いま特に若い女性の間で人気が高まっているインスタグラムを自社の販促戦略に役立てたいと思っています。具体的にどんなやり方があるかを教えてください。(菓子製造販売)

 インスタグラムとは写真や動画に特化したSNSです。自身が投稿したり、他人が投稿したものを見たりして楽しむことができます。世界に約4億人の利用者がいると言われ、日本でも特に若い女性を中心に人気となっています。2015年末時点で国内の利用者のうち65%が女性。年齢は34歳以下が約74%を占めます。

 インスタグラムの特徴は、「非言語」のメディアであるところです。ツイッターやフェイスブックがテキスト情報(文字)をメーンにしているのに対し、インスタグラムはあくまでビジュアル(写真・動画)が主体。目にした瞬間に理解したり、何かを感じたりしてもらえることから、情報伝達のスピードがはやいと言えます。

 また、短い文章だけ(もしくは文章なし)で投稿できるインスタグラムは、文字が中心のメディアよりも気軽に更新できます。ただ、「インスタジェニック」という言葉もあるように、「インスタグラム上で映えるようなイベントやモノ」を投稿するという共通認識(暗黙のルール)が利用者たちの間にあります。「フィルター加工」「コラージュ」「彩度の調整」など表現の工夫を凝らして、見栄えを少しでも良くしようとみなさん努力されています。

「ハッシュタグ」で情報拡散

 最近ではインスタグラムを企業PRに活用する動きも目立っています。インスタグラムは「ブランディング」に効果的なツールと言え、画像を通じてブランドの世界観などをユーザーに伝達していくことができます。その具体的な手法としては、主に以下のようなものがあります。

 ①アカウントを開設して自ら情報発信する
 ②インスタグラム広告を出稿する
 ③ユーザー参加型ハッシュタグキャンペーンを実施する

 インスタグラムアカウントの登録は無料でできます。たとえば北欧雑貨を扱うある通販会社では、自社の商品が生活空間の中でおしゃれに使われている写真をアカウントにアップしていくことで、「この商品を使ってひと工夫すれば自分でもおしゃれな空間を作れる」と消費者に思ってもらうことに役立てています。

 ただ、インスタグラムアカウントで発信した情報を見てもらいたい人に見てもらう環境を作る(フォロワーを集める)ことは時間がかかります。そこで「インスタグラム広告」を出稿することで、情報を伝達したい人に向けて届きやすくすることができます。

 そして、ユーザー参加型ハッシュタグキャンペーンというのは、特定のキーワードにハッシュタグを付けて投稿することを「参加資格」とした企画です。インスタグラムにおいては、ハッシュタグ(#)の付いた文字列が「投稿を検索する際のキーワード」となります。つまり「#◯◯(新商品名)」の付いた画像が増えれば増えるほど、その商品についてインスタグラム上で検索した消費者が他の消費者の投稿を発見する確率が高まります。

 インスタグラムマーケティングにおいては、情報発信に影響力のある〝インフルエンサー〟をいかに巻き込むかも重要なポイントとなります。まずはインスタグラムアカウントを開設し、自社の宣伝活動に役立ててみてください。

掲載:『戦略経営者』2016年7月号