CO2排出量を見える化する「どんぐりポイント制度」がスタートしたと聞きました。詳細について教えてください。(食器・家具製造)

 今年は気候変動に関する首脳会議や、IPCCの第5次報告書の発表が予定され、また2020年以降の将来枠組みの議論が本格化するなど、地球温暖化への世界的な関心が再び高まっています。日本でも温暖化防止のためさまざまな対策が進められていますが、CO2負荷の少ない商品を選びたいという消費者の要望に応えるため昨年11月に「どんぐりポイント制度」がスタートしました。この制度は、企業に自社の製品やサービスがCO2ゼロであることをラベル表示でPRしてもらうことを目的としています。

 例えば、ジュースを製造、販売している場合、自社の事業活動だけでなく原材料調達、流通、廃棄・リサイクルなど前後の段階でもCO2は排出されています。そこでこの制度では、商品のライフサイクル全体で発生するCO2量を「見える化」した上で、CO2を削減しようとしてもどうしても減らせない部分は、植林などで削減したCO2量で相殺し実質的にゼロにします。さらに消費者が「CO2ゼロ」と一目で分かるよう、このような商品にはCO2ゼロのシンボルとして「どんぐりマーク」を貼ります。それを集めると特典になるポイントを付けるのが「どんぐりポイント」で、現在13事業者22製品に付与されています。ポイントを集めると学校など地域の団体に環境に配慮した商品やサービスが提供される仕組みが構築されています。

商品の販売促進に期待

 この制度に参加すると、自社の環境配慮製品を顧客へアピールしたり、企業のブランドイメージ向上を図ることができます。参加企業からは新聞や雑誌等のメディアへの掲載や、類似製品について顧客から問い合わせが増えるなど、社内外から多くの反響があったという声があがっています。今年2月の「ローソンマチカフェ」の協力による調査では、環境意識のある消費者の2人に1人が、どんぐりマークのキャンペーンが購入の後押しになったと答えており、商品の販売促進につながることも期待されます。CO2排出量を「見える化」することは製品やサービスを取り扱う上でのムダの「見える化」になるので、ランニングコストの低減にもつながるでしょう。

 参加事業者は どんぐりマークを取得して商品交換のためのポイント費用を拠出する必要がありますが、事務手続きの負担はありません。また付与するポイントについても負担のない範囲で結構です。CO2排出量の算定に必要なデータの集め方など技術的な支援や、各種メディアとタイアップした事業紹介など、参加事業者には種々の支援策が用意されています。

 どんぐりポイントを集めれば、環境に良いことがおこる。どんぐりポイントのついた商品が選ばれると、新たなどんぐりポイント商品が生まれ、それがまた選ばれていく――このような連鎖を目指している制度です。詳細は事務局のみずほ情報総研(03-5281-5329、donguri@mizuho-ir.co.jp)までご連絡ください。

掲載:『戦略経営者』2014年5月号