外国人技能実習制度の活用を検討しています。トラブルの発生を防ぎ、円滑に進めるためにはどのような点に注意したらよいですか。(食品加工業)

 技能実習制度は、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に貢献することを目的としています。本制度を利用して、多くの若者が実習生として来日しています。また、政府は「日本再興戦略改訂2014」(2014年6月24日閣議決定)において、監理監督体制の抜本的強化を図りつつ、制度を拡充することを示すなど社会的にも注目されています。

 本制度の特徴は、最長3年の期間において、実習生が雇用関係の下、技能等を修得・習熟することを内容としている点にあります。本制度を上手に活用している企業からは、「組織の活性化、海外進出等に役立った」という声があがっています。制度の趣旨と関係法令等をしっかりと理解し、実習生が安心・安全に日本で生活を送り、効果的な技能実習が行えるようにサポートすることが不可欠となります。そこで、いくつか留意点をご紹介いたします。

在留資格「技能実習」が必要

 日本に入国・在留する外国人は、原則として、出入国管理及び難民認定法(入管法)が規定する在留資格のうちいずれかを有する必要があります。在留資格「技能実習」は、技能等を修得する活動(入国後1年目)と修得した技能等を習熟するための活動(2・3年目)に分けられ、最長3年間、実習生は日本に在留することができます。

 受け入れ方法については、海外の現地法人等の職員を受け入れる「企業単独型」と商工会や中小企業団体等営利を目的としない団体(監理団体)が実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施機関)で実習を実施する「団体監理型」があり、受け入れの期間・方法を検討する必要があります。

 また技能実習を実施するためには、人材育成の観点に立って、技能実習計画を策定しなければなりません。その際の留意点として、特に、「技能実習2号」への移行を予定している場合は、図表で示すとおり、年次ごとの到達目標を定め、計画的・段階的に技能等が修得できるようにすることが必要です。「技能実習2号」への移行対象職種・作業は、68職種126作業となっていますので、職種・作業の該当性について確認することも必要となります。

 技能実習が効果的に行われるためには、実習生が安全に技能実習を行い、さらに日常生活を円滑に送ることができるようにすることが不可欠です。法令においては、日本語、日本での生活一般に関する知識、法的保護に必要な情報(入管法、労働関係法令)および円滑な技能等の修得に資する知識について、一定期間、講習を実施することが義務付けられており、実習生には労働関係法令が適用されます。

 国際研修協力機構(JITCO)は、1991年に、5省共管(法務省、外務省、経済産業省、厚生労働省、国土交通省)により設立され、実習生の入国・在留手続き支援のほか、技能実習制度の実施に関する中核機関としても機能しています。詳細はお気軽にお問い合わせください。
(03-6430-1100、http://www.jitco.or.jp/

掲載:『戦略経営者』2014年12月号