ウィンドウズXPのサポートが終了するとのことですが、どのような影響があるのでしょうか?(医薬品卸)

 マイクロソフトは4月9日、1年後となる2014年4月9日に、ウィンドウズXPのサポート期間を終了すると発表しました。これは、操作などの解説を指すものではなく、セキュリティー対策アップデートを中心とした、OSの改善作業そのものの終了を意味します。XPについては14年4月以降、仮にセキュリティー上の問題が発見されても、修正作業は行われません。すなわち、来年4月以降もXPを使い続けた場合、コンピュータウィルスやサイバー攻撃に対する防護が、きわめて脆弱なものになるということです。

 これは、自社が攻撃されることだけに止まりません。脆弱なOSが放置されると、そのパソコンは攻撃者に操られる「踏み台」となり、他者攻撃に利用される可能性が高くなります。そうなると、被害は急速に拡大します。要は、「来年4月以降、XP搭載パソコンはネットにつなぐべきではない」ということです。

 解決方法はずばり、パソコンを買い換えて、ウィンドウズ7や8などの新しいOSへと移行することです。ただOSだけを入れ替えてもうまく動作しないことが多く、現実的ではないからです。「セキュリティー対策ソフトを入れれば大丈夫」と言う意見もありますが、それだけでカバーできるものではありませんし、セキュリティー対策ソフト側も、来年以降はXPをサポート対象外とする動きがあります。

法人の4割以上がXPのまま

 今日においてもXP搭載パソコンは、特に法人で広く利用されています。IDGジャパンの調査によれば、12年上半期の段階で、法人では40.3%がXP搭載製品とのこと。それを1年で置き換えるのは、作業的にも金銭的にも大きな負担であるのは間違いありません。特に、独自のソフトを開発してXP上で使っている企業の場合、それが新OS上でも問題なく動作するかどうか、確認する作業も必要となります。金銭的負担に加えて、時間もかかります。

 「動いている機械を捨てるのはもったいない」と思われそうですが、それは一面的な見方です。ウィンドウズXPは、発売以来すでに12年が経過しています。日進月歩のITの世界から見れば、もう骨董品に近いものです。この年月の間に、サイバー攻撃の手法も進歩してしまいました。新OSでは対処のしようもあるのですが、XPでは基盤技術が脆弱で、対応に限界があります。マイクロソフトは過去に何度もXPのサポート期間を延長してきたのですが、そろそろ難しくなりました。何度も改築した土台の脆弱な建物に、無理な耐震強化対策を強いているようなものです。この機会に機器の見直しを行うことをお勧めします。

 現在のパソコンは、XPで動作する機器より遥かに動作が快適で、価格も安くなってきています。マイクロソフトも法人向けの「移行キャンペーン」を展開しています。専用の相談窓口も設けられ、導入費用の割引を含めた施策も用意されていますので、検討してみてください。

掲載:『戦略経営者』2013年6月号