集客を図るにあたりSNSのアカウント開設を考えています。どのような基準で媒体を選べばよいでしょうか。また運用上の注意点も教えてください。(飲食サービス業)

 中小企業も今や当たり前のようにSNSをビジネスに活用しています。しかし、SNSには思わぬ危険が潜んでいることも事実です。誤った使い方をしてしまうと社会的な信頼を失ってしまうケースもありえます。

 中小企業がSNSを活用するにあたって抑えておきたい注意点や運用のポイントは、主に次の3つに集約されます。

①運用目的を明確にする
 はじめに、企業としてSNSをどう運用するかを明確にしたうえでアカウントを開設し、運用することが重要です。ビジネスでいえば、組織の目標を達成するための指標としてKPI(重要業績評価指標)がありますが、SNSも同様に運用上の目標を設定するようにしましょう。
 SNSは利用料金が不要のサービスが多いので気軽にアカウントを作れることから、具体的なゴール設定がないと開設後の運用で挫折しがちです。開設後も継続的に発信し続けないと成果が出ないことを理解したうえで、運用するか検討しましょう。

②レギュレーションを作る
 SNSは気軽に自分の考えや企業の価値観・ビジョンを発信できるプラットフォームです。最近は経営者・起業家のなかにもツイッターやインスタグラム、ユーチューブをはじめさまざまなSNSを活用して実名で発信する人々が増えてきています。フォロワーが増えることで影響力が増し、ビジョンや商品・サービスに共感してくれるファンが増える。SNSを活用することでビジネスに良い影響をもたらすことが期待できます。
 一方で、思わぬ形で発言した内容が拡散されてしまい、炎上してしまうケースも多々あります。場合によってはデジタルタトゥーとして生涯その投稿がウェブ上に残ってしまう危険性もあります。その原因は企業としてSNS運用のレギュレーションルールが整備されないまま発信してしまうことにあります。
 例えば多くの大企業は必ずといっていいほどSNSポリシーをホームページ上で公開しています。中小企業においても投稿方針やユーザーへの返信内容、投稿時間、禁止事項を事前に作成したうえで、ルールを社内で共有し、発信することが未然に炎上リスクを防ぐうえで重要です。

③自社に合うSNSを選ぶ
 自社に合う媒体を選択し運用することも重要です。たとえば、飲食店の場合だとユーチューブよりもインスタグラムやツイッターがターゲットとマッチしている可能性が高く、無形商材であるコンサルティングをサービスとして扱っている場合はユーチューブのほうがユーザーに価値や信頼性を伝えやすくなります。
 それでも迷ってしまう場合は、媒体選びの参考として同業他社がどのSNSに力を入れているかをリサーチしてみてください。リサーチすることで自社に合った媒体が見えてきます。投稿内容は商品の売り込みではなく、相手にとって役に立つ内容を投稿することもポイントです。
 また、いきなりすべての媒体を使うよりは、まずは注力する媒体を選定し、一点集中で運用するほうが成果が出しやすくなります。

掲載:『戦略経営者』2023年2月号