最近よく耳にする「インターネットFAX」の導入メリットについて、詳しく教えてください。(流通業)

 インターネットFAXとは、複合機やFAX専用機を使わずに、インターネットに接続されたパソコンや携帯電話でFAXを送受信できるサービスのことです。受信したFAXは出力せずに、そのままパソコン等で閲覧・保存できます。送信については、パソコン画面で作成したエクセルファイルなどをメールのような感覚で送れます。

 インターネットFAXでは、インターネット上のサーバーを介してデータの送受信をします。相手先が紙で送ってきたFAXを受信した場合、FAX機で紙に印刷する代わりに、サーバーで電子ファイルに変換して蓄積。それをパソコン等で読みにいきます。送信については、パソコンからデータをアップロードすると、サーバーでFAX向けのデータに切り替えられ、相手のFAX機から紙に印刷されて出力されます。つまり、相手先の通信環境は現状のまま、自分たちだけがインターネット上でFAXの送受信ができるのです。

 インターネットFAXを導入するメリットには、主に以下の3点があります。

(1)FAXにおけるコスト削減ができる
(2)社内のペーパーレス化が進む
(3)外出先でもFAXが確認できるようになる

 インターネットFAXは初期費用もランニングコストも、既存のFAXに比べてかなり安く済みます。FAX機をリース契約する必要もなければ、FAX用の電話回線料を支払う必要もありません。そして通信料は、全国一律。既存のFAXとは違い、送信する先の距離が遠ければ遠いほど料金が増す、といったことはないのです。これまでFAX送受信に費やしていたコストを半分以下に抑えることも不可能ではありません。

 さらにパソコン画面で受信したFAXの内容を閲覧できるため、紙代やトナー代も節約できます。インターネットFAX導入を機に、社内のペーパーレス化も進むでしょう。納品書など大量のFAXを帳簿にファイリングして保管していた状況とは決別し、電子データとして管理する体制にすれば事務所スペースの有効活用にもつながります。

 またインターネットFAXなら、パソコンとインターネット環境さえあれば外出先からでも受信した内容を閲覧することが可能。モバイルPCや携帯で注文FAXを受け取り、その場で処理といったスピーディーな対応が取れるようになるという利点があります。

導入企業は徐々に増えている

 電子メールがこれだけ普及したにもかかわらず、「取引先がFAXで送ることを当たり前としている」といった事情から、なかなかFAXを手放せないでいる企業が少なくありません。それらの企業にとってインターネットFAXの導入は価値あるものといえます。実際、導入企業は徐々に増えてきており、仕事の依頼や緊急の連絡など遠方の得意先とFAXでやり取りすることが多かった運送業者がインターネットFAXに切り替えたことで通信費を大幅に削減した事例などもあります。

 コスト削減の観点から、固定電話からIP電話に移行する企業が増えたのと同様、インターネットFAXへの関心度合いは今後さらに高まっていくことでしょう。

掲載:『戦略経営者』2011年9月号