課長

岩本正信課長

──綾部市における、これまでの行財政健全化の取り組みについて教えてください。

岩本 綾部市では、平成10年度に「綾部市行財政健全化への取組」(行財政改革プラン)を策定し、行財政改革へ取り組みを開始しました。これまで4次にわたる行財政改革で大型プロジェクトの再検討や団体事業補助金の削減、使用料・手数料、人件費、繰出金の見直しなどを皮切りに、地方分権時代における自立的で効率的な行政運営および持続可能な行財政基盤の確立を目指して取り組んできました。

きっかけは地元公認会計士からの提案

──財務書類作成を開始された経緯を教えてください。

岩本 財務書類の作成は、第1次行財政改革プランを策定した際に、外部委員を務めていただいた公認会計士から貸借対照表の作成を行うべきだと提案されたのがきっかけです。最初はかなり戸惑いましたが、京都府の協力もいただきながら、平成11年度に平成10年度決算分を何とか作成することができました。

 また、平成14年度より「行政コスト計算書」の作成を開始し、さらに平成21年度からは国の指針を受けて総務省方式改訂モデルの「財務4表(貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書)」も作成しています。

 余談となりますが、綾部市では平成11年には「平成10年度決算にかかる貸借対照表」を作成しました。これは京都府内では初めてのことだったんです。

──総務省方式改訂モデルへの取り組みを教えてください。

岩本 京都府では、平成19年5月に「京都府公会計の整備に係る研究会」を立ち上げました。2か年にわたり16回の会合を開催し、財務4表作成の実務について研究するとともに府内市町村担当者向けにワークシートを使って財務4表を作成するなど具体的な演習も行いました。

 しかし、実際に実務で展開していくとなるとなかなか大変でしたね。初年度の平成21年度は、売却可能資産や未収金などの数値の把握に始まり決算統計資料から複数のシートへの転記が煩雑で、表間チェック、内部取引の相殺仕訳などで苦労しました。また、作成に8か月もの期間を要してしまい、業務の効率化や生産性の向上が必至の状況でした。そのようなこともあって、システム化を検討していたところ、『新風』で「TASKクラウドかんたん財務書類作成システム」を知り、早速申し込みました。

──導入の決め手を教えてください。

岩本 財務書類の信頼性を確保できることです。いままで監査委員に財務4表の最終チェックをお願いしてきましたが、正しく作成できているのかとても不安でした。しかし、作成作業をシステム化することで、財務書類の信頼性が確保できます。業務プロセスに基づく「ナビゲーションメニュー」により、財政課の担当者なら初めてでもストレスなく財務書類が作成でき、また煩雑だったシート間の転記や表間チェックなどを検証する機能もあります。さらに財務4表の整合性が確保でき、連結時の相殺仕訳を自動判別することで入力漏れも防止できます。

 財政が厳しいなか、財政を担当する職員としては情報化コスト削減の範を示さなければなりません。その点、かんたん財務書類システムはクラウド方式を採用していることから、サーバなどのハードウェアコストも不要です。加えて、LGWAN回線を利用できるため新たな情報基盤を整備する必要もありませんし、情報セキュリティやBCPの観点からも安心でした。こうした点を背景に導入を決断しました。

財政意識の高まりなど副次的な効果も

──実際に運用してみていかがでしたか。

岩本 まさしく“かんたん”でしたね。過去2年間、財務書類の作成に相当の期間を要していましたが、導入初年度の平成23年度は11月には財務4表を作成することができました。何と4か月の業務短縮が図れたんです。これまでは残業時間も増大し、職員の負担軽減が課題でしたが、労働時間の短縮も実現できました。これには、財政課職員全員で分散入力が可能になったことも寄与しています。

 また、平成24年度においては水道や病院、下水道などの特別会計の財務書類を各課の会計担当職員が作成し、それを財政課で連結しています。実際に財務書類を作成したことで、各担当者が財務状況の把握に積極的になるなど副次的な効果も表れています。TKCさんが講師を務めてくれた研修会もいいきっかけでした。会計を自治体の経営へ活かすという視点は大変重要です。

──今後の計画について、お聞かせください。

岩本 いま、綾部市では「第5次綾部市総合計画」の将来都市像──「住んでよかった…ゆったりやすらぎの田園都市・綾部」の実現に向けて、まちづくりを進めるとともに、引き続き土地開発公社解散などを盛り込んだ「第5次行財政改革プラン」(平成23~27年度)へ取り組んでいるところです。

 また、市のホームページ・市政情報コーナーに財務書類を公開し、市民の誰もが行財政改革プランのアウトプットを見ていただけるようにしています。これからは、協働してまちづくりに取り組む市民の皆さんにとって、いままで以上に分かりやすい指標とすることが課題です。そのためにも今後、かんたん財務書類の機能を大いに活用していく予定です。

 一方で、国では総務省方式改訂モデルから基準モデルへの移行が議論されています。今後の制度設計の行方を注視しているところですが、その動向によってはこれからも整理しなければならない課題が山積みとなることが予想されます。そのような観点からもTKCの今後の取り組みを楽しみにしています。

 私たちには、住民の福祉の増進を図ることを目的として、地域における自主的な取り組みが求められています。そのためにも将来にわたって持続可能な行財政運営を図るべく、「経営」という視点で今後も改革プランに取り組んでいきたいと思います。

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