食材偽装問題でゆれる外食業界。兵庫県加古川市に昨年オープンした「にぎり寿司海鮮料理 播磨水産」では、良心的な価格で新鮮な料理を味わえ、昼夜問わず人気店となっている。長年にわたり飲食業界に身を置く長澤達雄社長(62)に集客戦略を語ってもらった。

産地直送の鮮魚をお値打ち価格で提供

播磨フードサービス:長澤社長(左)

播磨フードサービス:長澤社長(左)

──開店されてまだ間もないそうですね。

長澤 昨年7月、加古川市に「にぎり寿司海鮮料理 播磨水産」をオープンしました。メニューの中心はお寿司や海鮮料理です。

──お店の特徴を教えてください。

長澤 回転ずし店は別として、一般的に寿司店は敷居が高く感じられるものです。より多くの方々に気軽にお寿司を食べていただきたいと思い、いろいろなメニューをリーズナブルな価格で提供しています。
 ランチメニューの価格帯は950円から1,300円ぐらいまで。人気の「本日の船盛り定食」はマグロやハマチ、サザエなど7種類のお刺身が味わえ、価格を1,180円におさえました。ランチタイムは通常14時ぐらいには終わるお店が多いですが、当店では17時までつづけています。

──マグロを解体している写真が店内に飾られていますが……。

長澤 マグロの解体実演販売を毎月おこなっていて、11時までに入店いただいたお客さまには、解体したマグロを1カン無料でサービスしているんですよ。来店したお客さまには大変喜ばれています。ランチタイムと重なると手が回らなくなってしまうため、10時半から開始して12時までに終わるようにスケジュールを組んでいます。
 先日はマグロ解体ショーにあわせて兵庫県・相生産のカキの試食販売もしました。イベントを開催した日はサービスデーとして、夕方以降も一部メニューを割安な価格で提供しています。

──仕入れはどのようにされていますか。

長澤 おもに徳島県から毎日直送便で仕入れています。鳴門海峡は恵まれた漁場として知られていて、とれる魚種が豊富なんです。定番料理の「グランドメニュー」のほか、「おすすめメニュー」は旬のネタにあわせて決めています。これからも季節ごとに変更していきたいと思っています。

──昨年、播磨フードサービスを設立されたと聞きました。経緯は?

長澤 大阪万博のあった1970年に父が飲食事業を手がける会社を興し、兄とともに長年働いていました。昨年その会社を退職し、4月に当社を設立しました。
 お店があるのは国道沿いで、比較的目に留まりやすい場所です。以前ファミリーレストランが営業していた居抜き物件を改装し開店できたため、初期投資をおさえられました。宴会で使っていただける、お座敷もあります。

──オープン後約半年がたちますが軌道に乗ってきましたか。

長澤 最近になってようやく落ち着いてきましたね。オープン当初はメニューを試作したり、食材を仕込みすぎてしまったり、材料費が予想以上にかさんでいました。従業員の労働時間も現在より長かったため、人件費もかかっていました。店長によるOJTのおかげで従業員のレベルアップが図られ、人数も適正になりつつあります。

──新年会シーズンで書き入れどきを迎えます。

長澤 ええ。忘年会、新年会シーズンに向けて、宴会コースメニューの案内チラシを先日出したところです。パーティーセットなどのテークアウトメニューや、鍋物のメニューもそろえています。ただ最近若い女性の方の中には、他の人といっしょに同じ鍋をつつくのに抵抗を感じる方もいるみたいですね。ひとり鍋を提供するお店が増えているのは、その表れではないでしょうか。

──4月には消費税率が引き上げられますが、価格改定は検討されていますか。

長澤 以前の勤務先では消費税が5%になったとき価格を据え置いたため、粗利が落ちてあとになってそれがこたえました。西村(俊亮顧問税理士)先生とよく相談しながら方針を決めたいと思います。

簡単操作とサポートが『ネットレジ』の魅力

──西村先生との関与のいきさつを教えてください。

長澤 会社設立当初、顧問税理士の方を探していたとき、たまたまTKCのテレビコマーシャルを見たのがきっかけです。CMを流すことができるほどの資金力があるなら、組織の規模もそれなりに大きいだろうと。そして加盟している税理士が多ければ、きっと経営指導のノウハウもたくさんお持ちだろうと思いました。そこでTKCのホームページを見て自宅にもっとも近い会計事務所をしらべ、西村先生に連絡をとったというわけです。

西村 とくに誰かからの紹介というわけでもなく、地元で有名な会社の方からの連絡だったため、すこし驚きました(笑)。

長澤 会社の経理は家内に任せていますが、会社創業前は専業主婦だったため、パソコンの操作は得意ではありませんでした。西村先生に懇切丁寧に教えていただき、大変ありがたいと感じています。

──カシオの『ネットレジ』を利用されていますが、この製品を知ったきっかけは?

長澤 店舗をオープンしたとき、西村先生に給与計算方法について相談したところ、タイムレコーダーから勤怠データを連動できるアマノの『タイムパック』をご紹介いただきました。そのときにどんなレジを使うかという話題になり、『ネットレジ』という便利なシステムがあるとおすすめいただきました。

──購入にあたり、他のレジと機能を比べましたか。

長澤 レジを選定するさい候補に挙がったのは、タブレットで利用できるレジで、クレジットカード決済機能も付いていました。その後、実際に『ネットレジ』のデモを見て、見積書を出してもらったところ、いろいろな機能が付いているわりには、それほど高くありませんでした。
 以前勤務していた会社では自社開発したレジを使っていて、メンテナンス費用などが結構かかっていました。『ネットレジ』ならカシオのサポートを受けられるし、クレジットカードの読み取り機もオプションで貸与してもらえます。そのあたりが導入の決め手ですね。

──日常業務での使い勝手はいかがでしょうか。

長澤 オープン当初から『ネットレジ』1台と、お客さまからの注文を受けるオーダーエントリーシステムに入力する端末3台で運用しています。タッチパネルで簡単に操作できるので従業員もすぐに慣れました。定期的におこなっているメニュー替えのとき、短時間でマスター情報を登録できるのも便利です。
 操作がわからないときはコールセンターに問い合わせられ、丁寧にわかりやすく教えてもらいました。私自身機械の操作にあまりくわしくないため、その点も導入してよかったと感じています。

──『ネットレジ』には、売上データを集計するサービスもあるそうですね。

長澤 日々の売り上げは通常のレジ操作だけで運営センター「CXDネクスト」に自動アップロード、データ集計され、パソコンから売上実績をリアルタイムで把握できます。外出先や自宅のパソコンで「売上集計管理サービス」画面をひらき、売上日報などが瞬時に見られるのはすごいですね。西村先生に売上実績を報告する必要もなくなりました。

──さきほどお話いただきましたが、給与計算の流れは?

長澤 従業員の勤怠データをタイムレコーダーから『タイムパック』に切り出し、『PX2』(戦略給与情報システム)に連動させています。
 給与支払い明細書の出力方法など、操作を西村先生から教えていただいているところで、1月分の給与計算から私が担当する予定です。開店当初からタイムパックで給与計算処理が効率化できたのも非常に助かっています。

西村 先日『FX2』(戦略財務情報システム)の立ち上げも完了し、奥さまに操作方法をひととおり説明しました。『PX2』の運用に慣れていただいたあと、おいおい活用のしかたをご提案していきたいと思っています。

──抱負をお聞かせください。

長澤 まずはこの店の経営を軌道にのせ、成功モデルとして周辺の明石や神戸などにも出店できればと考えています。システム面では『ネットレジ』から『FX2』への売上データの仕訳連動機能も活用していきたいですね。

(本誌・小林淳一)

会社概要
名称 播磨フードサービス
設立 2013年4月
所在地 兵庫県加古川市米田町平津1
TEL 079-441-7316
社員数 30名(パート・アルバイト含む)
顧問税理士 西村俊亮
西村俊亮税理士事務所
兵庫県加古郡播磨町南野添3-6-6JAビル3F
TEL:079-430-0150
URL:http://toshi-n.tkcnf.com/

掲載:『戦略経営者』2014年1月号