【ユーザー事例】 市民サービスの向上は、クラウドから始まる!

基幹系ソリューション > 栃木県足利市

足利市役所 政策推進部情報管理課 課長 村田栄二氏 / 同副主幹 和田守弘氏

住所
栃木県足利市本城3丁目2145番地
電話
0284-20-2222
面積
177.82平方キロメートル
人口
151,442人(平成25年6月1日現在)
URL
http://www.city.ashikaga.tochigi.jp/
村田栄二課長

村田栄二課長

──足利市では昨年の証明書コンビニ交付システムに引き続き、このほど基幹系業務システムでもクラウドサービスを採用されました。

村田 足利市では、昭和40年代から汎用機を自己導入し電算化を進めてきました。昭和62年には、市町村としては全国初となる予算編成から決算までを一貫して処理できる財務会計システムをベンダーと共同開発した経験もあります。

 近年では、汎用機を中心にオープン系システムを併用する状況が続いていました。そのため度重なる法改正等による改修でシステムが複雑化し、改修費とともに担当職員(8名)の負担も年々増加傾向にありました。また、汎用機で小回りが利かない分は原課の職員が「Access」などで独自システムを作成して業務に活用していましたが、こうしたシステムは担当者が異動になると“ブラックボックス化”して適切に管理・運用できなくなりますよね。

 こうした課題を解消すべく、『第5次行政改革大綱実施計画』(平成18年)で「電算処理業務のシステム及び運用形態の見直し」を掲げ、オープン系システムの調査・研究をスタートしました。その後、21年度に「移行計画」を策定し、22年度にはクラウド化を念頭に「基幹系業務システムのあり方」の検討を行うなど計画的に取り組んできた結果、このほど基幹系業務システムのクラウド化を実現したものです。

和田 もともとは「コストの削減」と「職員負担の軽減」の面でクラウドに注目していたわけですが、東日本大震災を契機に「業務継続性の確保」という観点が加わったことで具体化に向けた計画も一気に進みましたね。新たな基幹系業務システムは、26年度予算の編成時期となる今年10月に財務会計より稼働を開始し、その後1年かけて順次システムの切り替えを予定しています。

職員目線で使いたいシステムを選択

──システム選考で重視した点は何だったのでしょうか。

村田 昨年11月に公募型プロポーザル方式による事業者選定を行い、6社が応募しました。選考ではカスタマイズを最小限とすることを前提に、実際にシステムを使う原課の職員60名に「自分たちが最も使いたい」という点から評価してもらう形式としました。そのため職員はデモやプレゼンへ参加するだけでなく、機能要件や各社への質問書の作成などにも関わってもらいました。ただ、職員たちは初めてオープン系システムに接するため、評価に先立ち勉強会も行いました。

 実際の評価では、RFIで実際の運用を想定しながらシステムの機能を確認し、またRFPでは市の要求にどこまで対応できるかを確認しました。そのため職員は、最終決定するまでにデモだけでも2回以上見たことになります。各社のデモやプレゼンを重ねるたびにオープン系システムに対する職員の理解も深まり、「自分たちが使うんだ」という目線で質問内容などもどんどん具体的なものに変わっていったのには驚きましたね。

──決め手は何だったのでしょうか。

和田守弘副主幹

和田守弘副主幹

和田 機能面では各社システムに大きな差はなかったと思います(笑)。

 ただ、業務担当者の評価では操作性と機能面のいずれもTKCのシステムが高得点となりました。なかには機能強化が必要だと感じた部分もありましたが、それについては今後の対応方針が明確に示されました。そうして比較検討した結果、自分たちが実務で使う道具としてTKCシステムが最も足利市職員の“肌に合った”ということなのでしょう。

 また、コスト削減という点では、クラウド化によって従来に比べ2割程度の削減が可能になると期待しています。さらに、データセンターを視察し情報セキュリティ面の強化や業務継続性の確保という点でも安心できました。基幹系業務システムをクラウドサービスへ一斉に切り替えることへ不安の声もありましたが、基幹系ベンダーとしての実績に加え、足利市でも「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」が順調に稼働している実績もあり、TKCにお願いすることにしました。

クラウドは目的ではなく手段!

──準備作業の状況はいかがですか。

和田 現在、業務ごとに32のワーキンググループを設置し、担当職員とTKCの開発担当者が一緒になって稼働に向けた準備を進めています。具体的には、グループごとに1カ月に2~3回の打ち合わせを実施して、業務システムのマッチングやデータ移行などの調整を行っています。また、市の個別業務などについてはカスタマイズが必要となる部分もあり、こうした点についてもワーキンググループで対応を検討しています。

 改めて各社から提供されている基幹系業務システムを見ると、15~20万人規模の団体向けのものが少ないと感じます。この点では、ぜひ足利市をモデルとしてTKCのシステムがさらに進化してくれることを期待しています。

──ありがとうございます。最後に今後の取り組みについて教えてください。

村田 最大限の効果を得るためには、将来的に基幹系以外のシステムもすべてクラウド化することも考えられます。とはいえ、クラウドはあくまで手段であり、われわれが目指すのは「市民サービスの向上」です。証明書コンビニ交付で便利になったという声も聞かれますし、今後はクラウド環境をベースとした総合窓口なども検討できるでしょう。

和田 汎用機に長く関わってきたわれわれとしては多少の寂しさはありますが、次代に向けた新サービスを技術的・経費的にも容易に実現できる、それがクラウドです。これを徹底活用して、さらなる市民サービスの向上につなげていきたいと考えています。

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