2022年1月号Vol.125

【ユーザー事例2】持続可能な財政運営へ、公会計情報を徹底活用

次世代公会計システム > 栃木県鹿沼市

財総合政策部 財政課 課長 秋澤一彦 氏 / 総合政策課 課長補佐兼政策係長 能島賢司 氏

住所
栃木県鹿沼市今宮町1688-1
電話
0289-64-2111
面積
490.64平方キロメートル
人口
94,145人(2021年11月1日現在)
栃木県鹿沼市

──鹿沼市では独自の予算編成をしていると伺いました。

秋澤 鹿沼市では、シーリング(要求額の上限額設定)として、経常的経費の枠配分方式による独自の運用を行っています。
 具体的には、臨時的経費や新規事業といった政策的経費以外の経常的経費を対象に予算事業ごとに要求上限額を設定しています。ただし、義務的経費は除外しています。各部局では、予算設定の枠内に収まるよう事業間で配分(予算配当額の調整)する──という方法です。
 いまから10年ほど前、シーリングに取り組んだ当初は一律に5%減としていましたが、現在は、新規事業以外は前年度と前々年度の決算額をベースに算定しています。

──最近では予算に“メリハリ”をつける団体も目立っています。

秋澤 市では総合計画の期間に合わせて『財政健全化推進計画」(5カ年計画)を策定しており、その中で“選択と集中”によるメリハリある財政運営に取り組んでいます。一例として、今年度は団体補助金の見直しを行いました。2021年4月に『補助金適正化ガイドライン』を定め、これに沿って所管部局が対象団体から提出された過去3年分の決算書を審査する形式としました。その結果、来年度から事業補助に切り替える、あるいは慣例化していた少額補助の見直しにつながりました。これについては、今後も全ての補助金を対象に不断の見直しを行う計画です。

作業効率の向上と
早期化を期待

──そうした中、次世代版「TASKクラウド公会計システム」のファーストユーザーとして、21年10月から次年度の予算編成業務がスタートしました。

秋澤 これまでは期末一括仕訳方式を採用し、財務書類の作成ではアドバイザーとして外部事業者の支援も受けていました。しかし、実際に財務書類の作成に取り掛かれるのは決算確定後で、その後、担当者が各部署へ聞き取りをしながら固定資産台帳の異動情報を登録し、一括入力を行う──という具合で、出来上がるのは12月となっていました。この時期には次年度の予算編成が始まるため、このままの状態ではせっかく作った財務書類を分析する時間がなく、十分に生かせないという課題がありました。
 今回、TKCシステムを採用したのを機に日々仕訳方式の切り替えを進めます。これにより、課題であった財務書類作成にかかる〈職員の負担軽減〉を図れるとともに、〈作成の早期化〉ができると期待しています。
 もう一つの期待点が〈公共施設マネジメント〉への活用です。
 現在、市が保有している施設の平均築年数は約25年で、今後20年ほどの間に多くの施設が更新時期を迎えます。加えて、少子高齢化や人口減少などにより施設の利用状況の変化も予想されます。これに伴い、施設の実態をできる限り正確に把握し、持続可能なサービスを提供していけるよう公共施設の最適な配置が不可欠です。
 そのためにも、今後はマクロとミクロの視点で施設の維持管理を考えていく必要があるでしょう。財政負担の平準化も加味しながら、〈マクロの視点〉で保有する全ての施設について今後どう利活用していくのかを考える。その共通認識をベースに、〈ミクロの視点〉で施設ごとに利用率向上や受益者負担の適正化を図り、また維持管理の点では計画的な予防修繕などによる修繕の効率化・長寿命化などを考える──ということです。その過程では、施設の統廃合や利用料の見直しなどいろいろな判断が必要になると思いますが、そのための意思決定に事業・施設別セグメント分析など公会計情報を役立てたいと考えています。

情報共有と見える化で
意識改革を図る

2021年夏から一部業務を開始した鹿沼市新庁舎(23年3月完成予定)

2021年夏から一部業務を開始した鹿沼市新庁舎(23年3月完成予定)

──まさにEBPM(証拠に基づく政策立案)ですね。固定資産台帳との連携により、グラフ化して施設ごとの横並び比較も可能です。

秋澤 市民や議会だけでなく、内部の職員に対しても“見える化”は重要です。少子高齢・人口減少を背景に、財政状況は今後ますます厳しさを増していきます。加えて、防災・減災対策の強化や新しい生活様式への対応、自治体DXの推進など新たな財政需要が次々と登場し、地域の課題は山積しています。それらを解決するには、職員一人ひとりが現状を“自分ごと”として捉え、知恵を結集していかなければなりません。また、理想型としては原課がさまざまな情報をリアルタイムに把握して、日々の事業活動の中で活用していくことを目指したいですね。

──行財政改革について、今後の展望など教えてください。

能島 これまでの反省点として、職員に「計画と予算は別」という認識があったと感じています。その意味でも職員の意識改革が重要で、この機に公会計情報を含めた情報の共有化と見える化をぜひ進めていきたいですね。
 来年度からは『第8次鹿沼市総合計画』もスタートします。ポイントは〈持続可能なまちづくり〉です。やるべきことを厳選し限られた経営資源を効果的に配分するために、バックキャスティング思考による中長期計画をまとめました。大局的な視点からまちの方向性を定め、政策や施策、事業の粒度を整理した上で目的、手段、成果を重視し、本当に必要なところに注力する──これにより「花と緑と清流のまち 笑顔あふれるやさしいまち」の実現へ、さらに前進し続けたいと考えています。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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