注目の判例

憲法

2024.04.16
犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求事件new
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年6月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」家族法分野 令和6年6月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573429/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 3月26日 判決 (上告審)/令4年(行ツ)第318号   等 
上告人(昭和50年生まれの男性)が、平成6年頃に本件被害者(昭和37年生まれの男性)と交際を開始し、同居生活をしていたところ、同人は、平成26年12月22日、第三者の犯罪行為により死亡した。そこで、上告人は、平成28年12月22日、本件被害者の死亡について、上告人は犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(犯給法)5条1項1号括弧書きにいう「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当すると主張して、遺族給付金の支給の裁定を申請した。愛知県公安委員会から、平成29年12月22日付けで、上告人は上記の者に該当しないなどとして、遺族給付金を支給しない旨の裁定を受けたたため、上告人が、被上告人(愛知県)を相手に、上記裁定の取消しを求め、原審は、犯給法5条1項1号が憲法14条1項等に反するとはいえないとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告及び上告受理申立てをした事案で、犯罪被害者と同性の者は、犯給法5条1項1号括弧書きにいう「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当し得るとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、上告人が本件被害者との間において「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当するか否かについて、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例(反対意見及び補足意見がある)。
2024.04.16
損害賠償請求控訴事件new
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25598384/札幌高等裁判所 令和 6年 3月14日 判決 (控訴審)/令3年(ネ)第194号 
同性愛者である控訴人らが、民法及び戸籍法が同性者間の婚姻を許容していないのは憲法24条、13条、14条1項に違反すること、国会は必要な立法措置を講じるべき義務があるのにこれを怠っていること(立法不作為)、これにより控訴人らは婚姻することができず、精神的苦痛を被っていることを主張して、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として、各人につき100万円等の支払を求めたところ、原審は、民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定(本件規定)が同性者間の婚姻を許容していないことは、憲法24条と13条には違反しないものの、憲法14条1項には違反するとしたが、そのことを国会において直ちに認識することは容易ではなかったから、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けないとして、控訴人らの請求を棄却したため、控訴人らは、これを不服として控訴をした事案で、本件規定は、異性間の婚姻のみを定め、同性間の婚姻を許さず、これに代わる措置についても一切規定していないことから、個人の尊厳に立脚し、性的指向と同性間の婚姻の自由を保障するものと解される憲法24条の規定に照らして、合理性を欠く制度であり、少なくとも現時点においては、国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っていると認め、本件規定は、憲法24条に違反するとし、また、国会が立法裁量を有することを考慮するとしても、本件規定が、異性愛者に対しては婚姻を定めているにもかかわらず、同性愛者に対しては婚姻を許していないことは、現時点においては合理的な根拠を欠くものであって、本件規定が定める本件区別取扱いは、差別的取扱いに当たり、本件規定は、憲法14条1項に違反するとしたうえで、同性婚立法の在り方には多種多様な方法が考えられ、設けるべき制度内容が一義的に明確であるとはいい難いこと、同性婚に対する法的保護に否定的な意見や価値観を有する国民も存在し、議論の過程を経る必要があること等から、国会が正当な理由なく長期にわたって本件規定の改廃等の立法措置を怠っていたと評価することはできないとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.03.05
旅券発給拒否取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年4月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597235/東京地方裁判所 令和 6年 1月25日 判決 (第一審)/令2年(行ウ)第10号 
原告は、外務大臣に対して一般旅券の発給申請をしたところ、外務大臣から、トルコへの入国が認められない者であるから旅券法13条1項1号に該当するとして、旅券発給拒否処分を受けた。本件は、原告が、〔1〕上記旅券発給拒否処分の取消しを求めるとともに、〔2〕主位的に全ての地域を渡航先として記載した一般旅券の発給の義務付け、予備的にトルコ以外の全ての地域を渡航先として記載した一般旅券の発給の義務付けを求め、また、〔3〕外務大臣が上記旅券発給拒否処分をしたことが国家賠償法上違法であるとして、同法1条1項に基づく損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告は、旅券法13条1項1号は、憲法22条及び13条並びに自由権規約12条2項に違反しないとしたうえで、本件旅券発給拒否処分は、トルコ及びトルコと地理的に近接する国を除く地域に原告が渡航することによって、トルコと我が国との二国間の信頼関係が損なわれる蓋然性がないにもかかわらず、これらの地域への渡航を制約する態様でされたものであるから、外務大臣が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したもので違法であり、本件旅券発給拒否処分は取り消されるべきものであるとして一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2024.01.16
年金減額改定決定取消、年金減額改定決定取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年3月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573213/最高裁判所第二小法廷 令和 5年12月15日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第275号 
国民年金法上の老齢基礎年金及び厚生年金保険法上の老齢厚生年金の一方又は双方の受給権者である上告人(原告・控訴人)らが、厚生労働大臣から、各自の老齢年金の額を改定する旨の処分を受けたことから、被上告人(被告・被控訴人。国)を相手に、その取消し等を求めた事案の上告審において、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)1条の規定のうち、国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置等について定める部分は、著しく合理性を欠き、明らかに裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものといえず、年金受給権に対する不合理な制約であるともいえないとし、憲法25条、憲法29条に違反しないとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2023.11.14
選挙無効請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573107/最高裁判所大法廷 令和 5年10月18日 判決 (上告審)/令和5年(行ツ)第54号 
令和4年7月10日に行われた参議院議員通常選挙について、東京都選挙区及び神奈川県選挙区の選挙人である上告人らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づいて行われた本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の事案の上告審において、本件定数配分規定が本件選挙当時憲法に違反するに至っていたということはできないとした原審の判断は、是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(反対意見、意見がある)。
2023.11.14
選挙無効請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573108/最高裁判所大法廷 令和 5年10月18日 判決 (上告審)/令和5年(行ツ)第52号 等
令和4年7月10日に行われた参議院議員通常選挙について、青森県選挙区、岩手県選挙区、宮城県選挙区、福島県選挙区及び山形県選挙区の選挙人である原審原告らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づいて行われた本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の事案の上告審において、原判決は、原審原告らの請求をいずれも棄却した上で、青森県選挙区、岩手県選挙区、宮城県選挙区、福島県選挙区、山形県選挙区の各選挙区における本件選挙が違法であることを主文において宣言したものであるが、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、上記規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとして、原審被告らの上告に基づき、原判決を変更して、原審原告らの請求をいずれも棄却するとともに、原審原告らの上告を棄却した事例(反対意見、意見がある)。
2023.11.07
性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件 
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LEX/DB25573119/最高裁判所大法廷 令和 5年10月25日 決定 (特別抗告審)/令和2年(ク)第993号
生物学的な性別は男性であるが心理的な性別は女性である抗告人が、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(特例法)3条1項の規定に基づき、性別の取扱いの変更の審判を申し立て、原審は、抗告人について、性同一性障害者であって、特例法3条1項1号から3号までにはいずれも該当するものの、特例法3条1項4号(本件規定)に該当するものではないとした上で、本件規定は、性別変更審判を受けた者について変更前の性別の生殖機能により子が生まれることがあれば、社会に混乱を生じさせかねないなどの配慮に基づくものと解されるところ、その制約の態様等には相当性があり、憲法13条及び14条1項に違反するものとはいえないとして、本件申立てを却下すべきものとしたため、抗告人が特別抗告した事案において、本件規定は憲法13条に違反し無効であるところ、これと異なる見解の下に本件申立てを却下した原審の判断は、同条の解釈を誤ったものであるとして原決定を破棄し、原審の判断していない5号規定に関する抗告人の主張について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例(反対意見、補足意見がある)。
2023.10.31
選挙無効請求事件 
LEX/DB25573096/最高裁判所第一小法廷 令和 5年10月12日 判決 (上告審)/令和5年(行ツ)第55号
令和4年7月10日に行われた参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の選挙に関し、いわゆる特定枠制度を定める公職選挙法の規定は憲法43条1項に違反するとし、また、本件選挙と同日に行われた参議院の選挙区選出議員の選挙は同法が定める定数配分規定が憲法に違反するため無効であるとして、被上告人(原審被告)に対し、選挙無効請求をしたところ、原判決は、上告人(原審原告)の請求を棄却したため、これに不服の上告人が上告をした事案において、参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の選挙について特定枠制度を定める公職選挙法の規定が憲法43条1項等に違反しないとし、また、参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の選挙の無効を求める訴訟において選挙区選出議員の選挙の仕組みの憲法適合性を問題とすることができないことは、平成11年大法廷判決の趣旨に徴して明らかであるとし、原審の判断は正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2023.09.26
憲法53条違憲国家賠償等請求事件  
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年12月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573040/最高裁判所第三小法廷 令和 5年 9月12日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第144号 等 
憲法53条後段の規定により、内閣に対し、国会の臨時会の召集を決定を要求した参議院議員の一人である上告人(原告・控訴人)が、被上告人(被告・被控訴人。国)に対し、〔1〕主位的に、上告人が次に参議院の総議員の4分の1以上の議員の一人として国会法3条所定の手続により臨時会召集決定の要求をした場合に、内閣において、20日以内に臨時会が召集されるよう臨時会召集決定をする義務を負うことの確認を、予備的に、上記場合に、上告人が20日以内に臨時会の召集を受けられる地位を有することの確認を求めるとともに、〔2〕内閣が臨時会召集決定の要求から92日後まで臨時会召集決定をしなかったことが違憲、違法であり、これにより、上告人が自らの国会議員としての権利を行使することができなかったなどとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め、第1審判決は、確認訴訟部分に係る各訴えを不適法として却下し、国賠請求部分に係る請求を棄却したため、上告人が控訴し、原判決も控訴を棄却したため、上告人が上告及び上告受理申立てをした事案で、上告理由(憲法53条後段の解釈の誤りをいう部分に限る。)及び上告受理申立て理由中、本件各確認の訴えの適否に係る部分、及び、本件損害賠償請求に係る部分については、原審の判断は是認することができるとし、その余の上告理由については、民事訴訟法312条1項及び2項に規定する事由のいずれにも該当しないとして、上告を棄却した事例(反対意見がある)。
2023.09.05
国家賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年10月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595815/横浜地方裁判所川崎支部 令和 5年 7月11日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第343号 
亡aによる、デモ開催目的での公園内行為許可申請に対し、川崎市が行った、川崎市都市公園条例3条4項の規定に基づく不許可処分によって、亡a、原告b及び原告cの表現の自由や政治活動の自由が侵害されたとして、原告らが被告(川崎市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払を求めた事案において、本件集会は、本件条例3条4項にいう「公園の利用に支障を及ぼさないと認める場合」に該当しないといえるから、本件不許可処分は適法であるとして、原告らの請求を棄却した事例。
2023.08.29
受刑者選挙権確認等請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年10月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595549/東京地方裁判所 令和 5年 7月20日 判決 (第一審)/令和4年(行ウ)第369号 
令和元年以来懲役刑の執行を受けている原告が、「禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者」(受刑者)の選挙権等を一律に制限している公職選挙法11条1項(2号に係る部分に限る。)の規定は国民の選挙権等を保障した憲法の諸規定に違反し無効であるとして、被告に対し、〔1〕主位的に、憲法15条1項及び3項、79条2項及び3項、公職選挙法9条並びに最高裁判所裁判官国民審査法4条に基づき、原告が次回の衆議院議員の総選挙及び最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査並びに参議院議員の通常選挙において投票をすることができる地位にあることの確認を求め、予備的に、憲法15条1項及び3項、43条1項、44条ただし書並びに79条2項及び3項に基づき、次回の国政選挙等において原告に投票をさせないことが違法であることの確認を求めるとともに、〔2〕本件規定の改廃等を怠った違法な立法不作為により原告が既に行われた国政選挙等において投票をすることができず、精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づき、3万円及びうち2万円に対する令和3年10月31日(衆議院議員の総選挙及び国民審査が実施された日)から、うち1万円に対する令和4年7月10日(参議院議員の通常選挙が実施された日)から、各支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案で、本件規定は、憲法15条1項及び3項、43条1項、44条ただし書並びに79条2項及び3項に違反するものではないから、受刑者は、本件規定により、選挙権及び国民審査権を有しないとし、国会が本件規定の改廃等をしなかったことが違法な立法不作為に当たるものということはできないとし、本件各確認請求に係る訴えのうち違法確認請求に係る訴えは、不適法であるから却下し、その余の請求をいずれも棄却した事例。
2023.08.15
マイナンバー離脱等請求控訴事件(マイナンバー制度からの離脱等請求訴訟控訴審判決) 
LEX/DB25595303/名古屋高等裁判所金沢支部 令和 5年 5月15日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第109号 
控訴人(原告)らが、被控訴人(被告。国)において、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定に基づいて、個人番号を付された控訴人らの同意なく個人番号を含む個人情報を収集、保存、利用及び提供する制度を構築、運用していることは、控訴人らのプライバシー権(自己情報コントロール権)を侵害し、憲法13条及び41条に違反するものであると主張して、被控訴人に対し、〔1〕プライバシー権等に基づき、控訴人らの個人番号の収集、保存、利用及び提供の差止め並びに被控訴人が保存する控訴人らの個人番号の削除を求めるとともに、〔2〕国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したことから、控訴人らがこれを不服として控訴した事案において、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2023.08.08
「結婚の自由をすべての人に」訴訟事件 
LEX/DB25595450/福岡地方裁判所 令和 5年 6月 8日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第2827号 等
同性の者との婚姻届を提出したが受理されなかった原告らが、同性同士の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定(本件諸規定)は、同性同士の婚姻が認められない法的状態を生じさせており、憲法13条、14条1項及び24条に違反するにも関わらず、被告が必要な立法措置を怠ったことが国家賠償法1条1項の適用上違法であると主張して、被告に対し、慰謝料等の支払を求めた事案において、同性間の婚姻を認めていない本件諸規定が立法府たる国会の裁量権の範囲を逸脱したものとして憲法24条2項に反するとまでは認めることができないとし、本件諸規定を改廃していないことが、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないというべきであるとして、原告らの請求を棄却した事例。
2023.07.25
行政措置要求判定取消、国家賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和5年10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和5年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572932/最高裁判所第三小法廷 令和 5年 7月11日 判決 (上告審)/令和3年(行ヒ)第285号
一般職の国家公務員であり、性同一性障害である旨の医師の診断を受けている上告人(一審原告)が、国家公務員法86条の規定により、人事院に対し、職場のトイレの使用等に係る行政措置の要求をしたところ、いずれの要求も認められない旨の判定を受けたことから、被上告人(一審被告。国)を相手に、本件判定の取消し等を求め、第1審判決は、上告人の請求を一部認容したが、原判決は、本件判定部分の取消請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件判定部分に係る人事院の判断は、本件における具体的な事情を踏まえることなく他の職員に対する配慮を過度に重視し、上告人の不利益を不当に軽視するものであって、関係者の公平並びに上告人を含む職員の能率の発揮及び増進の見地から判断しなかったものとして、著しく妥当性を欠いたものといわざるを得ないとし、本件判定部分は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとして、原判決中、人事院がした判定のうちトイレの使用に係る部分の取消請求に関する部分を破棄し、同部分につき被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見がある)。
2023.07.18
威力業務妨害被告事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25506582/大阪高等裁判所 令和 5年 6月14日 判決 (控訴審)/令和4年(う)第427号
旧P6総合センターの施設管理業務のために大阪府が大阪労働局と共同で管理していた防犯カメラにゴム手袋や白色ビニール袋を被せて、そのレンズを塞ぎ、2度にわたり威力を用いて人の業務を妨害したとして、原判決は、各公訴事実と同旨の原判示第1及び第2の各事実を認定し、これらが威力業務妨害罪に該当すると認めて被告人3名を有罪とした上(ただし、P4被告人については、原判示第2のみ)、P1被告人を罰金50万円に、P2被告人を罰金30万円に、P4被告人を罰金10万円に、それぞれ処したため、これに不服の被告人が控訴した事案で、本件カメラの角度変更の目的に関する事実誤認の主張、業務の要保護性に関する事実誤認及び法令適用の誤りの主張、威力該当性に関する事実誤認及び法令適用の誤りの主張、正当防衛の成否に関する事実誤認及び法令適用の誤りの主張はいずれも理由があり、その余の主張を判断するまでもなく、被告人3名は無罪であることが明らかであり、また、被告人3名は、いずれも無罪の判決を求める主張をするほか、本件公訴の提起自体が違法であり、あるいは、原裁判所は、不法に公訴を受理したものとして公訴棄却の判決を求める旨の本案前の主張もしているが、当裁判所は、本案前の主張について検討、判断するまでもなく、無罪の判断に至ったものであり、被告人3名にとってより有利であり、かつ、同人らが求めている無罪判決をするに熟している以上、本案前の主張の当否を判断するまでもなく、原判決を破棄し、無罪を言い渡した事例。
2023.04.25
損害賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 解説記事が掲載されました
LEX/DB25594700/東京地方裁判所 令和 5年 3月29日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第22748号
俳優等として活動する原告が、被告T社が同社のウェブサイトに掲載した記事が原告の名誉を毀損するものであり、被告Y社が、ニュースページにおいて当該記事を配信したことも原告に対する名誉毀損に当たると主張して、被告らに対し、不法行為に基づき、連帯して、損害賠償金の支払等を求めた事案で、本件各記述は、原告の名誉を毀損する違法な表現であるとし、被告T社がした本件各記述を含む本件記事を公表した行為は、原告に対する不法行為を構成するとして、被告T社に対する請求については、一部認容し、当該記事を配信した被告Y社には不法行為責任を認めることができないとして、被告Y社に対する請求については、棄却した事例。
2023.03.22
マイナンバー(個人番号)利用差止等請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年6月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572676/最高裁判所第一小法廷 令和 5年 3月 9日 判決 (上告審)/令和4年(オ)第39号
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法。令和3年法律第36号による改正前のもの)により個人番号を付番された上告人(原告・控訴人)らが、被上告人(被告・被控訴人。国)が番号利用法に基づき上告人らの特定個人情報(個人番号をその内容に含む個人情報)の収集、保管、利用又は提供をする行為は、憲法13条の保障する上告人らのプライバシー権を違法に侵害するものであると主張して、被上告人に対し、プライバシー権に基づく妨害予防請求又は妨害排除請求として、上告人らの個人番号の利用、提供等の差止め及び保存されている上告人らの個人番号の削除を求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、第1審は、上告人らの請求を棄却したため、上告人らが控訴し、控訴審も棄却したため、上告人らが上告した事案で、行政機関等が番号利用法に基づき特定個人情報の利用、提供等をする行為は、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表するものということはできないとし、上記行為は、憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではないと解するのが相当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2023.03.07
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年5月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572633/最高裁判所第三小法廷 令和 5年 2月21日 判決 (上告審)/令和3年(オ)第1617号
上告人(原告・控訴人。憲法を守ることを目的として設立された権利能力なき社団)が、金沢市長の管理に属する金沢市庁舎前広場において「憲法施行70周年集会」を開催するため、金沢市庁舎等管理規則6条1項(平成23年金沢市規則第55号)所定の許可を申請したところ、同市長から不許可処分を受けたことについて、上告人及びその関係者であるその余の上告人らが、被上告人(金沢市)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、第一審判決は上告人らの請求を棄却し、原判決も上告人らの控訴を棄却したため、上告人らが上告した事案で、金沢市庁舎前広場における集会に係る行為に対し金沢市庁舎等管理規則5条12号を適用することが憲法21条1項に違反するものということはできないなどとして、本件上告を棄却した事例(反対意見がある)。
2023.02.07
選挙無効請求事件
LEX/DB25572554/最高裁判所大法廷 令和 5年 1月25日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第103号 等
令和3年10月31日施行の衆議院議員総選挙について、別紙2記載の各選挙区の選挙人である上告人らが、衆議院小選挙区選出議員の選挙の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき行われた本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であるなどと主張して提起した選挙無効訴訟の上告審において、本件選挙当時、公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)13条1項、別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、本件区割規定が憲法14条1項等に違反するものということはできないとし、原審の各判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(反対意見がある)。
2023.02.07
選挙無効請求事件
LEX/DB25572555/最高裁判所大法廷 令和 5年 1月25日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第130号
令和3年10月31日施行の衆議院議員総選挙について、東京都第5区、同第8区、同第9区、同第18区及び神奈川県第15区の選挙人である上告人らが、衆議院小選挙区選出議員の選挙の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき行われた本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であるなどと主張して提起した選挙無効訴訟の上告審において、本件選挙当時、公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)13条1項、別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできないとし、これと同旨の原審の判断は、是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(反対意見がある)。