一部の業務でインターネットエクスプローラーを使用していますが、来年サポートが終了すると聞きました。どのように対応したらよいでしょうか。(鉄筋工事業)

 米マイクロソフトが、「Windows(ウィンドウズ)10」に搭載されているInternet Explorer(インターネットエクスプローラー、以下IE)11のサポートを2022年6月16日(日本時間、以下同)に終了すると発表しました。21年8月18日にはMicrosoft365および他アプリでのサポートがすでに終了していますが、1995年からWindowsOSに標準搭載されてきたウェブブラウザー「IE」が、長い歴史に幕を下ろすことになります。

 21年8月時点の日本におけるIEの利用率は、モバイルブラウザーを除くと4.94%となっています(「StatCounter」より)。かなり低い割合に感じられますが、世界の主要ブラウザーシェアで見ると、同条件でIEは1.43%であり、日本におけるIEの存在感は小さくありません。

 特に法人では、IEが主流を占めていた時期に開発した、基幹システムやアプリを利用しているケースが少なくありません。ではこうした場合、どう対応すべきでしょうか。

 サポート終了後にIEを起動すると、更新プログラムの適用により、最新のMicrosoft Edge(以下Edge)にリダイレクトされます。その際、Edgeの「IEモード」を使用することにより、サポート終了後も利用できます。IEモードとは、IE対応のウェブサイトやアプリを自動で判断し、Edge上でIEの環境を再現するモードです。なおIEモードは、Windowsが最新(現時点ではWindows10でアップデートが適切に行われている状態)であることが推奨されている点を留意ください。

IEモードは25年10月まで

 マイクロソフトは、製品のサポートを「サポートライフサイクル」というポリシーにのっとって管理しています。これは各OSに搭載されているIEにも適用されるため、ウェブブラウザーの「IE11」に対するサポートが終了しても、Windows10のユーザーは25年10月15日までIEモードのサポートを受けることができます。

 Windows10の「LTSB」「LTSC」(Long-Term Servicing Branch/Channel)を使用している場合は、最長で29年1月10日までサポートを受けられます。ただし、こちらは法人向けの特殊な製品になるので、一般家庭や中小企業向けに販売されているWindows10におけるIEモードのサポートは、25年10月までと認識しておきましょう。

 どのタイミングにせよ、サポート終了後は利用できなくなる可能性が高いので、今から社内の標準ブラウザーを他のブラウザーへ切り替えておくほうが賢明です。具体的には、新たに使用するブラウザーを「規定のブラウザー」に設定した上で、IE11をアンインストールします。IEでしか利用できないシステムやサービスには、IEモードを使用しつつ、各OS製品のサポート終了日までに、移行後の標準ブラウザーに準拠した仕様への改修を検討しましょう。

 例えば、社内システムの場合、IEからの移行にともなう影響度の調査だけでも、数カ月〜数年程度を要するケースも想定され、全面リニューアルする方が望ましい場合もあるでしょう。したがって、サポートの完全終了まで時間があると思わず、可能な限り早めに調査に着手することをお勧めします。社内システムなどでIE11をやむを得ず使い続けなければならない場合は、情報漏えい等のリスクを抑えるために、原則としてインターネットに接続せず、社内LANのみで利用するべきです。

 今後、IEをベースとしたウェブサービスは確実に減っていきます。早期に対策を打つようにしてください。

掲載:『戦略経営者』2021年11月号