注目の判例

憲法

2023.02.07
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反、恐喝未遂被告事件
LEX/DB25572551/最高裁判所第一小法廷 令和 5年 1月23日 判決 (上告審)/令和4年(あ)第779号
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反、恐喝未遂被告事件の上告審において、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律11条2項、46条1号の憲法14条1項違反しないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁)の趣意に徴して明らかであるなどとして、本件上告を棄却した事例。
2023.01.31
選挙無効請求事件
LEX/DB25572548/最高裁判所第二小法廷 令和 5年 1月20日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第131号
令和3年10月31日に行われた衆議院議員総選挙のうち東京都選挙区及び南関東選挙区における比例代表選出議員の選挙について、衆議院比例代表選出議員の選挙に関する公職選挙法の規定は憲法に違反しており、これに基づいてされた上記各比例代表選出議員の選挙は無効であるとして、上告人(原審原告)らが選挙無効請求をしたところ、原判決が請求を棄却したため、上告人らが上告した事案において、令和4年法律第89号による改正前の公職選挙法13条2項及び別表第2、86条の2並びに95条の2が憲法14条1項、15条1項、3項、43条、44条、47条等の憲法の規定に違反するものでないことは、最高裁平成11年(行ツ)第7号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1441頁、最高裁平成11年(行ツ)第8号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1577頁の趣旨に徴して明らかであるとして、本件上告を棄却した事例。
2023.01.04
国家賠償請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和5年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25593967/東京地方裁判所 令和 4年11月30日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第3465号
同性の者との婚姻を希望する原告らが、婚姻を異性間のものに限り同性間の婚姻を認めていない民法第4編第2章及び戸籍法の諸規定(本件諸規定)が憲法14条1項、24条1項及び2項に違反しているから、国会は民法及び戸籍法の諸規定が定める婚姻を同性間でも可能とする立法措置を講ずべき義務があるにもかかわらず、これを講じていないことが国家賠償法1条1項の適用上違法であると主張して、慰謝料の支払等を求めた事案で、婚姻を異性間のものに限り同性間の婚姻を認めていない本件諸規定が憲法に違反するとはいえないとし、また、国会が同性間の婚姻を可能とする立法措置を講じないことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるとはいえないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2022.12.06
在留資格変更不許可処分無効確認等請求事件(第1事件)、国家賠償請求事件(第2事件)
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LEX/DB25593562/東京地方裁判所 令和 4年 9月30日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第461号 等
アメリカ合衆国(米国)国籍を有する外国人男性である原告Aが、日本国籍を有する男性である原告Bと米国において同性婚をしたとして、出入国管理及び難民認定法に基づき、「定住者」への在留資格の変更の申請をしたところ、当時の東京入国管理局長から在留資格の変更を許可しない旨の処分を受け、その後、「定住者(又は『特定活動』)」への在留資格の変更の申請をしたところ、東京入管局長から在留資格の変更を許可しないことなどを内容とする通知を受けたことから、本件不許可処分が無効であることの確認及び本件通知の取消しを求めるとともに、東京入管局長に対し「定住者」への在留資格の変更の許可の義務付けを求め(第1事件)、また、原告らが、被告・国に対し、本件不許可処分等は東京入管局長が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して行ったものであり、これにより法的利益の侵害を受けたなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払をそれぞれ求めた(第2事件)事案で、原告Aは、本件不許可処分後、再度の在留資格の変更の申請及び申請内容変更の申出をし、これに基づき、東京入管局長から「出国準備」への在留資格の変更の許可を適法に受けているものであるから、これにより、本件不許可処分の無効を確認する利益を喪失したと認められ、本件無効確認の訴えは確認の利益を欠いているというべきであり、他方、東京入管局長としては、通常尽くすべき職務上の義務を尽くしているということができ、原告Aが「定住者」の在留資格に該当しないと判断したことについても、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえないから、本件訴えのうち、原告Aの本件第1事件に係る訴えを不適法却下し、原告らの第2事件に係る請求をいずれも棄却した事例。
2022.11.08
選挙無効等請求事件
LEX/DB25572393/最高裁判所第二小法廷 令和 4年10月31日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第78号 等
東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)に基づいて令和3年7月4日に行われた東京都議会議員一般選挙について、江東区選挙区の選挙人である上告人が、本件選挙当時、本件条例のうち、〔1〕大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村及び小笠原村の区域を合わせて1選挙区(島部選挙区)とする規定(2条3項。本件島部選挙区規定)が公職選挙法271条、憲法14条1項等に違反するとともに、〔2〕各選挙区において選挙する議員の数を定める規定(3条。本件定数配分規定)が公職選挙法15条8項、憲法14条1項等に違反すると主張して、これらに基づき行われた本件選挙の江東区選挙区における選挙を無効とすること等を求めた上告審の事案において、本件選挙当時、本件島部選挙区規定及び本件定数配分規定が憲法の上記各規定に違反していたものとはいえないことは、当裁判所大法廷判決(最高裁平成11年(行ツ)第7号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1441頁等)の趣旨に徴して明らかというべきである(最高裁平成30年(行ツ)第92号、同年(行ヒ)第108号同31年2月5日第三小法廷判決・裁判集民事261号17頁参照)とし、本件請求を棄却した原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.09.06
障害年金不支給決定取消請求事件
LEX/DB25593167/東京地方裁判所 令和 4年 7月26日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第298号
1型糖尿病患者である原告が、国民年金法による障害基礎年金の支給を求める裁定請求を行ったところ、厚生労働大臣から、裁定請求日時点における原告の障害の状態が、国民年金法施行令別表に規定する障害等級2級以上に該当しないとして、障害基礎年金を支給しない旨の処分を受けたため、本件処分の取消し及び障害等級2級相当の障害基礎年金の支給を内容とする裁定の義務付けを求めた事案において、本件認定基準は合理的なものと認められるものの、本件認定基準に沿って判断した場合、本件裁定請求日時点で原告の障害の状態については障害等級2級に該当することから、これと異なる判断をして原告に障害基礎年金を支給しないとした本件処分は違法であって取り消されるべきであり、本件裁定請求日を受給権発生日とする障害等級2級相当の障害基礎年金を受給する旨の裁定をする旨厚生労働大臣に命ずるべきであるとして、原告の請求を認容した事例。
2022.08.09
持続化給付金等支払請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25592786/東京地方裁判所 令和 4年 6月30日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第455号
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条5項に定める性風俗関連特殊営業を行う原告が、「持続化給付金給付規程(中小法人等向け)」に基づく給付金(持続化給付金)及び「家賃支援給付金給付規程(中小法人等向け)」に基づく給付金(家賃支援給付金)について、性風俗関連特殊営業を行う事業者に給付しない旨の上記各規程の定めは憲法14条1項に違反しており無効であるなどと主張して、原告が、被告らに対し、持続化給付金等の支払等を求めた事案で、本件各不給付規定は、憲法14条1項や行政法上の一般原則に違反するものとはいえず、また、原告は、被告国に対して、本件各贈与契約に基づく本件各給付金の給付の訴えを提起することができ、現にこれを提起しているのであり、それとは別に又は当該訴えが棄却された場合に備えて、本件各贈与契約上の地位を有することや本件各不給付規定により不給付とされない地位にあることの確認を求めることが原告と被告国との間の紛争の解決にとって有効・適切であるというべき事情は見当たらないとして、本件訴えのうち、本件各確認の訴えは不適法であるからいずれも却下すべきであり、原告のその余の請求をいずれも棄却した事例。
2022.08.09
損害賠償請求事件
LEX/DB25592785/大阪地方裁判所 令和 4年 6月20日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第1258号
同性の者との婚姻届を提出したが、両者が同性であることを理由に不受理とされた原告らが、同性間の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定は、憲法24条、13条、14条1項に違反するにもかかわらず、被告(国)が必要な立法措置を講じていないことが国家賠償法1条1項の適用上違法である旨を主張して、被告に対し、慰謝料等の支払を求めた事案で、同性カップルの公認に係る利益の実現のためにどのような制度が適切であるかの議論も尽くされていない現段階で、直ちに婚姻を異性間の婚姻に限定している民法第四編第二章及び戸籍法の諸規定(本件諸規定)が、憲法24条1項及び2項、13条、14条1項に違反するとはいえず、また、本件諸規定を改廃しないことが、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2022.07.19
投稿記事削除請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年9月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572215/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 6月24日 判決 (上告審)/令和2年(受)第1442号
上告人(原告・被控訴人)が、ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれる140文字以内のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)のウェブサイトに投稿された本件各ツイートにより、上告人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益等が侵害されていると主張して、ツイッターを運営する被上告人(被告・控訴人)に対し、人格権ないし人格的利益に基づき、本件各ツイートの削除を求め、原審は、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、上告人の本件事実を公表されない法的利益が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越するものと認めるのが相当であり、上告人は、被上告人に対し、本件各ツイートの削除を求めることができるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして原判決を破棄し、上告人の請求を認容した第1審判決(なお、第1審判決主文第1項中、同判決別紙投稿記事目録記載1から4まで及び17の各ツイートの削除を命ずる部分は、上告人が原審においてした訴えの一部取下げにより失効している。)は正当であるから、被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見がある)。
2022.06.07
在外日本人国民審査権確認等、国家賠償請求上告、同附帯上告事件
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LEX/DB25572155/最高裁判所大法廷 令和 4年 5月25日 判決 (上告審)/令和2年(行ツ)第255号 等
国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない在外国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民審査に係る審査権の行使が認められていないことの適否等が争われ、在外国民である第1審原告X1は、第1審被告に対し、主位的に、次回の国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求め(本件地位確認の訴え)、予備的に、第1審被告が第1審原告X1に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが憲法15条1項、79条2項、3項等に違反して違法であることの確認を求め(本件違法確認の訴え)、また、平成29年10月22日当時に在外国民であった第1審原告らは、第1審被告に対し、国会において在外国民に審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことにより、同日に施行された国民審査において審査権を行使することができず精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、原審は、本件地位確認の訴えを却下すべきものとした上で、本件違法確認の訴えに係る請求を認容する一方、上記の損害賠償請求を全部棄却したため、第1審被告が上告し、1審原告らが附帯上告をした事案で、(1)国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法15条1項、79条2項、3項に違反するとし、(2)在外国民である第1審原告X1に係る本件違法確認の訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法であるとし、(3)本件立法不作為は、平成29年国民審査の当時において、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるとして、原判決中第1審原告らの損害賠償請求を全部棄却すべきものとした部分(原判決主文第1項(3))は破棄し、第1審判決中当該請求に係る部分は相当であるから、第1審被告の控訴を棄却し、第1審原告らのその余の上告、第1審被告の上告及び第1審原告X1の附帯上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2022.06.07
国家賠償請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25592297/東京地方裁判所 令和 4年 5月16日 判決 (第一審)/令和3年(ワ)第7039号
東京都知事は、新型コロナウイルス感染症のまん延防止対策としての緊急事態宣言期間中であった令和3年3月18日、都内で経営する飲食店において、被告が行った営業時間短縮の要請に応じなかった原告に対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)45条3項に基づき、原告の施設(店舗)を午後8時から翌日午前5時までの間の営業のために使用することを停止する旨の命令を発出したことに対し、原告が、上記要請に応じない正当な理由があったこと、上記命令の発出は特に必要があったと認められないことなどの理由で、同命令は違法であり、また、特措法及び同命令は営業の自由、表現の自由等の基本的人権を侵害するなどの理由で違憲であるところ、同命令に従い営業時間を短縮したために売上高が減少し、営業損害を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被告に対し、上記損害の一部である104円の支払を求めた事案で、特措法45条3項の原告に対する命令(本件命令)は、特措法45条3項の「特に必要があると認めるとき」の要件に該当せず違法であるが、都知事が本件命令を発出するに当たり過失があるとまではいえず、職務上の注意義務に違反したとは認められないとし、特措法及び本件命令の違憲性については、特措法45条2項及び3項所定の規制は、同法の目的に照らして不合理な手段であるとはいえないから、これら各条項が原告の営業の自由を侵害し、法令違憲であるとは認められず、また、本件命令は原告の表現の自由に対する過度な干渉として憲法21条1項に違反すると認めることはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2022.04.19
国家賠償請求事件(第1事件、第2事件)
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LEX/DB25591984/札幌地方裁判所 令和 4年 3月25日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第2369号 等
原告らが、街頭演説に対して路上等から「P1辞めろ」、「増税反対」などと声を上げたところ、北海道警察の警察官らに肩や腕などをつかまれて移動させられたり、長時間にわたって付きまとわれたりしたと主張して、被告(北海道)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金の支払等を求めた事案で、原告らに対する警察官らの本件行為の一部について、国家賠償法1条1項の適用上、違法であるとし、また、原告らの表現の自由は、警察官らによって侵害されたものとし、原告2の移動・行動の自由、名誉権及びプライバシー権の侵害についても、警察官らによって侵害されたものとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2022.03.29
措置命令処分取消請求事件
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LEX/DB25572006/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 3月 8日 判決 (上告審)/令和3年(行ツ)第33号
上告人(健康食品販売会社)が、サプリメントの広告が優良誤認に該当するとして、措置命令処分を受けたため、被上告人に対し、本件処分の取消しを求めた事案の上告審において、不当景品類及び不当表示防止法7条2項は、事業者がした自己の供給する商品等の品質等を示す表示について、当該表示のとおりの品質等が実際の商品等には備わっていないなどの優良誤認表示の要件を満たすことが明らかでないとしても、所定の場合に優良誤認表示とみなして直ちに措置命令をすることができるとすることで、事業者との商品等の取引について自主的かつ合理的な選択を阻害されないという一般消費者の利益をより迅速に保護することを目的とするものであり、公共の福祉に合致することは明らかであるとし、不当景品類及び不当表示防止法7条2項は、憲法21条1項、憲法22条1項に違反しないとして、本件上告を棄却した事例。
2022.03.22
大垣警察市民監視国家賠償請求事件(甲事件)、個人情報抹消請求事件(乙事件)
LEX/DB25591788/岐阜地方裁判所 令和 4年 2月21日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第758号 等
岐阜県警察本部警備部及び岐阜県警各警察署警備課が、原告らの個人情報を長年にわたって収集、保有し、大垣警察署警備課の警察官がそれらの情報の一部を民間企業に提供したことにより、原告らの人格権としてのプライバシー等が侵害されたとして、原告らが、被告県に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金の支払等を求めた事案(甲事件)、また、原告らが、人格権としてのプライバシーに基づき、被告県に対しては岐阜県警等が保有する、被告国に対しては警察庁警備局が保有する、原告らの個人情報の抹消を求めた事案(乙事件)で、乙事件については訴えを却下し、甲事件については、原告らは、必要性もないのに、大垣警察からプライバシーに係る情報を、積極的、意図的に対立の相手方である民間企業にその情報を提供されたことにより、精神的な損害を被ったものであるとして一部認容した事例。
2022.03.15
損害賠償請求控訴事件
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LEX/DB25591730/大阪高等裁判所 令和 4年 2月22日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第228号
旧優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの)に基づく不妊手術(人の生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術。優生手術)を受けたという本人又はその配偶者である控訴人らが、旧優生保護法が人の性と生殖に関する権利であるリプロダクティブ・ライツ、自己決定権、平等権等を侵害する違憲なものであるにもかかわらず、〔1〕国会議員が旧優生保護法を立法したこと、〔2〕国会議員が被害救済立法を行わなかったこと、〔3〕厚生労働大臣及び内閣総理大臣が被害救済措置を講じなかったことがいずれも違法であると主張して、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金の支払等を求めたところ、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したため、これを不服の控訴人らが控訴した事案で、控訴人1、控訴人2に対し、旧優生保護法4条の申請に基づく優生手術が実施されたと認定し、被控訴人は、控訴人らに対し、国家賠償法1条1項に基づき、旧優生保護法4条ないし13条に係る違法な立法行為による権利侵害につき損害賠償義務を負うものと判示し、控訴人らの被控訴人に対する国家賠償法1条1項に基づく各損害賠償請求権は、除斥期間の経過によって消滅したものとはいえず、その消滅をいう被控訴人の主張は採用することができないとし、原判決を変更して、控訴人らの請求を一部認容した事例。
2022.03.08
憲法53条違憲国家賠償請求控訴事件
LEX/DB25591582/広島高等裁判所岡山支部 令和 4年 1月27日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第77号
他の衆議院議員119名と連名で憲法53条後段に基づく臨時会召集決定を要求した衆議院議員である控訴人が、被控訴人・国に対し、内閣を加害公務員として、内閣が合理的期間内に召集を決定すべき義務に違反して本件召集要求後98日が経過するまで臨時会の召集を怠る加害行為をしたことによって、国会議員の権能行使を侵害されたと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、原審が控訴人の請求を棄却したところ、控訴人が一部控訴した事案で、控訴人が主張する国会議員としてなし得たであろう国会活動の内容は、仮定的ないし抽象的な可能性をいうに留まっているといわざるを得ず、同法1条1項は、公務員が個別の国民の権利又は法律上保護される利益を侵害して、国民が具体的な損害を被った場合に、その損害を賠償させることにより当該侵害を救済する趣旨の規定であり、仮定的ないし抽象的な可能性を保護の対象にするものではないから、内閣が仮定的ないし抽象的な国会活動の可能性を有するに留まる控訴人との関係で職務上の法的義務違背を生じることもないというべきであるところ、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2022.03.01
公金支出無効確認等請求事件
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LEX/DB25571948/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 2月15日 判決 (上告審)/令和3年(行ツ)第54号
市の住民である上告人らが、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条、5条~10条(本件各規定)が憲法21条1項等に違反し、無効であるため、大阪市ヘイトスピーチ審査会の委員の報酬等に係る支出命令は法令上の根拠を欠き違法であるなどとして、市の執行機関である被上告人を相手に、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、当時市長の職にあった者に対して損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟の事案の上告審において、本件各規定による表現の自由の制限は、合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものというべきであるとし、本件各規定は憲法21条1項に違反しないとして、本件上告を棄却した事例。
2022.02.15
非認定処分取消請求事件
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LEX/DB25571941/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 2月 7日 判決 (上告審)/令和3年(行ツ)第73号
専門学校を設置する上告人(控訴人・原告)が、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づき、あん摩マッサージ指圧師に係る養成施設で視覚障害者以外の者を養成するものについての同法2条1項の認定を申請したところ、厚生労働大臣から、視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があるとして、平成28年2月5日付けで、同法19条1項の規定(本件規定)により上記認定をしない処分を受けたため、本件規定は憲法22条1項等に違反して無効であると主張して、被上告人(被控訴人・被告)を相手に、本件処分の取消しを求めたところ、第1審判決は請求を棄却し、控訴審判決も控訴棄却したため、上告人が上告した事案で、本件規定について、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることについての立法府の判断が、その政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱し、著しく不合理であることが明白であるということはできないとして、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律19条1項が憲法22条1項に違反しないとし、本件上告を棄却した事例(意見がある)。
2021.12.14
性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
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LEX/DB25571834/最高裁判所第三小法廷 令和 3年11月30日 決定 (特別抗告審)/令和2年(ク)第638号
性同一性障害者が、戸籍上の性別の取扱い変更の申立てをした審判で却下され、抗告審でも却下されたため、特別抗告をした事案において、性同一性障害者につき性別の取扱いの変更の審判が認められるための要件として「現に未成年の子がいないこと」を求める性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号の規定が憲法13条、14条1項に違反しないとし、本件抗告を棄却した事例(反対意見がある)。
2021.11.09
地位確認等請求事件
LEX/DB25590928/岐阜地方裁判所 令和 3年10月 1日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第9号
警備業者に警備員として雇用されていたが、自ら保佐開始の審判を申し立て、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けたことに伴い、雇用契約終了の通知を受けて退職した原告が、被告(国)に対し、当時、警備業法は、被保佐人であることを警備員の欠格事由の一つとして定めていた本件規定(令和元年法律第37号による改正前の警備業法14条、3条1号)は憲法22条1項等に反し違憲であり、国会が本件規定を制定し、あるいは上記原告の退職時点まで改廃せず存置し続けたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとして、同項所定の損害賠償請求権に基づき、慰謝料100万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、本件規定は、警備業務を適正に実施するに足りる能力を備えた者のうち、被保佐人(準禁治産者)である者のみを区別して警備員から排除する規定であるところ、昭和57年改正当時からかかる区別をすることの合理性は認められない状態であったというべきであるから、本件規定は、その前身となる規定が新設された昭和57年改正時点において憲法14条1項にも反する状態であったとし、また、本件規定が被保佐人の職業選択の自由を合理的な理由なく制約していることが国会にとっても明白であったと認められる平成22年7月頃から遅くとも本件退職時点までに本件規定を改廃しなかった国会の立法不作為は国賠法1条1項の適用上違法であるとして、原告の請求を一部認容した事例。