事務所経営

新入職員向け研修シリーズ第2弾が完成 「初級職員研修プログラム」を10月から配信開始!

10月から「初級職員研修プログラム」のオンデマンド配信が開始された。本研修は、入所1~3カ月の新入職員向けの基礎知識を学ぶ「必修基礎コース」と、初めて業務を取り組むときに受講する「ここからシリーズ」の二つのプログラムで構成。研修内容や活用方法のポイントを中村哲郎副所長に聞いた。

巡回監査士を育成する一貫した教育プログラム

──令和5年4月に配信された「新入職員研修プログラム」が大変好評ですね。

中村哲郎副所長

中村哲郎副所長

中村 ありがたいことに、半年間で1800超の事務所超に活用いただき、「こんな研修が欲しかった!」などと感謝の言葉を頂戴しています。こちらを企画した「巡回監査士制度の充実プロジェクト」のメンバー全員が、制作して本当に良かったと喜んでいます。

──今回、配信開始された「初級職員研修プログラム」は「新入職員向け研修シリーズ」の第2弾と伺っています。

中村 「新入職員研修プログラム」の配信開始から半年というタイトなスケジュールでしたが、当初から「巡回監査士を育成する一貫した教育プログラム」を構築したいという思いがあり、すぐに制作を行いました。

──「巡回監査士を育成する一貫した教育プログラム」という構想は、どこから生まれたのですか?

中村 「会計事務所はどのように巡回監査担当者を育成しているのか」という問題意識から、情報収集・ヒアリング調査を実施したことがきっかけでした。各事務所は職員育成の目標・評価・研修等に試行錯誤していることが分かったため「標準キャリアプラン」をまず作成しました。そのキャリアプランに沿って、専門的知識と業務スキルを身に付けられる研修カリキュラムを提供すれば、巡回監査士育成の支援ができると考えたのです。 
 左頁の図表は、いま構想している「巡回監査士を育成する一貫した教育プログラム」です。まず「基礎研修」として、採用月に関わらず研修ができるように、オンデマンド研修「新入職員研修プログラム」と今回の「初級職員研修プログラム」を制作しました。その後は「専門的知識の習得」として、巡回監査士補・巡回監査士を目指していただきたいという考えです。

入社1カ月、少し慣れてきた頃に受講してほしいカリキュラム

──「初級職員研修プログラム」のコンセプトは何でしょうか。

中村 ざっくり言うと、「会計事務所の仕事にはやりがいがある」ということを理解してもらうための講座です。
 「新入職員研修プログラム」は入所1カ月以内に受講することで、会計事務所で働く心構え・やりがい、税理士法、ビジネススキルやマナー等、新入職員が身に付けておくべき基本を学べる内容ですが、今回配信を開始した「初級職員研修プログラム」は、入所して約1カ月、少し慣れてきたけれど仕事についていけるか漠然とした不安を抱き始める頃に受講してほしいカリキュラムです。少しでもその不安を減らし、自信を持って業務に取り組んでもらえるようになることを目指しています。

──研修の詳しい内容をお聞かせください。

中村 本研修は、「①必修基礎コース」と「②ここからシリーズ」の2部構成です。

 まず、「①必修基礎コース」は、入所1~3カ月の新入職員を対象とした全4章の講座です。
 第1章「会計事務所のしごと」では、新入職員に「中小企業経営者を伴走支援する巡回監査士としての活躍が期待されていること」を伝えています。受講いただければきっと、会計事務所の仕事にやりがいを持てるようになると思います。
 第2章「会計のきほん」と第3章「税務のきほん」は、なるべく専門用語を使わず、分かりやすく解説するために対話形式の研修としました。会計と税務の基本的な考え方を理解することで、これから身に付ける専門知識の基盤になるはずです。
 第4章「巡回監査の手順とポイント」では、業務を具体的にイメージしてもらうため、巡回監査の再現VTRを研修の中に組み込んでいます。

巡回監査士を育成する一貫した教育プログラム

──「②ここからシリーズ」についても教えてください。

中村 初めての業務を取り組む際に受講してほしい研修です。例えば年末調整や所得税確定申告に関する業務について未経験の職員が、概要や仕組み、事例をもとにした計算方法等を学習できます。
 さらに「ここからシリーズ」の受講後に、「税務情報システム研修会」を受講してもらうと、段階的に知識やスキルを高めてもらうことが可能です。
 なお、今回は「年末調整」と「所得税確定申告」をテーマとした研修を提供していますが、今後は「法人税」「給与計算」等、コンテンツを順次追加していく予定ですのでご期待ください。

入所3カ月は大切な時期 最初の学びが一生の役に立つ

──最後に、メッセージをお願いします。

中村 実は職員教育にあたって「仕事は現場で先輩に学べばよい」と考えていた時期がありました。「基礎を学ぶこと」を重視しておらず、正直、うまく育てられなかった職員もおり、私自身も後悔があります。現在は、所内で巡回監査士を目指す体制が定着し、基礎を学び土台を作ることが、その後の成長につながることを実感しています。特に入所3カ月間は非常に大切な時期。最初に学んだことは一生の役に立ちますから、必ず当研修を活用してほしいと思います。なお、活用にあたって所長先生は、教育を他の職員に任せきりにするのではなく、自ら指導していただければ幸いです。

(会報『TKC』令和5年10月号より転載)