カメオジャパンはダーツ商品の企画・販売を手がけた先駆者として知られている。宮澤智泰社長(37)は競争のない市場に着眼し自社製品を投入、業界内で確固たる地位を築いた。法人化と同時に導入した『FX2』で経理体制も盤石にしつつある。

独創的な発想による自社ブランドを展開

カメオジャパン:宮澤社長(右)

カメオジャパン:宮澤社長(右)

──服飾雑貨を扱われているそうですね。

宮澤 ダーツケース、スマートフォンケースをはじめとしたケース商品を企画、販売しています。ダーツ関連商品の取り扱いからスタートし、ラインアップを広げてきました。ダーツグッズ専門店やウェブショップでおもに販売しています。

──ダーツ商品に目を向けたいきさつを教えてください。

宮澤 10年ほど前、ダーツ市場は海外メーカーに独占されていました。ダーツ(矢)を収納するスマートなケースが皆無だったため、ファッション性のあるケースをつくり販売したところ、お客さまから大変ご好評をいただきました。今ではスマートフォンやタブレット用など、ケース全般を扱うブランドを目指し取り組んでいるところです。
 創業当初から「CAMEO」というブランド名を使っていますが、米国のハリウッド用語である「カメオ出演」という言葉に由来しています。友情出演や脇役といった意味があり、当社の手がけるケース商品は、名脇役であってほしいという思いから名付けました。現在はダーツ関連の売り上げが7割ほど。将来的には他のケース商品との売上比率を半々ぐらいにしたいと思っています。

──自分でケースを作ってしまうとはすごい。

宮澤 物をつくるのがもともと好きなんです。大学を卒業して入社したシャツのアパレル商社では、服飾品の企画、生産管理、営業に携わりました。8月に新たに売り出すファブリック素材のスマートフォンケースには、独自の加工を施したシャツの生地を用いています。ミシンできれいに縫製するためには緻密な計算をした上で糸を選ぶ必要があり、他のメーカーにはこういった発想はなかなかできないと思います。

──新製品の特徴は?

宮澤 ケース本体とカバー部分をマジックテープで着脱でき、さまざまなサイズの機種を収められるところです。収納ポケットがたくさんあるので、デジカメやイヤホンなどの小物入れにもなります。
 スマホのハードケースは競争が激しく、「○○専用」といった機種を限定したケースだと市場になかなか受け入れてもらえません。一方、生地を縫製してつくるソフトケースの市場は、開拓できる余地が十分あると見ています。

──自社ブランドの認知度を高めるため、どんな活動に取り組んでいますか。

宮澤 まずは、お客さまにとって「本当に良い」と感じていただける製品をつくることが先決です。そのうえで広告や口コミといったコミュニケーションツールを活用しています。取引先さまをはじめ、多くの方々が当社に目をかけてくれたおかげで、今の立場があることは間違いありません。スマホケースは市場規模が大きいため、いくら良い物を作っても知っていただく機会がないかぎり売れません。今後はケースブランドとして確立させるため、広告宣伝活動に力をいれていくつもりです。

──具体的には?

宮澤 念頭に置いているのは、SNSプロモーションです。ウェブマーケティングに精通している広告代理店とタイアップし、ファンやユーザーとコミュニケーションを図っていきたいと考えています。

──顧客の声を商品に取り入れていくと。

宮澤 お客さまに対するアンケートやヒアリングを定期的におこない、製品づくりに反映させていますが、それだけでは不十分。洋服ブランドのコレクションやトレンドの色などの情報にアンテナを張り、ユーザーの半歩先を行く状態を心がけています。われわれの手がけているのは、ファッションビジネスと言っていいと思います。

『SX2』と仕訳連動し効率的な運用をはかる

──『FX2』導入のいきさつをお聞かせください。

宮澤 2005年に創業し個人事業者として経営してきましたが、おととし法人化した際、ご縁があって服部先生に税務顧問をお願いしました。以来、『FX2』と『SX2』(戦略販売・購買情報システム)を利用しています。

──それまでは手書きで記帳されていたのでしょうか。

宮澤 個人事業者のころから伝票数が多かったため、スプレッドシートや市販の会計ソフトで経理業務を行ってきましたが、いずれも軌道に乗りませんでした。入力の負担感が大きかったのが原因です。

──TKCシステムの入力はどなたがされていますか。

宮澤 私はもっぱら『SX2』の入力を行い、『FX2』は経理担当に任せています。『SX2』に登録している商品点数はそれほど多くありませんが、ひと月に20点ほど新商品を登録する時もあります。
 システムを別々のパソコンに登録し、データを一元化しているのは、データが分散して混乱をきたさないようにするため。『SX2』に入力した売り上げや仕入れなどの取引を、USBメモリで『FX2』に仕訳連動するという経理処理のルールができました。

──伝票入力の省力化が図れたわけですね。

宮澤 ええ。月次の業績をすばやく把握できるようになりました。当社は8月決算ですが、今期のおおよその見込みも把握しています。

──黒字経営のため心がけている点というと?

宮澤 もっとも気を配っているのは、在庫日数と回転率です。創業前に働いていた会社では、デッドストックが積み上がり経営を圧迫していたため、在庫のこわさを痛感しています。当社では新しい製品を市場に順次投入して、売り切っていくスタンスをとっています。ただ売れ筋の商品はある程度在庫を持って継続販売する必要があるので、うまくバランスをとっていきたいです。

──日ごろ服部先生とはどんなことを話し合われていますか。

宮澤 『FX2』から《変動損益計算書》を出力し、限界利益をチェックして計画について話すことが多いですね。この時期だと決算期末を間近にひかえているため、決算予測や対策を話し合っています。システムを利用して2年目に入ったので、会社の業績を前年比較できるようになりました。

服部 ダーツ関連商品はいわばニッチな分野ですが、カメオジャパン様はその先頭を走っており、利益率は卸売り業界の平均値を上回っています。毎月宮澤社長と面談する際は、月次の利益と費用科目をチェックし、会社の将来につながる資金の活用方法をアドバイスさせていただいています。

──消費税が8%になり、事業への影響はいかがでしょうか。

宮澤 現状ではほとんど影響はないですね。ダーツ関連商品はいわば嗜好品ですから、税率が上がった途端購入されなくなるわけではありません。市場のパイは限られていて趣味でダーツをする人たちの数はここ数年、ほぼ横ばいとみています。3月の駆け込み需要もありませんでした。

──展望をお聞かせください。

宮澤 取引先の開拓と商品の宣伝広告のため、総合展示会に積極的に出展していきたいと考えています。直近では7月9日から東京ビッグサイトで開催される「国際雑貨エキスポ」に自社ブースを出し、新製品のスマートフォンケースを大々的にアピールします。来期から本格的に海外展開も行う予定で、すでに複数社から引き合いがきています。セレクトショップを中心に取扱店を増やし、ケースブランドとしてのCAMEOをいっそう浸透させていきたいです。

(本誌・小林淳一)

会社概要
名称 株式会社カメオジャパン
創業 2005年12月
所在地 埼玉県所沢市小手指南1-5-1-901
TEL 04-2946-7421
URL http://cameojapan.co.jp/

CONSULTANT´S EYE
明確な決算見通しを元に打ち手を早める
服部会計事務所 税理士 服部 亮
埼玉県所沢市御幸町7-6 ラビオン所沢305 TEL:04-2969-0127
http://www.hattori-tax.jp/

 カメオジャパン様とは、おととしの法人化を機に関与させていただくことになりました。宮澤社長はご自身の経験を元にダーツ関連商品に着目し、いち早くダーツケースやアクセサリーなどを企画、販売されてきました。社長はダーツグッズ業界におけるパイオニア的存在で、すべての商品のデザイン、企画を担当されています。勤務されていたアパレル商社で培った経験を生かし、素材の感触を大事にしたスマートフォンケースなども手がけられています。

 関与当初からご利用いただいている『FX2』では、『SX2』で入力した売上伝票などをUSBメモリで仕訳連動することで、経理処理の流れを確立できました。スプレッドシートで取引を記録されていたころと比べると、入力の負担が減り、タイムリーな入力につながっていると感じています。毎月おうかがいする巡回監査では、限界利益と経費科目を重点的に確認し、現状の課題と対策について話し合っています。

 今後は蓄積されているデータを有効に活用いただくため、TKCシステムに搭載されている機能の活用提案を行うつもりです。具体的には『SX2』には販売情報を集計したさまざまな分析機能があるので、商品の入れ替えに際しての参考資料として役立てていただきたいと思います。『FX2』では商品別に売り上げを把握できるように、部門を設けることも検討しています。

 より将来を見すえた経営に取り組んでいただくためにも、『継続MAS』で経営計画を策定するべく、年間の目標売上高やコストを話し合い、準備を進めているところです。身近なところでは電卓や扇子用など、ケース市場には大きな成長可能性があります。カメオジャパン様がケースブランドとして発展を遂げられるよう、TKCシステムの活用をベースにご支援していきます。

掲載:『戦略経営者』2014年7月号